商標異議申立
2021-900430
スマホデネンガジョー
- 審判番号
- 2021-900430
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-076698
- 登録番号
- 6464782
- 請求日
- 2021年12月10日
- 審決日
- 2022年12月22日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社CONNECTIT
- 【権利者代理人】弁理士法人井上国際特許商標事務所
- 【異議申立人】株式会社 スフィダンテ
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】小坂 準記
- 【異議申立人代理人】遠藤 祥史
- 【異議申立人代理人】栗下 清治
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 分類
- T1651.13 -Z (W09354042) / T1651.272-Z (W09354042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6464782号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6464782号商標の商標登録を取り消す。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6464782商標(以下「本件商標」という。)は、「スマホで年賀状」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月21日に登録出願、第9類「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」、第35類「郵便物の宛名書き・封入・発送の代行,あて名書きの代行,コンピュータデータベースへの情報構築,コンピュータによるファイルの管理,文書又は電子媒体データのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,名刺情報のデータを記録したファイルのコンピューターによる管理,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配」、第40類「映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本,印刷」及び第42類「画像・イラスト・文字・図形を作成・編集・加工するための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),文書のデジタル変換(スキャニングによるもの),スキャニングアプリケーション用電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,イメージスキャン[画像の物理媒体から電子媒体への変換],電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウェアの提供,コンピュータソフトウェアの貸与,電子データの保存用記憶領域の貸与,デザインの考案」を指定商品及び指定役務として、同年10月15日に登録査定、同年11月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本件商標の意味合い
本件商標を構成する「スマホ」の語は、「スマートフォン」の略称であり、「年賀状」の語は「新年の祝いのために出す書状」を意味する(広辞苑第7版。甲5)。
したがって、本件商標からは、「スマートフォンを使用して新年の祝いのために出す書状を作成する」との意味合いが自然に想起される。
イ 本件商標に関する取引の実情
本件商標の登録査定時において、複数の事業者により、年賀状を作成するためのスマ―トフォン用アプリケーションソフトウェアが提供されており、需要者に広く用いられている(甲6~甲10)。
ウ 本件商標に対する需要者の認識
上記ア及びイのとおり、本件商標から想起される意味合い及び本件商標に関する取引の実情を考慮すると、本件商標に接する需要者は、本件商標を「スマートフォンを使用して新年の祝いのために出す書状を作成するための商品」の品質等を記述的に表す表示として認識し、また、将来を含め、そのように認識する可能性はきわめて高いといえる。
エ 本件商標には独占適応性がないこと
上述のとおり、「スマホで年賀状」の語は、「スマートフォンを使用して新年の祝いのために出す書状を作成する」といった商品の品質等を記述的に表すものであり、そのような商品等を提供する事業者や利用する需要者であれば、その活動上必要な表示として使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではない。現に、商品の品質等を記述するためのものとして、使用例が認められる(甲11~甲15)。
オ 小括
本件商標は、需要者から、商品の品質等を表す語として認識・理解されているものであり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないばかりか、取引に際し必要適切な表示であって、特定人による独占使用を認めるのは公益上適当ではない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標の指定商品を取り扱う業界のみならず需要者一般において、スマートフォンで撮影した写真から写真付き年賀状を作成することは本件商標の登録査定時において、既に我が国で広く普及し定着していたものである。そのため、本件商標は、需要者により、その商品の品質又は役務の質を表すものと認識される可能性がある。そうすると、本件商標を、その指定商品のうち、「スマートフォンで年賀状を作成するための商品」以外の商品、又は「スマートフォンで年賀状を作成するための役務」以外の役務に使用するときは、商品の品質や役務の質に誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審における取消理由
当審において、本件商標権者に対し、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである旨の取消理由を令和4年8月22日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
4 本件商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、本件商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
「スマホで年賀状」の文字は、「スマートフォンを使用した年賀状」という意味を認識、理解させるものではない。
年賀状に関するスマートフォンの用途は、例えば、スマートフォンで年賀状のお礼の電話やメールをする、スマートフォンで年賀状を撮影して画像データとして保存しておく、スマートフォンで年賀状のお年玉抽選くじの結果を調べる等様々である。
したがって、「スマホで年賀状」の言葉は、第9類の指定商品の品質および第42類の指定役務の質を直接的・具体的に表示するものではない。
取消理由通知書において挙げられたウェブサイト及び新聞記事の記事においても「スマホで年賀状」が単独で表示されているのは2013年12月14日付け「毎日新聞夕刊1ページ」のみであり、それ以外は、「作成」、「作れる」、「作ろう」、「ご注文」といった言葉とともに表示されている。ウェブサイトや新聞記事においては、新しいサービスが紹介されたり、サービスの広告を目的とした記事が掲載されたりするため、検索エンジンやデータベースにより検索を行えばこのような記事が発見されるのは当然であり、スマートフォンを日常的に使用して様々な活動を行っている需要者及び取引者の一般的な認識として「スマホで年賀状」という言葉のみで「スマートフォンを使用した年賀状」という観念が生じるとは考えられない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
上述のように、スマホには多数の機能があることから、「スマホで年賀状」のみで、「スマートフォンで年賀状を作成するための役務」という意味を認識させるとは考えられない。
したがって、本件商標は、第35類及び第42類の指定役務の質の誤認を生じさせるものではなく、そのおそれもない。
(3)商標の著名性について
本件商標は、本件商標権者による商標の使用により、登録査定時において、指定商品及び役務の需要者の間で、本件商標権者の業務に係る商品又は役務を示す商標として全国的に認識されていたものである。
したがって、本件商標は、仮に商標法第3条第1項第3号に該当したとしても、商標法第3条第2項の規定により商標登録が認められるべきものである。
また、この商標の著名性により、本件商標は本件商標権者の商標であると認識され、役務の質を示すものとは認識されないため、需要者及び取引者が第35類及び第42類の指定役務の質の誤認することはなく、そのおそれもない。
ア 本件商標権者が本件商標を指定商品・役務に使用し、本件商標が全国的に認識されている事情
(ア)インターネットの検索エンジンに「スマホで年賀状」と入力し、検索すると、検索結果の上位に本件商標権者の名称と住所を含む本件商標権者のウェブサイトが表示される(乙1)。
上記本件商標権者のウェブサイトの中央付近には「スマホで年賀状」の商標が表示され、AppStoreへのリンクが貼られているところ、当該リンクをクリックすると、本件商標権者の商品と役務の説明が表示される(乙2)。当該説明に示すアプリのアイコンは「スマホで年賀状」の文字をモチーフとした本件商標権者の商標を含む。
(イ)本件商標権者は、令和2年11月から12月にかけて、本件商標権者が提供する商品および役務を紹介する2種類のテレビCMを日本全国で放映している(乙3)。
上記テレビCMについてのリーチ率を調査した結果、15秒CMについては全国平均で16.7%が、6秒CMについては全国平均で8.2%が「確かに見た」と回答し、15秒CMについては31.5%、6秒CMについては22.4%が「確かに見た」または「見たような気がする」と回答している(乙4)。
また、上記調査により、スマートフォンアプリからの年賀状の印刷注文をどのアプリから行ったのかを調査したところ、本件商標権者が提供する「スマホで年賀状」からの注文率は全体の16.9%に及んでおり、日本国内で最も利用されている年賀状アプリとなっている(乙5)。
(ウ)本件商標権者の商品及び役務は、令和2年12月4日及び同月7日にテレビの情報番組において紹介された(乙6、乙7)。
(エ)本件商標権者の商品および役務は、ファッション情報誌の2020年1月号においても紹介された(乙8)。
(オ)本件商標権者の商品及び役務は、令和元年12月3日及び同月10日にラジオ番組においても紹介された。
(カ)この他、本件商標権者の商品及び役務は、多数の雑誌、ウェブサイトにおいても紹介されている(乙9~乙17)。
イ 本件商標が著名性を獲得し、商標登録出願を行うに至った経緯
本件商標権者は平成26年に法人化され、それ以前は株式会社博報堂アイ・スタジオの一部門として活動をしていた組織体である(乙18)。
本件商標権者は平成22年から株式会社博報堂アイ・スタジオの一部門として、ヤフーとの共同事業として「スマホで年賀状」の前身となる「ネットで年賀状」や「Yahoo! JAPAN年賀状」を運営していた(乙19、乙20)。
「スマホで年賀状」はリリース前からプロモーション活動を行い、平成25年11月時点で地上波メディアでの紹介実績がある(乙21)。
本件商標権者は、本件商標を冠した「スマホで年賀状-Yahoo! JAPAN年賀状専用アプリ」が平成25年11月6日に正式リリースした(乙22)。
平成25年10月1日から平成26年1月31日の期間で「スマホで年賀状」はiOSのみで206,000ダウンロードを獲得している(乙23)。
上記から本件商標は平成26年1月31日までに全国的な著名性を獲得していた。
本件商標の商標登録をすべき旨の査定の4日前から2日前まで実施したアンケートにおいて12.9%の人が本件商標を認知しているという結果となった(乙26)。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、取り消されるべきものではない。
5 当審の判断
(1) 「スマホで年賀状」の文字について
ア 申立人の提出に係る本件商標の登録査定前の証拠によれば以下のとおりである。
(ア)Canonのホームページ「キャノンのプリンター/年賀状2021」には、「NEW!年賀状づくりがスマホで完結」、「スマホで年賀状のデザイン面も宛名面もつくれる」の記載がある(甲7)。
(イ)「スマホでカラリオ年賀on the App Store」のウェブサイトには、「スマホでかんたん年賀状作成!」の記載があり、「Ratings and Reviews」の「2020年12月27日」に「通信面も宛名面もとても簡単に作れて、手元のスマホとプリンターだけですぐにできあがり。」等の記載がある(甲8)。
(ウ)「スマホで年賀状を簡単作成|写真年賀状ならノハナ年賀状2022アプリ」のウェブサイトには、「かんたん!便利な年賀状作成はノハナにおまかせ」、「スマホ一つでいつでも、どこでも年賀状が作成できます!」の記載とともに2020年12月における「ユーザーの声」が掲載されている(甲9)。
(エ)「イオンの年賀状2021」のウェブサイトには、「スマホで簡単作成・ご注文!/年賀状をスマホでご注文頂けるスマホアプリです。」の記載がある(甲10)
(オ)「インクのNO.1チップス」のウェブサイトには、「はじめてでも簡単!スマホで作る年賀状」の見出しの下、「プリンターメーカーの年賀状アプリ/年賀状印刷を自宅で行う場合でプリンターがスマホと接続可能であれば、そのプリンターメーカーの年賀状アプリが便利です。」の記載とともに、「EPSON スマホでカラリオ年賀/2019年用のアプリでは・・・」の記載がある(甲12)。
(カ)「印刷通販@グラフィック」のウェブサイトには、「年賀状の豆知識」の見出しの下、「スマホで作る年賀状!どんなアプリがおすすめ?」(2021.10.1)の記載がある(甲13)。
(キ)「エキサイトニュース」のウェブサイトには、「平成最後はスマホで年賀状を作ろう!エプソンが無料アプリを提供」(2018年11月1日)の記載がある(甲14)。
(ク)「rocketnews24」のウェブサイトには、「【超絶便利】年賀状の作成も投函もスマホでめちゃ簡単にできてビビった/アプリ「はがきデザインキット2015」がマジで使える件」(2014年12月26日)の記載がある(甲15)。
イ 当審における職権調査(新聞記事)
(ア)2012年11月13日 日本経済新聞 地方経済面 長野3ページ」には、「スマホで年賀状作成、エプソンがアプリ提供。」の見出しの下、「セイコーエプソンはスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)を使い簡単に年賀状を作成できるアプリケーションの無料提供を始めた。」の記載がある。
(イ)「2013年12月14日 毎日新聞 夕刊1ページ」には、「チェック:指1本で年賀状 スマホ新サービス続々、印刷・投函まで」の見出しの下、「大手検索サイトのヤフー・ジャパン、日本郵便と提携して「スマホで年賀状」のサービスを始めた。」の記載がある。
(ウ)「2014年11月17日 日本経済新聞 朝刊19ページ」には、「スマホで年賀状作り(これがおすすめ電子版から)」の見出しの下、「最近はスマートフォン(スマホ)のアプリではがきのデザインから投函までを済ませることができるサービスが充実してきました。」の記載がある。
(エ)「2015年11月8日 日経MJ(流通新聞)6ページ」には、「年賀状、PCで無料作成、ソースネクスト、スマホアプリも。」の見出しの下、「ソフトウェア開発のソースネクストは、パソコンで年賀状を無料で作れるサービスを始めた。・・・月内にはスマートフォン(スマホ)用のアプリも提供を開始する。・・・スマホで年賀状が作れるアプリの提供も始める。」の記載がある。
(オ)「2015年12月5日 東京読売新聞 朝刊19ページ」には、「年賀状 スマホでおまけ 音楽プレゼント かざして動画」の見出しの下、「紙のはがきとスマートフォン(ネット)を連動させた年賀状サービスも広がっている。」の記載がある。
(カ)「2016年12月15日 日本経済新聞 夕刊7ページ」には、「迫る年賀状、スマホが味方-宛名読み込み、写真の挿入も(ネットナビ)」の見出しの下、「キャノンマーケティングジャパン(MJ)は今年、初めてスマホで年賀状を作成できるアプリ「PIXUS かんたん年賀状」を配信した。」の記載がある。
ウ 上記ア及びイからすると、本件商標の登録出願前の2012年11月には、スマートフォンで年賀状を作成するためのアプリケーションソフトウェアが販売、提供されたり、2013年12月には、スマートフォンを使用した、年賀状印刷から投函までを行うサービスが始められている事実がある。また、本件商標の登録査定時前には、複数の事業者により、スマートフォンで年賀状を作成するためのスマ―トフォン用アプリケーションソフトウェアが提供され、需要者に広く用いられていたものといえる。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「スマホで年賀状」の文字を標準文字で表してなり、その構成中「スマホ」の語は、「スマートフォン」の略称であり、「年賀状」の語は「新年の祝いのために出す書状」を意味する(甲5)。
そして、上記(1)ウのとおり、本件商標の登録査定時前には、複数の事業者により、年賀状に関するサービスとして、スマートフォンで年賀状を作成するためのスマートフォン用アプリケーションソフトウェアが提供されており、需要者に広く用いられていたといえる。
してみれば、「スマホで年賀状」の文字からなる本件商標は、「スマートフォンで年賀状を作成するための商品及び役務」であることを容易に認識、理解させるものであるから、本件商標をその指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」及び第42類「全指定役務」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを認識し、その商品の品質、役務の質及び役務の用に供する物等を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当であるから、本件商標は、商品の品質、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。
また、本件商標を第35類「全指定役務」及び第40類「全指定役務」に使用するときは、当該役務があたかも「スマートフォンで年賀状を作成するための役務」であるかのように役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)本件商標権者の主張について
本件商標権者は、本件商標は、登録査定時において、指定商品及び役務の需要者の間で、本件商標権者の業務に係る商品又は役務を示す商標として全国的に認識されていたものであるから、本件商標が仮に商標法第3条第1項第3号に該当したとしても、商標法第3条第2項の規定により商標登録が認められるべきものである旨主張し乙第1号証ないし乙第26号証を提出している。
ア 本件商標権者提出の上記乙各号証によれば、本件商標権者に係る「スマホで年賀状」とするスマートフォン用アプリケーションソフトウェア(以下「商標権者商品」という。)は、2013年(平成25年)にリリースしたこと(乙24)、商標権者商品に係るテレビCMが、令和2年11月ないし12月に放映されたこと(乙3、本件商標権者主張)、当該CMの認知度調査において15秒のCMを「確かに見た」「見たような気がする」とする者が、全国で31.5%であること(乙4)、商標権者商品がテレビ、雑誌、ラジオ、ウェブサイトで紹介されておりその数は10件ほどであること(乙6~乙17)、商標権者商品のios版が206,000ダウンロードされ、年賀状アプリのダウンロード数で1位であること(乙23)、商標権者商品からの年賀状の注文率は令和3年において、16.9%であること(乙5)はうかがえる。また、本件商標権者は、本件商標の商標登録をすべき旨の査定の4日前から2日前までとする日に実施したアンケートにおいて12.9%の人が本件商標を認知しているという結果となった旨主張している(乙26)。
イ しかしながら、テレビCMの放送は、わずか2か月間という期間であり、その認知度調査にしても当該CMの放送直後のものであるにもかかわらず、「確かに見た」と「見たような気がする」を合わせても全国で31.5%と、さほど高いものとはいえない。
また、商標権者商品のダウンロード数がiosのみで206,000回であり年賀状アプリでは1位であること、商標権者商品からの年賀状の注文率が16.9%としても、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアは年賀状用のみばかりではないから、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアの全体から見た商標権者商品のダウンロート数の多寡は不明であり、年賀状の作成はスマートフォン用アプリケーションソフトウェアからの注文とは限らないから、年賀状作成者全体における商標権者商品の使用割合も不明である。
そして、テレビ、雑誌、ラジオ、ウェブサイトの紹介も10回程度と多いものではない。
さらに、本件商標権者が本件商標の登録査定前に行ったと主張するアンケートについては、当該日付に行ったことを示す客観的な証拠はなく、仮に当該日付に行ったとしても、その認知度は、12.9%と高いものではない。
そうすると、本件商標は、商標権者商品(スマートフォン用アプリケーションソフトウェア)について使用された結果、その登録査定時において、需要者が本件商標権者の業務に係る商品であることを認識するに至っていたものと認めることは困難である。
加えて、本件商標権者は本件商標の指定商品及び指定役務中「スマートフォン用アプリケーションソフトウェア」以外の商品及び役務における使用による識別性に係る証拠を提出していない。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、商標法第3条第2項の要件を具備していたということはできないから、本件商標権者の主張を採用することはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」及び第42類「全指定役務」について、商標法第3条第1項第3号に該当し、第35類「全指定役務」及び第40類「全指定役務」について、同法第4条第1項第16号に該当するものであって、その登録は、同第3条及び同第4条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-900430