商標拒絶査定不服審判
2022-002203
ユレケアブラ、ユレケア
- 審判番号
- 2022-002203
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-137949
- 請求日
- 2022年02月15日
- 審決日
- 2023年02月27日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ワコール
- 【請求人代理人】弁理士法人 竹内国際知財事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T18 .16 -Z (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号、商標法第3条第1項第3号、商標法第3条、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-137949拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ゆれケアBra」の文字を標準文字で表してなり、第25類「ブラジャー,ブラジャー付キャミソール,ブラジャー付スリップ,その他のブラジャー付下着,ブラジャー付タンクトップ,運動用特殊衣服,スポーツ用ブラジャー」(以下「原審商品」という。)を指定商品として、令和2年11月9日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年7月5日付けで拒絶理由の通知(以下「拒絶理由通知」という。)がされ、同年8月17日付けで意見書(以下「原審意見書」という。)が提出されたが、同年11月12日付けで拒絶査定がされ、これに対して同4年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
なお、原審商品は、当審における令和4年12月26日付けの手続補正書により、第25類「ブラジャー,スポーツ用ブラジャー」(以下「当審補正商品」という。)に補正されている。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「ゆれケアBra」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ゆれ」の文字は「揺れ」の平仮名表記であると容易に認識するものであり、「Bra」の文字は、「ブラジャー」の略として知られているから、構成全体で「揺れをケアするブラジャー」ほどの意味合いを容易に認識させ、原審商品を取り扱う業界において、「胸の揺れをケアするブラジャー」が親しまれている実情もあることからすると、本願商標を原審商品に使用しても、これに接する需要者は、「胸の揺れをケアするブラジャー」であることを認識するにすぎず、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記の品質を有しない指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
当審において、令和4年11月11日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲2のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年12月26日付け意見書(以下「当審意見書」という。)を提出し、要旨、以下の1ないし4のとおりの意見を述べた。
1 出願人は、当審意見書と同時に提出した手続補正書によって、本願の指定商品を当審補正商品に補正したことにより、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものではなくなった。
2 審尋では、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当すると認定しつつ、原審における拒絶理由(同項第3号)が解消していると判断している訳ではないとも認定しているが、これは、本願商標が同項第3号及び同項第6号の両方に該当するように思われ、「前各号に掲げるもののほか」という同項第6号の条文との関係で論理的に矛盾が生じており、請求人にとって、このような認定は受け入れ難く、拒絶理由の条文を明らかにして意見を述べる機会を与えるべきである。
3 本願商標は審査基準において、商標法第3条第1項第6号に該当するとして例示されているいずれの類型にも当てはまるものではなく、同項第6号は包括的な規定であることから、無闇にその適用を広げるべきではなく、抑制的に適用すべきである。
4 請求人を除いて本願商標が使用されている、又は使用されたという記録はないことから、商品「ブラジャー」について、何人も本願商標の使用を欲していないと考えられ、本願商標に化体した請求人の信用の維持を図るほうが優先されるべきであり、他人の将来における使用を確保する必要性はなく、本願商標を登録して保護することが商標法の法目的に適うものであり、本願商標を登録したとしても、他の事業者においては、「運動時の胸の揺れを抑えるブラ」等の表示が許容されるので、他の事業者にとって過度の制限になるものではない。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号について
本願の指定商品は、上記第1のとおり、当審補正商品に補正されたことにより、本願商標を当審補正商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号、知財高裁平成24年(行ケ)第10323号判決参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「ゆれケアBra」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「ゆれ」の文字は「揺れること。」などの意味を有する「揺れ」(広辞苑第7版 岩波書店)を平仮名で表記したものと容易に認識できるものであり、「ケア」の文字は「手入れ。」などの意味を有する英語「care」(前掲広辞苑)を片仮名で表記したものと、「Bra」の欧文字は、当審補正商品との関係において、「ブラジャー」を意味する英語「brassiere」(ベーシックジーニアス英和辞典第2版 大修館書店)を、省略して表示したものと理解させ、「ブラジャー」は「女性の胸の形を整えるために用いる下着。」(前掲広辞苑)として使用される商品であるとすれば、本願商標は、構成各文字の意味合いより、構成全体として「胸の揺れをケアするブラジャー」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、原審及び審尋で示した証拠(別掲1及び別掲2)のとおり、「ブラジャー」を取り扱う業界において、「ブラジャー」の品質、効能等として、「バスト(胸)の揺れをケア(軽減。サポート。保護。)すること」等を特徴とする商品が実際に取引されており、それらの商品を紹介する際に、「バストの揺れをケアできる機能を兼ね備えた」や「バストの揺れをケアするため、上下の動きを抑える設計です。」のような宣伝文句が使用されていることがうかがえる。
そうとすると、構成文字全体として、「胸の揺れをケアするブラジャー」ほどの意味合いを容易に認識させるにとどまる本願商標は、これをその当審補正商品「ブラジャー,スポーツ用ブラジャー」について使用するときには、これに接する取引者、需要者に商品の品質、特徴等を簡潔に表した宣伝広告の一類型にすぎないものと認識させるといえる。
したがって、本願商標は、その当審補正商品について、何人もその使用を欲するといい得るものであり、特定人による独占使用を認めることを公益上適当としないものであるとともに、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるため、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、審尋では、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当すると認定しつつ、原審における拒絶理由(同項第3号)が解消していると判断している訳ではないとも認定しているが、これは、本願商標が同項第3号及び同項第6号の両方に該当するように思われ、「前各号に掲げるもののほか」という同項第6号の条文との関係で論理的に矛盾が生じており、請求人にとって、このような認定は受け入れ難く、拒絶理由の条文を明らかにして意見を述べる機会を与えるべきである旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条は、商標登録の要件を定めたものであって、同条第1項は、自己の業務に係る商品又は役務についての識別力あるいは出所表示機能を欠く商標を列挙するものであり、同項第1号から第5号の規定は、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を例示的に列挙するものであり、同項第6号の規定は、同項第1号から第5号までにおいて例示的に列挙されたもの以外に、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を総括的、概括的に規定しているものであるとすれば、「前各号に掲げるもののほか」という同項第6号の条文との関係で論理的に矛盾があるとはいえないものである。
また、拒絶理由通知及び審尋において、条文を明らかにした上で、意見を述べる機会を与えており、実際に、請求人は拒絶理由通知に対し原審意見書を、審尋に対し当審意見書を提出し、意見を述べていることからすると、拒絶理由の条文を明らかにして意見を述べる機会を与えているものである。
さらに、拒絶理由通知及び審尋において、本願商標は、「胸の揺れをケアするブラジャー」という共通の認識が生じることを前提として、これを本願の指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠く商標に該当するという共通の結論に至るものであるから、その判断の内容において実質的に相違するものではないと判断するのが相当である。
(2)請求人は、本願商標は審査基準において、商標法第3条第1項第6号に該当するとして例示されているいずれの類型にも当てはまるものではなく、同項第6号は包括的な規定であることから、無闇にその適用を広げるべきではなく、抑制的に適用すべきである旨を主張する。
しかしながら、上記2(2)のとおり、本願商標は、構成文字全体として、「胸の揺れをケアするブラジャー」ほどの意味合いを容易に認識させるにとどまるものであるから、これを当審補正商品に使用した場合、本願商標に接する取引者、需要者に商品の品質、特徴等を端的に、かつ、簡潔に表した宣伝広告の一類型にすぎないものと認識させるため、本願商標は、自他商品の識別力を有さない商標といえ、このような商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、請求人を除いて本願商標が使用されている、又は使用されたという記録はないことから、商品「ブラジャー」について、何人も本願商標の使用を欲していないと考えられ、本願商標に化体した請求人の信用の維持を図るほうが優先されるべきであり、他人の将来における使用を確保する必要性はなく、本願商標を登録して保護することが商標法の法目的に適うものであり、本願商標を登録したとしても、他の事業者においては、「胸の揺れを抑えるブラ」等の表示が許容されるので、他の事業者にとって過度の制限になるものではない旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号に該当する商標であるか否かは、本件審決時において、本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、その需要者が、商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識するものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであるから、本願商標が請求人を除く他の事業者によって、現在使用されていないとしても、そのことのみをもって本願商標の同項第6号該当性の判断が左右されるものではない。
(4)請求人の上記各主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張は、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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