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商標拒絶査定不服審判

2022-001274

ザカルイザワ、シングルモルトジャパニーズウイスキー、ジャパニーズウイスキー、カルイザワウイスキー

審判番号
2022-001274
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-065427
請求日
2022年01月27日
審決日
2023年03月07日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】軽井沢ディスティラリー・ジャパン株式会社
  • 【請求人代理人】原田 貴史
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 岩谷 禎枝
分類
T18 .13 -Z (W33) / T18 .16 -Z (W33) / T18 .272-Z (W33)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020- 65427拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「軽井沢産のウイスキー,ウイスキー」を指定商品として、令和2年5月27日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年6月10日付けで拒絶理由の通知がされ、同年7月16日に意見書が提出されたが、同年11月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同4年1月27日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、本願商標は「THE」及び「KARUIZAWA」の文字を2段に横書きし、その下方に「SINGLE MALT」及び「JAPANESE WHISKY」の文字を小さく書し、その右に毛筆体風に「軽井沢」の漢字を縦書きしてなるところ、毛筆体風の文字と欧文字を組み合わせた構成は、商品パッケージ等において用いられ、格別に特殊な態様ではなく、一般に用いられる範囲にとどまり、「THE」は、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語」(岩波書店「広辞苑第7版」)である英語の定冠詞、「KARUIZAWA」は、「軽井沢」の漢字を欧文字で表記したものであるから、これらは、本願の指定商品の産地又は販売地を強調して表したものであり、「SINGLE MALT」は「ウィスキーで、一つの蒸留所で製造したモルトウィスキーのみを瓶詰めしたもの。」を「JAPANESE WHISKY」は、「日本のウィスキー」を理解させるため、本願の指定商品の品質を表すものであるから、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「長野県軽井沢で生産又は販売される日本のシングルモルトウィスキー」であること、すなわち、商品の産地、販売地、品質を表示したものとして認識するにとどまり、上記商品に照応する商品以外の指定商品に使用したときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当であるため、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨、認定、判断し本願を拒絶したものである。 第3 当審における審尋 当審において、令和4年9月29日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲3ないし別掲6のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 第4 審尋に対する請求人の回答(要旨) 請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年12月9日付けの上申書において、要旨、以下1ないし3のとおりの意見を述べた。 1 毛筆体風に縦書きした漢字部分を「軽井沢」であると特定されているが、この毛筆体の漢字は「軽井沢」以外の読み方も可能であり、この部分は、かなり崩した字体となっているため、「軽井」の部分は「軽井」であると特定することはできるが、「沢」の部分については需要者により、漢字の特定が異なり、「沢」とも「泯」とも読むことが可能であって、需要者によりその読み方の認定が異なるデザイン文字である以上、商品の内容を表しているとはいえず、この毛筆体風に縦書きした漢字部分は識別力を有する部分である。 2 文字を毛筆体にする等の工夫をすることで、識別力を有すると判断されている審決例が存在している。 3 本願商標はその構成中に識別力を有すると判断される商標「The」を含んでいる以上、「THE KARUIZAWA」は、識別力を有すると判断されるべきである。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品又は指定役務との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決、知財高裁平成27年(行ケ)第10061号 同年9月16日判決)。 以上を前提に、本願商標と本願の指定商品との関係における同号該当性について判断する。 (2)本願商標は、別掲1のとおり、「THE」、「KARUIZAWA」、「SINGLE MALT」及び「JAPANESE WHISKY」の欧文字を4段に横書きし、これらの欧文字の右に、「軽井沢」の漢字を毛筆体風に縦書きしてなるところ、「THE」の欧文字は、「(英語の定冠詞。母音の前での発音はジ)普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)であり、「KARUIZAWA」の欧文字は、「カルイザワ」と称呼でき、「長野県東部、北佐久郡にある町。避暑地として著名。」(前掲書)である「軽井沢」の漢字を欧文字で表記したものと容易に理解させるものであるから、「THE」及び「KARUIZAWA」の欧文字については、本願の指定商品の産地又は販売地が「軽井沢」であることを強調して表したものと認識されるにすぎないというのが相当である。 また、「SINGLE MALT」は、「シングルモルト」すなわち「ウィスキーで、一つの蒸留所で製造したモルトウィスキーのみを瓶詰めしたもの。」(前掲書)を意味する語であり、「JAPANESE WHISKY」は、「日本製のウイスキー」の意味を容易に理解させるものであるから、これらの欧文字は全体として「日本製のシングルモルトウイスキー」との意味合いで理解されるものである。 そうすると、本願商標の構成中の「THE」、「KARUIZAWA」、「SINGLE MALT」及び「JAPANESE WHISKY」の欧文字は、各構成文字の意味合いから全体として、「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」ほどの意味合いを容易に理解させるにすぎないというべきであり、本願の指定商品との関係においては自他商品の識別標識としての機能を有さない部分と判断するのが相当である。 さらに、毛筆体で縦書きされた漢字について見てみると、本願商標の構成中に、「軽井沢」の漢字を欧文字で表記したと認められる「KARUIZAWA」の欧文字を有していることから、当該漢字が多少デザイン化されているとしても、「軽井沢」の文字を縦書きしたものと容易に認識できるものである。 加えて、欧文字と毛筆体の漢字とからなる表示態様についても、一般に使用する範囲にとどまる構成態様と判断するのが相当であって、別掲2のとおり、本願商標に類する表示態様からなる特徴を有する他の商品も販売されている。 そうすると、本願商標は、その書体及び表示態様のいずれも、特殊な態様で表示されているものとは認められず、普通に用いられる方法で表示する標章の域をでないものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、その構成全体として「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」ほどの意味合いを認識させるにすぎないものであるから、その指定商品中「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」に使用しても、単に商品の産地又は販売地及び品質を普通に用いられる方法で表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 商標法第3条第1項第6号該当性について (1)商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号、知財高裁平成24年(行ケ)第10323号判決参照)。 以上を前提に、本願商標と本願の指定商品との関係における同号該当性について判断する。 (2)本願商標は、上記1(2)のとおり、その構成文字全体より「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。 そして、別掲3のとおり、日本国内には観光地として有名な地域が多数存在するところ、別掲4のとおり、別掲3で示す観光地においては、酒づくりに適した水等を使用して、酒類が製造又は販売されている実情が認められ、別掲5のとおり、当該酒類が製造又は販売されている地域を示すものとして、これらの商品に、当該観光地の名称が使用される例があり、別掲6のとおり、観光地として知られている軽井沢においても、酒づくりに適した水等を使用して、酒類が製造又は販売されており、当該酒類には、「軽井沢」の文字が使用されている実情が認められる。 そうすると、本願商標は、その構成全体として、自他商品の識別機能を有すると判断し得る構成要素を有さないものであるところ、本願商標をその指定商品中「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」に使用しても、これに接する取引者、需要者に、当該商品が「観光地として有名な軽井沢で製造又は販売される日本製のシングルモルトウイスキー」であること、すなわち、これらの商品の産地及び販売地が観光地として有名な軽井沢であることを認識させるものであるから、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「軽井沢産のシングルモルトウイスキー」について関心を持たせるための宣伝広告の一類型であると認識させるものである。 したがって、本願商標は、その指定商品中「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」について、何人もその使用を欲するといい得るものであり、特定人による独占使用を認めることを公益上適当としないものであるとともに、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるため、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 商標法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、上記1(2)のとおり、その構成文字全体より「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」ほどの意味合いを容易に理解させるものであるから、これをその指定商品中「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」以外の商品に使用するときは、その商品があたかも「軽井沢で製造又は販売されている日本製のシングルモルトウイスキー」であるかのように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する。 4 請求人の主張について (1)請求人は、毛筆体風に縦書きした漢字部分を「軽井沢」であると特定されているが、この毛筆体の漢字は「軽井沢」以外の読み方も可能であり、この部分は、かなり崩した字体となっているため、「軽井」の部分は「軽井」であると特定することはできるが、「沢」の部分については需要者により、漢字の特定が異なり、「沢」とも「泯」とも読むことが可能であって、需要者によりその読み方の認定が異なるデザイン文字である以上、商品の内容を表しているとはいえず、この毛筆体風に縦書きした漢字部分は識別力を有する部分である旨を主張する。 しかしながら、上記1(2)のとおり、本願商標の構成中の毛筆体で縦書きされた漢字は、本願商標の構成中の「KARUIZAWA」の欧文字を有しているため、当該漢字が多少デザイン化されているとしても、「軽井沢」の文字を縦書きしたものと容易に認識できるものである。 (2)請求人は、文字を毛筆体にする等の工夫をすることで、識別力を有すると判断されている審決例が存在している旨を主張する。 しかしながら、当該審決例や登録例と本願商標とは、商標の構成等を異にするものであるところ、登録出願された商標が自他商品の識別機能を有するか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであるから、過去の審決例や登録例の存在によって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するという判断が左右されるものではない。 (3)請求人は、本願商標は、その構成中に、識別力を有すると判断される商標「The」を含んでいる以上、「THE KARUIZAWA」は、識別力を有すると判断されるべきである旨を主張する。 しかしながら、請求人以外の者が「THE KARUIZAWA」の語を使用していないとしても、「THE」の欧文字は、「(英語の定冠詞。母音の前での発音はジ)普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」であり、「KARUIZAWA」の欧文字は、「軽井沢」の漢字を欧文字で表記したものと容易に理解させるものであるから、商品の産地及び販売地を表示記述する標章といえ、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではなく、一般的に使用される標章であって、自他商品を識別する機能を有さないものと判断するのが相当である。 (4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張についても採用するべき事情はない。 5 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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