商標異議申立
2021-900447
スマプラン、スマ、エスエムエイ、プラン
- 審判番号
- 2021-900447
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-118545
- 登録番号
- 6450260
- 請求日
- 2021年12月20日
- 審決日
- 2022年08月25日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三井住友建設株式会社
- 【権利者代理人】涌井 謙一
- 【権利者代理人】山本 典弘
- 【権利者代理人】鈴木 一永
- 【権利者代理人】工藤 貴宏
- 【権利者代理人】三井 直人
- 【異議申立人】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アーゲー
- 【異議申立人代理人】▲吉▼川 俊雄
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1652.261-Y (W3742) / T1652.262-Y (W3742) / T1652.263-Y (W3742) / T1652.271-Y (W3742) / T1652.4 -Y (W3742)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法8条1項商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第8条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6450260号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6450260号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6450260号商標(以下「本件商標」という。)は、「Smaプラン」の文字を標準文字により表してなり、令和2年9月25日に登録出願、「建築物・構造物・建造物の電源設備・電気設備・発電設備・空調設備・給湯設備・給排水設備・ガス設備・衛生設備・防災設備・消火設備の運転・制御・点検・整備・保守,発電機の修理又は保守,太陽光発電装置の修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,発電設備の修理及び保守」を含む第37類、「電気に関する試験又は研究,新製品の研究及び開発,工業上の調査・開発及び試験」を含む第42類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年8月20日に登録査定され、同年10月1日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の5件の商標であり、4及び5を除き、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1139431号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 SMA
指定商品及び指定役務 第6類、第9類、第19類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2012年(平成24年)3月5日
優先権主張 Germany 2011年(平成23年)9月7日
設定登録日 平成25年12月6日
2 国際登録第1136676号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品及び指定役務 第9類、第37類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2012年(平成24年)3月12日
優先権主張 Germany 2011年(平成23年)9月14日
設定登録日 平成25年12月6日
3 登録第5758167号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 エスエムエイ(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成26年7月28日
設定登録日 平成27年4月17日
4 国際登録第1493388号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 SMA
指定商品及び指定役務 第9類、第16類、第35類及び第37類ないし第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務
国際商標登録出願日 2019年(令和元年)7月18日
優先権主張 Germany 2019年(平成31年)1月25日
拒絶査定不服審判継続中
5 国際登録第1491977号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品及び指定役務 第9類、第16類、第35類及び第37類ないし第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務
国際商標登録出願日 2019年(令和元年)7月17日
優先権主張 Germany 2019年(平成31年)1月25日
拒絶査定不服審判継続中
以下、上記の引用商標1ないし5をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同法第8条第1項、同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであり、同法第43条の2第1項第1号の規定により、第37類「建築物・構造物・建造物の電源設備・電気設備・発電設備・空調設備・給湯設備・給排水設備・ガス設備・衛生設備・防災設備・消火設備の運転・制御・点検・整備・保守,発電機の修理又は保守,太陽光発電装置の修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,発電設備の修理及び保守」及び第42類「電気に関する試験又は研究,新製品の研究及び開発,工業上の調査・開発及び試験」(以下「申立に係る指定役務」という。)について、その登録は取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標が商標法第4条第1項第11号、及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであること
(1)本件商標について
本件商標は、「Smaプラン」の文字からなる商標であり、「Sma」の文字部分は、辞書に記載の無い造語といえるものである。一方、「プラン」の文字部分は、計画、構想、案という意味合いの語であり(甲8)、本件商標の態様においては、当該文字部分は、役務に係る事業の計画、構想、案であることを記述的に示すにすぎず、出所識別標識としての機能を有しないことから、本件商標の要部は「Sma」であるといえる。
したがって、本件商標に接する取引者・需要者は、注意力を比較的強くひく位置にあり強い識別力を有する前半部の「Sma」の文字に着目して該文字部分をもって取引に当たることも決して少なくないというべきである。
そうすると、本件商標は、「スマプラン」「エスエムエイプラン」の称呼以外に、「Sma」の文字部分に着目した「エスエムエイ」又は「スマ」の称呼を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標1及び4は、「SMA」の文字からなる商標であり、引用商標2及び5は、「SMA」の文字部分を有する商標である。そして、引用商標3は、「エスエムエイ」の文字を標準文字で表してなる商標である。
したがって、引用商標1、2、4、5は、「エスエムエイ」又は「スマ」の称呼を生じ、引用商標3は、「エスエムエイ」の称呼を生じるものである。
加えて、申立人は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー関連の世界的企業であり、我が国においても主要メーカーの地位にあるものであり、引用商標の「SMA」の文字は、申立人の社名を表しており、代表的出所識別標識(ハウスマーク)として継続的に使用してきたものである。その結果、引用商標は、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスについて、需要者並びに取引者の間において広く認識されているものである。
(3)本件商標と引用商標とが類似の商標であること
本件商標は、「Smaプラン」からなるものであるが、「プラン」の文字部分は、役務に係る業務の計画、構想、案であることを示すにすぎず、自他役務の出所識別機能を有しない若しくは機能が極めて乏しいものであることから、本件商標は、「Sma」の文字に着目されて「エスエムエイ」又は「スマ」の称呼を生じる。
これに対し、引用商標1、2、4、5は、「SMA」の文字に相応した「エスエムエイ」又は「スマ」の称呼が生じることから、本件商標と引用商標1、2、4、5は、「エスエムエイ」又は「スマ」の称呼において共通にする類似の商標であり、引用商標3は「エスエムエイ」の称呼を生じることから、本件商標と引用商標5とは、「エスエムエイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
(4)本件商標の申立に係る指定役務と引用商標の指定役務とが同一又は類似であること
本件商標の指定役務中、第37類及び第42類の申立てに係る指定役務は、引用商標の指定役務中の第37類及び第42類の指定役務と同一又は類似の役務である。
(5)結論
以上より、本件商標は引用商標と類似の商標であって、かつ、本件商標の指定役務中、申立に係る指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似である。
したがって、本件商標は引用商標1ないし3に照らし、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
また、本件商標は、引用商標4、5に照らし、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであること
(1)本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標が類似する商標であることは、上記1のとおりである。
(2)引用商標の周知・著名性
申立人は、1981年に設立された、ドイツのニーステタールに本拠をおく法人であり、太陽光発電のパワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業である(甲9、甲10)。申立人は、我が国を含む少なくとも18カ国(オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、イタリア、日本、韓国、米国、ポーランド、南アフリカ共和国、南アメリカ(チリ)、スペイン、タイ、英国、アラブ首長国連邦)に拠点を有し(甲13)、屋外設置仕様の太陽光発電パワーコンディショナーの世界シェア30%以上を獲得する世界最大手である(甲12)。我が国においては、全国各地に少なくとも11のサービス拠点を有し(甲14)、申立人のパワーコンデイショナーは、2008年には「Sunny Boy 5000TL」が、2010年には「Sunny Central 800CP」が、世界最大級の太陽光発電システム技術専門国際見本市「インターソーラー」(Intersolar)の賞である、IntersolarAwardを獲得した(甲15)。
また、三相パワーコンディショナーである「Sunny Tripower 17000TL」は、2010年、業界紙「Photon Profi」によるテストにおいて「最高品質製品」と称され最高グレードA+を獲得した。また、これに先立ち、ドイツのシュタッフェルシュタインで開催された太陽光発電エネルギーの第25回シンポジウムにおいてイノベーション賞を獲得した(甲16)。
また、IMSリサーチが行った世界中の顧客への調査で、2012年に人気のある太陽光インバーターブランドとして第1位に選ばれた。製品だけでなく、保証とサービスプランという観点に関しても、申立人は35%以上の票を獲得し第1位になった(甲17)。
申立人のグループ全体の2014年ないし2018年の売上高は、8,054億ユーロないし9,818億ユーロであり、さらに、2014年ないし2020年の当該総売上高から値引、返品、割戻分を差し引いた売上である純売上高においては、46,392,956.64ユーロないし92,189,918.09ユーロであり(甲18)、そのほとんど全てに係る商品・サービスに、申立人の代表的出所識別標識(ハウスマーク)として、引用商標すなわち「SMA」商標を使用している。
申立人のパワーコンディショナーは、世界各国のメガソーラー(1メガワットの規模以上の大規模な太陽光発電設備)を含む、多くの太陽光発電所のほか、ホワイトハウス(米国ワシントンD.C.)、法王謁見の間(バチカン市国)、BMWワールド(ドイツミュンヘン)等の世界各国の主要な拠点などにも広く採用されている。
我が国では、鹿児島県鹿児島市七ツ島に建設された70MWのメガソーラー「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(2012年9月3日着工、2013年10月31日竣工)に申立人のパワーコンディショナーが採用され、140基設置されている(甲19~甲22)。
また、青森県三沢市のメガソーラー「サイエンテック細谷自然エネルギー発電所」(甲23)などにも申立人のパワーコンディショナーが採用されている。申立人の製品は、我が国の主要な再生可能エネルギー関連企業を多く取引先として輸入されている。
引用商標「SMA」は申立人の社名を表しており、代表的出所識別標識(ハウスマーク)として、ドイツのみならず我が国を含む世界各国で継続的に使用してきたものである。「SMA」商標は、申立人のほとんど全ての製品に表示されているほか(甲11)、雑誌記事、広告(甲24~甲33)、これらの製品に関するカタログ、取扱説明書等の取引書類、ホームページ等にも広く使用されてきた。
我が国においても主要メーカーの地位にあり(甲12)我が国のシェアは、2015年は4%、2016年は7%、2017年は7%、2018年は7%、2019年は8%、2020年は6%とのように常に安定した地位を獲得している(甲34)。そして、我が国における顧客との案件は、例えば、昨今の2019年、2020年においては、「三菱電機、九電工、中電工」などの電力(電気)関連会社との案件、通信設備に関する世界トップレベルの技術を持ち、エネルギー関連のシステムインテグレーションを行っている「NTTファシリティーズ」との案件や、通信工事の大手企業である「NECネッツエスアイ」との案件、IHIプラント建設、千代田化工建設などの建設会社との案件、そして、東急不動産、大和ハウスなどの不動産関連会社との案件も含んでいる(甲35)。
以上の事実より、引用商標は、本件商標の出願時にはすでに、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスを表示する商標として広く知られていたものである。
(3)出所混同のおそれ
本件商標の申立に係る指定役務は、申立人が行う太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスと同一又は類似、もしくは密接に関連するものである。
そうとすれば、本件商標に接した需要者は、「Sma」の文字部分から、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、出所について混同するおそれがあるというのが相当である。
(4)小括
したがって、引用商標は、申立人の業務に係る太陽光発電用パワーコンディショナー及び太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービスを表示するものとして広く一般に知られており、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、商標の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「Smaプラン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は欧文字と片仮名からなるとはいえ、「Sma」と「プラン」の間にはスペースもなく、外観上まとまりよく一体的に表されており、これらより生ずる「スマプラン」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、「プラン」の文字が、「計画、構想、案」ほどの意味を有する文字であるとしても、構成全体として特定の意味合いを想起させない一種の造語として理解されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、「スマプラン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)本件商標と引用商標1、2、4及び5との類否について
ア 引用商標1及び4について
引用商標1及び4は、「SMA」の欧文字を書してなり、該構成文字に相応して、「エスエムエイ」及び「スマ」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲1のとおり、横長の長方形の左端下から右端中央にかけて白色の曲線を描き、濃い灰色と薄い灰色とに上下に切り離し、上側の濃い灰色に塗りつぶした部分に白抜きで「SMA」の欧文字を配した構成よりなるところ、「SMA」の文字は、白抜きで目立つように表されていることに加え、当該長方形の図形部分と「SMA」の文字部分は、称呼及び観念上のつながりがあるとはいえない。
そうすると、引用商標2からは、その構成中の「SMA」の文字部分が独立して、自他役務を識別する機能を有する要部として認識されるとみるのが相当であるから、当該文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(本件商標)と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、「SMA」の文字に相応して「エスエムエイ」及び「スマ」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標5について
引用商標5は、別掲2のとおり、横長の長方形の左端下から右端中央にかけて白色の曲線を描き、青色と赤色とに上下に切り離し、上側の青色に塗りつぶした部分に白抜きで「SMA」の欧文字を配した構成よりなるところ、「SMA」の文字は、白抜きで目立つように表されていることに加え、当該長方形の図形部分と「SMA」の文字部分は、称呼及び観念上のつながりがあるとはいえない。
そうすると、引用商標5からは、その構成中の「SMA」の文字部分も独立して、自他役務を識別する機能を有する要部として認識されるとみるのが相当であるから、当該文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(本件商標)と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、「SMA」の文字に相応して「エスエムエイ」及び「スマ」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから、特定の観念を生じないものである。
エ 本件商標と引用商標1、2、4及び5との類否について
本件商標と引用商標1、2、4及び5との類否を検討すると、両者は、文字数及び文字種の相違や図形の有無といった顕著な差異を有するから、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる称呼「スマプラン」と引用商標1、2、4及び5から生じる称呼「エスエムエイ」及び「スマ」とは、構成音の相違又は「プラン」の音の有無という明確な差異を有するから、称呼上、相紛れるおそれはない。
また、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1、2、4及び5とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標1、2、4及び5とは、同一又は類似するものではない。
(3)本件商標と引用商標3との類否について
ア 引用商標3について
引用商標3は、「エスエムエイ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、これよりは、「エスエムエイ」の称呼が生ずること明らかであり、また、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから特定の観念は生じないものである。
イ 本件商標と引用商標3との類否について
本件商標は、上記(1)のとおり、「Smaプラン」の文字を書してなるところ、「スマプラン」の称呼を生じ特定の観念を生じないものである。
本件商標と引用商標3との類否を検討すると、両者は、構成文字の相違から、外観において明らかに相違し、明確に区別し得るものである。
次に、本件商標から生じる称呼「スマプラン」と引用商標3から生じる称呼「エスエムエイ」とは、構成音の相違から、称呼上、相紛れるおそれはない。
また、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標3とは、同一又は類似するものではない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし3とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務の類否について検討するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
また、本件商標と引用商標4及び5とは、非類似の商標であるから、両商標の指定役務の類否について検討するまでもなく、本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1981年(昭和56年)にドイツで設立された制御システムの開発会社を前身とする太陽光パワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業である(甲9、甲10)。
(イ)SMA Japanのウェブサイトには、「ドイツに本拠を構えるSMAソーラーテクノロジーは・・・世界20カ国へ累計65GWに及ぶ太陽光発電用パワーコンディショナを提供してきました。」、「SMAジャパンは、SMA製パワコンを日本のユーザに責任を持ってお届けします。」及び「SMAジャパン株式会社」の表示がある(甲14:2019年(平成31年)4月1日出力)。
(ウ)「環境用語集/パワーコンディショナー」(甲12:2019年(平成31年)4月17日出力)には、「パワーコンディショナーとは、直流の電気を交流に変換し、家庭用の電気機器などで利用できるようにするための機械。」及び「SMAジャパン 世界19カ国で展開するドイツの企業。20年もの間、屋外型の太陽光発電用パワーコンディショナーを生産し35%のマーケットシェアを獲得している世界的なリーディングカンパニー。」の記載がある。
(エ)申立人のプレスリリース(甲15、甲16:2010年(平成22年)6月9日、同年9月7日)には,「ミュンヘンでの今年度のIntersolarの太陽光発電部門でIntersolar Awardを獲得した。」及び「業界紙Photon Profiによる最新インバータテストにおいてSMAのSunny Tripower17000TLが「最高品質製品」だと称され、最高グレードA+を獲得した。」の記載がある。
また、同プレスリリースの右上には引用商標5(同一視できるものを含む。以下同じ。)が表示されている。
(オ)IMS researchのプレスリリース(甲17:2013年(平成25年)1月21日)には、「IMS Research(現在はIHS Inc.に属す。(ニューヨーク証券取引所:IHS))が400以上の太陽光インバーター購入者を対象に行った新たな調査において、2012年世界的に人気であった太陽光インバーターブランドはSMA Solar Technologyであった。」の記載がある。
(カ)申立人のグループ全体の売上高は、2014年ないし2018年の売上高は、8,054億ユーロないし9,818億ユーロであり、さらに、2014年ないし2020年の当該総売上高から値引、返品、割戻分を差し引いた売上である純売上高においては、46,392,956.64ユーロないし92,189,918.09ユーロとされている(甲18 申立人主張)。
(キ)申立人の日本におけるシェアは、2015年4%、2016年ないし2018年7%、2019年8%、2020年6%とされている(甲34 申立人主張)。
(ク)SMA Japanのウェブサイトの各ページには、引用商標5が表示されている(甲11、甲13、甲14:2019年(平成31年)4月1日出力)。
(ケ)日経BP社の「メガソーラービジネス」に関する情報(甲21:2013年(平成25年)11月5日、甲22:同年11月26日)には、鹿児島メガソーラー発電がメガソーラー(大規模太陽光発電所)を鹿児島県鹿児島市七ツ島に建設し、「パワーコンディショナー(PCS)はドイツSMAソーラーテクノロジー社製」である旨紹介されている。
(コ)SMA Japanのウェブサイトに「青森県三沢市」「最大の信頼性を実現 SUNNY CENTRAL500CP-JP」の見出しの下、「この太陽光発電システムは、4月17日にサイエンテック細谷自然エネルギー発電所により操業が開始されました。この発電所に使用されたメガソーラー用パワーコンディショナSunny Central 500CP-JPは、・・日本向けに特別に開発された大規模発電所用モデルです。」と記載されている(甲23)。また、SMAジャパン株式会社は、企業に対して太陽光発電パワーコンディショナを販売している(甲35)。
(サ)申立人の業務に係る太陽光パワーコンディショナー(以下「申立人商品」という。)は、「月刊ソルビスト」(甲31:2014年(平成26年)8月号)及び「日経ホームビルダー」(甲32:2014年(平成26年)9月号)において紹介又は広告がされているところ、両誌には「SMAジャパン株式会社」の文字及びその左側に引用商標5が表示されている。
(シ)申立人商品は、外国雑誌において紹介されている(甲26~甲30)。
イ 上記アによれば、申立人は、太陽光パワーコンディショナーの開発、生産、販売を主要業務とする企業であって、申立人商品は、2010年(平成22年)にドイツにおいて、太陽光発電部門でIntersolar Awardを獲得したり、最高品質製品と称されており、また、アメリカにおける2012年調査において、世界的に人気がある太陽光インバーターブランドは、「SMA Solar Technology」とされているが、当該事実は、外国におけるものである。
そして、申立人商品の雑誌等の広告において、引用商標5が使用されていることが認められるものの、他の引用商標について使用されていることは確認できない。
申立人は、2019年頃には屋外型の太陽光発電用パワーコンディショナーで35%のマーケットシェアを獲得していることがうかがえるが、当該シェアは対象とされる地域が不明である。また、申立人は、我が国のシェアについても主張しているが、当該シェアの根拠とされる甲第34号証は、申立人が作成したものと認められ、これを裏付ける客観的な資料の提出はない。
そして、申立人の主張する売上高は、グループ全体のものであり、かつ当該売上高の根拠とされる甲第18号証は、申立人が作成したものと認められ、これを裏付ける客観的な資料の提出はない。
さらに、我が国において、申立人商品は「SMAジャパン株式会社」が販売しており、同社のウェブサイトには引用商標5が表示されていることは認め得るものの、申立人商品を使用した、太陽光発電所は、青森県及び鹿児島県のわずか2か所であり、雑誌における、申立人商品に関する紹介及び広告についても、2014年(平成26年)にわずかに2誌に掲載されているのみである。
また、SMAジャパン株式会社が我が国の企業に対して太陽光パワーコンディショナーを販売していることは認め得るものの、我が国におけるシェア及び販売実績を示す客観的な証拠の提出はない。
そうすると、引用商標1ないし4は、申立人商品において使用の事実が認められず、引用商標5は、申立人商品の雑誌等の広告や「SMAジャパン株式会社」のウェブサイト等において使用されていることは認め得るものの、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできない。
また、引用商標は、申立人の業務に係る役務(太陽光発電用システムに関連して行われる設置・修理・保守等のサービス)について使用されている客観的な証拠の提出はないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記1(2)及び(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において区別できる非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。
(3)出所の混同のおそれについて
引用商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできない。
また、本件商標と引用商標とは上記(2)のとおり類似性の程度は低いものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれを申立に係る指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、異議申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号並びに同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-900447