商標拒絶査定不服審判
2022-003452
ネケツリョク、チケツリョク、ネギメリョク、ネギメジカラ
- 審判番号
- 2022-003452
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-028916
- 請求日
- 2022年03月07日
- 審決日
- 2023年03月30日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】伊澤 彰浩
- 【請求人代理人】原田 貴史
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .13 -Z (W3541)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-28916拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「値決力」の文字を標準文字で表してなり、第35類「広告業,トレーディングスタンプの発行,財務書類の作成,求人情報の提供,職業のあっせん,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与,経営の診断又は経営に関する助言,競売の運営,商品の販売に関する情報の提供,新聞の予約購読の取次ぎ,事業の管理,市場調査又は分析,輸出入に関する事務の代理又は代行,建築物における来訪者の受付及び案内,コンピュータデータベースへの情報編集,新聞記事情報の提供,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,書類の複製,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,写真の撮影,通訳,翻訳」を指定役務として、令和3年3月11日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年8月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月6日付けで意見書が提出されたが、同年12月20日付けで拒絶査定がされ、これに対して同4年3月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「値決力」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「値」の文字は「値段」等の意味を、「決」の文字は「きめる。決定する」の意味を、「力」の文字は「学問・技芸などの能力」の意味を、それぞれ表すから、本願商標は、その構成文字に応じて、「値段を決める能力」ほどの意味合いを理解・認識させ、インターネット調査によれば、経営の分野で「値決め力」の文字が「適切な値段を決める能力」ほどの意味合いで用いられている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務「経営の診断又は経営に関する助言」に使用しても、これに接する需要者は、「適切な値段を決める能力」と認識し、役務の特性や優位性を表した宣伝文句の一種であると理解するにとどまるとみるのが相当であって、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、識別力のない宣伝文句として、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における審尋
当審において、請求人に対し、令和5年1月12日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を示した上で、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を通知し、期間を指定した上で、これに対する回答を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答
(1)請求人は、前記3の審尋に対し、令和5年2月22日付け回答書を提出し、要旨以下(2)のとおり意見を述べた。
(2)請求人は「値決力」を「事業で提供する商品・サービスの価格を、財務観点から検証し、その上で、商品・サービスの価値を引き出し言語化する。その価値を伝わる言葉で伝えることで相場に左右されない独自価格を自由に決定し、利益を生み出していく力」と定義しているが、審尋で示された事例は、当該定義と異なる意味合いのものか、請求人が使用を許可した者による使用の事例であるから、審尋の事例をもって「値決」が「値決め」と同じ意味合いで使用されているとし、他の情報と合わせた上で、本願商標が「値段を決める力」ほどの意味合いを表したものと解すことは妥当ではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「値」、「決」及び「力」の漢字を結合した「値決力」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「値」の文字は、「あたい。ね。物のねうちにまともに相当するだけの値段。」等の意味を、「決」の文字は、「きめる。きまる。」等の意味を、「力」の文字は、「ちから。もと、筋力のこと。のち、広く働きをおこすちから。「能力」」等の意味を、それぞれ有する漢字であり(「漢字源改訂第四版」株式会社学習研究社発行)、その文字構成から「値を決める力」ほどの意味合いを認識させるものである。
また、原審で示した事実(別掲1(4)及び(5))に加え、別掲2(1)のとおり、「値決め」の文字が、「値段(価格)を決めること」ほどの意味合いをもって、また、別掲2(2)のとおり、「値決め力」の文字が、「値段を決める力」ほどの意味合いをもって、それぞれ、経営戦略における要素や能力として使用されている実情がある。
そして、これらのほかに、別掲2(3)のとおり、送り仮名の「め」を省いた「値決」の文字が、「値決め」と同じ意味合いで使用されている実情があることをも併せて考慮すれば、「値決力」の文字は、経営戦略に用いられる「値決め力」の文字と同様に、「値段を決める力」ほどの意味合いを表したものと理解されるというべきである。
そうすると、「値決力」の文字からなる本願商標を、その指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,競売の運営,商品の販売に関する情報の提供,事業の管理,市場調査又は分析,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,インターネットを利用して行う映像の提供」について使用をするときは、これに接する取引者、需要者は、これを「値段を決める力」を内容とする役務であること、すなわち、提供される役務の質(内容)を表したものと認識するにとどまるというべきである。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審尋で示した事例は、請求人が定義した「値決力」の意味合いと異なるものであるか、請求人が使用を許可した者による使用された事例であるから、それらの事例等によって、本願商標が「値段を決める力」ほどの意味合いを表したものと解すことは妥当ではない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、役務の質を表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標の取引者、需要者によって、その指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解されるところ、上記(2)のとおり、本願商標は、構成文字からも使用事例からも「値段を決める力」ほどの意味合いを認識させるものである。
また、別掲2に掲げる各事例をみても、その使用者(例えば請求人が許諾したとする者やそれ以外の者)によって、「値決め」や「値決め力」の文字から生じる意味合いが異なるとみるべき事情は見当たらない。加えて、請求人が主張する定義にしても、「・・・商品・サービスの価格を、・・・検証し、・・・独自価格を自由に決定し、利益を生み出していく力」なるものであって、結局は「値段を決める力」の範ちゅうから外れるものではないというべきである。
以上よりすれば、請求人の主張は、本願商標から「値段を決める力」ほどの意味合いを認識させることを妨げる事情には当たらないというべきものである。
なお、「値決め」が「値段を決める」ほどの意味合いをもって多くの事業者によって行われていること、「値決め」や値段を決める力が経営戦略上重要であること、「値決力」の文字と「値決め力」の文字が同義のものとして使用されていることは、請求人提出の資料(甲5、甲6)においても見られるものである。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録すべき旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、構成態様等の異なる過去の登録例の存在によって、その判断が拘束されたり左右されたりすべきものではない。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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