商標異議申立
2021-900383
ハッコーショクドー、ハッコー、ショクドー
- 審判番号
- 2021-900383
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-016376
- 登録番号
- 6427963
- 請求日
- 2021年10月29日
- 審決日
- 2022年12月07日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】高橋 里実
- 【異議申立人】ヴァッコ ホールディング アノニム シケッティ
- 【異議申立人代理人】粕川 敏夫
- 【異議申立人代理人】森田 真一
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 佐藤 松江
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1651.261-Y (W35) / T1651.262-Y (W35) / T1651.263-Y (W35) / T1651.271-Y (W35) / T1651.222-Y (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6427963号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6427963号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6427963号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりややデザイン化された書体で「HAKKO食堂」の欧文字及び漢字を横書きで表してなり、令和3年2月10日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月5日に登録査定され、同年8月12日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6138145号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「Hakko」の欧文字を横書きしてなるもの
指定商品及び指定役務 第1類、第5類、第29類、第30類、第31類、第35類及び第41類に属する別掲2に記載の商品及び役務
登録出願日 平成30年5月14日
設定登録日 平成31年4月12日
(2)商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する国際登録第933858号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第18類、第24類ないし第26類に属する別掲4に記載の商品
国際登録出願日 2007年(平成19年)年5月25日
設定登録日 平成20年7月4日
(3)商標法第4条第1項第19号に該当するとして引用するトルコ商標登録第201908614号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 「HAKKO」の欧文字を横書きしてなるもの
指定商品及び指定役務 第1類ないし第45類に属する商品及び役務
登録出願日 2019年1月29日
設定登録日 2020年2月14日
また、引用商標1及び引用商標2に係る商標権は現に有効に存続している。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「HAKKO食堂」の文字を横書きした構成からなるものである。
そして、本件商標の構成中、飲食店の商標として「食堂」部分は、出所識別機能を有さないため、出所識別機能を有する「HAKKO」が本件商標の要部である。
「HAKKO」からは、「ハッコー」、「ハッコ」の称呼が生じる。
一方、引用商標1は、欧文字「Hakko」を横書きしてなるものである。「Hakko」からは、「ハッコー」、「ハッコ」の称呼が生じる。してみれば、本件商標及び引用商標1の称呼は、同一または類似である。
また、本件商標の「HAKKO」と、引用商標1の「Hakko」とは、大文字と小文字との差異があるのみで実質的に同一である。
そして、本件商標の指定役務と、引用商標1の指定商品とが類似しており、抵触している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標2は、図形と「VAKKO」の欧文字からなる。
本件商標及び引用商標2の文字部分を比較すると、頭文字以外の「AKKO」の部分が共通である。
申立人は、テキスタイルの分野で最も有名な企業の一つであり、インターネットのウェブサイト(甲4)において、引用商標2に係る図形及び文字を指定商品に係る商品に使用し、今日に至っている。さらに引用商標2に係る国際登録商標は、日本以外の各指定国においても登録されており(甲5)、当該商標は日本国内のみならず世界的に広く一般に知られていることは明らかである。
したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合には、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標の文字部分及び引用商標3は、「HAKKO」で共通であり、これらの商標は類似する。
「HAKKO」は、申立人である「ヴァッコホールディングアノニムシケッティ」の創業者の名前「Vitali Hakko」にちなんでいる(甲7)。
したがって、本件商標が本件指定役務に使用された場合には、引用商標3に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化された書体で「HAKKO食堂」の文字を横書きしてなるところ、その構成は、同じ書体をもって、同じ間隔でまとまりよく表されているものであって、いずれかの文字が需要者に対して強く支配的な印象を与えるとはいえないばかりか、当該文字全体から生じる「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中「食堂」の文字が「食事をする部屋。いろいろな料理を食べさせる店。」(「広辞苑」第七版 岩波書店)を意味するとしても「HAKKO食堂」と一連に表された本件商標は、一般の辞書等に載録されている既成の語ではなく、構成全体として、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、たとえ「HAKKO」及び「食堂」の二語を組み合わせた語からなるものだとしても、当該構成及び称呼からすれば、その構成全体をもって一体のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
その他、本件商標から「食堂」の文字を捨象し、その構成中の「HAKKO」の文字のみをもって取引に資するとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の一連の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標1
引用商標1は、「Hakko」の欧文字を横書きした構成からなるところ、当該文字に相応し「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼を生ずるものである。
また、当該文字は、辞書に載録されている既成の語ではなく、我が国で親しまれた語とはいえないから、一種の造語として認識されるものである。
したがって、引用商標1からは、「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1との類否を検討すると、両者の外観においては、「食堂」の漢字の有無や欧文字の大文字と小文字からなるものといった相違があり、それぞれの構成態様、構成文字数が明らかに相違し、両者は、明確に区別できるものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の称呼と引用商標1から生じる「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼とを比較すると、両者は「ショクドウ」の音の有無という明らかな差異を有し、明確に聴別し得るものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない 。
してみると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標1とが類似するとみるべき特段の理由も見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定役務と、引用商標1の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中「食堂」の文字部分は、出所識別機能を有さないため、出所識別機能を有する「HAKKO」の文字部分が本件商標の要部である旨主張している。
しかしながら、「食堂」の語は、上記アのとおり「いろいろな料理を食べさせる店」等の意味があるとしても、本件商標の指定役務との関係においては、役務の質等を直接的かつ具体的に表したものとして、理解、認識されるとはいえないものであって、識別力を有さないものとはいえない。そして、本件商標が、構成全体をもって一体のものとして認識されることは、上記アのとおりである。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標2の類似性について
(ア)本件商標
本件商標は、上記(1)アのとおり、ややデザイン化された書体で「HAKKO食堂」の文字を横書きしてなり、「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の一連の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は、「V」の欧文字2文字を1文字を上下逆にして組み合わせ、当該文字から続く曲線で文字の外側に円周を描いた図形と、その下部に「VAKKO」の欧文字を横書きした構成からなるところ、当該文字に相応し「ヴァッコ」の称呼を生ずるものである。
また、当該文字は、辞書に載録されている既成の語ではなく、我が国で親しまれた語とはいえないから、一種の造語として認識されるものである。
したがって、引用商標2からは、「ヴァッコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標2の類似性の程度
本件商標と引用商標2との類似性の程度を検討すると、両者の外観においては、図形の有無や文字部分の「H」と「V」の違いといった相違があり、それぞれの構成態様、構成文字が明らかに相違し、両者は、明確に区別できるものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の称呼と引用商標2から生じる「ヴァッコ」の称呼とを比較すると、両者は、音調、音感に明らかな差異を有し、明確に聴別し得るものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない 。
してみると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標とみるのが相当であり、これらを総合的に勘案すれば、両商標は類似性の程度が高いとはいえないものである。
イ 引用商標2の周知性
申立人は、申立人がテキスタイルの分野で最も有名な企業の一つであり、インターネットのウェブサイト(甲4)において、今日まで、引用商標2に係る図形及び文字を指定商品に係る商品に使用しており、引用商標2は、日本以外の各指定国においても登録されており(甲5)、当該商標は日本国内のみならず世界的に広く一般に知られていることは明らかである旨主張している。
しかしながら、申立人のウェブサイト(甲4)に、引用商標2の構成中の「VAKKO」の文字及び図形部分が、それぞれ別々に記載されていることは確認できるものの、引用商標2は確認できず、外国語で作成されたウェブサイトは、訳文の提出がないためその詳細は不明である。
また、当該ウェブサイトの掲載期間、アクセス数等も不明である。
そのほか、引用商標2を使用した申立人の業務に係る商品が、我が国における需要者、取引者の間で広く知られていた事実を、具体的かつ、客観的に評価するための証拠(例えば、販売数量、販売金額、市場占有率、広告宣伝の媒体、広告内容・期間・回数・地域・金額など)が何ら提出されていないため、引用商標2の周知性を具体的かつ、客観的事実に基づいて推し量ることはできない。
そうすると、引用商標2の周知性を具体的、客観的に示す証拠がないから、引用商標2が申立人の業務に係る商品を示すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内における需要者、取引者の間で、広く認識されていたものと、認めることはできない。
ウ 出所の混同について
引用商標2は、上記イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内における需要者、取引者の間で、広く認識されていたと認めることができないものである。
そして、本件商標と引用商標2とは、上記アのとおり、その類似性の程度も高いものとはいえないものである。
さらに、本件商標の指定役務と引用商標2が使用される指定商品に係る商品とは、提供事業者又は取扱業者、提供場所又は販売場所等において異なるものであるから、両者の関連性は低く、その取引者、需要者も異なるものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標2を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 本件商標と引用商標3の類似性について
(ア)本件商標
本件商標は、上記(1)アのとおり、ややデザイン化された書体で「HAKKO食堂」の文字を横書きしてなり、「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の一連の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標3
引用商標3は、「HAKKO」の欧文字を横書きした構成からなるところ、当該文字に相応し「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼を生ずるものである。
また、当該文字は、辞書に載録されている既成の語ではなく、我が国で親しまれた語とはいえないから、一種の造語として認識されるものである。
したがって、引用商標3からは、「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標3との類否について
本件商標と引用商標3との類否を検討すると、両者の外観においては、「食堂」の文字の有無や「HAKKO」の文字の書体の相違があり、それぞれの構成態様、構成文字数が明らかに相違し、両者は、明確に区別できるものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ハッコーショクドウ」又は「ハッコショクドウ」の称呼と引用商標3から生じる「ハッコー」又は「ハッコ」の称呼とを比較すると、両者は「ショクドウ」の音の有無という明らかな差異を有し、明確に聴別し得るものであるから、互いに相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない 。
してみると、本件商標と引用商標3とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標3とが類似するとみるべき特段の理由も見いだせない。
イ 引用商標3の周知性について
申立人は、トルコ共和国において「HAKKO」の文字からなる商標が登録されていること(甲6)及び「HAKKO」は、申立人である「ヴァッコホールディングアノニムシケッティ」の創業者の名前「Vitali Hakko」にちなんでいる(甲7)旨主張している。
しかしながら、トルコ共和国に出願し商標登録を受けていることは、引用商標3の周知性を直接的に裏付ける証拠とはいえないし、そのほかに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標3が、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国又は外国の需要者の間において広く知られていた事実を、具体的かつ、客観的に評価するための証拠が何ら提出されていないため、引用商標3の周知性を具体的かつ、客観的事実に基づいて推し量ることはできない。
また、申立人のウェブサイト(甲7)は、外国語で作成されており、訳文の提出がないためその詳細は不明である。そして、「HAKKO」が、申立人である「ヴァッコホールディングアノニムシケッティ」の創業者の名前「Vitali Hakko」にちなんでいるとしても、そのことをもって、引用商標3の周知性を認めることはできない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標3が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ 上記アのとおり、本件商標と引用商標3は、非類似の商標である。
また、上記イのとおり、引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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