2022-005038
電子レンジ用包装材及び包装箱
- 審判番号
- 2022-005038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-013925外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月05日
- 審決日
- 2023年06月13日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】大日本印刷株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大谷特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月30日の出願であって、令和3年11月1日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年12月8日に意見書が提出され、令和4年2月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和4年4月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1~3に係る発明は、以下の引用文献1~4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項4~7に係る発明は、以下の引用文献1~5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2004-1792号公報
2.特開2016-88623号公報
3.特開平4-114067号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2017-43722号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2015-9821号公報
第3 本願発明
本願請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、本願発明1は以下のとおりである。
「【請求項1】紙基材上の外層側に光輝性印刷層が形成された構成を備え、前記光輝性印刷層が、パール顔料及び金属鱗片を含み、前記パール顔料と前記金属鱗片との合計100質量部に対する前記パール顔料の含有量が40~90質量部である、電子レンジ用包装材。」
なお、本願発明2~7は、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、電子レンジ加熱可能な包装材料、流動性食品用包装容器および包装容器の電子レンジ加熱方法に関する。【0002】続きを表示(全11行)【従来の技術】スープ、ソース、カレーなど粘稠若しくは固形分含有流動性食品を電子レンジで包装容器とともに加熱する場合、均一に加熱する様に、円形及び、底部を上げ底にした形状などの容器形状を用いまた、特殊な層を積層した包装材料を使用している。【0003】しかし、容器形状が一定に定義されている場合、特殊な樹脂の層を積層することができない場合、流動性食品を電子レンジで包装容器とともに均一に加熱することが難しい。例えば、矩形若しくは角柱状の容器の場合、コーナー(角)部分に相当する内容物は電子レンジの電磁波で過剰に加熱され逆に中心部は加熱エネルギーの吸収が少なく十分に加熱されない。特に、粘稠若しくは固形分含有流動性食品である場合、容器の角部分の食品が過熱されて焦げ食品の味が低下する。また、特殊な形状に成形すること、及び特殊な均一加熱層を設けることにより環境負荷を高め、製造コストを高くする。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の背景に基づきなされたものであり、その目的とするところは、容器形状が矩形若しくは角柱状に定義されていても、高価な特殊な樹脂の積層及び容器の特殊形状への成形を要せず、粘稠若しくは固形分含有の流動性食品を電子レンジで包装容器とともに、焦げなどの味障害がなく、均一に加熱することができ、また、環境負荷を低減し、低いコストで製造できる、包装材料、流動性食品用包装容器および包装容器の電子レンジ加熱方法を提供することである。」
「【0008】【発明の実施の形態】この発明において、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所の表面に、少なくとも、微小な金属様フレークを含有するインクが印刷される。若しくは、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所の表面からその他の箇所の表面に、段階的又は徐々に層厚が薄くなる様に、微小な金属様フレークを含有するインクが印刷されている。【0009】この発明において、微小な金属様フレークを含有するインクは、アルミニウムやスズなどの金属のフレーク状含有物が分散されたインクである。金属フレークは、例えば、アルミ蒸着などにより得られた薄い層を細かく粉砕して得ることができる。それらのフレークは、インクの中にラメラの様に分散される。ラメラの様に分散された金属フレークを有するインクは、通常の印刷によりメタリック調デザイン、文字、模様を容器外表面に付与する。【0010】微小な金属様フレークを含有するインク印刷層は、金属箔や金属容器で観察される火花発生もなく、その層を透過する電子レンジのマイクロ波のエネルギー量を低減する。この発明において、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所の表面に、そのインク印刷層が積層され、若しくは、その他よりも厚く積層される。上述のこの発明の構成により、包装容器の角及びその近傍の食品は、より低減されたエネルギーで加熱され、他方、容器中央部の食品は、より多くのエネルギーで加熱される。【0011】この発明において使用される包装材料は、従来の紙包装容器製品に用いられている積層包装材料などである。その包装材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)/印刷インキ層/紙コア層(繊維質キャリア層)/LDPE/ガスバリア層/LDPE/LDPE、LDPE/印刷インキ層/紙コア層/LDPE/LDPE、印刷インキ層/LDPE/紙コア層/LDPE/LDPE、また、LDPE/印刷インキ層/紙コア層/LDPE/ガスバリア層/ポリエステル(PET)等である。この発明における包装材料の層構成の例は、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所では、ポリオレフィン層/メタリックインク層/クレコート紙層/ポリオレフィン層/酸化ケイ素蒸着PETフィルム/ポリオレフィン層であり、容器中央部及びその近傍に相当する箇所では、ポリオレフィン層/クレコート紙層/ポリオレフィン層/酸化ケイ素蒸着PETフィルム/ポリオレフィン層である。」
「【0013】【発明の効果】この発明の電子レンジ加熱可能な包装材料、流動性食品用包装容器および包装容器の電子レンジ加熱方法により、以下の効果を発揮する。(1)どのような容器であっても、容器形状が矩形若しくは角柱状に定義されていても、電子レンジで包装容器とともに、焦げなどの味障害がなく、均一に加熱することができる。(2)高価な特殊な樹脂の積層及び容器の特殊形状への成形を要せず、均一に加熱することができ、環境負荷を低減し、低いコストで製造できる。(3)スープ、ソース、カレーなど粘稠若しくは固形分含有の流動性食品であっても、電子レンジで包装容器とともに、均一に加熱することができる。(4)粘稠若しくは固形分含有の流動性食品であっても、電子レンジで包装容器とともに、食品の風味や美味しさを壊さずに、十分に加熱することができる。(5)包装材料に金属材料を用いているにも拘らず、金属箔や金属容器で観察される火花発生もなく、電子レンジのマイクロ波が透過するので、安全に加熱することができる。(6)メタリック様のインクであるので、その容器外観が購買意欲を惹起し、魅力的な包装容器を得ることができる。」
(2)したがって、上記引用文献1の、特に、段落【0008】、【0011】の記載から、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「包装容器の角及びその近傍に相当する箇所の表面に、少なくとも、微小な金属様フレークを含有するインクが印刷され、若しくは、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所の表面からその他の箇所の表面に、段階的又は徐々に層厚が薄くなる様に、微小な金属様フレークを含有するインクが印刷され、包装材料の層構成は、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所では、ポリオレフィン層/メタリックインク層/クレコート紙層/ポリオレフィン層/酸化ケイ素蒸着PETフィルム/ポリオレフィン層である、電子レンジ加熱可能な包装材料。」
2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0013】以下、本発明の印刷物の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明の印刷物10の一実施形態を示す断面図である。図1及び図2の印刷物10は、基材1上に、ハードコート層2及び光沢印刷層3をこの順に有している。図2の印刷物は、さらに光沢印刷層3上に絵柄層4及び表面保護層5を有している。また、図1及び図2の印刷物10の光沢印刷層3は、上部の金属鱗片偏在領域31を有している。」
「【0024】基材基材の材料は、従来からの印刷物等に用いられている材料であれば特に限定されないが、具体的には、上質紙、中質紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙、記録用塗布紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはこれらの複合体等が用いられる。本発明では、どのような基材を用いた場合でも、基材上に後述するハードコート層を有することによって、常に高い金属光沢を実現することができる。」(当審注:「基材」の下線は、公報において付されていたものである。)
「【0048】光沢印刷層光沢印刷層は、ハードコート層上に位置する層であり、光沢印刷層用インキを印刷することにより形成される。このように金属光沢を付与する層を蒸着ではなく印刷により形成することにより、コストを低減するとともに、カールの発生を抑制できる。光沢印刷層は、ハードコート層上に接して形成されることが好ましい。また、光沢印刷層は、図1のように、ハードコート層上の一部の領域に所望のパターンで形成して、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等の絵柄を形成してもよいし、図2のように、ハードコート層上の全部の領域に形成してもよい。【0049】また、本発明では、光沢印刷層中に金属鱗片を含むことを要する。金属鱗片は、光沢印刷層の上部(光沢印刷層のハードコート層とは反対側)に偏在していることが好ましい。金属鱗片が光沢印刷層の上部に偏在化することにより、金属光沢を高くできるとともに、光沢印刷層とハードコート層との密着性を向上することができる。」(当審注:「光沢印刷層」の下線は、公報において付されていたものである。)
「【0060】光沢印刷層には、光沢印刷層を所望の色にするために、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料等の着色剤を含有させてもよい。」
「【0065】光沢印刷層は、光沢印刷層を形成する成分を溶剤で希釈してなる光沢印刷層用インキを、ハードコート層上に塗布、乾燥し、必要に応じて紫外線照射することにより形成できる。光沢印刷層用インキは、金属鱗片の偏在及び乾燥効率の両立の観点から、全固形分100質量部に対して、溶剤を600~1100質量部含有することが好ましい。ハードコート層の樹脂組成により溶剤の浸透性が異なるため、好適な溶剤の種類は一概には言えないが、例えば、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、酢酸ノルマルプロピル(NPAC)やこれらを混合したもの等を用いることができる。」
「【0073】[容器]本発明の容器は、上述した本発明の印刷物を用いてなるものである。容器としては、特に制限されることなく、飲料容器、食品容器等が挙げられる。本発明の容器は、優れた光沢感があり、意匠性に優れるものである。また、印刷物のカールが抑制されて いるため、容器の製造過程で、カールを原因としたトラブルを生じることを防止できる。」
「【0080】2.印刷物の作製[実施例1]基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の全面に、下記処方のハードコート層用インキ1を乾燥後の厚みが6μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、ハードコート層(電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物層)を形成した。次いで、ハードコート層の全面に、下記処方の光沢印刷層用インキ1を乾燥後の厚みが0.30μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成し、実施例1の印刷物を得た。なお、実施例1の光沢印刷層の金属鱗片が実質的に存在しない領域の厚みは0.20μm、金属鱗片偏在領域の厚みは0.10μmであった。」
「【図1】[図:0001398892000001.jpg]」
(2)したがって、上記引用文献2には、特に、段落【0013】、【0024】、【0048】~【0049】、【0060】、【0073】の記載から、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「容器を製造するための印刷物が、基材の材料に紙が用いられ、基材上にハードコート層を有し、ハードコート層上に光沢印刷層を有し、光沢印刷層中に金属鱗片を含むものであり、光沢印刷層にはパール顔料を含有させてもよいこと。」
3.引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記 載されている。
「2.特許請求の範囲(1) パール顔料30~93重量%、着色顔料0~16重量%、第1の体質顔料としてのベントナイト又はモンモリロナイト7~47重量%及び第2の体質顔料0~13重量%からなることを特徴とするパール顔料を含むパステル。」
「 本発明によれば、材料は、パール顔料を30~93重量%、好ましくは40~85重量%の範囲で含む。材料がパール顔料を93重量%を越えて多量に含むときは、水と混練しても、混練物は、粘り又は可塑性が乏しく、押出成形することが困難である。他方、材料中のパール顔料の量が30重量%よりも少ないときは、得られるパステルによる描画にパール光沢が乏しい。(第2ページ左下欄第20行~右下欄第7行)」
(2)したがって、上記引用文献3には、特に、【特許請求の範囲】、第2ページ左下欄第20行~右下欄第7行の記載から、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「パール顔料30~93重量%を含むパール顔料を含むパステル。」
4.引用文献4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】表面処理された金属粉末を含み、溶存酸素減少速度が、25℃及び1.0atmの環境下において、2.0kPa/h以上20.0kPa/h以下である、非水系インクジェット組成物。」
「【請求項4】前記表面処理された金属粉末の形状が、鱗片状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水系インクジェット組成物。」
「【請求項6】前記表面処理された金属粉末は、前記インクジェット組成物の総量に対して、0.5質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の非水系インクジェット組成物。」
「【0018】インクジェット組成物は、インクジェット法により吐出して用いる組成物としての種々の用途に用いることができ、その用途は限定されない。用途として、具体的には、インク用及び重合成形用が挙げられる。これらの中では、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、インク用であることが好ましい。以下、本実施形態の組成物をインクジェット組成物の1実施形態である、インクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)として用いる場合についてより詳細に説明するが、本実施形態の組成物は、これに限定されない。」
(2)したがって、上記引用文献4には、特に【請求項1】、【請求項4】、【請求項6】の記載から、次の技術的事項(以下「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「表面処理された金属粉末がインクジェット組成物の総量に対して、0.5質量%以上10.0質量%以下含まれており、金属粉末の形状が鱗片状であること。」
5.引用文献5について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0029】以下、図面を参照しながら本発明の電子レンジ加熱用包装体について説明する。図1は、本発明の電子レンジ用包装体100を構成する第1実施形態の外装箱1の展開図であり、図2及び図3は、それぞれ第1実施形態の外装箱1を組み立てた状態を正面板2側及び背面板4側から見た斜視図、図4は、第1実施形態の外装箱1を開封した状態を示す斜視図である。なお、図4では外装箱1が開封された状態を把握しやすいように内装袋20の外形のみを破線で示している。【0030】図1に示すように、外装箱1は所定の形状に打ち抜いた1枚のシート(厚紙)から組み立てられ、正面板2と、正面板2の左側辺2cに折り線を介して順次連なる左側面板3a、背面板4と、正面板2の右側辺2dに折り線を介して連なる右側面板3bと、正面板2の上辺2a及び下辺2bに折り線を介して連なる天面板5、底面板6を有している。」
「【図1】[図:0001398892000002.jpg]」
(2)したがって、上記引用文献5には、特に、段落【0029】~【0030】、【図1】の記載から、次の技術的事項(以下「引用文献5に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「1枚のシート(厚紙)から組み立てられた、電子レンジ用包装体の外装箱。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「クレコート紙層」、「電子レンジ加熱可能な包装材料」は、それぞれ、本願発明1における「紙基材」、「電子レンジ用包装材」に相当する。
イ 引用発明における「微小な金属様フレーク」は、例えば、アルミ蒸着などにより得られた薄い層を細かく粉砕して得るものであり(引用文献1の【0009】参照。)、微小かつ偏平なフレーク状物であることは自明であるから、本願発明1における「金属鱗片」に相当する。
ウ 引用発明における「メタリックインク層」は、金属様フレークを含有するインクが印刷されたものであることは明らかであるから、本願発明1における「光輝性印刷層」と、「印刷層」という限りで一致する。
エ 引用発明の「包装材料の層構成は、包装容器の角及びその近傍に相当する箇所では、ポリオレフィン層/メタリックインク層/クレコート紙層/ポリオレフィン層/酸化ケイ素蒸着PETフィルム/ポリオレフィン層である」ことは、その配置からみて、本願発明1の「紙基材上の外層側」に「印刷層が形成された構成を備え」ていることに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「紙基材上の外層側に印刷層が形成された構成を備え、印刷層が金属鱗片を含む、電子レンジ用包装材。」
(相違点)
印刷層について、本願発明1においては、「光輝性印刷層」であり、「パール顔料」を含み、「パール顔料と金属鱗片との合計100質量部に対するパール顔料の含有量が40~90質量部である」のに対して、引用発明1においては、「メタリックインク層」であり、パール顔料を含むことは特定されておらず、パール顔料と金属鱗片との合計100質量部に対するパール顔料の含有量も特定されていない点。
(2)相違点についての判断
ア 上記相違点について検討すると、引用発明の「メタリックインク層」は「微小な金属様フレーク」を含むが、パール顔料を含むことは特定されておらず、引用文献1には、パール顔料を含むことについて記載や示唆はなく、「パール顔料」を含有させて「パール顔料及び金属鱗片を含む光輝性印刷層」とする動機はない。ましてや、本願発明1のように、「金属光沢による美観を生じさせることができ、かつ、電子レンジでの使用時の発熱を抑制することができる」ようにするために、パール顔料と金属鱗片との合計100質量部に対するパール顔料の含有量を40~90質量部に設定することは、記載も示唆もされていない。
イ この点、引用文献2には、「光沢印刷層には、光沢印刷層を所望の色にするために、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料等の着色剤を含有させてもよい」(段落【0061】)と記載されているが、パール顔料をどの程度含有させるかは記載されておらず、パール顔料と金属鱗片との合計100質量部に対するパール顔料の含有量を40~90質量部に設定する点は記載されていない。
引用文献3についても、引用文献3に記載された「パステル」は、押出成形した棒状固形物であるから、「光輝性印刷層」には相当しない。しかも、引用文献3に記載された「パステル」は金属鱗片を含んでいない。また、引用文献4に記載された「インクジェット組成物」はパール顔料を含まないものであるから、引用文献3に記載されたパール顔料の含有量、及び、引用文献4に記載された金属粉末の含有量のみを選んで、パール顔料と金属鱗片との合計100質量部に対するパール顔料の含有量を40~90質量部とする理由はない。
さらに、引用文献5に記載された「外層箱」は、光輝性印刷層が形成されておらず、光輝性印刷層に係る記載はない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る特定事項を採用することにより、「本発明によれば、金属光沢による美観を生じさせることができ、かつ、電子レンジでの使用時の発熱を抑制することができる、紙製の電子レンジ用包装材を提供することができる。また、前記電子レンジ用包装材を用いて、金属光沢による高級感を有する電子レンジ用包装箱を提供することができる。」(本願明細書【0009】)との効果を奏するものである。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2~5に記載された技術的事項から、相違点に係る本願発明1の「パール顔料と前記金属鱗片との合計100質量部に対する前記パール顔料の含有量が40~90質量部である」という構成を容易に想到することはできない。
(3)よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2~7について
本願発明2~7も、本願発明1の「光輝性印刷層が、パール顔料及び金属鱗片を含み、前記パール顔料と前記金属鱗片との合計100質量部に対する前記パール顔料の含有量が40~90質量部である」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~7は、当業者が引用発明及び引用文献2~5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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