商標拒絶査定不服審判
2022-002257
シンナマアマザケ、ナマアマザケ
- 審判番号
- 2022-002257
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-075627
- 請求日
- 2022年02月15日
- 審決日
- 2024年03月14日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】旭酒造株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-75627拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年6月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月28日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月10日 :意見書の提出
令和3年11月12日付け:拒絶査定
令和4年 2月15日 :審判請求書の提出
令和5年11月13日付け:審尋
令和5年12月20日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「新生甘酒」の文字を標準文字で表してなり、第30類「甘酒,甘酒のもと,甘酒を使用した菓子及びパン,甘酒を加味した茶,甘酒を加味したコーヒー及びココア,甘酒を加味したアイスクリームのもと,甘酒を加味したシャーベットのもと,甘酒入りの穀物の加工品,甘酒入りの調味料」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「新生甘酒」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「新」の文字は、「あたらしいこと。あたらしくすること。」の意味を有する語であり、また、「甘酒」の文字は、「米の飯を米こうじで糖化した甘い飲料。」の意味を有する語である。そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、「加熱処理を行っていない甘酒」を「生甘酒」と称している実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、「甘酒」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「新しく製造した生甘酒」ほどの意味合いを認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、前記1の審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)本願商標「新生甘酒」の語から、「新」の文字部分のみを抽出したとしても、「今年作られた」の意味に限定する理由がないため失当である。
(2)本願商標「新生甘酒」の文字が同書・同大・等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、構成中の「新生」の文字が辞書に掲載されている既成語であるにも関わらず、あえて「新」と「生甘酒」とに分離して観察することは不自然である。
(3)別掲2について、これらは「新」の語を伴うものの、本願商標と同一の「新生甘酒」一連で使用されているものではないし、「生酒、生菓子、生チョコ」は辞書に掲載されている語であるのに対し「生甘酒」は一般の単語として認知されていないこと、「新生菓子」の意味は、菓子の内容ごとにそれぞれ異なり、一義的な品質等を指すものではない等、これらは本願の識別力判断の検討材料として失当である。
(4)請求人は「新生獺祭」の商標権(登録第6303852号)を有し、商品のシリーズ名として「新生」の語を冠して使用していることから(甲3)、本願商標において、「新」と「生甘酒」に分離するのではなく、「新生」というシリーズ名の「甘酒」と認識されるのが自然であり、「新生」と「甘酒」とからなる「新生甘酒」一連一体の造語として理解するのが自然である。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「新生甘酒」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「生甘酒」の文字について、本願の指定商品である「甘酒」を取り扱う業界では、加熱処理をしていない状態の甘酒を「生甘酒」のように称し、一般に販売されている事実が存在する(別掲1)。
そして、構成中の「新」の文字は「1 あたらしいこと。あたらしくすること。2 今年の新たな収穫・製造」等の意味(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)を有する一般に慣れ親しまれた語であり、本願の指定商品を含む飲食料品を取り扱う業界では、一般にその年に収穫されたものや、作られたものについて、例えば「新酒」「新茶」「新米」「新ジャガ」のように、「新」の文字に商品名や商品名の略称をつけて、「新○○」と指称されていること(「デジタル大辞泉」株式会社小学館)、また、現在ある商品「○○」について、これまでのものとは異なる新しいものが出た場合に「新○○」のように指称されている事実があることが見受けられる(別掲2)。
そうすると、本願商標は、「新」の文字と「生甘酒」の文字を結合してなるものと容易に認識させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「今年作られた生甘酒」「これまでのものと異なる新しい生甘酒」「今年作られた生甘酒を使用したもの」「これまでのものと異なる新しい生甘酒を使用したもの」という、商品の品質を表示したものと認識、理解するにすぎないというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標「新生甘酒」の語から、「新」の文字部分のみを抽出したとしても、「今年作られた」の意味に限定する理由がないため失当である旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「新」の文字が「1 あたらしいこと。あたらしくすること。2 今年の新たな収穫・製造」等の意味を有する一般に慣れ親しまれた語であること及び本願の指定商品を含む飲食料品を取り扱う業界において、一般にその年に収穫されたものや、作られたものについて、例えば「新酒」「新茶」「新米」「新ジャガ」のように、「新」の文字に商品名や商品名の略称をつけて、「新○○」と指称されていることは上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、本願商標「新生甘酒」の文字が同書・同大・等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、構成中の「新生」の文字が辞書に掲載されている既成語であるにも関わらず、あえて「新」と「生甘酒」とに分離して観察することは不自然である旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「新生」の文字が成語であり、そのように認識される場合があるとしても、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標を「新」及び「生甘酒」の文字を結合したのと認識し得る場合もあることは上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、前記5(3)のように、別掲2の用例は、本願の識別力判断の検討材料として失当である旨主張する。
しかしながら、別掲2の用例は、現在ある商品「○○」について、これまでのものとは異なる新しいものが出た場合に「新○○」のように指称されている事実があることを示したものであり、本願商標を構成する「生甘酒」の文字が辞書類に掲載されている成語ではないとしても、本願の指定商品である「甘酒」を取り扱う業界において、加熱処理をしていない状態の甘酒を「生甘酒」のように称し、一般に販売されている事実があることは別掲1のとおりであるし、「新生菓子」の文字について、菓子の内容ごとにそれぞれ詳細が異なるとしても、いずれも「これまでのものとは異なる新しい生菓子」という商品の品質を認識し得るものである。
エ 請求人は、「新生獺祭」の商標権(登録第6303852号)を有し、商品のシリーズ名として「新生」の語を冠して使用していることから(甲3)、本願商標において、「新」と「生甘酒」に分離するのではなく、「新生」というシリーズ名の「甘酒」と認識されるのが自然であり、「新生」と「甘酒」とからなる「新生甘酒」一連一体の造語として理解するのが自然である旨主張する。
しかしながら、請求人が「新生獺祭」(登録第6303852号)の商標権を有し、商品のシリーズ名として「新生」の語を冠して使用しているとしても、「新生甘酒」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で一連に表した本件商標の構成からは上記(1)のとおり認識し得るものであり、また、当該新生シリーズの商品が、請求人の出所に係る商品として、需要者の間に広く認識されているものと認め得る事情は見いだせない。
オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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