商標異議申立
2021-900435
ディッキーズバーベキューピット、ディッキーズ、ディッキー、バーベキューピット
- 審判番号
- 2021-900435
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-136845
- 登録番号
- 6449196
- 請求日
- 2021年12月16日
- 審決日
- 2022年08月24日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ディッキーズ バーベキュー ピット インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】中村 稔
- 【権利者代理人】井滝 裕敬
- 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
- 【権利者代理人】藤倉 大作
- 【権利者代理人】相良 由里子
- 【権利者代理人】松下 友哉
- 【異議申立人】株式会社 ヒーロー
- 【異議申立人代理人】江端 重信
- 【異議申立人代理人】田中 宏明
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1651.261-Y (W43) / T1651.262-Y (W43) / T1651.263-Y (W43) / T1651.271-Y (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6449196号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6449196号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6449196号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年11月5日に登録出願、第43類「レストランにおける飲食物の提供,テイクアウト可能なレストランにおける飲食物の提供,ケータリング,飲食物の提供」を指定役務として、同3年9月17日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6024414号商標(以下「引用商標」という。)は、「BBQPIT」の欧文字と「バーベキューピット」の片仮名を上下二段に表してなり、平成29年6月22日に登録出願、「飲食物の提供」など第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同30年3月2日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、上段部分を構成する「DICKEY’S」のアルファベットと、下段部分を構成する「BARBECUE PIT」のアルファベットからなる、上下二段の商標であるところ、本件商標のようないわゆる結合商標については、商標の各構成部分の結合の強弱の程度を考慮し、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない場合には、その一部だけから称呼、観念が生じ得るとされている。そして、結合の強弱の程度は、文字のみからなる商標においては、大小があること等の商標の構成上の相違点等を考慮して判断されると解される(商標審査基準参照)。
本件商標は、大きさの相違する「DICKEY’S」「BARBECUE PIT」それぞれの文字からなる商標であり、かつ、これらの文字は上段と下段に分かれていることから、2つの部分に区分されることが一見して明らかである。したがって、本件商標は、「BARBECUE PIT」のみからも称呼、観念が生じると考えられる。
そして、「BARBECUE PIT」の称呼は、引用商標である「BBQPIT\バーベキューピット」の称呼と一致する。また、観念としても、引用商標の「BBQ」は「BARBECUE(バーベキュー)」の略称であることは明らかであり(甲3)、本件商標と引用商標は、ともに「バーベキューを調理する設備、場所」との観念を生じ、観念においても同一である。
したがって、本件商標と引用商標とは、「バーベキューピット」の称呼、「バーベキューを調理する設備、場所」の観念を共通にするものであり、極めて類似した商標である。
イ 本件商標と引用商標の指定役務の同一性
本件商標と引用商標の指定役務は、類似群コードとしていずれも「42B01」が付されており(甲1、甲2)、実態としても、本件商標と引用商標は、それぞれバーベキュー料理を提供する役務についての商標であるという点で一致している(甲4、甲5)。
したがって、本件商標と引用商標の指定役務は、同一又は類似のものである。
ウ 小括
以上より、本件商標と引用商標とは、「バーベキューピット」の称呼、「バーベキューを調理する設備、場所」との観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
申立人は、引用商標を、申立人が営む店舗(バーベキュー会場)の名称及びロゴとして使用している(甲6)。
申立人は、引用商標を使用した店舗を、首都圏のみならず東海圏においても展開している(東京都に2店舗、神奈川県に1店舗、愛知県に1店舗。甲7)。また、申立人は、引用商標を単に店頭に掲げるだけでなく、ポスター・チラシ配布(甲8)や各種イベントの開催(甲9)を通じて、需要者に引用商標が周知されるよう、積極的なプロモーション活動を展開している。特に、「BBQPIT@アトレ目黒店」において米国食肉輸出連合会が開催したバーベキュー体験イベントは、ソニー・パデュー米国農務長官が参加したこともあり、国内では食品農業新聞社のニュースに取り上げられたほか(甲10)、様々な国の新聞において上記イベントの記事が掲載されている(甲11)。また、「BBQPIT ルミネ立川」については、「アーバンBBQ」、すなわち都市型のバーベキューの人気を反映した店舗として、日本経済新聞に紹介されている(甲12)。
この他、特定非営利活動法人日本フードコーディネーター協会の会報誌「FCAJ ジャーナル」に「BBQPIT@アトレ目黒店」の紹介記事が載るなど「BBQPIT」各店舗は様々な雑誌、タウン情報誌(甲13)や食べログ等の各種グルメサイトに掲載されている(甲14)。また、関西テレビ「おかべろ」、日本テレビ「news every」にて「BBQPIT@アトレ目黒店」が紹介され、中京テレビ「キャッチ」、同「前略 大徳さん」で「BBQPITららぽーと名古屋みなとアクルス」が紹介される(甲15)など引用商標は多種多様な媒体で広く報じられている。
さらに、インターネット検索においても、「Google」「Yahoo!Japan」及び「Bing」にて「BBQPIT」をキーワードとして検索すると、上位の検索結果(1頁目)には、「Google」「Yahoo!Japan」ではいずれも、「Bing」でも専ら、申立人のオフィシャルサイトや申立人が経営する店舗を紹介するグルメサイトがヒットするのであり(甲16)、引用商標は申立人店舗の名称等を意味するものとして多数の需要者の目に触れているものといえる。また、これらのインターネットポータルサイトにおいては、「BBQPIT」の関連キーワードとして、「bbqpit@アトレ目黒」「bbqpitあざみ野ガーデンズ」「bbqpitルミネ立川」「bbqpit名古屋」といった申立人の店舗に関するワードが数多く表示される。こうした、いわゆる「関連キーワード」の機能は、各ポータルサイトにおいて、検索機能の利用者が入力したキーワードやその組み合わせを独自に計算処理した結果を表示するものであることからすれば、上記の関連キーワードの表示結果は、一般の需要者が「BBQPIT」という語を申立人の店舗と関連づけて検索していることを示すものである。
以上からすると、引用商標は、需要者の間に広く認識されているものである。
イ 混同を生ずるおそれ
本件商標と引用商標は、前記(1)アのとおり、その称呼及び観念が一致する極めて類似した商標である。また、その指定役務は、前記(1)イのとおり、抽象的に類似群コードが一致しているのみならず、いずれもバーベキュー料理を提供するという点でも一致しているため、その指定役務も高度に一致ないし類似したものといえる。さらに、需要者についても、いずれもバーベキュースタイルの料理(肉、野菜などを直火で焼きながら食べる料理)を好むという点で共通性が認められる。
そして、本件商標(DICKEY’S BARBECUE PIT)は、「BARBECUE PIT」という語句(決定注:「DICKEY」の誤記と認める。)に所有格である「’S」が付加されることにより、仮に全体として観察すれば、「DICKEY」の「BARBECUE PIT」という意味に捉えられることとなる。このことと、前述した役務等の共通性からすれば、本件商標は、あたかも、申立人が提供するサービスである「BBQPIT」の一種類であるかのような印象を与え、申立人の役務と混同を生ずるおそれが高いといえる。
現に、第三者から申立人に対しては、ここ最近に限っても、JR目黒駅に直結する駅ビル内にある申立人が経営する「BBQPIT@アトレ目黒店」(甲14の1)と同じJR目黒駅の近隣にある本件商標を使用した「DICKEY’S BARBECUE PIT目黒店」(甲5)とを混同等する問い合わせがなされている(甲17)。
したがって、本件商標の指定役務の分野の需要者は、「BARBECUE PIT」の文字を有する本件商標がその指定役務について使用された場合には、申立人の業務に係る役務と出所を混同するおそれがあることは明らかである。
ウ 小括
以上より、本件商標がその指定役務に使用された場合、その役務の需要者が申立人の業務に係る役務と出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
4 当審の判断
(1)申立人が使用する商標及び引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は、遅くとも2017年7月頃からバーベキュー設備を備えた店舗において「飲食物の提供」「バーベキュー用品の貸与」など(以下「申立人役務」という。)を開始したこと(甲8の2、職権調査)、「BBQPIT」を店舗名とする申立人役務を提供する店舗(以下「申立人店舗」という。)は、現在、東京都品川区のアトレ目黒、立川市のルミネ立川、横浜市のあざみ野ガーデンズ及び名古屋市のららぽーと名古屋において計4店舗展開していること(甲4、甲7、他、職権調査)、申立人店舗は、新聞、雑誌、タウン情報誌、グルメサイト及びテレビで紹介等されていること(甲10、甲12~甲15)、それらには申立人店舗を「バーベキューピット」と称しているものがあること(甲12、甲14)が認められ、また、申立人は「BBQPIT」の文字を表示した申立人店舗のポスターやチラシを掲示、配布等したことがうかがえる(甲8)。
もっとも、申立人店舗を、「BBQPIT」と「バーベキューピット」の文字とを併記して紹介等する新聞や雑誌、グルメサイトは見受けられるものの、申立人店舗や申立人役務について、「BBQPIT」の欧文字と「バーベキューピット」の片仮名を上下二段に表してなる引用商標と同一の構成からなる標章が用いられている事実は確認できない。
さらに、申立人店舗における売上高、来店者数など具体的な営業実績を示す主張はなく、それを示す証左は見いだせない。
イ 上記アのとおり、申立人は、遅くとも2017年7月頃から東京、横浜、名古屋の4店舗(申立人店舗)において商標「BBQPIT」(以下「使用商標」という。)を用いて申立人役務を提供し、当該申立人店舗はタウン情報誌、グルメサイトなどで紹介等されていることが認められるものの、申立人店舗における営業実績を示す証左は見いだせず、また、申立人の使用する商標として引用商標が用いられた事実は確認できないから、使用商標及び引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり右側がやや狭い黄色の四角形内に、上段に大きく「DICKEY’S」の欧文字(「’」(アポストロフィー)はオレンジ色の星型の図形で表されている。)を、下段に小さく「BARBECUE PIT」の欧文字を表してなるものである。
そして、本件商標の構成中、下段に小さく表された「BARBECUE PIT」の文字は、「バーベキュー用に火を起こすための炉」(株式会社研究社「新英和大辞典」)の意味を有し、「バーベキューを調理する設備、場所」ほどの意味合いを想起させ、本件商標の指定役務との関係において、自他役務識別標識としての機能が弱いといえることから、当該文字部分を本件商標の要部として分離抽出し、その部分のみを他の商標と比較して商標そのものの類否を検討することは許されないというべきである。
一方、本件商標の構成中、上段に大きく表された「DICKEY’S」の文字は、辞書等に載録された既成語ではなく、一種の造語として認識されるものであり、本件商標の指定役務との関係において、自他役務識別標識としての機能が弱いといえる事情も見いだせないから、本件商標は、当該文字部分より「ディッキーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
したがって、本件商標は、その全体から生じる「ディッキーズバーベキューピット」の他に、「DICKEY’S」の文字部分に相応し「ディッキーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり「BBQPIT」の欧文字と「バーベキューピット」の片仮名を上下二段に表してなり、該文字に相応し「バーベキューピット」の称呼を生じ、上記アのとおり、「バーベキューを調理する設備、場所」ほどの意味合いを想起させるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の上記ア及びイのとおりの外観は構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ディッキーズバーベキューピット」及び「ディッキーズ」の称呼と引用商標から生じる「バーベキューピット」の称呼を比較すると、「ディッキーズバーベキューピット」と「バーベキューピット」の比較においては、両者は前半部に「ディッキーズ」の音の有無という明らかな差異を有するから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、判然と聴別し得るものである。また、「ディッキーズ」と「バーベキューピット」の称呼の比較においては、両者の構成音が明らかに異なり、聞き誤るおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「バーベキューを調理する設備、場所」ほどの意味合いを想起させるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標は大きさの相違する「DICKEY’S」「BARBECUE PIT」の文字からなり、これらの文字は上段と下段に分かれていて2つの部分に区分されることが一見して明らかであるから、「BARBECUE PIT」のみからも称呼、観念が生じるとして、本件商標は引用商標と「バーベキューピット」の称呼、「バーベキューを調理する設備、場所」の観念を共通にする極めて類似した商標である旨主張している。
しかしながら、上記アのとおり、本件商標の構成中、「BARBECUE PIT」の文字は下段に小さく表され、また、「バーベキューを調理する設備、場所」ほどの意味合いを想起させ、本件商標の指定役務との関係においては自他役務識別標識としての機能が弱いといえるものであり、他に本件商標の構成中「BARBECUE PIT」の文字部分を要部として分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張はその前提において理由がない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と使用商標の類否
本件商標は、上記(2)アのとおり、別掲に示す構成からなり、「ディッキーズバーベキューピット」及び「ディッキーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
使用商標は、上記(1)イのとおり「BBQPIT」の欧文字からなり、該文字に相応し「ビービーキューピット」及び「バーベキューピット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
そこで、本件商標と使用商標を比較すると、両者の上記のとおりの外観及び称呼は構成態様及び語調語感が明らかに異なり、また観念は比較できないから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 混同のおそれ
上記(1)のとおり使用商標及び引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、本件商標と使用商標は上記アのとおり、本件商標と引用商標は上記(2)のとおり、いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いものとはいえない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして使用商標及び引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-900435