商標拒絶査定不服審判
2022-002797
ピン、ピンツ
- 審判番号
- 2022-002797
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-090585
- 請求日
- 2022年02月25日
- 審決日
- 2022年10月24日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】藤本 一
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .16 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-90585拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年7月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月 7日付け:拒絶理由通知
令和3年 7月19日 :意見書、手続補足書の提出
令和3年11月15日付け:拒絶査定
令和4年 2月25日 :審判請求書、手続補足書の提出
2 本願商標
本願商標は、「ピンッ」の文字を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,化粧品,薫料,香料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「ピンッ」の文字を標準文字で書してなるものであるが、「ぴんと」の文字は、「真っ直ぐに伸びてゆるみがないさま」の意味を有し、促音「ッ」を伴った「ピンッ」との文字が、「ぴんと」の文字と同様に、「真っ直ぐに伸ばす」程の意味合いで使用されている実情がある。
また、化粧品を取り扱う業界においては、「ピンッ」との表現を用いて、商品の販売に係る宣伝に広く使用されている実情も見受けられる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「真っ直ぐに伸ばす商品」程の意味合いで認識し、特に「化粧品」に使用した場合においては、「ピンとしたハリを与える商品」程の意味合いで認識するにとどまり、どこの企業等の商品であるのか把握、認識することができないから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しているとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「ピンッ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字に類する「ぴん」(ピン)の文字は、請求人が提出する第1号証(「現代擬音語擬態語用法辞典」東京堂出版)、第2号証(「日本語オノマトペ辞典」小学館)や別掲1のとおり、「糸や布などが、たるまないようきつく張られている様子。」、「背筋などがまっすぐきれいに伸びている様子。」、「緊張している様子。」「瞬時に、直感的に悟ったり、納得したりする様子。」等の意味を有する擬音語として、我が国において親しまれているものである。
ところで、商品の広告等においては、商品に接する者に対し、その商品の特長などを容易に看取、把握させるべく、その特長などを表したと認識させる文字の表示とは別個に、商品の特長を端的に示したと認識させる種々の擬音語が使用されている実情があるところ、原審において示した別掲2のとおりの使用例に加えて別掲3に示す使用例のように、「ピンッ」の文字は、本願の指定商品中「化粧品」を取り扱う業界において、肌にハリを与える化粧品であるという商品の特長を端的に示す語として、それらの宣伝、広告等を行う際に一般に広く用いられており、別掲3のとおり、当該擬音語を強調した態様で用いることも少なからず行われている。
上記実情を踏まえると、「ピンッ」の文字からなる本願商標を、その指定商品中「化粧品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の特長(肌にハリを与える化粧品)を端的にうたう宣伝、広告等を行う際に一般に広く用いられている語として認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「ぴんと」の文字は、「真っ直ぐに伸ばす」の意味合いを有するほか、「錠をかける音、また張り切ったものが割れたり切れたりする音のさま。」、「勢いよく跳ね上がるさま。」、「気持や雰囲気が緊張しているさま。」及び「物事を直感的に察知するさま。」との意味合いも有する(「ぴん」(ピン)の語も概ね同様。)ところ、例として、原審で提示した用例(別掲2(8))について、「頬からピンッ!」の記述は、「『勢いよく跳ね上がる』ように頬が上向いている」(ひいては、フェイスアップ効果が期待される)ことを表している旨主張する。
しかしながら、「ぴん」(「ピン」、「ぴんと」)の語が多義語であるとしても、たるまないよう張られている様子や、まっすぐきれいに伸びている様子を表すことも広く知られていることに加え、上記(1)のとおり、「ピンッ」の文字を化粧品に使用した場合には、商品の特長(肌にハリを与える化粧品)を端的に示す語として、一般に広く用いられていることは明らかであるし、本願の指定商品の取引者、需要者が、本願商標を請求人主張のような限定的な意味合いで認識するものと認めるに足りる証拠はない。
イ 請求人は、原審で提示した用例について、いずれも、文章中で他の語を伴っているからこそ、そのように理解できるのであって、「ピンッ」の語そのものから、原審の認定する意味合いを具体的に認識させることの証拠とはなり得ない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品中「化粧品」を取り扱う業界における取引の実情を考慮すれば、「ピンッ」の文字が単独で使用された場合であっても、指定商品との関係から、肌にハリを与える化粧品であるという商品の特長を端的に示す語として、取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当である。
ウ 請求人は、過去の登録例、審決例を挙げて、本願商標も自他商品の識別標識としての機能を果たし得る旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様とその指定商品に係る取引の実情等を総合勘案し、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるところ、「ピンッ」の文字を標準文字で表してなる本願商標については、上記(1)のとおり、本願の指定商品に係る取引の実情等を総合勘案すれば、取引者、需要者をして、その構成全体をもって商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないと判断したのであり、このようにした判断が、商標の構成態様又は指定商品等が相違し、本件とは事案を異にするというべき請求人が挙げた登録例により左右されることはない。
エ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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