商標拒絶査定不服審判
2022-001026
カンゾウ、カンゾー
- 審判番号
- 2022-001026
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-069200
- 請求日
- 2022年01月24日
- 審決日
- 2023年03月10日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大西 誉郎
- 【請求人代理人】原 信海
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .13 -Z (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-69200拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「KANZOU」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,甘草又は甘草抽出物を主原料とした錠剤状・カプセル状・顆粒状・粒状・液状・粉末状・ペースト状・スティック状・クリーム状・チュアブル状・固体状・半固体状の加工食品」(以下「願書記載商品」という。)を指定商品として、令和2年6月4日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年5月18日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月26日に意見書が提出されたが、同年10月19日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和4年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がされ、本願の指定商品は、同日付けの手続補正書により、第5類「サプリメント(薬剤に属するものを除く。),食餌療法用飲料(薬剤に属するものを除く。),食餌療法用食品(薬剤に属するものを除く。)」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、要旨、以下の1及び2のとおりの認定、判断をし、本願を拒絶したものである。
1 本願商標は、「KANZOU」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「マメ科の多年草。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤などに広く使われ、また醤油などの甘味剤。」である「甘草」(出典:広辞苑第7版(株式会社岩波書店))を、欧文字表記したものと容易に理解される。
そうすると、本願商標を願書記載商品中「医療用の甘草」に使用した場合、これに接する需要者は、その商品の普通名称であると認識するにとどまり、本願商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第1号に該当し、「医療用の甘草」以外の「薬剤」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。
2 本願商標は、「KANZOU」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「マメ科の多年草。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤などに広く使われ、また醤油などの甘味剤。」である「甘草」(前掲書)又は「消化管と門脈で結ばれ、胆嚢とともに胆管で腸に連なる体内最大の腺性器官。」である「肝臓」(前掲書)を、欧文字表記したものと容易に理解される。
そして、本願の指定商品に関連する分野において、甘草又は甘草の成分を配合した商品、肝臓のエキスなどを配合した商品や肝臓のための商品が、広く生産、販売されている事実が見受けられる。
そうすると、本願商標を願書記載商品に使用した場合、これに接する需要者は、「甘草又は甘草の成分を配合した商品,肝臓のエキスなどを配合した商品,肝臓のための商品」であると認識するにとどまり、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審における審尋
当審において、令和4年9月16日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対し、別掲1ないし別掲6のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和4年10月25日付けの回答書(以下「回答書」という。)において、要旨、以下の1及び2のとおりの意見を述べた。
1 肝臓の主成分は蛋白質であるが、別掲5及び別掲6には、高蛋白質の食品を忌避すべき旨が掲載されていることから、肝疾患の患者用の治療・療養用食品を取り扱う業界に係る需要者・取引者にあっては、本願商標に係る「KANZOU」に接した場合であっても、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料としての肝臓又は肝臓エキスに想到することは無く、同様に、甘草及び甘草エキスは機能性を有することから、その機能性を直接的にうたう状況下において、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料として使用することは許されず、需要者・取引者にあっては、本願商標に係る「KANZOU」に接した場合であっても、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料としての甘草又は甘草エキスに想到することはない。
2 当審補正商品に係る取引者及び需要者が、本願商標「KANZOU」に接した場合に、それが「甘草」、「肝臓」、「萱草」又は「鑑三」のいずれを意味するのかを特定することはできず、さらには、「甘増」、「柑僧」又は「完造」等のように、「カンゾウ」の称呼を介した多くの造語も容易に想到することができることから、本願商標から直接的に特定の観念を認識することはできない。
3 別掲1及び別掲2に掲載された事実をもって、本願商標である「KANZOU」について、「マメ科の多年草。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤などに広く使われ、また醤油などの甘味剤。」の意味を有する「甘草」の語を欧文字で表記したものにすぎない、と認定したことについては瑕疵がある。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願の指定商品は、当審補正商品に補正されたことにより、「医療用の甘草」を含む「薬剤」に該当する商品が全て削除されたことにより、本願商標は、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標には該当しないものとなり、本願商標を当審補正商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないため、本願商標が商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原審の拒絶理由は解消した。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「KANZOU」の文字を標準文字で表した構成よりなるから、これは、ごく普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められ、これよりは「カンゾウ」の自然な称呼が生じる。
そして、株式会社岩波書店発行の「広辞苑 第6版」によれば、「カンゾウ」と読まれる日本語に関しては、(1)「マメ科の多年草。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤などに広く使われ、また醤油などの甘味剤。」の意味を有する「甘草」の語、(2)「消化管と門脈で結ばれ、胆嚢とともに胆管で腸に連なる体内最大の腺性器官。」の意味を有する「肝臓」の語、(3)「ユリ科の多年草」の意味を有する「萱草」の語及び(4)人名である「内村鑑三」を意味する「鑑三」の語が載録されているところ、別掲1のとおり、当審補正商品を取り扱う業界において、「甘草」を原材料として、体脂肪の増加を抑える等の健康維持の効果のあるサプリメントが販売されている事実があり、別掲2のとおり、「甘草」は、肝機能を高める効果、アレルギーを抑制する効果及びダイエット効果等を有するといわれ、食品の甘味料として使用されているところ、別掲3のとおり、「甘草」は、健康維持の効果をうたう食品や糖尿病等を患っている人向けの食品の原材料としても使用されている事実がある。
また、別掲4のとおり、当審補正商品を取り扱う業界において、肝臓エキスやウコン等を配合し、肝機能を改善する等の肝臓に良いサプリメントが販売されている事実があり、別掲5のとおり、肝臓疾患の治療においては、肝臓に良い食事をとることが推奨されているところ、別掲6のとおり、肝臓疾患を患っている人向けの食品が販売されている事実がある。
そうすると、上記のとおり、「カンゾウ」との自然な称呼が生じる本願商標を当審補正商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「甘草」又は「肝臓」の語の表音を欧文字で表記したものであると一般に認識するものと解されることから、本願商標は、当該商品が「甘草を原材料とした商品」又は「肝臓に良い商品」であるという、商品の原材料又は用途を表示したものであると理解されるにとどまり、自他商品の識別標識とは認識されないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、肝臓の主成分は蛋白質であるが、別掲5及び別掲6には、高蛋白質の食品を忌避すべき旨が掲載されていることから、肝疾患の患者用の治療・療養用食品を取り扱う業界に係る需要者・取引者にあっては、本願商標に係る「KANZOU」に接した場合であっても、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料としての肝臓又は肝臓エキスに想到することは無く、同様に、甘草及び甘草エキスは機能性を有することから、その機能性を直接的にうたう状況下において、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料として使用することは許されず、需要者・取引者にあっては、本願商標に係る「KANZOU」に接した場合であっても、肝疾患の患者用の治療・療養用食品の原材料としての甘草又は甘草エキスに想到することはない旨主張する。
しかしながら、別掲5は、肝臓疾患の治療において肝臓に良い食事をとることが推奨されていることを示したものであり、別掲6は、肝臓疾患を患っている人向けの食品が販売されている事実を示したにすぎない。
また、サプリメントを含む健康食品について、その包装等に効能・効果をうたうことは薬事法によって禁止されていても、「甘草」に体脂肪の増加を抑える効果があることや肝機能を高める効果、アレルギーを抑制する効果、ダイエット効果等を有する旨記載されている事実があることからすると、「カンゾウ」との自然な称呼が生じる本願商標を当審補正商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「甘草」又は「肝臓」の語の表音を欧文字で表記したものであると一般に認識するものと解され、そのことから、本願商標は、当該商品が「甘草を原材料とした商品」又は「肝臓に良い商品」であるという、商品の原材料又は用途を表示したものであると理解されると判断するのが相当である。
(2)請求人は、当審補正商品に係る取引者及び需要者が、本願商標「KANZOU」に接した場合に、それが「甘草」、「肝臓」、「萱草」又は「鑑三」のいずれを意味するのかを特定することはできず、さらには、「甘増」、「柑僧」又は「完造」等のように、「カンゾウ」の称呼を介した多くの造語も容易に想到することができることから、本願商標から直接的に特定の観念を認識することはできない旨主張する。
しかしながら、別掲1ないし別掲6の実情に照らせば、当審補正商品に係る取引者、需要者は、本願商標から「甘草」又は「肝臓」の語を一般に認識するものと解されるから、たとえ、他の成語である「萱草」又は「鑑三」や請求人が挙示する造語を想起する者がいたとしても、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性に係る上記判断が左右されるものではない。
(3)請求人は、別掲1及び別掲2に掲載された事実をもって、本願商標である「KANZOU」について、「マメ科の多年草。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤などに広く使われ、また醤油などの甘味剤。」の意味を有する「甘草」の語を欧文字で表記したものにすぎない、と認定したことについては瑕疵がある旨主張する。
しかしながら、別掲1のとおり、当審補正商品を取り扱う業界において、「甘草」を原材料として、体脂肪の増加を抑える等の健康維持の効果のあるサプリメントが販売されている事実があり、別掲2のとおり、「甘草」は、肝機能を高める効果、アレルギーを抑制する効果及びダイエット効果等を有するといわれ、食品の甘味料として使用され、別掲3のとおり、「甘草」は、健康維持の効果をうたう食品や糖尿病等を患っている人向けの食品の原材料としても使用されている事実があることからすると、本願商標を当審補正商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「甘草」の語の表音を欧文字で表記したものであると一般に認識するものと解され、本願商標は、当該商品が「甘草を原材料とした商品」であるという、商品の原材料を表示したものであると理解されるにとどまり、自他商品の識別標識とは認識されないものと判断するのが相当である。
(4)請求人の上記各主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張は、採用するべき事情はない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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