商標拒絶査定不服審判
2022-000849
キンキブンセキセンター、キンキブンセキ、ブンセキセンター
- 審判番号
- 2022-000849
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-060623
- 請求日
- 2022年01月20日
- 審決日
- 2023年06月29日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】NECファシリティーズ株式会社
- 【請求人代理人】羽切 正治
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W3537404244)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-60623拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月15日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年4月21日付け:拒絶理由通知書
令和3年6月2日付け:意見書、手続補正書
令和3年10月19日付け:拒絶査定
令和4年1月20日付け:審判請求書
令和4年9月29日付け:審尋
令和4年11月8日付け:回答書、手続補正書
令和4年11月9日付け:手続補正書
第2 本願商標
本願商標は、「近畿分析センター」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第37類、第40類、第42類、第44類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、最終的に、第35類、第37類、第40類、第42類及び第44類に属する別掲1のとおりの役務に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は「近畿分析センター」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「分析センター」の文字は、化学物質等の分析を行う機関の名称として普通に用いられている実情が認められ、全体として、「近畿所在の分析機関」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものであり、本願商標は、これを、その指定役務中、化学物質等の分析に関するものに使用した場合には、これに接する取引者又は需要者は、「近畿所在の分析機関により提供される役務」(例えば、「近畿所在の分析機関による浄水処理に関する助言・指導及び情報の提供」や「近畿所在の分析機関による医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」等)であることを認識するにとどまるから、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、化学物質等の分析に関する役務以外の指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋(要旨)
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲2の1ないし12の証拠を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記第4の審尋に対して、上記第1の回答書において、要旨、以下のように主張した。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標は、特定の意味合いを想起させることのない造語商標であり、これに接する取引者又は需要者に、全体として「近畿地方に所在する分析を行う機関」ほどの意味合いを理解させるものではない。
審尋において、「京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重の2府5県を含む区域、地方の名称である」とされたのは、「近畿地方」であり、本願商標の構成中、「近畿」部分を「近畿地方」に変換して、「「近畿地方に所在する分析を行う機関」ほどの意味合いを理解させる」と推定したものと解されるが、本願商標は「近畿分析センター」であって、「近畿地方分析センター」ではないことから、これは誤りである。
すなわち、「近畿」は、広辞苑第7版において、「(皇居の所在地に近い国々の意)畿内とその付近の地域。」(甲30の1)と記載されており、審尋記載の「京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重の2府5県を含む区域、地方の名称」の意味合いが生ずる余地はない。
請求人は、「分析センター」の文字は、分析等を行う機関の一般的名称と認識されるものである点については認め、当該「分析センター」の文字部分の自他役務識別力を争うものではないが、このような機関は「役務の提供をする場所」、すなわち、特定の場所を意味するものであり、「分析センター」の文字に、「近畿」の文字が付加されることによって、「近畿地方に所在する・・・」などのように不特定の場所を示すことはない。
(2)「近畿分析センター」は、特定の住所において設立登記された商号である「株式会社近畿分析センター」の略称であり、特定の指定役務を提供するために使用されるものであるから、本願商標に接した取引者又は需要者をして、特定の住所・場所との関係において役務が提供されるものと認識されるのが相当であり、「近畿地方に所在する分析を行う機関」などの意味合いで、不特定の範囲に所在するものとして、認識されるものではない。
審尋において「〇〇分析センター」の文字が使用されている事例が挙げられたが、それらは、分析、調査、検査、試験及び研究等を行う機関の名称の一部(「□□の○○分析センター」等)に使用されているものであり、「分析センター」単独での使用例ではなく、また、「○○分析センター」の○○は地名や分析の内容(対象)の事例であるところ、その多くが所在地である市の名前や県の名前であって、住所が具体的に特定される。
そして、インターネットにおいて、「〇〇分析センター」の使用例はあるものの、請求人の子会社である「株式会社近畿分析センター」(以下「請求人等」という場合がある。)以外の者による「近畿分析センター」の使用例を見いだすことはできない。
2 周知性等について
(1)本願商標「近畿分析センター」は、高精度の調査・分析の事業を行う、請求人の子会社である株式会社近畿分析センターの商号の略称であり、昭和47年(1972年)から、50年以上、その取り扱う役務について商標として継続使用してきているものであり、取引者又は需要者をして、「近畿分析センター」といえば、「株式会社近畿分析センター」を指称するものであることを認識されるに至っているものである。
(2)請求人は、本願商標「近畿分析センター」の特定の役務に関する周知性を立証するために、回答書と同日付けの手続補正書により、指定役務の減縮補正を行った。
そして、補正後の指定役務のうち、第37類「土壌改良工事、土壌改良工事に関する助言及び指導」、第40類「土壌・地下水の浄化、浄水処理に関する助言・指導及び情報の提供、土壌の浄化に関する助言・指導及び情報の提供、地下水の浄化に関する助言・指導及び情報の提供」、第44類「便・尿・血液などの検体の検査」は、株式会社近畿分析センターが、分析・調査業務に派生する業務として、実際に行っている又は近い将来行う役務である。
なお、過去の登録例において、商標の構成中に「分析」の語が含まれていても、分析・調査に関する役務ではないが、これらに派生すると解される指定役務について登録されている(甲27、甲33)。
また、補正後の本願の指定役務は、役務の質について誤認を生ずるおそれはないため、本願に対する商標法第4条第1項第16号は解消したものである。
請求人は、甲第2号証から甲第18号証までを周知性に関する証拠として提出しているが、更にその他の証拠を提出する用意がある。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標は、「近畿分析センター」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「分析」の文字は「物質の検出・特定、また化学的組成を定性的・定量的に識別すること。ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。」の意味を、「センター」の文字は「その分野の中心となる機関・施設。」の意味を、それぞれ有する語であり(広辞苑第七版(株式会社岩波書店))、各語は、我が国において広く一般的に親しまれている平易な語である。
そして、本願の指定役務中、分析、調査、検査、試験及び研究等に関連する役務を提供する業界において、政策、企業の経営状況、食品、アスベスト、農薬、医薬品、栄養成分、水質、土壌等の何らかの内容(対象)に対し、分析、調査、検査、試験及び研究等(以下「分析等」という。)を行う機関の名称として、「分析センター」の文字、「○○分析センター」(○○は分析等の内容(対象))の文字及び当該機関の所在地を冠した「○○分析センター」(○○は地名)の文字が多数使用されていることが認められる(別掲2)。
また、本願商標の構成中、「近畿」の文字は、「〔畿(都)に近い国々の意〕「近畿地方」の略。」(大辞林第四版(株式会社三省堂))及び「《都に近い国々の意》「近畿地方」の略。」(大辞泉第二版(株式会社小学館))の意味を有する語として、我が国において一般的に使用されている辞書等に載録されているものであり、「近畿地方」の略称であると広く一般に慣れ親しまれているものであることは、経験則上明らかである。そして、「近畿地方」の文字は、「京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・滋賀・三重の二府五県。近畿。」及び「京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重の2府5県からなる地域。」(それぞれ前掲書)の意味する語(地方の名称)である。
そうすると、本願商標は、分析等を行う機関の一般的名称として多数使用されている「分析センター」の文字に、当該機関の所在地として、京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重の2府5県からなる地方の名称(近畿地方)の略称である「近畿」の文字を冠した構成からなるものと認識、理解されるものである。
してみれば、本願商標は、これに接する取引者又は需要者に、全体として「近畿地方に所在する分析等を行う機関」といった意味を表したものと理解されるとみるのが相当であるから、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者又は需要者に、当該役務が「近畿地方」において提供されること、「近畿地方に所在する分析等を行う機関」において提供される役務であること、「近畿地方に所在する分析等を行う機関」により提供される役務であること、すなわち、役務の提供の場所、質(内容)を表示したものとして認識させるにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たしている商標とは認識されないというべきである。
したがって、本願商標は、これをその指定役務に使用するときは、単に役務の質(内容)等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、(ア)本願商標は、辞書等に記載の言葉ではなく、また、インターネットにおいて請求人等以外の者による使用例を見いだすことはできず、一般的に使用されているものでもないため、特定の意味合いを有することのない造語である、(イ)「分析センター」の文字に、「近畿」の文字が付加されることによって、「近畿地方に所在する・・・」などのように不特定の場所を示すことはなく、特定の住所において設立登記された商号である「株式会社近畿分析センター」の略称として使用されているものであるから、本願商標に接した取引者又は需要者をして、特定の住所において役務が提供されるものと認識されるのが相当であり、「近畿地方に所在する分析を行う機関」などの意味合いで、不特定の範囲に所在するものとして認識されるものではない等述べ、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨を主張している。
ところで、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、(ウ)商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、(エ)一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号判決参照)。
また、上記第3号の趣旨からすれば、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「役務の提供場所及び質を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定役務が当該商標の表示する地名及び特性を現実に提供場所及び質としていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定役務が当該商標の表示する地名及び特性を提供場所及び質としているであろうと一般に認識され得ることをもって足りるというべきである(同第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する商標」につき同旨、昭和60年(行ツ)第68号判決参照)。
そして、別掲2のとおり、「分析等を行う機関」の名称として「分析センター」及び地域の所在地を冠した「○○分析センター」の文字が使用されていることからすると、上記(1)のとおり、「近畿分析センター」の文字からは、「近畿地方に所在する分析等を行う機関」といった意味を表したものと理解されるとみるのが相当であるから、たとえ、請求人等以外の者によって「近畿分析センター」の名称を使用している事実がないとしても、本願商標は、取引者又は需要者によって、「近畿地方」において提供される役務であること、「近畿地方に所在する分析等を行う機関」において提供される役務であること、「近畿地方に所在する分析等を行う機関」により提供される役務であること、すなわち、役務の提供の場所、質(内容)を表示したものとして一般に認識され得るというべきである。
また、別掲2のとおり、「北関東分析センター」、「北海道土壌分析センター」及び「九州経営情報分析センター」のように、地方の名称を冠した「○○分析センター」がいくつも存在し、これらはいずれも「当該地方に所在する分析等を行う機関」を理解させるものであるから、「分析センター」に冠する地名が地方の名称であるからといって、本願商標の上記判断が左右されるものではない。
イ(ア)請求人は、本願商標は、請求人の子会社である「株式会社近畿分析センター」(以下「請求人子会社」という。)の商号の略称であり、昭和47年(1972年)から、50年以上、その取扱う役務について商標として継続使用しているものであり、取引者又は需要者をして、「近畿分析センター」といえば、「株式会社近畿分析センター」を指称するものであることを認識されるに至っているから、商標登録を受けることができるものである旨を主張し、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第33号証(枝番を含む。)を提出している。
(イ)請求人の提出に係る証拠によれば、請求人子会社は、昭和47年に設立され、近年は、環境省の指定調査機関に選定され、また、関連する業界団体組織に所属するなど、半導体工場の運営に関わる環境分析・環境計量証明、材料分析、土壌汚染状況調査等の業務を行っていることが認められる(甲2、甲3、甲5、甲10~甲14)。そして、「土壌・地下水調査」及び「土壌浄化・工事」の実績は、平成13年度(2001年度)からの約20年間において、約2,650件とされ(甲14、甲32)、当該業務の広告宣伝が、請求人子会社のウェブサイトにおいて行われていることが認められる(甲2、甲3、甲14、甲32)。
また、請求人子会社は、平成30年の兵庫県及び石川県での学会発表、平成23年、平成30年及び令和元年に、福岡県、東京都及び京都府で開催された展示会に参加したことが認められる(甲15~甲18、請求人の主張)。
さらに、請求人子会社のウェブサイトには、「株式会社近畿分析センター」の文字が表示されていること(甲2、甲3、甲14)、請求人子会社が参加した学会及び展示会におけるプログラム等では、請求人子会社を「(株)近畿分析センター」又は「株式会社近畿分析センター」と記載されていること(甲15、甲17、甲18)がそれぞれ認められる。
(ウ)上記(イ)で認定した事実によれば、請求人子会社は、環境省の指定調査機関であり、関連する業界団体組織に所属する、半導体工場の運営に関わる環境分析・環境計量証明、材料分析、土壌汚染状況調査等の業務を行っている企業であり、「土壌・地下水調査」及び「土壌浄化・工事」に関する実績が相当程度あり、学会及び展示会に数回参加していることが認められる。
しかしながら、請求人子会社は、同社のウェブサイトにおいて、「株式会社近畿分析センター」の文字を表示していることは認められるものの、「近畿分析センター」の文字からなる本願商標を使用している事情はうかがえない。
また、請求人子会社が参加した学会及び展示会におけるプログラム等では、請求人子会社を「(株)近畿分析センター」又は「株式会社近畿分析センター」と記載されていることが認められるが、単に「近畿分析センター」と記載されている事情はうかがえず、その他、請求人子会社が「近畿分析センター」と略称されている事情はうかがえない。
そうすると、取引者又は需要者をして、「近畿分析センター」といえば、「株式会社近畿分析センター」を指称するものであることを認識されるに至っているということは、何ら認めることはできない。
そして、請求人子会社が本願商標を使用していることがうかがえないことからすれば、本願商標は、その指定役務について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなったとも認めることはできない。
ウ 請求人は、「分析センター」や「近畿」の文字を商標の構成中に含む過去の登録例(甲19~甲28、甲33)を挙げて、本願商標もそれらと同様に登録されるべきである旨を主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
2 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、商標登録を受けることができない。
なお、請求人は、本願商標の使用実績及び周知性について、更に証拠を提出する用意がある旨主張している。
しかしながら、上記1(2)イ(ウ)のとおり、請求人子会社が本願商標を使用していることはうかがえず、また、請求人子会社が「近畿分析センター」と略称されている事情もうかがえないことからすると、仮に、平成13年度以前の事業実績や上記以外の学会及び展示会における参加実績等が提出されたとしても、上記1の判断が左右されるものではない。
したがって、請求人からの更なる証拠の提出を待つことなく、本件審判の審理を終結することとした。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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