商標拒絶査定不服審判
2022-000724
- 審判番号
- 2022-000724
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-152758
- 請求日
- 2022年01月18日
- 審決日
- 2023年01月16日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社グリーンベル
- 【請求人代理人】辻本 希世士
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 藤村 浩二
- 分類
- T18 .13 -Z (W08) / T18 .17 -Z (W08)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-152758拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和元年12月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年9月11日付け :拒絶理由通知書
令和2年10月22日 :意見書の提出
令和3年10月27日付け:拒絶査定
令和4年1月18日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなる立体商標であり、第8類「つめ切り」を指定商品として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなる立体商標であるところ、その指定商品「つめ切り」との関係から、これに接する取引者、需要者が指定商品に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識するにとどまる立体的形状のみからなるものといえる。そうすると、本願商標は、その指定商品「つめ切り」に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和4年9月22日付けで通知した審尋により、別掲2ないし別掲4に示すとおり、請求人が本願商標の特徴であると主張する「てこの表面末端側の3行3列9個の半球状のくぼみの形状」及び「刃の末端側の、刃と平行の角丸長方形の穴の形状」と類似する形状を有する「つめ切り」が存在し、また、本願商標の上記の形状が、いずれも、指定商品の携帯性や使いやすさの発現など機能上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであると認めるに足りる事実を新たに示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示すとともに、請求人の主張及び提出された証拠からは、本願商標の使用状況などに関する事実を十分に把握することができないから、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができず、同条第2項を適用することができない旨の見解を示し、請求人に意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見
請求人は、上記4の審尋に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、その指定商品「つめ切り」に係る立体商標であって、別掲1のとおりの構成よりなるものである。
そして、本願指定商品を扱う分野において、上記4の審尋で示したとおり、「てこの表面末端側の複数のくぼみの形状」及び「刃の末端側の穴の形状」を有する「つめ切り」が存在し、ウェブサイトにおいて紹介又は販売されている事実(別掲2)があり、また、「刃の末端側の、刃と平行の角丸長方形の穴の形状」を有する「つめ切り」が存在し、ウェブサイトにおいて販売されている事実(別掲3)があり、更には、「てこの表面末端側の3行3列9個の半球状のくぼみの形状」及び「刃の末端側の刃と平行の角丸長方形の穴の形状」が、「つめ切り」の携帯性や使いやすさの発現など機能上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであると認めるに足りる事実(別掲4)があることが認められる。
上記実情を踏まえて、本願商標に係る立体的形状を考察すると、その形状は、指定商品「つめ切り」そのものを表したものと認識されるものであり、当該立体的形状は、需要者をして、その商品の機能又は美観上の理由による形状と予想し得る範囲のものであるというべきであって、商品の機能又は美観に資する目的のために採用されたもの、つまり、これに接する需要者が指定商品に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識するにとどまる立体的形状のみからなるものとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、その指定商品「つめ切り」に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標が、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、同条第2項を適用して登録が認められるべきである旨を主張し、証拠方法として、原審において令和2年10月22日付け意見書に添付の甲第1号証ないし甲第8号証を、当審において甲第1号証ないし甲第8号証(甲1、甲2、甲4については画像が鮮明な資料を再提出したとする。)をそれぞれ提出しているところ、以下、本願商標が同条第2項の要件を具備するものであるかについて検討する。なお、当審及び原審において提出された証拠について証拠番号が重複することから、原審における上記意見書に添付の甲第1号証ないし甲第8号証の証拠番号は、甲第9号証ないし甲第16号証と読み替える。
ア 商標法第3条第2項の要件を具備するか否かの判断について
商標法は全国一律に適用されるものであって、商標権が全国に効力の及ぶ更新登録可能な排他的な権利であることからすると、商標法第3条第2項により商標登録が認められるためには、同条第1項第3号に該当する商標が、現実に使用された結果、指定商品又は指定役務の需要者の間で、特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至ったことが必要であると解される(平成28年(行ケ)第10266号判決参照。)。
そして、立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標の形状の特異性及び当該形状に類似した他の商品等の存否、当該商標が使用された期間、商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の実情を総合考慮して判断すべきであると解される(平成31年(行ケ)第10017号判決参照。)。
イ 請求人商品
甲第1号証及び甲第9号証によれば、請求人の業務に係る、本願商標と実質的に同一の形状を有するつめ切り(以下「使用商品」という。)は、昭和62年9月に発行された請求人の商品カタログに掲載されたことがうかがえる。
ウ 本願商標の使用状況
(ア)使用商品は上記イのとおり、昭和62年に請求人商品として販売されていた事実はうかがえるものの、使用商品が継続して販売されてきたことを裏付けるものとされる甲第2号証及び甲第10号証の写真はいずれも、証拠上、請求人の業務に係る「つめ切り」の形状自体が確認できないため、使用商品が販売された事実が明らかではなく、また、いずれの写真も、その撮影場所や撮影時期を確認できないものであるから、当該証拠をもって、使用商品が昭和62年から現在に至るまで、我が国において継続的に販売されてきたということはできない。
(イ)使用商品の販売実績に関して、平成20年10月1日から令和2年10月13日までの販売実績を裏付けるものとされる甲第3号証及び甲第11号証が提出されており、それらは、「グリーンベル ステンレス製爪切り大小の販売数」の表題の下、「CP-30型」等の商品の型番と、2008年10月1日から2020年10月13日までの各商品の販売数等が記載された一覧であるところ、当該一覧は、その作成者や作成時期が明らかではないため、証拠として客観性に乏しく信用力が高いものとはいえない上に、その一覧のいずれの型番の商品が使用商品を示すものであるのか明らかではないこと、一覧に記載された商品が我が国において販売されたものであるのか否か明らかではないことから、当該証拠のみをもって、使用商品の我が国における販売実績を把握することはできない。
(ウ)請求人は、使用商品を米国において販売しているとして、米国向けとされるカタログ(甲4、甲12)を提出し、米国において売上げ数トップとなったことが日本の雑誌に紹介されたとして、雑誌の抜粋とみられる甲第5号証及び甲第13号証を提出しているが、甲第5号証及び甲第13号証に掲載された画像における「つめ切り」の形状は、いずれも、本願商標の特徴とされる「てこの表面末端側の3行3列9個の半球状のくぼみの形状」及び「刃の末端側の、刃と平行の角丸長方形の穴の形状」が確認できないため、使用商品が掲載されたものいうことはできず、また、仮に、使用商品が掲載されたものであるとしても、当該雑誌の抜粋には、請求人の業務に係る「つめ切り」の「切れ味の良さ」や「製品の質の高さ」が米国で評価されていることなどが記載されているものの、使用商品の形状の特徴が特記されているわけでもなく、自他商品を識別するものとしての使用商品の形状が紹介されているものではないから、上記証拠(甲4、甲5、甲12、甲13)は、本願商標の形状自体が、出所識別標識として我が国において認識されるに至っていることを証明するものとはいえないものである。
(エ)使用商品が我が国のテレビ番組で紹介されたとする甲第6号証及び甲第14号証についても、請求人の業務に係る「つめ切り」に関する内容であることはうかがえるものの、紹介されている「つめ切り」が使用商品に関する内容であるのか確認できないテレビ番組も含まれており、また、テレビ番組における紹介内容についても、使用商品とは認められないカバー付きの「つめ切り」について、切った爪が飛ばないことについて外国人が評価しているものなどであり、使用商品の形状の特徴について特集されているわけでもなく、自他商品を識別するものとしての使用商品の形状が紹介されているものではないから、甲第6号証及び甲第14号証は、本願商標の形状自体が、出所識別標識として我が国において認識されるに至っていることを証明するものとはいえないものである。
(オ)つめ切りの人気ランキングに関する甲第7号証及び甲第15号証においては、証拠上、使用商品を確認することができない。
(カ)請求人は、本願商標に周知性があることを前提に請求人の請求が裁判所で認められたとして、不正競争防止法に関する判決(平成29年(ワ)第5011号 甲8、甲16)を提出しているが、商標法第3条第2項の要件を具備するか否かの判断については、上記アのとおりであるから、当該判決の内容を根拠として、本願商標が当然に自他商品識別機能を有するに至っているということはできない。
(キ)使用商品の市場シェア、使用商品の宣伝広告実績(期間及び規模等)、使用商品の形状自体が出所識別標識として認識されているか否かに関する我が国の需要者の認識の程度(アンケート調査の結果等)については、何ら証拠が提出されておらず、これらを把握することができない。
エ 判断
以上によれば、本願商標の使用状況などに関する事実を十分に把握することができず、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができないことから、現実に使用された結果、指定商品の需要者の間で、特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至っているということはできない。また、別掲2ないし別掲4のとおり、本願商標の指定商品との関係で、本願商標の立体的形状と類似する形状を有する「つめ切り」が多数販売されていることからすると、本願商標の立体的形状は、請求人が、その指定商品に使用したことにより、請求人の取り扱う商品を表示するものとして、当該商品の需要者、取引者の間において広く認識されているものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものとは認められないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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