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特許拒絶査定不服審判

2022-004174

光学フィルムおよび画像表示装置

審判番号
2022-004174
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-560398外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月18日
審決日
2023年03月30日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-Z (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-560398「光学フィルムおよび画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月12日国際公開、WO2018/128171〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年12月28日(優先権主張 平成29年1月6日)を国際出願日とする日本語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和 3年 1月14日付け:拒絶理由通知書

同年 3月24日 :意見書、手続補正書の提出

同年 5月21日付け:拒絶理由通知書

同年 7月28日 :意見書の提出

同年12月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月21日 :原査定の謄本の送達)

令和 4年 3月18日 :審判請求書の提出

同年 9月29日付け:審尋

同年12月28日 :回答書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~8に係る発明は、令和3年3月24日に提出された手続補正書により補正された請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。

以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。

「 【請求項1】
画像表示装置に用いられる折り畳み可能な光透過性の光学フィルムであって、
樹脂基材と、
前記樹脂基材の第1の面側に設けられたハードコート層と、
前記樹脂基材の前記第1の面とは反対側の第2の面側に設けられた膜厚が50μm以上300μm以下の樹脂層と、を備え、
前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1200MPa以下であり、
前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下である、光学フィルム。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

(サポート要件違反) 出願時の技術常識に照らしても、本願発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審の判断

1 サポート要件の判断基準について

前記第2に示したとおり、本願発明は、光学フィルムについて、当該光学フィルムの物性値の値等を特定することにより所定の課題を解決しようとするもの(所定の技術効果を奏しようとするもの)であるから、特許請求の範囲が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(知財高判平成17年11月11日(平成17年(行ケ)10042号)「偏光フィルムの製造法」大合議判決参照)。

2 本願明細書の発明の詳細な説明の記載について

本願の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、下線は当審において付したものであり、判断等に活用した箇所を示す。

(1) 段落【0001】~【0015】

「関連出願の参照
【0001】 本願は、先行する日本国出願である特願2017-1447(出願日:2017年1月6日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
技術分野
【0002】 本発明は、光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
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背景技術
【0003】 従来から、スマートフォンやタブレット端末等の画像表示装置が知られているが、現在、折り畳み可能な画像表示装置の開発が行われている。通常、スマートフォンやタブレット端末等はカバーガラスで覆われているが、画像表示装置にカバーガラスを用いた場合、硬度は優れるものの、折り畳もうとすると割れてしまうおそれが高い。このため、折り畳み可能な画像表示装置には、カバーガラスの代わりに樹脂からなる光学フィルムを用いることが検討されている(例えば、特開2016-125063号公報参照)。
発明の概要
発明が解決しようとする課題
【0004】 このような折り畳み可能な画像表示装置に用いられる光学フィルムには、光学フィルムの表面に衝撃が加わることがあるので、耐衝撃性が求められている。ここで、光学フィルムの表面に衝撃が加わったときには、光学フィルムの表面が凹むことがあり、また画像表示装置において光学フィルムよりも内部に存在する表示パネル(例えば、有機発光ダイオードパネル)等の部材が損傷を受けることがある。
【0005】 光学フィルムの表面の凹みに関しては、光学フィルム自体に起因する凹みと、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に配置された粘着層に起因する凹みがある。「光学フィルム自体に起因する凹み」とは、光学フィルムの表面に衝撃が加わったとき、その衝撃によって光学フィルム自体が変形することによって生じる凹みを意味し、「粘着層に起因する凹み」とは、粘着層が柔らかいために、光学フィルムの表面に衝撃が加わったとき、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に配置された粘着層が塑性変形を起こし、光学フィルムが粘着層の塑性変形に追従することによって生じる凹みを意味する。
【0006】 このため、光学フィルムにおいては、光学フィルムの表面に衝撃が加わったときに、光学フィルム自体に起因する凹みおよび粘着層に起因する凹みが抑制され、かつ光学フィルムよりも画像表示装置の内部に存在する部材が損傷を受けないような優れた耐衝撃性が求められているが、未だこのような優れた耐衝撃性を有する光学フィルムが得られていないのが現状である。
課題を解決するための手段
【0007】 本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、優れた耐衝撃性を有する折り畳み可能な光学フィルム、これを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】 本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を重ねたところ、樹脂基材の一方の面側にハードコート層および他方の面側に樹脂層を備える構造の光学フィルムにおいて、樹脂層の膜厚を50μm以上300μm以下とし、光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´をそれぞれ所定の範囲にすれば、優れた耐衝撃性が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0009】 本発明の一の態様によれば、画像表示装置に用いられる折り畳み可能な光透過性の光学フィルムであって、樹脂基材と、前記樹脂基材の第1の面側に設けられたハードコート層と、前記樹脂基材の前記第1の面とは反対側の第2の面側に設けられた膜厚が50μm以上300μm以下の樹脂層と、を備え、前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1200MPa以下であり、前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下である、光学フィルムが提供される。
【0010】 上記光学フィルムにおいて、前記光学フィルムの対向する辺部の間隔が30mmとなるように前記光学フィルムを180°折り畳む試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
【0011】 上記光学フィルムにおいて、前記樹脂基材が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物からなる基材であってもよい。
【0012】 本発明の他の態様によれば、折り畳み可能な画像表示装置であって、表示パネルと、前記表示パネルよりも観察者側に配置された上記の光学フィルムと、を備え、前記光学フィルムの前記ハードコート層が、前記樹脂基材よりも観察者側に位置している、画像表示装置が提供される。
【0013】 上記画像表示装置において、前記光学フィルムと前記表示パネルとの間に配置された粘着層をさらに備えていてもよい。
【0014】 上記画像表示装置において、前記表示パネルが、有機発光ダイオードパネルであってもよい。
発明の効果
【0015】 本発明の一の態様によれば、優れた耐衝撃性を有する折り畳み可能な光学フィルムを提供できる。また、本発明の他の態様によれば、このような光学フィルムを備える画像表示装置を提供できる。」

(2) 段落【0017】~【0025】、【図1】

「発明を実施するための形態
【0017】 以下、本発明の実施形態に係る光学フィルムおよび画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る光学フィルムの概略構成図であり、図2は剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際に用いる固体剪断用治具の概略構成図であり、図3は連続折り畳み試験の様子を模式的に示した図であり、図4は折り畳み静置試験の様子を模式的に示した図であり、図5は本実施形態に係る他の光学フィルムの概略構成図である。
【0018】<<<光学フィルム>>>
図1に示される光学フィルム10は、画像表示装置に用いられるものであり、折り畳み可能であり、かつ光透過性を有するものである。本明細書における「光透過性」とは、光を透過させる性質を意味し、例えば、全光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを含む。光透過性とは、必ずしも透明である必要はなく、半透明であってもよい。
続きを表示(全11行)
【0019】 光学フィルム10は、樹脂基材11と、樹脂基材11の第1の面11A側に設けられたハードコート層12と、樹脂基材11の第1の面11Aとは反対側の面である第2の面11B側に設けられた樹脂層13とを備えるものである。なお、樹脂層13における樹脂基材11側の面とは反対側の面には、離型フィルムが設けられていてもよい。ただし、本明細書で記載されている光学フィルム10の物性等は、離型フィルムが設けられていない状態での値であり、また離型フィルムは使用時に剥離されるものであるので、離型フィルムは、光学フィルムの一部を構成しないものとする。
【0020】 図1においては、光学フィルム10の表面10Aは、ハードコート層12の表面12Aとなっている。なお、本明細書においては、光学フィルムの表面は光学フィルムの片側の表面を意味するものとして用いるので、光学フィルムの表面とは反対側の面は、光学フィルムの表面と区別するために裏面と称するものとする。光学フィルム10の裏面10Bは、樹脂層13における樹脂基材11側の面とは反対側の面13Aとなっている。
【0021】 光学フィルム10においては、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1200MPa以下となっている。フィルムの剪断貯蔵弾性率G´が200MPaを越えると、光学フィルムの表面に衝撃が加わった際に、光学フィルム自体の変形のみならず、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に粘着層が配置されている場合であっても粘着層の塑性変形を抑制することができる。また、光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´が1200MPa以下であると、折り畳みの際の光学フィルムの割れを抑制できる。光学フィルム10の剪断貯蔵弾性率G´の下限は、400MPa以上となっていることが好ましく、500MPa以上となっていることがより好ましい。このような下限とすることで、より優れた耐衝撃性を得ることができる。光学フィルム10の剪断貯蔵弾性率G´の上限は、800MPa未満となっていることが好ましい。このような上限とすることで、折り畳んで静置し、再び開いた際に、良好な復元性を得ることができる。
【0022】 光学フィルム10においては、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下となっている。光学フィルムの剪断損失弾性率G´´が3MPa未満であると、衝撃吸収性能が低下するおそれがある。また、光学フィルムの剪断損失弾性率G´´が150MPaを超えると、樹脂層の硬度が低下してしまうそれがある。光学フィルム10の剪断損失弾性率G´´の下限は、20MPa以上となっていることが好ましく、また光学フィルム10の剪断損失弾性率G´´の上限は、光学フィルム10の薄型化の観点から、130MPa以下となっていることが好ましく、100MPa以下となっていることがより好ましい。
【0023】 剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、動的粘弾性測定装置(DMA)によって測定することができる。動的粘弾性測定装置(DMA)によって、光学フィルム10の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際には、まず、光学フィルム10を10mm×5mmの長方形状に打ち抜いて、サンプルを得る。そして、このサンプルを2枚準備し、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、ユービーエム社製)のオプションである固体剪断用治具に取り付ける。具体的には、図2に示されるように固体剪断用治具20は、厚さ1mmの1枚の金属製の固体剪断板21(中板)と、この固体剪断板21の両側に配置された2つのL型金具22(外板)を備えており、固体剪断板21と一方のL型金具22との間で一方のサンプルSを挟み、かつ固体剪断板21と他方のL型金具22で他方のサンプルSを挟む。この場合、樹脂層が固体剪断板21側となり、ハードコート層がL型金具22側となるようにサンプルSを挟む。そして、ビス23でL型金具間を締めて、サンプルSを固定する。次いで、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム社製)に上部チャックおよび下部チャックからなる引張り試験用チャックを取り付けた後、上部チャックと下部チャックの間に固体剪断用治具をチャック間距離20mmで取り付ける。チャック間距離は、上部チャックと下部チャックの間の距離である。そして、設定温度を25℃とし2℃/minで昇温させる。この状態で、固体剪断板を固定しながら2つのL型金具に歪み量1%かつ周波数500Hz以上1000Hz以下の範囲の縦振動を与えながら、25℃での固体の動的粘弾性測定を行い、光学フィルム10の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する。ここで、光学フィルムにおける500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、L型金具に周波数500Hz、750Hz、950Hzの縦振動をそれぞれ与えて、それぞれの周波数において光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定し、これらの剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´の算術平均値を求め、さらに、この測定を3回繰り返し、それぞれ得られた3つの算術平均値をさらに算術平均した値とする。なお、上記において、500Hz以上1000Hz以下の周波数域としたのは、この周波数域の周波数が、数cmの高さから物体を自由落下させたときに、光学フィルムの表面が数ミクロンから数十ミクロン変形する周波数であり、かつ光学フィルムより画像表示装置の内部に存在する表示パネル等に損傷を与える周波数であるからである。
【0024】 光学フィルム10の一方の面側に粘着層や接着層を介して偏光板等の他のフィルムが設けられている場合には、粘着層や接着層とともに他のフィルムを剥離してから、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´の測定を行うものとする。他のフィルムの剥離は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、光学フィルムに粘着層や接着層を介して他のフィルムが付いた積層体をドライヤーで加熱し、光学フィルムと他のフィルムの界面と思われる部位にカッターの刃先を入れて、ゆっくりと剥離させていく。このような加熱と剥離を繰り返すことで、粘着層や接着層および他のフィルムを剥離することができる。なお、このような剥離工程があったとしても、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´の結果には大きな影響はない。
【0025】 光学フィルム10は、折り畳み可能となっているが、具体的には、光学フィルム10に対し次に説明する折り畳み試験(連続折り畳み試験)を10万回繰り返し行った場合であっても、光学フィルムに割れまたは破断が生じないことが好ましく、連続折り畳み試験を20万回繰り返し行った場合であっても、光学フィルム10に割れまたは破断が生じないことがより好ましく、100万回繰り返し行った場合であっても、光学フィルムに割れまたは破断が生じないことがさらに好ましい。光学フィルム10に対し連続折り畳み試験を10万回繰り返し行った場合に、光学フィルム10に割れ等が生じると、光学フィルム10の折り畳み性が不充分となる。連続折り畳み試験は、ハードコート層12が内側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよく、またハードコート層12が外側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよいが、いずれの場合であっても、光学フィルムに割れまたは破断が生じないことが好ましい。」
「【図1】
[図:0001397785000001.jpg]
」

(3) 段落【0048】~【0049】

【0048】<<樹脂基材>>

樹脂基材11は、光透過性を有する樹脂からなる基材である。樹脂基材11の厚みは、10μm以上100μm以下となっていることが好ましい。樹脂基材の厚みが10μm未満であると、光学フィルムのカールが大きくなり、また硬度も不充分となるおそれがあり、更に、光学フィルムをRoll to Rollで製造する場合、シワが発生しやすくなるため外観の悪化を招くおそれがある。一方、樹脂基材の厚みが100μmを超えると、光学フィルムの折り畳み性能が不充分となり、連続折り畳み試験の要件を満たせないことがあり、また、光学フィルムが重くなり、軽量化の面で好ましくない。樹脂基材の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂基材の断面を撮影し、その断面の画像において樹脂基材の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。樹脂基材の断面写真の撮影方法は、ハードコート層の断面写真の撮影方法と同様である。樹脂基材11の下限は25μm以上であることがより好ましく、樹脂基材11の上限は80μm以下であることがより好ましい。

【0049】 樹脂基材11を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂)、またはこれらの樹脂を2以上混合した混合物等が挙げられる。これらの中でも、連続折り畳み試験において割れ又は破断が発生しにくいだけでなく、優れた硬度及び透明性をも有し、また、耐熱性にも優れ、焼成することにより、更に優れた硬度及び透明性を付与することもできる観点から、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物が好ましい。」

(4) 【0104】~【0107】

【0104】<<ハードコート層>>

ハードコート層12は、ハードコート層12の断面中央におけるマルテンス硬度が375MPa以上の層を意味するものとする。本明細書において、「マルテンス硬度」とは、ナノインデンテーション法による硬度測定により、圧子を500nm押込んだときの硬度である。上記ナノインデンテーション法によるマルテンス硬度の測定は、HYSITRON(ハイジトロン)社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて行うものとする。すなわち、以下の測定条件で、上記圧子としてBerkovich圧子(三角錐)をハードコート層の断面中央に500nm押し込み、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm2)とを用い、Pmax/Aにより、マルテンス硬度を算出する。マルテンス硬度は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。

(測定条件)

・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:25℃

【0105】 ハードコート層12の膜厚は、1μm以上20μm以下となっていることが好ましい。ハードコート層12の膜厚が、1μm未満であると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがあり、また20μmを超えると、厚みが厚すぎることに起因して加工性が悪化するおそれがある。本明細書における「ハードコート層の膜厚」とは、ハードコート層が多層構造となっている場合には、各ハードコート層の膜厚を合計した膜厚(総厚)を意味するものとする。ハードコート層12の上限は15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。

・・・(中略)・・・

【0107】 ハードコート層は単層構造であってもよいが、折り畳み性能を向上させる観点から2層以上の多層構造であることが好ましい。図1には、ハードコート層12が、第1のハードコート層12Bと、第1のハードコート層12B上に積層された第2のハードコート層12Cとから構成されている例が示されている。」

(5) 段落【0149】~【0151】

「【0149】<<樹脂層>>
樹脂層13は、光透過性を有する樹脂からなる層である。樹脂層13は、衝撃吸収性を有する層である。樹脂層は、2以上の樹脂層からなる多層構造となっていてもよい。
【0150】 樹脂層13の膜厚は、50μm以上300μm以下となっている。樹脂層13の膜厚が、50μm未満であると、樹脂層の硬度が低下するおそれがあり、また300μmを超えると、膜厚が厚すぎるので、薄型化に適さないとともに、加工性が悪化するおそれがある。樹脂層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂層の断面を撮影し、その断面の画像において樹脂層の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。樹脂層の断面写真の撮影方法は、ハードコート層の断面写真の撮影方法と同様である。樹脂層13の下限は60μm以上であることがより好ましく、樹脂層13の上限は150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
【0151】 樹脂層13を構成する樹脂は、光学フィルム10における25℃、500HzHz以上1000Hz以下の周波数域の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´が上記範囲内となるような樹脂であれば、特に限定されない。このような樹脂としては、アクリル系ゲル、ウレタン系ゲル、シリコーン系ゲル、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系ゲルが好ましい。「ゲル」とは、一般に、高粘度で流動性を失った分散系をいう。なお、樹脂層13は、アクリル系ゲルやウレタン系樹脂等の他、ゴムや熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。」

(6) 段落【0163】~【0166】、【図5】

「【0163】<<<他の光学フィルム>>>

図1に示される光学フィルム10においては、樹脂層13が樹脂基材11の第2の面11Bに直接設けられているが、光学フィルムとしては、樹脂層が粘着層を介して樹脂基材に貼り付けられた光学フィルムであってもよい。具体的には、図5に示される光学フィルム40は、樹脂基材11と、樹脂基材11の第1の面11A側に設けられたハードコート層12と、樹脂基材11の第1の面11Aとは反対側の面である第2の面11B側に設けられた樹脂層13と、樹脂基材11と樹脂層13の間に介在した粘着層41とを備えるものである。樹脂層13は、粘着層41を介して樹脂基材11に貼り付けられている。なお、図5において、図1と同じ符号が付されている部材は、図1で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。

・・・(中略)・・・

【0166】<<粘着層>>

粘着層41は、粘着フィルムであってもよい。粘着層41としては、特に限定されないが、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。粘着層41の膜厚は、5μm以上であることが好ましい。粘着層41の膜厚が、5μm以上であれば、樹脂基材11に樹脂層13を確実に貼り付けることができる。粘着層41の膜厚の下限は、薄型化を図る観点から50μm以下であることが好ましい。

「【図5】
[図:0001397785000002.jpg]
」

(7) 段落【0183】~【0187】、【図6】

「【0183】<<<画像表示装置>>>
光学フィルム10、40は、折り畳み可能な画像表示装置に組み込んで使用することが可能である。図6は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。図6に示されるように、画像表示装置50は、観察者側に向けて、主に、電池等が収納された筐体51、保護フィルム52、表示パネル53、タッチセンサ54、円偏光板55、および光学フィルム10がこの順で積層されている。表示パネル53とタッチセンサ54との間、タッチセンサ54と円偏光板55との間、円偏光板55と光学フィルム10との間には、光透過性を有する粘着層56が配置されており、これら部材は粘着層56によって互いに固定されている。また、光学フィルム10の裏面10Bの一部には、黒色層57が設けられている。なお、粘着層56は、表示パネル53とタッチセンサ54との間、タッチセンサ54と円偏光板55との間、円偏光板55と光学フィルム10との間に配置されているが、粘着層の配置箇所は、光学フィルムと表示パネルとの間であれば、特に限定されない。
【0184】
光学フィルム10は、ハードコート層12が樹脂基材11よりも観察者側となるように配置されている。画像表示装置50においては、光学フィルム10のハードコート層12の表面12A(第2のハードコート層12Cの表面)が、画像表示装置50の表面50Aを構成している。
【0185】
画像表示装置50においては、表示パネル53は、有機発光ダイオード等を含む有機発光ダイオードパネルとなっている。タッチセンサ54は、円偏光板55よりも表示パネル53側に配置されているが、円偏光板55と光学フィルム10との間に配置されていてもよい。また、タッチセンサ54は、オンセル方式やインセル方式であってもよい。
【0186】
粘着層56としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができるが、耐衝撃性を向上させて、表示パネル53の損傷を防ぐ観点から、上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いることが好ましい。なお、粘着層56に上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いる場合、表示パネル53とタッチセンサ54との間、タッチセンサ54と円偏光板55との間、円偏光板55と光学フィルム10との間の少なくともいずれに上記粘着層を配置すればよい。また、上記アクリル系ゲルは粘着性があるので、樹脂層13が上記アクリル系ゲルからなる場合には、円偏光板55と光学フィルム10との間に粘着層56を設けなくとも、円偏光板55に直接樹脂層13を貼り付けることによって、円偏光板55と光学フィルム10を固定することができる。
【0187】 衝撃吸収性能を表す指標としては、従来から剪断損失正接tanδが知られている。したがって、樹脂基材の一方の面側にハードコート層および他方の面側に樹脂層を備える構造の光学フィルムにおける耐衝撃性を剪断損失正接tanδで表すことも考えられるが、剪断損失正接tanδでは、光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)に衝撃を加えたときに、光学フィルム自体に起因する光学フィルムの表面の凹みおよび粘着層に起因する光学フィルムの表面の凹みと、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に位置する部材の損傷とを抑制することはできなかった。これは、剪断損失正接tanδが、剪断損失弾性率G´´と剪断貯蔵弾性率G´との比(G´´/G´)であるためであると考えられる。本発明者らが鋭意研究をさらに重ねたところ、光学フィルムの表面に衝撃を加えたときの光学フィルム自体に起因する表面の凹みおよび粘着層に起因する表面の凹みと、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に位置する部材の損傷とを抑制するためには、樹脂層の膜厚、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´のバランスが重要であることを見出した。本実施形態によれば、樹脂基材11の第1の面11A側にハードコート層12および第2の面11B側に樹脂層13を備える構造の光学フィルム10、40において、樹脂層13の膜厚が50μm以上300μm以下と薄くなっており、光学フィルム10、40における上記剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1000MPa以下となっており、かつ光学フィルム10、40における上記剪損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下となっているので、折り畳み可能でありながら、光学フィルム10の表面10Aに衝撃を加えた場合に、光学フィルム10、40自体に起因する表面10A、40Aの凹みおよび光学フィルム10よりも画像表示装置50の内部に存在する粘着層56に起因する光学フィルム10、40の表面10A、40Aの凹みを抑制することができるとともに、画像表示装置50の内部に位置する表示パネル53等の部材の損傷を抑制できる。これにより、優れた耐衝撃性を得ることができる。」
「【図6】
[図:0001397785000003.jpg]
」

(8) 段落【0188】~【0220】

「【0188】 本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
【0189】<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
【0190】(ハードコート層用組成物1)
続きを表示(全102行)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート(製品名「A-DPH-6E」、新中村化学社製):25質量部
・異形シリカ粒子(平均粒子径25nm、日揮触媒化成社製):50質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・フッ素系レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):0.2質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
【0191】(ハードコート層用組成物2)
・ウレタンアクリレート(製品名「UX5000」、日本化薬社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成社製):50質量部
・多官能アクリレートポリマー(製品名「アクリット8KX-012C」、大成ファインケミカル社製):25質量部(固形分100%換算値)
・防汚剤(製品名「BYKUV3500」、ビックケミー社製):1.5質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
【0192】<樹脂層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、樹脂層用組成物を得た。
(樹脂層用組成物1)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):5質量部
・トリペンタエリスリトールアクリレート、モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート、ならびにポリメンタエリスリトールアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#802」、大阪有機化学工業社製):10質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
【0193】(樹脂層用組成物2)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):15質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
【0194】(樹脂層用組成物3)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):80質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):5質量部
・トリペンタエリスリトールアクリレート、モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート、ならびにポリメンタエリスリトールアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#802」、大阪有機化学工業社製):10質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬株式会社製):5質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
【0195】(樹脂層用組成物4)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):95質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):5質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
【0196】(樹脂層用組成物5)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬株式会社製):15質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
【0197】<実施例1>
樹脂基材として、厚さ50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学社製)を準備し、ポリイミド基材の一方の面である第1の面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させた。これにより、ポリイミド基材上に、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。ポリイミド基材上にハードコート層を形成した後、ポリイミド基材の第1の面とは反対側の第2の面にバーコーターで樹脂層用組成物1を塗布して、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が1200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚が200μmのウレタン系樹脂からなる樹脂層を形成して、光学フィルムを得た。
【0198】 各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各層の断面を撮影し、その断面の画像において各層の膜厚をそれぞれ20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とした。具体的な断面写真の撮影方法は以下の通りとした。まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いた。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとした。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名「S-4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影した。上記S-4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「SE」、加速電圧を「5kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら100~10万倍で適宜調節した。さらに、アパーチャーを「ビームモニタ絞り3」にし、対物レンズ絞りを「3」にし、またW.D.を「8mm」にした。また、ポリイミド基材の厚みも上記各層の膜厚と同様の方法によって測定した。実施例2~実施例6および比較例1~5においても、実施例1と同様の手法によって基材の厚み、ハードコート層および樹脂層の膜厚を測定した。
【0199】<実施例2>
実施例2においては、樹脂層の膜厚を50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0200】<実施例3>
実施例3においては、樹脂層の膜厚を300μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0201】<実施例4>
実施例4においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0202】<実施例5>
実施例5においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0203】<実施例6>
樹脂基材として、厚さ50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学社製)を準備し、ポリイミド基材の第1の面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させた。これにより、ポリイミド基材上に、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。
【0204】 一方で、離型フィルムとしての厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「コスモシャインA4100」、東洋紡株式会社製)の未処理面に、バーコーターで樹脂層用組成物1を塗布して、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が1200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚が200μmのウレタン系樹脂からなる樹脂層を形成した。樹脂層を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを樹脂から剥離して、樹脂層単体を得た。
【0205】 そして、ポリイミド基材における第1の面とは反対側の第2の面に、膜厚5μmの粘着層(製品名「パナクリーンPD-S1」、パナック株式会社製)を介して、樹脂層を貼り付けて、光学フィルムを得た。
【0206】<比較例1>
比較例1においては、樹脂層の膜厚を350μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0207】<比較例2>
比較例2においては、樹脂層の膜厚を30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0208】<比較例3>
比較例3においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0209】<比較例4>
比較例4においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
【0210】<G´、G´´、tanδの測定>
実施例および比較例に係る光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´、および剪断損失正接tanδを測定した。具体的には、まず、光学フィルムを10mm×5mmの長方形状に打ち抜いて、サンプルとした。そして、このサンプルを2枚準備し、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、ユービーエム社製)のオプションである固体剪断用治具に取り付ける。具体的には、固体剪断用治具は、厚みが1mmの1枚の金属製の固体剪断板と、この固体剪断板の両側に配置された2つのL型金具を備えており、固体剪断板と一方のL型金具との間で一方のサンプルを挟み、かつ固体剪断板と他方のL型金具で他方のサンプルを挟んだ。この場合、樹脂層が固体剪断板側となり、ハードコート層がL型金具側となるようにサンプルを挟んだ。そして、ビスでL型金具間を締めて、サンプルを固定した。次いで、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム社製)に上部チャックおよび下部チャックからなる引張り試験用チャックを取り付けた後、上部チャックと下部チャックの間に固体剪断用治具をチャック間距離20mmで設置した。そして、設定温度を25℃とし2℃/minで昇温させた。この状態で、固体剪断板を固定しながら2つのL型金具に歪み量1%かつ周波数500Hz以上1000Hz以下の範囲の縦振動を与えながら、25℃で固体の動的粘弾性測定を行い、光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδを測定した。ここで、光学フィルムにおける500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδは、L型金具に周波数500Hz、750Hz、950Hzの縦振動をそれぞれ与えて、それぞれの周波数において光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδを測定し、これらの剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδの算術平均値を求め、さらに、この測定を3回繰り返し、それぞれ得られた3つの算術平均値をさらに算術平均した値とした。
【0211】<耐衝撃性試験>
厚さ0.7mmのソーダガラスの表面に、ソーダガラス側が樹脂層側となるように実施例および比較例に係る光学フィルムを直接置き、高さ30cmの位置から重さ100g、直径30mmの鉄球を光学フィルムのハードコート層の表面に落下させる耐衝撃性試験Aを各3回行った。また、厚さ0.7mmのソーダガラス上に、ソーダガラス側が樹脂層側となるように実施例及び比較例に係る光学フィルムを、厚み200μmの粘着シート(製品名「高透明性両面テープ 8146-2」、スリーエム社製)を介して置き、高さ30cmの位置から重さ100g、直径30mmの鉄球を光学フィルムのハードコート層の表面に落下させる耐衝撃性試験Bを各3回行った。なお、耐衝撃性試験A、Bにおいて、鉄球を落下させる位置はその都度変えるものとした。そして、耐衝撃性試験A後の光学フィルムにおいて、目視によってハードコート層の表面に凹みが生じているかを評価するとともに、ソーダガラスに割れが生じているか評価した。また、耐衝撃性試験B後の光学フィルムにおいて、目視によってハードコート層の表面に凹みが生じているかを評価した。評価結果は、以下の通りとした。
(ハードコート層の表面の凹み評価)
○:ハードコート層を正面および斜めから観察した場合の両方において、ハードコート層の表面に凹みが確認されなかった。
△:ハードコート層を正面から観察した場合にはハードコート層の表面に凹みが観察されなかったが、斜め観察した場合にはハードコート層の表面に凹みが確認された。
×:ハードコート層を正面および斜めから観察した場合の両方において、ハードコート層の表面に明らかな凹みが観察された。
(ソーダガラスの割れ評価)
◎:ソーダガラスが割れなかった。
○:ソーダガラスに傷が入ったが割れなかった。
△:1~2回ソーダガラスに割れが生じた。
×:3回ともソーダガラスに割れが生じた。
【0212】<連続折り畳み試験>
実施例および比較例に係る光学フィルムを、30mm×100mmの長方形にカットして作製したサンプルを、耐久試験機(製品名「DLDMLH-FS」、ユアサシステム機器社製)に、サンプルの短辺(30mm)側を固定部でそれぞれ固定し、図3(C)に示したように対向する2つの辺部の最小の間隔が30mmとなるようにして取り付け、サンプルのハードコート層側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が内側となり、樹脂層が外側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べた。また、実施例および比較例に係る光学フィルムで上記同様に作製した新しいサンプルを、上記の耐久試験機に、上記と同様に取り付け、サンプルの樹脂側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が外側となり、樹脂層が内側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べた。連続折り畳み試験の結果を、以下の基準で評価した。
○:いずれの連続折り畳み試験においても、屈曲部に割れ又は破断が生じていなかった。
×:いずれかの連続折り畳み試験において、屈曲部に割れ又は破断が生じていた。
【0213】<鉛筆硬度>
実施例および比較例に係る光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)における鉛筆硬度を、JIS K5600-5-4:1999に基づいてそれぞれ測定した。なお、鉛筆硬度の測定の際には、鉛筆に1kgの荷重をかけながら、鉛筆を速度1mm/秒で移動させた。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上蛍光灯下で光学フィルムの表面を透過観察した際に光学フィルムの表面に傷が視認されなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。
【0214】 以下、結果を表1に示す。
[図:0001397785000004.jpg]
【0215】 以下、結果について述べる。比較例1に係る光学フィルムにおいては、樹脂層の膜厚が厚すぎるので、折り畳み性に劣っていた。比較例2に係る光学フィルムにおいては、樹脂層の膜厚が薄すぎるので、衝撃を吸収できず、耐衝撃性試験Aにおいてソーダガラスに割れが生じてしまい、また耐衝撃性試験Bにおいて粘着シートの塑性変形に追従してしまうことによりハードコート層の表面の凹み量が大きかった。比較例3に係る光学フィルムにおいては、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´が小さすぎるので、衝撃を吸収できず、耐衝撃性試験Aにおいてソーダガラスに割れが生じてしまった。比較例4に係る光学フィルムにおいては、剪断貯蔵弾性率G´が大きすぎるとともに剪断損失弾性率G´´が小さすぎるので、衝撃を吸収できず、耐衝撃性試験Aにおいてソーダガラスに割れが生じることもあり、また折り畳み性にも劣っていた。
【0216】 これに対し、実施例1~6に係る光学フィルムにおいては、樹脂層の膜厚、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´のバランスが良いので、耐衝撃性試験A、B後のハードコート層の表面の凹みが確認されず、またソーダガラスにも割れが生じなかった。また、実施例1~6に係る光学フィルムにおいては、連続折り畳み試験の結果も良好であった。
【0217】 なお、上記連続折り畳み試験とは別に、実施例1~6に係る光学フィルムにおいて、30mm×100mmの長方形にカットして作製したサンプルを、耐久試験機(製品名「DLDMLH-FS」、ユアサシステム機器社製)に、サンプルの短辺(30mm)側を固定部でそれぞれ固定し、図3(C)に示したように対向する2つの辺部の最小の間隔が2mmとなるようにして取り付け、サンプルのハードコート層側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が内側となり、樹脂層が外側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べたところ、屈曲部に割れ又は破断は生じていなかった。また、実施例1~6に係る光学フィルムで上記同様に作製した新しいサンプルを、上記の耐久試験機に、上記と同様に対向する2つの辺部の最小の間隔が2mmとなるようにして取り付け、サンプルの樹脂層側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が外側となり、樹脂層が内側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べたところ、屈曲部に割れ又は破断は生じていなかった。
【0218】 また、実施例1~6に係る光学フィルムにおいて、30mm×100mmの長方形にカットして作製したサンプルの短辺(30mm)側を、サンプルの対向する辺部の間隔が30mmとなるように平行に配置された固定部にそれぞれ固定し、光学フィルムを折り畳んだ状態で、70℃で240時間静置する折り畳み静置試験を行った。そして、折り畳み静置試験後に片方の辺部から固定部を外すことによって、折り畳み状態を開放して、室温で30分後に光学フィルムが自然に開く角度である開き角(図4(B)参照)を測定したところ、実施例1~4に係る光学フィルムの開き角は100°以上であり、実施例5に係る光学フィルムの開き角よりも大きかった。この結果から、剪断貯蔵弾性率G´が800MPa未満とすると、復元性が良好となることが確認された。なお、開き角としては、ハードコート層が内側となるように折り畳む場合と、ハードコート層が外側となるように折り畳む場合との両方で折り畳み静置試験をし、角度が小さい方を採用した。
【0219】 また、実施例1~6に係る光学フィルムの第1のハードコート層および第2のハードコート層のマルテンス硬度を用いて測定したところ、第1のハードコート層のマルテンス硬度は830MPaであり、第2のハードコート層のマルテンス硬度は500MPaであった。マルテンス硬度は、HYSITRON(ハイジトロン)社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて、以下の測定条件で、第1のハードコート層および第2のハードコート層の断面中央においてそれぞれBerkovich圧子(三角錐)を500nm押し込み、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm2)とを用い、Pmax/Aにより算出した。マルテンス硬度は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とした。
(測定条件)
・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:25℃
【0220】 また、実施例1~6に係る光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)に対し、#0000番のスチールウール(製品名「BON STAR」、日本スチールウール株式会社製)を用いて、1kg/cm2の荷重をかけながら、速度50mm/秒で10回往復摩擦し、その後の光学フィルムの表面に傷の有無を目視により確認したところ、傷が確認されなかった。」

3 本願発明が解決しようとする課題について

本願発明が解決しようとする課題について、請求人は令和4年12月28日に提出された回答書(以下、単に「回答書」という。)の1頁において次のとおり回答している。

「請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、光学フィルムの表面に衝撃が加わったときに、光学フィルム自体に起因する凹みおよび粘着層に起因する表面の凹みが抑制され、かつ光学フィルムよりも画像表示装置の内部に位置する部材が損傷を受けないような優れた耐衝撃性を有する折り畳み可能な光学フィルム、これを備えた画像表示装置を提供することであります(本願明細書の段落0006、0007参照)。」

請求人の上記回答は、本願明細書の段落【0006】及び【0007】の記載に整合するものであるが、「光学フィルムの表面に衝撃が加わったときに、光学フィルム自体に起因する凹みおよび粘着層に起因する表面の凹みが抑制され、かつ光学フィルムよりも画像表示装置の内部に位置する部材が損傷を受けないような優れた耐衝撃性を有する」との記載は抽象的な記述であり、[表1]及びそれに関する説明の記載(【0211】、【0214】~【0216】等)を参酌すると、本願発明が解決しようとする課題は、より具体的には、少なくとも、[表1]に記載された耐衝撃性試験A(「ハードコート層の表面の凹み」及び「ソーダガラス割れ」で評価される)及び耐衝撃性試験B(「ハードコート層表面の凹み」で評価される)の全ての評価項目において「○」以上であり、「×」及び「△」がない、折り畳み可能な光学フィルムを提供することであると認められる。

4 本願発明のサポート要件の適合性について

(1) 合議体の判断

ア サポート要件の判断基準

本願発明は、「光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1200MPa以下であり、」「光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下である」という発明特定事項を有するものである。

サポート要件の判断基準については、前記1のとおり、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かである。

したがって、以下、本願発明における前記発明特定事項で特定される剪断貯蔵弾性率G´及び剪断損失弾性率G´´の数値範囲(以下「本願数値範囲」という。)の全範囲で、[表1]に記載された耐衝撃性試験A(「ハードコート層の表面の凹み」及び「ソーダガラス割れ」で評価される。)及び耐衝撃性試験B(「ハードコート層表面の凹み」で評価される。)の全ての評価項目において「○」以上であり、「×」及び「△」がないということが、当業者が認識できる程度に発明の詳細な説明に記載されているか、及び、そのような明示の記載や示唆がなくとも、出願時の技術常識に照らし、当業者が認識できるか否か、について検討する。

イ 明細書等の記載に基づく検討

(ア) 実施例及び比較例に基づく検討

a 本願発明の各実施例1~6と、樹脂層の膜厚が本願発明の発明特定事項である「50μm以上300μm以下」との要件を満たす比較例3~4における光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´及び剪断損失弾性率G´´、及び、本願数値範囲を図示すると参考図1のように示される。

<参考図1>

[図:0001397785000005.jpg]

b 実施例1~6は、本願数値範囲のうち、図中左下から図中右上まで(以下「領域C」という。)にかけての領域にのみ位置しており、これは、後記ウ(ア)において説示するように、従来より知られた剪断損失正接tanδの値として0.10~0.15のごく狭い範囲に限られているところ、発明の詳細な説明には、本願数値範囲内のうち図中右下付近の領域(以下「領域A」という。)及び図中左上付近の領域(以下「領域B」という。)に位置する前記ごく狭い範囲から一定程度外れる実施例は開示されていない。

このため、領域A及び領域Bに位置する光学フィルムが、領域Cに示された実施例1~6と同様の効果を有し、本願の課題を解決するものであることは、実験的に示されていない。

c 特に、領域Aについては、実施例1~6よりも比較例4に近いものであるため、その性質もまた、実施例1~6よりも比較例4に近いものとなると考えられ、折り畳み性や耐衝撃性に欠ける性質を有するものと推認できる。

d したがって、前記a及びbを踏まえると、本願明細書の実施例1~6における実験結果の記載からは、本願数値範囲であれば耐衝撃性試験A及び耐衝撃性試験Bの全ての評価項目において「○」以上であり、「×」及び「△」がないということが、当業者が認識できる程度に記載されているとは認められない。

(イ) 明細書のそのほかの記載の検討

そのほか、発明の詳細な説明の他の記載を参酌しても、本願数値範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できると認められるための根拠は見いだせない。

ウ 出願時の技術常識等を考慮した検討

(ア) 本願明細書の【0187】に記載されるように、衝撃吸収性能を表す指標としては従来から剪断損失正接tanδが知られており、一般的に、前記参考図1中領域Aのように、剪断貯蔵弾性率G´に対して剪断損失弾性率G´´が極端に小さい、すなわち、剪断損失正接tanδが極端に小さい光学フィルムでは、外部からの衝撃を十分に吸収することができず、耐衝撃性能に欠けるという性質があることは技術常識である。

(イ) 前記(ア)の技術常識を示す一例として、本願の優先日(平成29年(2017年)1月6日)前に発行された特開2005-23315号公報の【0037】、【0066】等には、透明シートの剪断損失正接tanδが所定以上(実施例では0.15以上)であることで優れた粘弾性を有し、耐衝撃試験においても優れた結果を示すことが記載されている。

(ウ) また、次の参考図2は、本願の実施例及び比較例に加えて、令和3年7月28日に提出された意見書において請求人が言及している、本願と同一の出願人による特願2018-537383号(以下「先願」という。)の実施例のうち、樹脂層の表面の凹み評価及びソーダガラスの割れ評価がいずれも◎であった実施例A1~A6(以下「先願実施例A1」などという。)を併せて示したものである。なお、先願においては、本願の耐衝撃性試験A及び連続折り畳み試験と同じ実験手法で評価している。

<参考図2>

[図:0001397785000006.jpg]

(エ) 参考図2では、先願実施例A1~A6は、いずれも本願数値範囲の領域外にあるにも関わらず、本願の耐衝撃性試験A及び連続折り畳み試験と同じ評価手法で良好(◎)と評価されているものである(先願の【0198】~【0219】等参照)。

そして、先願実施例A1~A6の剪断損失正接δは、0.17~0.40と、本願数値範囲の光学フィルムが取り得る剪断損失正接tanδの範囲に対して一部の範囲に分布している。

この結果も踏まえると、当業者としては、本願の評価手法で評価した場合に、基本的には剪断損失正接tanδが特定の範囲にあることが重要であると推論すると考えるのが相当である。

(オ) したがって、前記(ア)~(エ)において検討したように、衝撃吸収性能を表す指標として従来から剪断損失正接tanδが知られていることや、特開2005-23315号公報の記載、及び、本願と評価手法(実験手法)が共通する本願と同一の出願人による特願2018-537383号の実験結果を考慮すると、耐衝撃性に剪断損失正接tanδが影響しないとはいえないと考えるのが合理的であって、当該tanδが所定の範囲を逸脱する範囲にまで本願発明の効果が奏されるとは認められない。

(カ) また、発明の詳細な説明の【0187】の記載(前記2(7)参照)を見ても、前記(ア)の技術常識を覆して、実施例1~6を含む発明の詳細な説明の記載を本願数値範囲にまで拡張ないし一般化できるとする合理的な説明はなされていない。かえって、【0187】には「樹脂層の膜厚、剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´のバランスが重要である」旨が記載されており、「バランス」とは、剪断損失弾性率G´´と剪断貯蔵弾性率G´との比(G´´/G´)で表される剪断損失正接tanδを含めたバランスにほかならず、技術常識に照らして、本願明細書等の開示内容を当業者が理解したとき、耐衝撃性に剪断損失正接tanδが影響しないとはいえないと考えるのが合理的推論であって、当該tanδが所定の範囲を逸脱する範囲にまで本願発明の効果が奏されると認識することはできないと認められる。

エ まとめ

以上検討のとおりであるから、本願数値範囲の全範囲で、[表1]に記載された耐衝撃性試験A及び耐衝撃性試験Bの全ての評価項目において「○」以上であり、「×」及び「△」がないということは、当業者が認識できる程度に発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、出願時の技術常識に照らし、当業者が認識できるものではない。

したがって、本願発明は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

(2) 請求人の主張について

ア 審判請求書における主張について

(ア) 請求人の主張内容

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審判請求書において、請求人は、次のa及びbの主張をしている。

a 審判請求書における請求人の主張a

本願明細書の段落0187において、剪断損失正接tanδでは、本願明細書に記載されている優れた耐衝撃性を有する光学フィルムを表現できないことを明確に記載しており、剪断損失正接tanδでは、本願発明で規定されている優れた耐衝撃性を有する光学フィルムを表現できない。このことは、実施例1~3、6と比較例1、2の比較からも明らかである。具体的には、実施例1~3、6および比較例1、2に係る光学フィルムの剪断損失正接tanδは、いずれも0.15であるが、比較例1、2に係る光学フィルムの耐衝撃性試験A、Bの結果は、実施例1~3、6に係る光学フィルムの耐衝撃性試験A、Bの結果よりも劣っている。

b 審判請求書における請求人の主張b

本願発明は、剪断損失正接tanδで規定している発明ではなく、審査官の「剪断損失正接tanδが大きく異なる適用例について何ら記載されておらず、また当該事例について、実験成績証明書についても何ら提出していない」と認定することは、本願出願人に過度な実施例を要求するものであり、また、「請求項1に係る発明の範囲において、剪断損失正接tanδの値が大きく異なる適用例については何ら記載されておらず、また当該事例について、実験成績証明書についても何ら提出していない」という認定に妥当性がない。

審査官の拒絶査定における認定は、特定の具体例(実施例1~6)にとらわれて、明らかに必要以上に特許請求の範囲の減縮を求めているものであり、また、審査官の上記認定において、適用例(剪断貯蔵弾性率G´が200MPaであり、剪断損失弾性率G´´が150MPaである付近の適用例や、剪断貯蔵弾性率G´が1200MPaであり、剪断損失弾性率G´´が3MPaである付近の適用例)を要求することは、極めて酷であり、また他の特許出願の審査との関係において著しく公平性を欠くものである。

(イ) 審判請求書における主張についての検討

a 審判請求書における請求人の主張aについて

折りたたみ中(クリックで表示)

本願数値範囲の全範囲で、[表1]に記載された耐衝撃性試験A及び耐衝撃性試験Bの全ての評価項目において「○」以上であり、「×」及び「△」がないということは、当業者が認識できる程度に発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、出願時の技術常識に照らし、当業者が認識できるものではないことは、前記(1)に検討したとおりである。

また、本願明細書の段落【0187】に記載されているように、「剪断損失正接tanδだけでは、本願発明で規定されている優れた耐衝撃性を有する光学フィルムを表現できない」とは認められるが、このことは、tanδを考慮しなくてもよい、すなわち、tanδと無関係に優れた光学フィルムが得られることを認識できることの根拠にはならない。これは、前記(1)ウ(カ)の検討からも明らかである。

さらに、請求人は、実施例1~3、6と比較例1、2の比較について言及しているところ、比較例1、2は、実施例1~3、6と比較して、樹脂層の膜厚が極端に厚かったり薄かったりするために折り畳み性又は耐衝撃性に劣るものであり、剪断損失正接tanδを考慮しなくてもよいことの裏付けにはならない。

したがって、前記主張aは採用できない。

b 審判請求書における請求人の主張bについて

前記(1)ウで検討した技術常識を考慮すれば、当該技術常識を覆すに足る合理的な説明やこれを裏付ける実験結果が求められるのは、発明の公開を前提に特許を付与するという特許制度の趣旨からみて当然のことであり、「本願出願人に過度な実施例を要求するものである」との請求人の主張は失当である。

したがって、請求人の前記bの主張は採用できない。

イ 回答書における主張

(ア) 回答書における請求人の主張内容

折りたたみ中(クリックで表示)

回答書において、請求人は、次のa及びbに示す主張をしている。

a 回答書における請求人の主張aについて

前記審判請求書における主張のほか、請求人は回答書で以下の旨主張している。

本願発明で規定される剪断貯蔵弾性率G´及び剪断損失弾性率G´´の範囲のうちともに値が小さい例である実施例4(G´:230MPa、G´´:23MPa)、及び、前記G´及びG´´の範囲のうちともに値が大きい例である実施例5(G´:890MPa、G´´:123MPa)において、本願発明の効果が得られている(本願明細書の表1参照)。

したがって、当業者であれば、例えば、G´が890MPaであり、G´´が23MPaである例(審尋の参考図1の図中左上)やG´が230MPaであり、G´´が123MPaである例(審尋の参考図1の図中右下)においても、本願発明の効果が得られるものと予測可能である。

b 回答書における請求人の主張bについて

請求人は、回答書において追加実験による実施例として実施例7及び実施例8を提示した上で、以下の旨主張している。

<追加実験>

(樹脂層用組成物6)

・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部

・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):2質量部

・トリペンタエリスリトールアクリレート、モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート、ならびにポリメンタエリスリトールアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#802」、大阪有機化学工業社製):5質量部

・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬株式会社製):8質量部

・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部

・メチルイソブチルケトン:10質量部

(樹脂層用組成物7)

・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):75質量部

・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):15質量部

・トリペンタエリスリトールアクリレート、モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート、ならびにポリメンタエリスリトールアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#802」、大阪有機化学工業社製):10質量部

・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部

・メチルイソブチルケトン:10質量部

<実施例7>

実施例7においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物6を用いた

こと以外は、本願明細書の実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。

<実施例8>

実施例8においては、樹脂層用組成物1の代わりに樹脂層用組成物7を用いた

こと以外は、本願明細書の実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。

【表1】

[図:0001397785000007.jpg]

<主張>

実験結果から、本願発明で規定される剪断貯蔵弾性率G´の範囲のうち剪断貯蔵弾性率G´が大きく、かつ本願発明で規定される剪断損失弾性率G´´の範囲のうち剪断損失弾性率G´´が小さい光学フィルム、および本願発明で規定される剪断貯蔵弾性率G´の範囲のうち剪断貯蔵弾性率G´が小さく、かつ本願発明で規定される剪断損失弾性率G´´の範囲のうち剪断損失弾性率G´´が大きい光学フィルムであっても、本願発明の課題を解決できることは明らかである。

また、追加実験の実施例7に係る光学フィルムにおいては、剪断損失正接tanδが0.02という極めて小さい値にも関わらず、優れた耐衝撃性を有する結果となっており、この結果から、剪断損失正接tanδでは、本願明細書に記載されている優れた耐衝撃性を有する光学フィルムを表現できないとすることは裏付けられている。

(イ) 回答書における主張についての検討

a 回答書における請求人の主張aについて

回答書における請求人の主張aは、実施例4及び実施例5の結果を根拠に、領域A及び領域Bにおいても本願発明の効果が得られる旨を主張するものであるが、前記(1)で検討したように、領域A及び領域Bにおいては、実施例1~6と同様の効果を有し、本願発明の課題を解決できるとは認められない。

したがって、回答書における請求人の主張aは、採用できない。

b 回答書における請求人の主張bについて

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(a) 追加実験による主張の採用の可否について

サポート要件における実験成績証明書等の取り扱いについて、前記「偏光フィルムの製造法」大合議判決において、次のとおり判決が説示している。

「発明の詳細な説明に,当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる程度に,具体例を開示せず,本件出願時の当業者の技術常識を参酌しても,特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで,発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないのに,特許出願後に実験データを提出して発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足することによって,その内容を特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで拡張ないし一般化し,明細書のサポート要件に適合させることは,発明の公開を前提に特許を付与するという特許制度の趣旨に反し許されないというべきである。」

本件は、発明の詳細な説明の記載が不足しているために、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができるといえない場合に該当し、回答書における請求人の追加実験の結果の提出は、出願時の技術常識を裏付けるためのものではなく、また、当該実験結果は、技術常識からの予想には反するものを追加することにより、発明の詳細な説明の記載外で補足しようとするものであるから(剪断貯蔵弾性率が大きいところでは、硬いのであるから、衝撃を緩和するには、剪断損失弾性率は高い方が望ましいという常識からの予測を覆すものである。)、当該追加実験に基づく主張によっては拒絶の理由は解消されない。

(b) 追加実験を踏まえた検討

追加実験に基づく主張によっては拒絶の理由は解消されないことについては、前記(a)のとおりであるが、予備的に当該追加実験を考慮してもなお、本願明細書がサポート要件を満たすものではないことを、以下説明する。

本願発明の各実施例、比較例及び追加実験における光学フィルムの剪断貯蔵弾性率G´及び剪断損失弾性率G´´の数値、及び、本願発明で特定した、本願数値範囲を図示すると参考図3のように示される。

<参考図3>

[図:0001397785000008.jpg]

実施例1~6、8は、本願数値範囲のうち、図中左下から図中右上まで(以下「領域C’」という。)にかけての領域に位置し、実施例7は領域Aに位置しており、本願明細書及び追加実験の結果においては、領域Bに位置するものは開示されていない。

このため、領域Bに位置する光学フィルムが、領域C’に示された実施例1~6と同様の効果を有し、本願の課題を解決するものであることは、追加実験においても示されていない。

また、実施例の組成物を調整することにより、領域Bに位置する、剪断貯蔵弾性率G´が小さく、剪断損失弾性率G´´が大きな光学フィルムが得られることが実質的に開示されているか否かについても以下検討する。

本願明細書及び回答書の実施例1~8、比較例1~4の樹脂層の材料組成及び試験結果をまとめると次の参考表1のとおりとなる。

<参考表1>

[図:0001397785000009.jpg]

前記参考表1から、実施例5及び実施例8と他の実施例等との対比に着目すると、一見「UV3310B」の含有比を少なくすることで、剪断損失弾性率G´´は比較的大きくできるように見えるものの、より「UV3310B」の含有比が少ない実施例8において、実施例5よりもG´´が小さくなっていることを踏まえると、単純に「UV3310B」を少なくすることでG´´を大きくすることは困難である。

また、実施例3と実施例4を対比すると、「ビスコート#192」の含有比が小さくなれば、G´´が大きくなるが、同時に剪断貯蔵弾性率G´も大きくなることが見てとれる。

その他の材料について検討しても、G´の値が小さいまま、G´´の値を独立して大きくできる材料は見いだせない。

上記を踏まえると、本願の発明の詳細な説明の記載は、本願数値範囲内である領域Bに位置する光学フィルムについて、樹脂層の材料組成としてどのようなものであれば領域Bに位置する光学フィルムが得られるのかについて記載も示唆もなく、領域Bに位置する光学フィルムを製造するに当たり当業者に過度の試行錯誤を要求するものであるから、領域Bの光学フィルムが発明の詳細な説明に実質的な開示がなされているとは認められない。

したがって、本願数値範囲内である領域Bに位置するものについて、当業者は過度の試行錯誤なく、本願の課題を解決できることを確認することができないのであるから、本願数値範囲内である領域Bについては、本願の発明の詳細な説明に実施的に開示されたものとは認められない。

以上から、追加実験において示された実施例7及び実施例8を考慮したとしても、少なくとも領域Bに位置する光学フィルムは発明の詳細な説明に実質的な開示がなされているものとは認められず、本願発明の課題を解決可能であるとも認められないから、請求人の主張は採用できない。

(ウ) 回答書の補正案について

a 請求人は回答書において、本願発明を次の請求項1のとおり補正する補正案を示している(下線部は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
画像表示装置に用いられる折り畳み可能な光透過性の光学フィルムであって、
樹脂基材と、
前記樹脂基材の第1の面側に設けられたハードコート層と、
続きを表示(全11行)
前記樹脂基材の前記第1の面とは反対側の第2の面側に設けられた膜厚が50μm以上300μm以下の樹脂層と、を備え、
前記樹脂基材が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物からなる基材であり、
前記ハードコート層が、重合性化合物の重合体であり、
前記樹脂基材の厚みが、10μm以上100μm以下であり、
前記ハードコート層の膜厚が、1μm以上20μm以下であり、
前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、200MPaを超え1200MPa以下であり、
前記光学フィルムにおける25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、3MPa以上150MPa以下である、光学フィルム。」

b 当該補正案における補正は本願発明の剪断貯蔵弾性率G´及び剪断損失弾性率G´´の範囲を変更するものではなく、前記(1)の結論を左右するものではない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-004174

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