商標拒絶査定不服審判
2022-004914
- 審判番号
- 2022-004914
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-096561
- 請求日
- 2022年04月04日
- 審決日
- 2024年01月17日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱鉛筆株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】田島 壽
- 【請求人代理人】外川 奈美
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T18 .8 -WY (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法64条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第64条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-96561拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の標章は、登録第6078471号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和元年7月12日の防護標章登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年11月24日付け:拒絶理由通知書
令和3年2月9日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月28日付け:拒絶査定
令和4年4月4日 :審判請求書の提出
令和5年5月16日付け :審尋
令和5年6月29日 :回答書の提出
令和5年8月2日 :回答書の提出
令和5年10月10日 :上申書の提出
2 本願標章
本願標章は、別掲1のとおりの構成よりなり、「標章の詳細な説明」について別掲2のとおりに記載して、第9類及び第14類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録第6078471号の色彩のみからなる商標に関する防護標章登録出願として登録出願され、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第9類「スマ-トフォンやタブレット型コンピュ-タのタッチパネルを操作するためのペン型デ-タ入力具」に補正されたものである。
3 原登録商標
登録第6078471号商標は、本願標章と同一の構成からなり、平成27年4月1日に登録出願され、第16類「鉛筆」を指定商品として、同30年9月7日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続するものである。
4 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願標章は、登録第6078471号商標と同一の標章であり、茶色と黒色を組み合わせた色彩のみからなる標章である。原登録商標の指定商品と本願標章の指定商品の間に密接な関連性があるとは認められず、本願標章は、その指定商品との関係においては、依然として商品の魅力向上等のために選択・使用されるものの域を出るものではないというのが相当であるから、本願標章がその指定商品に使用された場合に、出願人又は出願人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所の混同を来すほどの強い識別力を備えているものということはできない。したがって、本願標章は商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
5 当審における審尋
当審において、原登録商標が「鉛筆」について著名であることを立証する資料が提出されていないことから、合議体は、令和5年5月16日付け審尋により、請求人に、現在において、原登録商標がその指定商品について、需要者の間に広く認識されているものであることが確認できる資料等の提出を求めた。
6 審尋に対する請求人の回答
(1)請求人は、上記5の審尋に対し、令和5年6月29日提出の回答書において、原登録商標が独立して請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることは明らかである旨主張し、甲第25号証ないし甲第80号証を提出した。
(2)請求人は、令和5年8月2日提出の回答書において、上記(1)の回答を補足するとともに、甲第81号証ないし甲第111号証を提出した。
7 当審の判断
(1)原登録商標について
原登録商標は、上記3のとおり、本願標章と同一の構成からなり、平成30年9月7日に設定登録され、当該商標権は有効に存続するものであること及び当該商標権が請求人の所有に係るものであることは、その標章を表示する書面及び当庁備付けの商標登録原簿の記載から明らかである。
(2)本願標章の指定商品について
本願標章の指定商品である第9類「スマ-トフォンやタブレット型コンピュ-タのタッチパネルを操作するためのペン型デ-タ入力具」は、原登録商標の指定商品である第16類「鉛筆」とは異なる商品であり、これに類似するものともいえないから、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品である。
(3)原登録商標が需要者の間に広く認識されているかについて
ア 請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第111号証(枝番号を含む。)により、以下検討する。
(ア)原登録商標を使用した商品、使用期間及び使用地域
請求人は、原登録商標と同一と認識できる色彩の組合せを使用した商品「鉛筆」(以下「使用商品」という。)を、1966年から現在に至るまで約57年以上にわたって継続的に販売している(甲34、甲61、甲62等)。使用商品は、全国のほぼ全ての文房具店での取扱いがある。
(イ)使用商品の販売実績等
使用商品の最近の販売実績は、平成13年から平成27年まで、年間約200万本から270万本の間で推移しており(甲36)、その後も、平成29年において約250万本、平成30年において約258万本となっている。
請求人は、商品「鉛筆」の市場における市場占有率は高く、平成27年においては53.7%であった(甲38)。
(ウ)使用商品に関する広告宣伝
請求人は、商品の販売開始時期から現在に至るまで、全国紙新聞等において使用商品に関する宣伝広告を行ってきた(甲54~甲59、甲84、甲86~甲89)。また商品カタログ・チラシ等において使用商品の広告を実施してきた(甲61~甲63)
加えて、請求人は、自社の公式SNS等で使用商品の広告宣伝を行っている(甲106~甲109)。
(エ)使用商品に関するメディアによる紹介
使用商品に関する記事が、各種新聞・雑誌・インターネット等に掲載されている(甲68、甲69、甲76~甲78)。
(オ)原登録商標の使用態様
請求人は、原登録商標と同一と認識できる色彩の組合せを、使用商品の本体全体を覆う色彩として一貫して使用している(甲80)。
イ 検討
以上(ア)ないし(オ)によれば、請求人は、1958年から現在に至るまで、原登録商標と同一と認識できる色彩の組合せが商品全体を覆う態様で使用されている使用商品を、50年以上の長期間にわたって一貫して継続的に使用しているものである。
また、使用商品は長期間にわたって相当程度の売上高があることが認められる。
さらに、請求人は、長期間にわたって使用商品に対する宣伝広告を行っていることが認められる。
これらを総合すれば、原登録商標は、使用商品への長年の一貫した使用によって、請求人の業務に係る商品(鉛筆)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。
(4)混同を生ずるおそれについて
原登録商標は、上記(3)のとおり、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。
そして、使用商品「鉛筆」と本願標章の指定商品「スマ-トフォンやタブレット型コンピュ-タのタッチパネルを操作するためのペン型デ-タ入力具」(以下「タッチペン」と呼ぶ。)の関連性を考えるに、タブレット型端末やスマートフォンが学校や職場を含む一般に普及している現状からすれば、両商品とも「文字等を書くためのもの」という用途を共通にするものであり、タッチペン付きのボールペンや鉛筆型のタッチペンが販売されている事実(甲14~甲17)もあることから、両商品は需要者を共通にするものとみるのが相当である。
また、請求人を含む文房具メーカーが「タッチペン」の製造を行っている事実もうかがえる(甲15、甲18、甲19)ことから、その製造業者を共通にする場合もあるといえる。
加えて、販売場所についても、店舗において隣接する売場で販売されていることやインターネット上で同一のカテゴリの商品として販売されていることからすれば、その販売場所を共通にする場合もあるといえる。
以上を踏まえると、原登録商標と同一の構成態様からなる本願標章が他人によって本願標章の指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
(5)まとめ
以上によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品である本願標章の指定商品について他人が原登録商標と同一の商標の使用をすることにより、その商品と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本願標章は、商標法第64条の規定する要件を具備するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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