商標拒絶査定不服審判
2022-006533
- 審判番号
- 2022-006533
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-122228
- 請求日
- 2022年04月28日
- 審決日
- 2023年06月09日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】神保電器株式会社
- 【請求人代理人】松井 宏記
- 【請求人代理人】宗助 智左子
- 【請求人代理人】鈴木 行大
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T18 .13 -Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-122228拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年10月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月11日付け :拒絶理由通知書
令和3年9月16日付け :意見書、手続補正書の提出
令和4年1月31日付け :拒絶査定
令和4年4月28日付け :審判請求書の提出
令和4年12月27日付け:審尋
令和5年2月17日付け :回答書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願されたものであり、指定商品については、上記第1の手続補正書の提出により、第9類「電気スイッチ」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、図形商標であるところ、その図形は、「電気スイッチ」の写真の形状を図案化したものと容易に理解されるものであって、格別な特徴を有する特異な形態といえるものとはいえないものである。そうすると、本願商標を構成する図形は、指定商品である「電気スイッチ」の用途、機能から予測し難いような特異な形態や特別な印象を与える装飾的形態を備えているものとは認められず、指定商品の取引者、需要者は、本願商標を「電気スイッチ」において採用し得る機能又は美感の範囲内のものであると看取し、「電気スイッチ」の形状であると認識するにとどまるものというのが相当である。よって、本願商標は、指定商品の形状を普通に用いられる方法で表してなるものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、令和4年12月27日付けで通知した審尋により、別掲2に示すとおりの事実を新たに示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めた。
第5 上記第4の審尋に対する請求人の意見の要旨
1 本願商標に係る電気スイッチは、「外側縦長長方形の四隅が直角であり、スイッチは、上が横長長方形、下が縦長長方形で四隅も直角であり、スイッチの面積は小さく、スイッチには右端に上下に渡って直線状の表示部が設けられており、スイッチは平板状でスイッチのオンオフは左右端を押し込むことにより行われるというデザインであって、シンプル、ミニマル、角張った、クールなデザイン」であって、各種の賞を受賞、各種個人のウェブサイトでも特殊な形態のスイッチとして評価されており(資料4~資料6)、審尋で挙げたごく一般的な電気スイッチのデザインとは全く異なる印象を需要者に与えているのであるから、本願商標に接した需要者は、本願商標を、単に商品の形状の一類型を表したものと認識することはなく、出願人独自のデザインを有する電気スイッチに基づく図形商標であると認識するものである。
2 商品の形状を図形で表した他の商標が、使用による識別力を主張することなく登録されているところ(資料1、資料2)、本願商標はこれら登録商標とは何ら異なることのない図形商標であって、既に世の中において評価されているデザインなのであるから、自他商品識別力のある図形商標である。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、白色の長方形を縦長に描き、その内側の中央に、影様の黒色の線で縁取りされた白色のやや横長の長方形及び縦長の長方形を上下に配し(以下「内側長方形部分」という。)、内側長方形部分の右側長辺に影様の薄い灰色の直線を配し、その左にそれぞれの長方形の上端から下端までの長さよりやや短く、縦に緑色の直線を描いてなるものである。
なお、上記のうち、内側長方形部分の右側長辺における影様の薄い灰色の直線は、当該内側長方形部分の右側が手前にやや出っ張っている形状を立体的に表すため配したものと看取されるものである。
(2)本願商標の指定商品を取り扱う業界における取引の実情について
別掲2のとおり、本願の指定商品である「電気スイッチ」を取り扱う業界において、外側の縦長の略長方形の内側に、上下に2つ並んだ長方形の押しスイッチを配した構成は、電気スイッチの構成として広く一般に用いられているものであって、実際に、当該構成からなる電気スイッチが多数取引されている実情が見受けられる。
また、同業界において、商品の機能性や美感等の向上の観点から、電気スイッチに各種の装飾等が施されることも一般的に行われており、例えば、暗い状態でも電気スイッチの位置が分かるようにするため、又は通電の状態を分かるようにするため等の機能を有する、様々な形状からなる表示灯を、押しスイッチの様々な箇所に施した電気スイッチも、広く一般に採択、使用されている実情が見受けられる。
(3)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
上記(2)によれば、本願商標の指定商品である「電気スイッチ」を取り扱う業界において、外側の縦長の略長方形の内側に、上下に2つ並んだ、表示灯を施した縦長の長方形の押しスイッチを配した構成の電気スイッチは、広く一般に採択、使用されているものといえる。
そうすると、本願商標を構成する図形は、その全体が、指定商品の取引者、需要者に、「電気スイッチ」の用途又は機能から予想し得る形状の一類型を立体的に表したものと容易に認識させるというのが相当であり、その構成中の各部分も、「電気スイッチ」の表示灯や装飾を表したもの、あるいは平面図を立体的に見せるための陰を表したものと認識させるにすぎないといえるものであって、「電気スイッチ」において採用し得る機能又は美感の範囲を超えて、出所識別機能を発揮し得る特殊性を有するものということはできない。
してみれば、本願商標をその指定商品「電気スイッチ」に使用したときには、取引者、需要者は、本願商標が、その商品の形状の一類型を平面図で立体的に表したものと認識するにとどまり、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認識するというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標に係る電気スイッチは、「外側縦長長方形の四隅が直角であり、スイッチは、上が横長長方形、下が縦長長方形で四隅も直角であり、スイッチの面積は小さく、スイッチには右端に上下に渡って直線状の表示部が設けられており、スイッチは平板状でスイッチのオンオフは左右端を押し込むことにより行われるというデザインであって、シンプル、ミニマル、角張った、クールなデザイン」であって、各種の賞を受賞、各種個人のウェブサイトでも特殊な形態のスイッチとして評価されており(資料4~資料6)、審尋で挙げたごく一般的な電気スイッチのデザインとは全く異なる印象を需要者に与えているのであるから、本願商標に接した需要者は、本願商標を、単に商品の形状の一類型を表したものと認識することはなく、出願人独自のデザインを有する電気スイッチに基づく図形商標であると認識するものである旨主張している。
しかしながら、請求人の業務に係る「電気スイッチ」がそのデザインにより受賞歴等があるとしても、本願商標を構成する図形は、一見して何を表すか容易に把握・理解がされなかったり多義的な把握・理解がされるような性質の図形とは異なり、上記1のとおり、当該図形全体が、その指定商品との関係において、「電気スイッチ」の用途、機能から予想し得る形状の一類型を平面図で立体的に表したものと認識されることが明らかであるし、請求人が主張する上記デザインに該当する各部分を観察しても、「電気スイッチ」において採用し得る機能又は美感の範囲の形状にとどまるものというべきであり、本願商標が、かかる域を超えて、何らかの特徴的な意味を持つ出所識別機能を発揮する図形として認識されるというのは困難である。
このことは、別掲2のとおり、指定商品「電気スイッチ」を取り扱う業界において、請求人が主張する上記デザインのように、シンプルで角張ったデザインであるとの印象を与え得る、外側と内側の長方形の四隅が直角なデザインの商品(別掲2(3)~(5)、(7))や、スイッチの面積が比較的小さいデザインの商品(別掲2(4)、(5))が見られることからも、確認できるものである。
(2)請求人は、商品の形状を図形で表した他の商標が、使用による識別力を主張することなく登録されているところ(資料1、資料2)、本願商標はこれら登録商標とは何ら異なることのない図形商標であって、既に世の中において評価されているデザインなのであるから、自他商品識別力のある図形商標である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務とに基づいて、個別具体的に検討・判断されるべきものであって、請求人の主張に係る各事例が存在するからといって、本願商標が同号に該当することを否定することはできず、また、本願商標についての同号該当性の判断が、これらの各事例によって左右されるものでもない。
そして、本願商標と、請求人の主張に係る登録された他の図形商標(資料1、資料2)は、その構成及び指定商品の分野が全く異なるものであることは明らかである。
また、請求人の業務に係る「電気スイッチ」に受賞歴等があることによって、商標法第3条第1項第3号に該当するという判断を覆すことができないことは上記(1)のとおりであって、かかる受賞歴等のみをもって、本願商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったということもできない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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