審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標拒絶査定不服審判

2022-002987

カワゴエコエドコモン、コエドコモン、コエド

審判番号
2022-002987
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-124145
請求日
2022年02月28日
審決日
2023年05月25日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】今西 芳夫
  • 【請求人代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 岩谷 禎枝
分類
T18 .271-Z (W2425)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020-124145拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第24類「和服用織物,織物」及び第25類「和服,被服,キャミソール,ティーシャツ」を指定商品として、令和2年10月7日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年7月2日付けで拒絶理由の通知がされ、同年8月13日に意見書が提出されたが、同年11月17日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同4年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、以下の旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 本願商標は、本願商標の登録出願前から商品「東京都で染色した小紋染織物」等に使用して著名な商標「江戸小紋」と相当程度の共通性を有するものであるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、その商品があたかも前記組合の業務に係る商品であるかのように、あるいは、前記組合と、組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 当審における審尋 当審において、令和5年1月23日付け審尋により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めたが、請求人は、何ら回答をしていない。 第4 当審の判断 1 本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (1)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生じるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。 (2)「江戸小紋」の文字の周知著名性について 「江戸小紋」の文字は、「エドコモン」と称呼され、別掲2のとおり、「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する語として、本願の指定商品に関連する織物等の取引者、需要者の間で広く認識されていると認められる。 そして、別掲3のとおり、「江戸小紋」の文字を横書きしてなる商標(以下「引用商標」という。)は、東京都染色工業共同組合が、その構成員に使用をさせる商標であって、その商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品である第24類「東京都で染色した小紋染織物」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを理由に、当該商品を指定商品として、平成21年7月10日に地域団体商標の商標登録(登録第5246082号商標)を受けており、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 そうすると、「江戸小紋」の文字は、「エドコモン」と称呼され、当該文字の有する上記意味合いから、「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」の観念を生じるとともに、「東京都染色工業共同組合に係る、東京都で染色した小紋染織物に関する地域ブランド」の観念をも生じるものとして、本願商標の登録出願時において、本願の指定商品の取引者、需要者の間に広く認識され、一定の周知著名性を有していたものであって、その周知著名性は、現在においても継続しているものと認められる。 (3)商標の類似性の程度 ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、図形の下に、「小江戸小紋」の文字を横書きしてなるところ、図形と「小江戸小紋」の文字とは、いずれも重なることなく間隔を空けて配置されていることから、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。 そして、本願商標の構成中の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、本願商標の構成中の「小江戸小紋」の文字は、一般の辞書等に載録された成語ではなく、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表示する等、当該文字が、自他商品の識別標識としての機能を有さないものと判断するべき特別な事情はないものである。 そうすると、図形と「小江戸小紋」の文字は、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、これらの観念上の結びつきも認められないため、図形と「小江戸小紋」の文字が常に一体不可分の関係があるとは認められず、これらを分離して観察することが取引上不自然であると判断しなければならない特別な事情は見いだせない。 そして、本願商標の構成中の「江戸小紋」の文字部分は、上記(2)のとおり、「エドコモン」と称呼されるとともに、本願の指定商品の取引者、需要者に、東京都染色工業共同組合に係る周知著名な商標と認識されるものであり、当該文字部分の自他商品識別機能は高いものと認められるから、本願商標の構成中の「小江戸小紋」の文字部分は、「小」の文字を有しているとしても、「江戸小紋」の文字部分が、出所識別標識を果たし得る要部として看取されるというべきである。 以上のとおり、本願商標は、その構成中に、上記(2)のとおり周知著名な「江戸小紋」の文字部分が、出所識別標識を果たし得る要部として看取されるというべきであるから、本願商標は、その構成中の「江戸小紋」の文字部分に相応して、「エドコモン」の称呼を生じ、「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」の観念を生じるとともに、「東京都染色工業共同組合に係る、東京都で染色した小紋染織物に関する地域ブランド」の観念をも生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記(2)のとおり、「江戸小紋」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エドコモン」の称呼を生じ、「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」の観念を生じるとともに、「東京都染色工業共同組合に係る、東京都で染色した小紋染織物に関する地域ブランド」の観念をも生じるものである。 ウ 本願商標と引用商標の対比 本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、図形の有無等の明らかな差異があることから、これらは外観において相違するが、本願商標の構成中、周知著名で自他商品識別機能の高い「江戸小紋」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、いずれも「江戸小紋」の漢字を共通にすることから、これらは、外観上類似する。 次に、称呼においては、本願商標の構成中、周知著名であり、自他商品識別機能の高い「江戸小紋」の文字部分から生じる「エドコモン」の称呼と引用商標から生じる「エドコモン」の称呼は同一である。 そして、観念においては、本願商標の構成中、周知著名であり、自他商品識別機能の高い「江戸小紋」の文字部分及び引用商標から生じる「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」の観念及びこの観念とともに生じる「東京都染色工業共同組合に係る、東京都で染色した小紋染織物に関する地域ブランド」の観念は同一である。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼及び観念を同一にするから、両商標の類似性の程度は相当高いというべきである。 エ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度 上記(2)のとおり、引用商標は、本願商標の指定商品の取引者、需要者の間に広く認識されている周知著名な商標である。 他方、引用商標は、「現在の東京都千代田区を中心とする地域」を意味する「江戸」の文字と、引用商標の指定商品の普通名称である「小紋」の文字とを普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる地域団体商標であるから、その構成自体は独創性の程度は高くないものである。 オ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情 本願の指定商品中の織物及び和服等と引用商標の指定商品「東京都で染色した小紋染織物」とは、いずれも和装に関連する商品であるから、両商品は、密接な関連性を有するとともに、取引者、需要者も相当程度共通にするものといえる。 そして、本願の指定商品の需要者に含まれる一般需要者は、必ずしも織物及び和装等について専門的な知識や経験を有するものではない者も含まれており、高度の注意力をもって商品を購入するとは限らないものである。 カ 出所の混同のおそれについて 以上のとおり、引用商標は、その構成自体の独創性の程度は高くないものであり、本願商標は、本願の指定商品の取引者、需要者において広く認識されている一定の周知著名性を有する引用商標との類似性の程度が相当高く、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、密接な関連性を有するとともに、取引者、需要者を相当程度共通にするものであること、本願の指定商品の需要者に含まれる一般需要者は、高度の注意力をもって商品を購入するとは限らないこと等を総合的に考慮すれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者に対し、引用商標の商標権者である東京都染色工業共同組合と経済的又は組織的な関連性があることを強く示唆し、同組合の取り扱いに係る商品「江戸小紋」の表示を連想させることが少なくないものと判断するのが相当である。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、当該商品が、引用商標の商標権者である東京都染色工業共同組合又はその構成員との間に緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されることにより、あるいは、同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されることにより、商品の出所につき誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、審判請求書において、「かわごえ」との平仮名文字を変形させて石灯篭又は笠をかぶった人物を認識させるような図形を有する本願商標と文字のみよりなる引用周知商標とは外観上一見して明らかに大きな相違があり、称呼上も本願商標は「コエドコモン」と「コ」の音に韻を踏みリズムよく称呼できる点において非類似であり、観念上も歴史的には本家たる「江戸」と、それに付随して栄えた「小江戸川越」という大きな相違があるため、その類似性の程度は極めて低い旨主張する。 しかしながら、上記1(3)アないしウのとおり、本願商標の図形と「小江戸小紋」の文字は、視覚上分離して看取、把握され得るものであり、これらの観念上の結びつきも認められないため、図形と「小江戸小紋」の文字が常に一体不可分の関係があるとは認められず、これらを分離して観察することが取引上不自然であると判断しなければならない特別な事情は見いだせないものである。そして、本願商標の構成中の「江戸小紋」の文字部分は、「エドコモン」と称呼されるとともに、本願の指定商品の取引者、需要者に、東京都染色工業共同組合に係る周知著名な商標と認識されるものであり、当該文字部分の自他商品識別機能は高いものと認められるから、本願商標の構成中の「小江戸小紋」の文字部分は、「小」の文字を有しているとしても、「江戸小紋」の文字部分が、出所識別標識を果たし得る要部として看取されるというべきである。そうすると、本願商標の「江戸小紋」の文字部分が、出所識別標識を果たし得る要部として看取されるというべきであるから、本願商標は、その構成中の「江戸小紋」の文字部分に相応して、「エドコモン」の称呼を生じ、「江戸時代、裃や男女の小袖に用いた緻密な文様の小紋染。近時、小紋という言葉が広義に用いられるようになったため、江戸時代以来の小紋染を特定した用語。」の観念を生じるとともに、「東京都染色工業共同組合に係る、東京都で染色した小紋染織物に関する地域ブランド」の観念をも生じるものである。 (2)請求人は、審判請求書において、本願指定商品の取引者及び需要者は、取引に際して安価な量産品や使い捨て商品に対する注意力よりも非常に高い注意を払って商品を取捨選択するものであり、その出所についても高い注意力が払われるものである旨主張する。 しかしながら、織物及び和装等においても、安価なものから高価なものまで幅広く販売されていることに加え、別掲2のとおり、「江戸小紋」はカジュアルから礼装まで幅広く着用されている事実もあることから、本願の指定商品の需要者に含まれる一般需要者は、必ずしも織物及び和装等について専門的な知識や経験を有するものではない者も含まれており、高度の注意力をもって商品を購入するとは限らないものである。 (3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-002987

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存