商標異議申立
2021-900457
コーヒーブンコ
- 審判番号
- 2021-900457
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-078786
- 登録番号
- 6456649
- 請求日
- 2021年12月27日
- 審決日
- 2022年08月05日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社越境
- 【異議申立人】珈琲文庫 合同会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人英知国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 岩崎 安子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1652.222-Y (W3043) / T1652.25 -Y (W3043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6456649号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6456649号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6456649号商標(以下「本件商標」という。)は、「珈琲文庫」の漢字を標準文字で表してなり、令和3年6月24日に登録出願、第30類「コーヒー,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),コーヒー豆」及び第43類「飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」並びに第16類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月6日に登録査定、同月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、別掲のとおりの構成からなり、申立人が、2010年に函館にオープンしたコーヒー豆の焙煎及びコーヒー豆の販売のための店舗のオープンツールとして、企画、制作されたものであって、申立人がコーヒー豆の焙煎及びコーヒー豆の販売に使用する商標(以下「引用商標」という。)である。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「コーヒー,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),コーヒー豆」及び第43類「飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」(以下「申立に係る商品及び役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標と引用商標が同一又は類似であることについて
本件商標は、「珈琲文庫」の漢字を標準文字にて表してなるところ、当該文字に相応し「コーヒーブンコ」の称呼を生じ、特定の観念を有しない造語よりなるものである。
他方、引用商標は、「珈琲文庫」の漢字及び「図形」を組み合わせた構成よりなるものであり、その構成中の「珈琲文庫」の文字部分も必ずしも図形部分と常に一体のものとして把握しなければならない事由がないことから、当該文字部分のみも独立して自他商品(役務)の識別標識として機能する部分であるといえる。そうすると、当該文字部分より「コーヒーブンコ」の称呼を生じ、特定の観念を有しない造語よりなるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、「珈琲文庫」の漢字において外観上ほぼ同一であり、「コーヒーブンコ」の称呼において同一であり、かつ、観念上はともに辞書等に記載されない造語であることから互いに紛らわしい同一又は類似の商標といえる。
イ 引用商標の周知性について
引用商標は、申立人が2010年に函館にオープンしたコーヒー豆の焙煎及びコーヒー豆の販売のための店舗のオープンツールとして、札幌大同印刷 O氏が企画、制作したオリジナルな文字及びデザインからなるものである。
そして、引用商標を含むデザインは、「第10回SapporoADCコンペティション&アワード」において、エントリー数806作品、2204点、入選数44.5%という全国規模コンペティションに匹敵する狭き門の中で、その斬新な発想とネーミングにおいて金賞及び銅賞に輝いたものである。
この事実は、印刷物(甲3~甲7)に掲載され、インターネット情報でも検索される。
以上のとおり、「珈琲文庫」は、2010年から現在に至るまで北海道、とりわけ函館を中心とした南北海道地域において、本件商標の出願時及び登録時において「コーヒー豆の焙煎」、「コーヒー豆の販売」等を表示するものとして取引者、需要者に親しまれ、周知されている。
ウ 小括
本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 上述のとおり、「珈琲文庫」は、2010年に申立人のための創作された造語であり、申立人の業務である「コーヒー豆の販売、コーヒー豆の焙煎」に現在に至るまで長年使用し、少なくとも函館を中心とする南北海道においては申立人の業務に係る商標として相当程度周知のものといえる。
イ 不正の目的について
本件商標は、引用商標と同一又は類似の「珈琲文庫」の文字よりなる商標であり、その指定商品及び指定役務も、申立人の事業である「コーヒー豆の販売、コーヒー豆の焙煎」に関連するものである。
そして、前記のとおり、申立人の店舗のオープンツールとして、O氏が企画制作した「珈琲文庫」の文字を含むデザインが「第10回SapporoADCコンペティション&アワード2010」において、金賞及び銅賞に輝いたことは昨今のインターネットの普及により誰でもキーワードを選択することにより容易に検索できたものといえる。
以上から、本件商標権者は、引用商標及び申立人の業務について十分に知り得た状況にあったものと推認できる。
また、前述のとおり、「珈琲文庫」は辞書等に掲載されない造語であることを考慮すれば、偶然に本件商標権者が本件商標を創作したものとは到底理解できない。
これを裏付ける資料として、本件商標権者のインターネット情報によれば、本件商標権者は、「珈琲文庫」及び文庫本の装丁を模したデザインをテイクアウト専用の珈琲の容器に使用している。そして、「「珈琲文庫」とは、飲む文庫本をコンセプトにした越境が手掛ける新たなコーヒーブランド。」として、2021年6月28日(月)から7月9日(金)まで、渋谷のtheHiveJINNANにてショップを期間限定でオープンした。
本件商標は、これに先駆けて商標出願、登録されたものである。
このような文庫本の装丁と珈琲文庫の文字を組み合わせたコンセプトは、2010年に「珈琲文庫」のオープンツールとして、O氏が企画、制作した文庫本の装丁と酷似するデザインであることが明白である。
この点においても本件商標権者が「珈琲文庫」のオープンツールとして、O氏が企画、制作したデザインと偶然に同じコンセプトで本件商標を創作したものとは到底考えられない。
また、本件商標権者のwebサイトによれば、ブランディングやマーケティングを行う企業であり、多数のクリーエーターが所属する企業であって、そのような企業が商標出願前に「珈琲文庫」についてインターネット検索を行わないということは絶対あり得ない。
以上のとおり、本件商標は、申立人が自己の業務に「珈琲文庫」を使用していることを知りながら、商標出願し、登録を受けたものであり、他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用する商標といえるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 引用商標の周知性
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)「札幌アートディレクターズクラブ年鑑2010」(札幌アートディレクターズクラブ 2011年6月24日発行:甲3)には、エントリー数806作品、2204点の中で、出品代表者をO氏とする「珈琲豆販売 珈琲文庫 コンセプトブック」が金賞、「珈琲豆販売 珈琲文庫 パッケージ」が銅賞及び「珈琲豆販売 珈琲文庫 オープンツール」が銅賞及び会員審査賞を受賞し、それぞれに引用商標が付されている。
(イ)「月刊ブレーン」(株式会社宣伝会議 2010年12月1日発行:甲4)には、「珈琲文庫「珈琲文庫」オープンツール」の見だしの下、「函館にオープンした珈琲豆販売店のためのツールです。お店のネーミングから、ロゴ、ツールまですべて手がけました。・・・(札幌大同印刷 O氏)」、「企画制作/札幌大同印刷/O氏」等の記載がある。
(ウ)「南北海道食彩王国」(北海道渡島総合振興局 令和3年3月29日発行:甲5)には、「函館市」のページに「目指すは優しい味のコーヒー焙煎」の見だしの下「珈琲文庫 合同会社」が紹介されている。
(エ)「ハコラク2021/11/No.151」((株)函館新聞社メディア局2021年10月15日発行:甲6)には、「生豆を焙煎し、飲食店へ卸販売している「珈琲文庫」。・・・2010年、珈琲文庫を設立した。」の記載があるものの、当該情報誌の発行日は本件商標の登録査定後のものである。
(オ)「ピープス函館October2021」(蔦屋書店 2021年10月10日発行:甲7)には、「珈琲文庫の珈琲が買えるところ」として4店舗の掲載があるものの、当該店舗の販売開始日等は記載されていないうえに、当該情報誌の発行日は本件商標の登録査定後のものである。
(カ)以上(ア)ないし(オ)からすれば、申立人は、2010年に函館においてコーヒー豆の焙煎やコーヒー豆の販売を行う店舗「珈琲文庫」を設立し、当該店舗において引用商標を使用していることがうかがえる。また、引用商標は、当該店舗のオープンツールとしてO氏によって企画制作されたものであって、複数の賞を受賞したことが紹介されている。
しかしながら、引用商標の使用に係るコーヒー豆の焙煎やコーヒー豆の販売に関する広告宣伝の規模(広告の種類及び広告金額等)並びに販売実績(販売エリア及び売上金額等)等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、それらの詳細が確認できないことからすると、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。
そうすると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務(コーヒー豆の焙煎やコーヒー豆の販売)を表示するものとして、函館を中心とする一地方における需要者に広く知られていたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、前記1のとおり、「珈琲文庫」の漢字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「コーヒーブンコ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録が認められないうえに、何らかの意味合いを理解させるものでもないから、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、別掲のとおり、木を表したような図形とその下に「珈琲文庫」の漢字を配した構成からなるところ、その文字部分(漢字)は、図形部分とは視覚的に分離して看取されて、当該文字部分を捉えて取引に資される場合も考えられる。
そして、当該文字は自他商品及び役務を識別する機能を果たし得ないとみるべき事情はないから、その構成文字に相応して「コーヒーブンコ」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書等に載録がないうえに、何らかの意味合いを理解させるものでもないから、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、「珈琲文庫」の文字を共通にすることから外観において類似し、さらに、「コーヒーブンコ」の称呼を共通にするものであるから、これらを総合して勘案すれば、両者は類似する商標というべきである。
ウ 小括
本件商標と引用商標は、上記イのとおり、類似する商標であるとしても、引用商標は、上記アのとおり、申立人の業務に係る商品又は役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、函館を中心とする一地方における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号適用の要件を欠くものであるから、申立に係る商品及び役務と申立人の業務に係る商品又は役務の類否について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標は、上記(1)イのとおり、類似する商標であるとしても、引用商標は、上記(1)アのとおり、申立人の業務に係る商品又は役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、函館を中心とする一地方における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号適用の要件を欠くものであるから、不正の目的について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立に係る商品及び役務について、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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