特許拒絶査定不服審判
2022-007392
糸状菌を含む食用組成物およびその栽培のためのバイオリアクターシステム
- 審判番号
- 2022-007392
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-512420
- 請求日
- 2022年05月17日
- 審決日
- 2025年04月18日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ザ・フィンダー・グループ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】笹倉 真奈美
- 【請求人代理人】白江 雄介
- 審判長/審判官
- 審判長 植前 充司
- 審判官 天野 宏樹
- 審判官 淺野 美奈
- 分類
- P18 .57 -WY (A23L) / P18 .537-WY (A23L) / P18 .121-WY (A23L) / P18 .55 -WY (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-512420「糸状菌を含む食用組成物およびその栽培のためのバイオリアクターシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月 7日国際公開、WO2019/046480、令和 2年11月12日特許出願公表、特表2020-532297、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)8月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年8月30日 米国(US)、2018年8月23日 米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 3月15日付け:拒絶理由通知
同年 8月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 1月11日付け:拒絶査定
同年 5月17日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年 9月25日付け:当審による拒絶理由通知
令和 6年 3月25日 :意見書の提出
第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和4年5月17日提出の手続補正書による補正を却下する。
2 補正の却下の決定の理由
(1)補正の内容
令和4年5月17日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は拒絶査定不服審判の請求と同時にされた補正であり、令和3年8月23日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1について、
「食用糸状菌粒子を含む糸状菌の食用配合物であって、食用糸状菌粒子が凝集性食用糸状菌バイオマットの粒子であり、糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む、配合物。」
であるのを
「食用糸状菌粒子を含む糸状菌の食用配合物であって、食用糸状菌粒子が37.27~1854.54g/cm2の平均引張強さを有する食用糸状菌バイオマットの粒子であり、糸状菌粒子が不活性化されている、配合物。」
とする補正を含むものである。
(2)本件補正の適否について
ア 補正の目的について
本件補正は、補正前の「凝集性食用糸状菌バイオマット」を「37.27~1854.54g/cm2の平均引張強さを有する食用糸状菌バイオマット」に変更し(以下「補正事項1」という。)、糸状菌について限定する事項を補正前の「糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む」から「糸状菌粒子が不活性化されている」へ変更する(以下「補正事項2」という。)ものである。
上記の補正事項2は、糸状菌について「少なくとも46%のタンパク質を含む」と限定していた事項を、タンパク質含有量を特定せず「糸状菌粒子が不活性化されている」という事項へ変更するのであるから、糸状菌の範囲がタンパク質含有量の点で拡張することは明らかであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするとはいえない。また、補正事項2により削除される「糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む」という部分に誤記や明りょうでない記載があるとも認められないから、特許法第17条の2第5項第3号に規定する誤記の訂正、同第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえないし、同第1号に規定する請求項の削除にも当たらない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に適合しない。
イ 請求人の主張について
請求人は、本件補正のうち特に補正事項2に係る内容に関し、審判請求書において「請求項1から、「糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む」なる記載を削除した。本補正は新規事項追加の理由を解消するために必要な補正であり、認められて然るべきものであると思料する。」と述べる。これは、本件補正が特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たすことを明確に説明するものとはいえないが、念のため検討する。
拒絶査定に際し審査官は<付記>として、令和3年8月23日提出の手続補正書による補正において請求項1に「糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む」という事項を追加することが新規事項の追加に当たる旨を述べている。
審査官の指摘は、要するに、当該補正の根拠として同日提出の意見書で示される本願明細書の翻訳文等の段落0007~0009には、特定の菌株であるフザリウム・オキシスポラムMK7株が「46~51%の完全タンパク質含量を有」することが記載されるのみであって他に補正の根拠となる記載も見当たらないから、菌株を特定せず、またタンパク質含有量の上限を特定せずに「糸状菌が少なくとも46%のタンパク質を含む」と特定する補正は、新たな技術的事項を導入するものであるというものである。
そして、請求人は、本件補正のうち補正事項2はこの指摘を解消するために必要である旨を主張する。
しかしながら、本願明細書の翻訳文の段落0069には、用いる培地によって、例えば糸状菌の一種であるジャイアントホコリタケバイオマットで46.33%、46.88%等のタンパク質含量を得られたことが記載されている。そうすると、糸状菌が「少なくとも46%のタンパク質を含む」ことは明細書に記載されており、かつフザリウム・オキシスポラムMK7株に限定されるものでもない、と示すことが可能といえ、審査官の指摘を解消するために必ずしも補正事項2が必要であるとはいえない。
よって、請求人の主張を考慮しても、本件補正について、補正の目的に関する上記判断は影響されない。
ウ まとめ
したがって、本件補正は特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないので、上記のとおり本件補正を却下する。
第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~16に係る発明は、令和3年8月23日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由および当審にて通知した拒絶理由を検討しても、それらの理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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