2022-004583
空気調和システム
- 審判番号
- 2022-004583
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-178963外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月29日
- 審決日
- 2023年03月30日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F) / P18 .537-WZ (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和1年9月30日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和5年1月11日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】第1制御装置(46)を有し、屋外の空気を加湿して対象空間(S1)に加湿された空気を放出する加湿ユニット(3)と、第2制御装置(15)を有し、冷媒を循環させて前記対象空間(S1)の温度を調整する空気調和装置(2)と、前記空気調和装置(2)の通信回線(8A)を介して、前記第1制御装置(46)及び前記第2制御装置(15)と通信可能な制御部(7)と、を備え、続きを表示(全14行)前記加湿ユニット(3)は、屋外から導入して屋外に排出される空気中の水分を吸着し、屋外から導入されて前記対象空間(S1)に放出される空気に前記水分を放出する吸湿材(41a)を有し、前記加湿ユニット(3)は、前記対象空間(S1)の湿度を検出する湿度センサ(45)を有し、前記空気調和装置(2)は、前記対象空間(S1)の温度を検出する温度センサ(14)を有し、前記制御部(7)は、前記加湿ユニット(3)が前記湿度センサ(45)の検出値に基づいて運転するように当該加湿ユニット(3)を制御し、前記空気調和装置(2)が前記温度センサ(14)の検出値に基づいて運転するように当該空気調和装置(2)を制御する、空気調和システム。【請求項2】前記空気調和装置(2)が冷房運転を行う場合、前記加湿ユニット(3)は運転を行わない、請求項1に記載の空気調和システム。【請求項3】前記空気調和装置(2)が冷房運転を行う場合、前記加湿ユニット(3)は、屋外の空気を加湿せずに前記対象空間(S1)に放出する換気運転を行う、請求項1に記載の空気調和システム。【請求項4】前記対象空間(S1)の湿度が所定値以上で一定時間維持されている場合、前記加湿ユニット(3)は前記換気運転を停止する、請求項3に記載の空気調和システム。」
第3 拒絶理由の概要
令和4年11月9日付けの当審が通知した拒絶理由のうち理由2は、次のとおりのものである。
理由2.(進歩性)この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1-3、5、6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2002-89906号公報
2.特開2001-99452号公報
3.特開2012-83086号公報
5.特開2006-329471号公報
6.特開2004-308990号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用例
1.引用例5
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例5には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用例5の記載
ア「【0022】
本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、同一の室内空間を対象として配置された調湿装置(10)及び空調装置(20)と、コントローラ(30)とを備えている。調湿装置(10)には調湿制御部(41)が設けられ、空調装置(20)には空調制御部(42)が設けられている。また、コントローラ(30)には、温度設定部(31)と湿度設定部(32)とが設けられている。なお、調湿制御部(41)及び空調制御部(42)は、本発明に係る制御手段を構成している。調湿制御部(41)、空調制御部(42)及びコントローラ(30)についての詳細は後述する。
【0023】
<調湿装置の概略構成>
本実施形態の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を除湿して室内へ供給する除湿運転と、取り込んだ室外空気(OA)を加湿して室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。」
イ「【0024】
図2に示すように、上記調湿装置(10)は、冷媒回路(50)を備えている。この冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。」
ウ「【0028】
上記各吸着熱交換器(51,52)では、各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)の表面の吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水蒸気を吸着できるものが用いられる。」
エ「【0029】
また、この調湿装置(10)には、図示しないが空気の温度や湿度を検出する複数のセンサが設けられている。これら複数のセンサは、室外から調湿装置(10)に導入される室外空気(OA)の温度を検出する室外温度センサと、該室外空気(OA)の相対湿度を検出する室外湿度センサと、調湿装置(10)によって調湿された空気が供給される室内の室内空気(RA)の温度を検出する室内温度センサと、その室内空気(RA)の相対湿度を検出する室内湿度センサとで構成されている。これらの温度センサの計測値は、調湿制御部(41)へ送信される。」
オ「【0031】
図4に示すように、上記空調装置(20)は、室内ユニット(21)及び室外ユニット(22)を備えている。上記室内ユニット(21)は室内に配置されている。この室内ユニット(21)には、室内熱交換器(62)と室内ファン(25)が収納されている。一方、上記室外ユニット(22)は室外に配置されている。この室外ユニット(22)には、室外熱交換器(61)、圧縮機(63)、四方切換弁(64)、電動膨張弁(65)及び室外ファン(26)が収納されている。上記室内ユニット(21)と上記室外ユニット(22)とは、2本の連絡配管(23,24)で互いに接続されている。そして、空調装置(20)には、閉回路である冷媒回路(60)が構成されている。この冷媒回路(60)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。」
カ「【0034】
また、空調装置(20)の室内ユニット(21)には、冷媒回路(60)における冷媒蒸発温度を計測する熱交温度センサ(69)と、室内空気の温度を計測する室内温度センサ(68)とが設けられている。熱交温度センサ(69)は、本発明に係る蒸発温度計測手段を構成し、室内熱交換器(62)の膨張弁(65)側の端部に設けられている。室内温度センサ(68)は、本発明に係る室内温度計測手段を構成し、室内空気を吸い込む吸込口に設けられている。熱交温度センサ(69)の計測値と室内温度センサ(68)の計測値とは、後述する空調制御部(42)に送信される。」
キ「【0036】
上記コントローラ(30)は、空調装置(20)の制御目標となる目標温度Tsと、調湿装置(10)の制御目標となる目標湿度Rsとをそれぞれ入力する入力部を構成している。コントローラ(30)は、温度設定部(31)に希望の室内温度として目標温度Tsが入力され、湿度設定部(32)に希望の室内湿度として目標湿度Rsが入力される。そのうち、湿度設定部(32)に入力される目標湿度Rsは、「低」「中」「高」の3段階の中から選択的に入力される。入力された目標湿度Rsは、相対湿度として湿度設定部(32)に設定される。なお、湿度設定部(32)には、「低」「中」「高」のそれぞれに対応する相対湿度の値又は範囲が予め設定されている。
【0037】
上記空調制御部(42)は、コントローラ(30)に入力された目標温度Ts及び目標湿度Rsを受信する。この空調制御部(42)は、室内の温度が目標温度Tsに近づくように空調装置(20)の温調能力を調節する一方で、後述する「冷房加湿運転」の時は冷媒回路(60)における冷媒蒸発温度が目標温度Ts及び目標湿度Rsから計算される露点温度以上となるように空調装置(20)の運転を制御する蒸発温度制御を行う。
・・・
【0039】
上記調湿制御部(41)は、コントローラ(30)に入力された目標温度Ts及び目標湿度Rsを受信する。この調湿制御部(42)は、室内の相対湿度が目標湿度Rsに近づくように調湿装置(10)の調湿能力を調節する。具体的に、この調湿制御部(41)は、演算部(33)を備え、その演算部(33)で調湿制御部(41)で受信した目標温度Ts及び目標湿度Rsからその状態における絶対湿度を算出する。そして、調湿制御部(41)は、この算出した絶対湿度を目標絶対湿度に設定し、室内の絶対湿度が目標絶対湿度に近づくように調湿装置(10)の調湿能力を調節する(詳細は後述する)。」
ク「【0040】
-運転動作-
<調湿装置の運転動作>
本実施形態の調湿装置(10)では、除湿運転と加湿運転とが行われる。除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を調湿してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。つまり、除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、室内の換気を行っている。また、上記調湿装置(10)は、除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
【0041】
上記調湿装置(10)は、除湿運転中であれば第1空気として室外空気(OA)を、第2空気として室内空気(RA)をそれぞれ取り込む。また、上記調湿装置(10)は、加湿運転中であれば第1空気として室内空気(RA)を、第2空気として室外空気(OA)をそれぞれ取り込む。
・・・
【0045】
そして、除湿運転中であれば、第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第1吸着熱交換器(51)から脱離した水分が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第2吸着熱交換器(52)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。
・・・
【0049】
そして、除湿運転中であれば、第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第2吸着熱交換器(52)から脱離した水分が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第1吸着熱交換器(51)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。」
ケ「【0055】
<空調システムの制御動作>
本実施形態の空調システム(1)では、調湿装置(10)の除湿運転又は加湿運転と、空調装置(20)の冷房運転又は暖房運転との組み合わせによって4通りの運転が行われる。具体的に、空調システム(1)では、調湿装置(10)で除湿運転を行うと同時に空調装置(20)で冷房運転を行う「冷房除湿運転」と、調湿装置(10)で除湿運転を行うと同時に空調装置(20)で暖房運転を行う「暖房除湿運転」と、調湿装置(10)で加湿運転を行うと同時に空調装置(20)で冷房運転を行う「冷房加湿運転」と、調湿装置(10)で加湿運転を行うと同時に空調装置(20)で暖房運転を行う「暖房加湿運転」とが切換可能となっている。」
コ「【0059】
調湿制御部(41)は、室外空気(OA)及び室内空気(RA)の絶対湿度と、上記目標絶対湿度とに基づいて、室内の絶対湿度が目標絶対湿度に近づくように調湿装置(10)の加湿能力を制御する。この調湿装置(10)の加湿能力の制御は、例えば圧縮機(63)の運転周波数を変更して冷媒循環量を変化させることによって行われる。」
サ「【0063】
空調装置(20)の運転が開始すると、空調制御部(42)は、室内温度センサ(68)の計測値と熱交温度センサ(69)の計測値とを観察し、室内温度センサ(68)の計測値が目標温度Tsに近づくように、必要に応じて圧縮機(63)の運転周波数や室内ファン(25)の回転数の制御を行う。」
シ「【図1】
[図:0001397796000001.jpg]
」
ス「【図2】
[図:0001397796000002.jpg]
」
セ「【図4】
[図:0001397796000003.jpg]
」
ソ 上記キ及びシより、コントローラ30が、調湿制御部41及び空調制御部42と通信可能であることが理解できる。そして、当該通信に際しては、通信回線を利用することが技術常識であり、その通信回線は、空調システム1に属するものであることは明らかである。
タ 上記イ、ウ及びクより、第1動作中の加湿運転時には第1吸着熱交換器51で加湿された第2空気である室外空気OAが室内に供給され、第2動作中の加湿運転時には第2吸着熱交換機52で加湿された第2空気である室外空気OAが室内に供給されることが理解できる。そうすると、調湿装置10は、吸着剤が担持された第1、第2吸着熱交換機51、52を備え、第1吸着熱交換器51又は第2吸着熱交換機52が吸着した空気中の水分を室内に供給することが理解できる。
チ 上記ウ、エ及びキより、コントローラ30は、調湿装置10が室内湿度センサの計測値に基づいて運転するように調湿装置10の調湿能力を調節することが理解できる。
ツ 上記キ、サより、コントローラ30は、空調装置20が室内温度センサ68の計測値に基づいて運転するように空調装置20の温調能力を調節することが理解できる。
(2)引用例5に記載の発明
上記(1)を総合すると、引用例5には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「調湿制御部41が設けられ、取り込んだ室外空気OAを加湿して室内へ供給する加湿運転を行う調湿装置10と、空調制御部42が設けられ、冷媒回路60に冷媒を循環させることで蒸気圧縮冷凍サイクルを行う空調装置20と、空気調和システム1の通信回線を介して、調湿制御部41及び空調制御部42と通信可能なコントローラ30と、を備え、調湿装置10は、吸着剤が担持された第1、第2吸着熱交換機51、52を備え、第1吸着熱交換器51又は第2吸着熱交換機52が吸着した空気中の水分を室内に供給し、調湿装置10は、室内空気RAの相対湿度を検出する室内湿度センサを有し、空調装置20の室内ユニット21は、室内空気の温度を計測する室内温度センサ68を有し、コントローラ30は、調湿装置10が室内湿度センサの計測値に基づいて運転するように調湿装置10の調湿能力を調節し、空調装置20が室内温度センサ68の計測値に基づいて運転するように空調装置20の温調能力を調節する、空調システム1。」
2.引用例2
(1)引用例2の記載
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加湿装置に関し、特に、室外に設置されたユニットで生成した加湿用空気をダクト等で室内へ送って加湿を行うものに関する。」
イ「【0036】上記空調機は、室内機(10)と室外機(15)とによって構成されている。室内機(10)は、室内熱交換器(11)と室内ファン(12)を備え、室内の壁面に取り付けられている。室外機(15)は、室外に設置されている。この室外機(15)には、図示しないが、圧縮機、膨張機構、室外熱交換器、室外ファン等の構成機器が収納されている。室内機(10)と室外機(15)とは、一対の連絡配管(16)によって接続されている。」
ウ「【0038】加湿ユニット(20)は、室外機(15)と一体に形成されている。この加湿ユニット(20)には、空気ダクト(21)の一端が接続されている。また、空気ダクト(21)の他端は、室内機(10)の内部における室内熱交換器(11)の上流に開口している。そして、加湿ユニット(20)は、空気ダクト(21)と共に加湿装置を構成している。
・・・
【0040】図2に示すように、加湿ユニット(20)には、除湿側通路(23)と再生側通路(25)とが区画形成されている。また、加湿ユニット(20)には、除湿側通路(23)と再生側通路(25)の両方を横断する姿勢で回転ロータ(22)が設置されている。この回転ロータ(22)については、後述する。
【0041】除湿側通路(23)における回転ロータ(22)の下流には、除湿側ファン(24)が設けられている。更に、除湿側通路(23)において回転ロータ(22)の位置する部分は、除湿部(31)に構成されている。この除湿側ファン(24)を運転すると、除湿側通路(23)に室外空気が取り込まれる。除湿側通路(23)に取り込まれた室外空気は、回転ロータ(22)を通過した後に室外へ排出される。
・・・
【0043】上記ヒータ(26)は、回転ロータ(22)の上流に配置され、再生部(32)に送られる空気を加熱する加熱手段を構成している。一方、上記再生側ファン(27)は、回転ロータ(22)の下流に配置されている。この再生側ファン(27)を運転すると、再生側通路(25)に室外空気が取り込まれる。再生側通路(25)に取り込まれた室外空気は、ヒータ(26)と回転ロータ(22)とを順に通過して加湿用空気となり、この加湿用空気が空気ダクト(21)に導入される。」
エ「【0054】除湿部(31)では、回転ロータ(22)が回転しつつ導入された室外空気と接触する。室外空気と回転ロータ(22)とが接触すると、室外空気に含まれる水分が回転ロータ(22)の吸着剤に吸着される。従って、除湿部(31)では、回転ロータ(22)が回転するに従って吸着剤に水分が蓄積され、やがて吸着剤が飽和する。その後、回転ロータ(22)は、除湿部(31)から再生部(32)に移動する。一方、除湿部(31)において水分を奪われた室外空気は、除湿側ファン(24)に吸引されて室外へ排出される。
・・・
【0056】再生部(32)では、回転ロータ(22)がヒータ(26)により加熱された空気と接触する。この回転ロータ(22)は、回転移動しつつ空気と接触して加熱される。回転ロータ(22)が加熱されると、回転ロータ(22)の吸着剤から水分が脱着する。これによって、回転ロータ(22)の吸着剤が再生される。吸着剤から脱着した水分は、回転ロータ(22)と接触する空気に供給され、これによって加湿用空気が生成する。
【0057】再生部(32)で生成した加湿用空気は、再生側ファン(27)により吸引されて空気ダクト(21)へ導入される。ここで、加湿用空気は、空気ダクト(21)へ導入される時点において、ほぼ飽和空気の状態とされている。具体的に、加湿用空気は、温度が40~50℃程度で、相対湿度がほぼ100%の状態とされている。ただし、加湿用空気の状態は、外気条件等の運転条件によって変動するため、常に相対湿度100%の状態に維持されなくとも、相対湿度が90~100%程度の高い状態に維持されれば充分である。
【0058】加湿用空気は、空気ダクト(21)の内部を流れて室内に導かれる。一方、空気ダクト(21)は室外に設置されているため、空気ダクト(21)の外部には低温(7℃程度)の外気が存在する。従って、加湿用空気が空気ダクト(21)を流れる間に外気によって冷却され、空気ダクト(21)内で結露が生じる。その際、空気ダクト(21)の入口において、加湿用空気の相対湿度が100%であれば空気ダクト(21)の全長に亘って結露が生じ、加湿用空気の相対湿度が100%未満であれば空気ダクト(21)の途中から結露が生じる。」
オ「【図1】
[図:0001397796000004.jpg]
」
カ「【図2】
[図:0001397796000005.jpg]
」
(2)引用例2に記載の事項
上記(1)を総合すると、引用例2には、以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「加湿装置を有する空調機において、加湿ユニット20は、室外から導入して室外に排出される空気に含まれる水分を吸着し、室外から導入されて室内に導かれる空気に当該水分を供給する除湿部31を有すること。」
3.引用例1
(1)引用例1の記載
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0018】
【発明の実施の形態】〔全体構成〕本発明の一実施形態が採用される空気調和機の概略構成を示すブロック図を、図1に示す。この空気調和機は、冷媒回路1と、冷媒回路1を駆動するための駆動手段2と、室内の加湿を行う加湿ユニット3と、冷媒回路1、駆動手段2及び加湿ユニット3を制御する制御手段4とを備えている。」
イ「【0023】制御手段4は、図4に示すようなマイクロプロセッサを含む制御部31で構成されている。制御部31には、冷媒回路1と駆動手段2と加湿ユニット3とが接続されている。また、リモコンから送信されてくる指示を受信するための受信部32が制御部31に接続されている。制御部31には、受信部32で受信した指示に基づいて、目標温度及び目標湿度を設定する目標温度設定部33及び目標湿度設定部34が接続されている。これら目標温度設定部33及び目標湿度設定部34は、制御部31に接続されるメモリの所定領域として設定できる。また制御部31には、室温を検出する温度センサを有する室温検出部35と、室内の湿度を検出する湿度センサを有する湿度検出部36とが接続されている。また制御部31には、加湿ユニット3から吹き出される加湿空気の温度を検出する温度センサを有する加湿ファン吹出温度検出部37が接続されている。」
ウ「【0027】また加湿ユニット3は、吸湿側ファン43や加湿側ファン46を回転させるモータを駆動するための電源回路、ヒータ45に電力を供給するための電力制御手段51(後述)、マイコン61等を有する電装品部50を備えている。
【0028】電力制御手段51は、入力側が端子25,25'において商用電源21に接続されており(図3及び図6参照)、端子54,54’においてヒータ45と接続されている(図6参照)。電力制御手段51は、ヒータ45と直列に接続されるスイッチング手段としてのSSR(Solid State Relay)52と、ヒータ45と並列に接続されるゼロクロス検出手段53とを備えている。ゼロクロス検出手段53は、商用電源21の電圧値がゼロとなる時点を検出して、マイコン61に信号を出力する。SSR52は、マイコン61から出力される点弧信号により導通し、ヒータ45に流れる電流がゼロとなると自己消弧して遮断するスイッチング素子である。またマイコン61は、前述した制御部31に接続されている(図4参照)。
【0029】〔加湿制御の原理〕加湿ユニット3による加湿の制御は、主に、吸湿エレメント44を加熱するヒータ45の発熱量を調節することにより行われる。このヒータ45の発熱量の調節について図7を参照して説明する。図7(a)は商用電源21の電圧波形であり、同図(b)はゼロクロス検出手段53が出力するゼロクロス信号であり、同図(c)はSSR52に出力される点弧信号であり、同図(d)はヒータ45の電圧波形である。」
エ「【図1】
[図:0001397796000006.jpg]
」
オ「【図4】
[図:0001397796000007.jpg]
」
カ「【図6】
[図:0001397796000008.jpg]
」
キ 上記ア-カより、空気調和機において、冷媒回路1及び冷媒回路1を駆動するための駆動手段2が制御手段4(制御部31)に接続されると共に加湿ユニット3も制御手段4(制御部31)に接続され、制御部31に接続される受信部32はリモコンと通信可能であることが理解できる。これより、リモコンが、リモコンから制御部31に至る通信回線を介して、冷媒回路1及び駆動手段2と加湿ユニット3の両者と通信可能であると認められる。
(2)引用例1に記載の事項
上記(1)を総合すると、引用例1には、以下の事項(以下、「引用例1記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和機において、リモコンが、リモコンから制御部31に至る通信回線を介して、冷媒回路1及び駆動手段2と加湿ユニット3の両者と通信可能であること。」
4.引用例3
(1)引用例3の記載
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0052】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る空調制御装置60は、換気が行われるビル等の屋内(室内空間)の環境(温度及び湿度)を調整するために設置された空気調和装置10の動作を制御する。また、空気調和装置10は、湿度調整機能及び換気機能を有する外調機30と、温度調整機能を有する空調機20とを備えている。」
イ「【0061】
さらに、外調機30は、温度センサ37と、湿度センサ38と、外調機制御部39と備えている(図1及び図5参照)。温度センサ37は、外調機30内に吸入される屋外空気OAの温度を検出する。湿度センサ38は、外調機30内に吸入される屋外空気OAの絶対湿度を検出する。外調機制御部39は、マイクロコンピュータやメモリを有しており、外調機30の有する各種機器の動作を制御する。また、外調機制御部39は、温度センサ37によって検出される屋外空気OAの温度値(以下、外気温度値という)及び湿度センサ38によって検出される屋外空気OAの絶対湿度値(以下、外気絶対湿度値という)を空調制御装置60に送信したり、空調制御装置60から送信される絶対湿度目標値や運転モードに関する制御信号を受信したりすることができる。なお、本実施形態では、外調機30の備える湿度センサ38は、屋外空気OAの絶対湿度を検出するセンサであるが、これに限定されず、湿度センサが屋外空気OAの相対湿度を検出するセンサであってもよい。」
ウ「【0071】
(3)空調制御装置
空調制御装置60は、制御部65と、入力部62とを備えている(図1参照)。入力部62は、ユーザが快適温度範囲及び快適湿度範囲を設定するために操作される部分であって、スイッチ等の入力装置から構成されている。具体的には、ユーザは、入力部62を操作して上限温度値Bと下限温度値Aとを入力することで、快適温度範囲(下限温度値Aから上限温度値Bまでの範囲)を設定することができる。また、ユーザは、入力部62を操作して上限相対湿度値Dと下限相対湿度値Cとを入力することで、快適湿度範囲(下限相対湿度値Cから上限相対湿度値Dまでの範囲)を設定することができる。
【0072】
また、制御部65は、図5に示すように、通信部61と、特定部66と、空調制御部63と、記憶部64とを有している。
【0073】
通信部61は、外調機制御部39、室内制御部25及び室外制御部29から送信される各種信号を受信して、特定部66や空調制御部63に送信する。また、通信部61は、空調制御部63から受信した制御信号等を、外調機制御部39、室内制御部25及び室外制御部29に送信する。」
エ「
[図:0001397796000009.jpg]
」
オ「
[図:0001397796000010.jpg]
」
カ 上記ア-オより、空気調和装置10において、空調機20が制御部65に接続されると共に外調機30も制御部65に接続され、制御部65と入力部62とが通信可能であることが理解できる。これより、空気調和装置10において、入力部62は、入力部62から制御部65に至る通信回線を介して、外調機制御部39及び室内制御部25の両者と通信可能であると認められる。
(2)引用例3に記載の事項
上記(1)を総合すると、引用例3には、以下の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されている。
「空気調和装置10において、入力部62は、入力部62から制御部65に至る通信回線を介して、外調機制御部39及び室内制御部25の両者と通信可能であること。」
5.引用例6
(1)引用例6の記載
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例6には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0017】
空気調和機100は、室内の壁面等に取り付けられる室内機1と、室外に設置される室外機2とを備えている。室外機2には、室外熱交換器、室外ファン、電装品等がケーシングに収納されている(図示せず)。室内機1には、室内熱交換器が収納されており、室内熱交換器と室外熱交換器は、冷媒配管で接続されることにより冷媒回路を構成している。」
イ「【0021】
室内熱交換器5は、通過する空気との間で熱交換を行う。室内熱交換器5は、略逆V字型の側面断面形状を有しており、室内ファン4の前方、上方、後方の上部を覆うように配置されている。
〈電装品ユニット〉
電装品ユニット6は、室内機1の長手方向に長い形状を有しており、室内機ケーシング3の前面部分14の下部内側であって吹出し口13の上側近傍に設けられている。電装品ユニット6は、本体マイコン60等の制御部品を搭載するプリント基板と、プリント基板を収容する電装品箱とを有している。電装品ユニット6に収容される本体マイコン60は、図4に示すように、後述する超音波用マイコン80と共に空気調和機100の制御を行う制御部9を構成する。本体マイコン60は、室内ファンモータ40、室内温度サーミスタなどの各種のセンサ61、室外機2内の電装品20、後述するリモコンからの信号を受信する入力ポート62等と接続され、空気調和機100の冷暖房や調湿などの空気調和機能の制御や超音波発生ユニット8の制御等を行う。」
ウ「【0023】
超音波発生ユニット8の構成を図4に示す。この超音波発生ユニット8は、主として、超音波用マイコン80、増幅器81、複数の圧電ブザー82a,82b,82c、メモリ83等により構成されている。
超音波用マイコン80は、所定の超音波周波数の信号を発振する発振回路84を有する。また、超音波用マイコン80は、上述したように本体マイコン60と接続されており、本体マイコン60から超音波機能のオン・オフの制御や癒しの超音波と目覚めの超音波との選択の制御などを受ける。」
エ「【0025】
なお、超音波発生ユニット8は、空気調和機100の他の装置とは別にユニット化されている。すなわち、超音波発生ユニット8は、本体マイコン60を含む電装品ユニット6とは別体とされ、超音波用マイコン80と本体マイコン60とがコネクタ90により接続されている。このように、超音波発生ユニット8はユニット化されているため、超音波発生機能を有しない既存の空気調和機にユニット化した超音波発生ユニット8を後付で取り付けることができ、安価かつ簡易に超音波機能を付加することができる。」
オ「【0028】
〈リモコン〉
この空気調和機100は、リモコン7をさらに備えている。リモコン7は、空気調和機100の制御信号を送信することにより、冷暖房や調湿などの空気調和機能や超音波発生ユニット8の超音波発生機能を操作することができる。
リモコン7は、図6に示すように、リモコン本体70、出力ポート71、液晶画面72、操作ボタン73を備えている。」
カ「【図4】
[図:0001397796000011.jpg]
」
(2)引用例6に記載の事項
上記(1)を総合すると、引用例6には、以下の事項(以下、「引用例6記載事項」という。)が記載されている。
「超音波発生機能を有しない既存の空気調和機100の室内機1に設けられた本体マイコン60に対し、コネクタ90及び超音波用マイコン80を介して超音波発生ユニット8を後付で取り付けることで、リモコン7から超音波発生ユニット8の超音波発生機能を操作可能とすること。」
第5 対比・判断
1.対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「調湿制御部41」、「取り込んだ室外空気OA」、「室内」、「調湿装置10」は、それぞれ本願発明1の「第1制御装置」、「屋外の空気」、「対象空間」、「加湿ユニット」に相当する。そして、引用発明の「調湿制御部41が設けられ、取り込んだ室外空気OAを加湿して室内へ供給する加湿運転を行う」ことは、本願発明1の「第1制御装置を有し、屋外の空気を加湿して対象空間に加湿された空気を放出する」ことに相当する。
引用発明の「空調制御部42」、「冷媒」、「空調装置20」は、それぞれ本願発明1の「第2制御装置」、「冷媒」、「空気調和装置」に相当する。そして、引用発明の「空調制御部42が設けられ、冷媒回路60に冷媒を循環させることで蒸気圧縮冷凍サイクルを行う」ことは、本願発明1の「第2制御装置を有し、冷媒を循環させて対象空間の温度を調整する」ことに相当する。
引用発明の「コントローラ30」は、本願発明1の「制御部」に相当する。そして、引用発明において、「コントローラ30」が「空気調和システム1の通信回線を介して、調湿制御部41及び空調制御部42と通信可能」であることと、本願発明1において、「制御部」が「前記空気調和装置の通信回線を介して、前記第1制御装置及び前記第2制御装置と通信可能」であることは、「制御部」が「通信回線を介して、前記第1制御装置及び前記第2制御装置と通信可能」という限りにおいて一致する。
引用発明の「吸着剤」は、本願発明1の「吸湿材」に相当する。そして、引用発明において、「調湿装置10」は、「第1吸着熱交換器51又は第2吸着熱交換機52が吸着した空気中の水分を室内に供給」する「吸着剤が担持された第1、第2吸着熱交換機51、52を備え」ることと、本願発明1において、「前記加湿ユニットは、屋外から導入して屋外に排出される空気中の水分を吸着し、屋外から導入されて前記対象空間に放出される空気に前記水分を放出する吸湿材を有」することとは、「加湿ユニットは、空気から吸収した水分を対象空間に供給する吸湿材を有する」という限りにおいて一致する。
引用発明の「室内湿度センサ」は、本願発明1の「湿度センサ」に相当する。そして、引用発明において、「調湿装置10は、室内空気RAの相対湿度を検出する室内湿度センサを有」することは、本願発明1において、「前記加湿ユニットは、前記対象空間の湿度を検出する湿度センサを有」することに相当する。
引用発明の「室内温度センサ68」は、本願発明1の「温度センサ」に相当する。そして、引用発明において、「空調装置20の室内ユニット21は、室内空気の温度を計測する室内温度センサ68を有」することは、本願発明1において、「前記空気調和装置は、前記対象空間の温度を検出する温度センサを有」することに相当する。
引用発明の「計測値」は、本願発明1の「検出値」に相当する。そして、引用発明において、「コントローラ30は、調湿装置10が室内湿度センサの計測値に基づいて運転するように調湿装置10の調湿能力を調節し、空調装置20が室内温度センサ68の計測値に基づいて運転するように空調装置20の温調能力を調節する」ことは、本願発明1において、「前記制御部は、前記加湿ユニットが前記湿度センサの検出値に基づいて運転するように当該加湿ユニットを制御し、前記空気調和装置が前記温度センサの検出値に基づいて運転するように当該空気調和装置を制御する」ことに相当する。
引用発明の「空調システム1」は、本願発明1の「空気調和システム」に相当する。
よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「第1制御装置を有し、屋外の空気を加湿して対象空間に加湿された空気を放出する加湿ユニットと、第2制御装置を有し、冷媒を循環させて前記対象空間の温度を調整する空気調和装置と、通信回線を介して、前記第1制御装置及び前記第2制御装置と通信可能な制御部と、を備え、前記加湿ユニットは、空気から吸収した水分を対象空間に供給する吸湿材を有し、前記加湿ユニットは、前記対象空間の湿度を検出する湿度センサを有し、前記空気調和装置は、前記対象空間の温度を検出する温度センサを有し、前記制御部は、前記加湿ユニットが前記湿度センサの検出値に基づいて運転するように当該加湿ユニットを制御し、前記空気調和装置が前記温度センサの検出値に基づいて運転するように当該空気調和装置を制御する、空気調和システム。」
(相違点1)
「加湿ユニットは、空気から吸収した水分を対象空間に供給する吸湿材を有する」ことに関して、本願発明1においては、「前記加湿ユニットは、屋外から導入して屋外に排出される空気中の水分を吸着し、屋外から導入されて前記対象空間に放出される空気に前記水分を放出する吸湿材を有」するのに対し、引用発明においては、「調湿装置10」は、「第1吸着熱交換器51又は第2吸着熱交換機52が吸着した空気中の水分を室内に供給」する「吸着剤が担持された第1、第2吸着熱交換機51、52を備え」るものの、「吸着剤」が、屋外から導入して屋外に排出される空気中の水分を吸着し、屋外から導入されて室内に放出される空気に前記水分を放出するものであるかが不明な点。
(相違点2)
「前記第1制御装置及び前記第2制御装置と通信可能な制御部」に関して、本願発明1では、「前記空気調和装置の通信回線を介して」通信するのに対し、引用発明では、「空気調和システム1の通信回路を介して」通信する点。
2.判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用例2記載事項に見られるように、空調機の加湿装置において、室外から導入して室外に排出される空気に含まれる水分を吸着し、室外から導入されて室内に導かれる空気に当該水分を供給する除湿部を有することは、従来周知の技術(以下、「周知技術1」という。)である。
そして、引用発明と当該周知技術1とは、空調機において空気の水分を吸着し室内に水分を放出する点で機能及び作用が共通するので、引用発明の調湿装置10を周知技術1のものに置換し、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
上記1.で記載したように、「制御部」が、「通信回線を介して、前記第1制御装置及び前記第2制御装置と通信可能」である点で、引用発明と本願発明1とにおいて一致し、その構成や機能が変わるところがない。そうしてみると、「通信回線」について、引用発明では「空気調和システム1」のものであるか、本願発明では「空気調和装置」のものであるかという差異は、単なる呼称における差異であって、物としての差異がないというべきであり、呼称の差異だけをもって引用発明と本願発明1とで、「通信回線」が異なると解することはできない。よって、相違点2は、実質的な相違点であるとはいえない。
また、引用例1記載事項及び引用例3記載事項に見られるように、制御部及び制御部に至る通信回線を加湿ユニットと空気調和装置の両者で共有することは、従来周知の技術(以下、「周知技術2」という。)である。
よって、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、実質的に引用発明が備えているか、又は、引用発明に周知技術2を適用し、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
請求人は、令和5年1月11日提出の意見書において、「引用発明1-3,5,6のいずれにも、制御部が、加湿ユニット及び空気調和装置の一方の通信回線を介して、加湿ユニット及び空気調和装置の他方と通信することは開示されておらず、そのように通信する動機付けもありません。
本願発明は、上記相違点である構成Aを備えることで、空気調和装置(2)の通信回線(8A)を用いて制御部(7)と加湿ユニット(3)とが通信できるので、加湿ユニット(3)をさらに容易に設置することができます。その結果、温度調整及び湿度調整が可能な空気調和システムをさらに容易に導入することができるとともに、空気調和システムの汎用性を高めることができます。」と主張する。
しかしながら、本願発明1において、「通信回線」は、制御部が第1制御装置及び第2制御装置と通信可能とする、すなわち、第1制御装置及び第2制御装置は、共通の通信回線及び制御部を利用するものであることは理解できるものの、「空気調和システム」という「物」の発明全体として本願発明1をみたときに、当該「通信回線」が「空気調和システム」に属するものであるということはできても、「加湿ユニット」及び「空気調和装置」のいずれに属するものかを客観的に区別することはできない。そうしてみると、請求人の上記主張は、実質的に、「空気調和システム」に対して「加湿ユニット」を設置(追加)する設置方法に係るものであり、「物」の発明において構成の設置順序を区別することはできない。そして、制御部が、共通の通信回線を介して、加湿ユニット及び空気調和装置の両者と通信可能な点は、引用発明に実質的に記載されているか、又は周知技術2から容易に想到し得たものである。
また、たとえ、本願発明1に関して、請求人の主張する意図が、「空気調和装置」に対して「加湿ユニット」を追加するものであって、既存の室内機に対して他のユニットを後付けして両者を通信可能に接続し、当該ユニットが有する機能を既存の通信回線を介してリモコンから制御可能とすることであったとしても、上記引用例6記載事項に見られるように、周知の事項である。
よって、請求人の主張は、拒絶理由を覆すものとは認められない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知技術1に基いて、又は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易になし得たものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び周知技術1に基いて、又は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004583