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商標異議申立

2021-900332

プププラ、プープープーラ

審判番号
2021-900332
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-091467
登録番号
6402279
請求日
2021年09月03日
審決日
2022年12月12日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】テイクワンテクノロジー株式会社
  • 【異議申立人】北京小魔怪科技有限公司
  • 【異議申立人代理人】山尾 憲人
  • 【異議申立人代理人】田中 陽介
  • 【異議申立人代理人】市川 久美子
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 松江
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T1651.22 -Z (W2028)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6402279号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6402279号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6402279号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年7月8日に登録出願、第20類「子供用家具」及び第28類「子供用おもちゃ」を指定商品として、同3年3月5日に登録査定され、同年6月15日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめていうときは、「引用商標」という。)、いずれも申立人が、「家具、子供用おもちゃ、照明、時計」などについて使用し、少なくとも中国の需要者、取引者の間に広く知られているとするものである。 (1)別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標1」という。) (2)別掲3のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。) (3)「PUPUPULA」の欧文字からなる商標(以下「引用商標3」という。) (4)別掲4のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標4」という。) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第96号証を提出した。 (1)申立人及び引用商標について ア 申立人について 申立人は、2017年に設立された北京を拠点とする会社であって、自己のブランド「PUPUPULA」のもと、主に3歳から12歳の子供とその家族を対象とする、子供向け家具、生活雑貨等を企画、製造、販売している会社である(甲2~甲4)。 申立人は、子供が安全に使用でき、家族にとって子育てが楽しくなるような商品の開発をテーマとしていて、機能的かつ革新的な商品を開発している(甲3)。後述するように、申立人の商品は、数々の国際的なデザイン賞を受賞し、主に中国において、多くの需要者、取引者から支持され、高い評価を受けている(甲2~甲4、甲53~甲61、甲67)。 イ 引用商標及びその周知性について (ア)引用商標について 申立人は、商標「PUPUPULA」(引用商標3)、逆ハの字と横線の組み合わせからなる図形商標(引用商標4、以下「引用図形」という場合がある。)、及びこれを組み合わせた商標(引用商標1及び引用商標2)を、自己の商品の出所識別標識として、創業以来使用してきた。 「PUPUPULA」は、既存語ではなく、申立人が独自に考案した造語である。その由来は、申立人の創業者の息子の口癖であった「PUPU」から取られたものであり(甲65)、可愛らしく子供にも受け入れられやすい語調であって、独創性が非常に高い語である。 申立人は、「PUPUPULA」をブランド名として使用し、引用図形と「PUPUPULA」の文字を2段書きしたものを結合させたロゴ(引用商標1及び引用商標2)をハウスマークとして使用してきた。引用図形は、申立人のブランドを象徴するものとして、商品デザインの中に取り入れられる場合もある(甲3)。引用商標は申立人のウェブサイトやカタログ、オンラインショップなどではハウスマークとして、オンラインショップでは店舗名として(甲5、甲8)、メッセージアプリ等ではアカウント名として使用されている他(甲10、甲12)、取引書類等でも使用されている(甲29~甲31)。 また、引用商標は、中国、米国において、複数の区分に商標登録されている(甲15~甲28)。 (イ)引用商標を使用した商品 申立人が引用商標を使用して企画、製造及び販売している商品には、例えば、電球状のワイヤレスポータブル照明「little bulb」、子供が理解しやすい時計「little ben」、親子でお金の使い方を学べるスマート貯金箱「little can」、様々な用途に使えるテーブルやスツールの「Any-wayシリーズ」(甲3)等をはじめ、鞄類や生活雑貨、おもちゃ等、様々な商品が含まれる。申立人は、自社で企画、デザインした商品を中国の協力企業に発注し、製造を行っている(甲29~甲33)。申立人の商品には、アプリケーションソフトウェアと連動して動作するものもあり(甲3)、申立人はそのようなソフトウェアも開発している(甲85)他、家族向けのゲームソフトウェアも提供している(甲62、甲63、甲65)。 (ウ)引用商標を使用した商品の販売、宣伝広告活動 申立人は、中国の大手オンラインショッピングモール「淘宝(Taobao)」及び「天猫(Tmall)」における自己のオンラインショップにおいて、引用商標を使用した商品を販売している(甲5、甲6、甲8、甲34)。「淘宝」と「天猫」はいずれも中国で高いシェアを有するショッピングモールであり、多くの需要者に利用されている(甲7、甲9)。これらのオンラインショップにおいて、申立人店舗の評価は「4.9」又は好評率「99.98%」と非常に高く、また、「天猫」店舗におけるファンの数は5.7万件に上ることから、申立人の商品は、需要者に好評を博していることが分かる(甲5、甲8)。実際に、申立人商品の売れ行きはよく、例えば、申立人の以下の商品は、「淘宝」店舗だけで、以下の販売量があり(甲34)、いずれも嗜好品の性格の強い照明器具や家具であることを考えれば、特筆すべき量である。 a 照明「little bulb」 2019年10月15日~2021年11月13日の販売量:6,554個(販売額:約2,660万円) b 家具「Any-wayシリーズ テーブル」 2018年9月28日~2021年11月27日の販売量:1,112個(販売額:約4,910万円) c 家具「Any-wayシリーズ スツール」 2018年9月28日~2021年11月27日の販売量:640個(販売額:約490万円) d 収納かご 2018年9月28日~2021年11月26日の販売量:188個(販売額:約90万円) e 子供の身長を測る尺 2018年7月10日からの販売量:4,974個(販売額:約1,490万円) 申立人は、上述のように自らのオンラインショップで商品を販売するのみならず、多数の中国企業と販売代理契約等を締結し、それらの企業が運営する実店舗やオンライン店舗での商品販売を委託している(甲35~甲49、甲86~甲90)。実店舗では、北京市、上海市、広州市、廈門市、江蘇省、四川省、河北省等、中国各地の都市、外国ではオーストラリアやフランスの店舗でも、申立人の商品が販売されている(甲3)。オンラインでは、中国のECプラットフォーム(甲50~甲52)や当該会社のオンラインショップ等において申立人商品を販売する契約が、複数の中国企業と結ばれている(甲35~甲43、甲86、甲87)。これらの企業を通じた販売も加味すると、申立人商品の中国における販売量は、相当程度に及ぶことが容易に推測できる。 申立人は、中国の大手ミニブログサイト「微博(Weibo)」(甲13)で、自己のブランド及び商品について積極的に情報発信を行っており、投稿数は、2021年3月17日時点で977件にも及び、ファンの数は13,488人に上る(甲12)。 また、スマート貯金箱「little can」の販売では、2019年3月にクラウドファンディングを実施し、14日間で達成率が311%を超え3,000人以上が参加する等、多くの需要者の注目を集めた(甲3、甲66)。 (エ)引用商標を使用した商品の受賞歴 申立人の商品は、機能的かつ革新的なデザインが評価され、国際的なデザイン賞を複数受賞してきた(甲3、甲53~甲61)。2019年1月には、「little ben」が「iFデザイン賞」を受賞した(甲53)。当該賞は、米国の「IDEA賞」、ドイツの「レッド・ドット・デザイン賞」と並び「世界三大デザイン賞」と呼ばれている賞である(甲54、甲56)。また、2019年4月には、「any-wayシリーズ」(決定注:「Any-wayシリーズ」の誤記と思われる。)が、前述の「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞した(甲55)。その他、2019年、2020年には、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を「little ben」、「little bulb」がそれぞれ受賞し(甲57~甲59)、「little can」は2019年の「グッドデザイン賞ベスト100」を受賞した(甲60、甲61)。このように、権威あるデザイン賞を複数受賞することによって、申立人の商品及び引用商標は、広く需要者、取引者に着目され、周知されてきた。 (オ)引用商標を使用した商品のメディアでの紹介及び評判 引用商標を使用した申立人の商品は、中国の需要者に好評を博していて、各種のメディアでも紹介されている(甲3、甲62~甲67、甲91~甲94)。とりわけ、申立人が2017年末に発表した、ユーザーがイラストを使用して「家族写真」を作ることができるコンピュータゲームは、1億回以上再生されるなど爆発的な人気となり、申立人のブランド「PUPUPULA」を需要者に広く知らしめた(甲62、甲63、甲65)。 また、申立人商品はその優れたデザインから需要者に人気があり、2019年に界面新聞と中央美術学院デザイン学部が共同で主催した「若者に人気のある新しいデザインブランドTOP10」のひとつに選定された(甲3、甲67)。 中国大手検索エンジン「百度(Baidu)」及び「捜狗(Sougou)」で「PUPUPULA」を検索すると、2021年3月17日時点で、それぞれ172,000件、3,599件もの記事が検索されることからも(甲68~甲71)、申立人のブランド「PUPUPULA」が着目されていることがうかがえる。 (カ)小括 上述のとおり、オンラインや実店舗での販売に加え、申立人による大々的な使用や権威あるデザイン賞の受賞等により、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日以前から、申立人の企画、製造、販売する商品の出所識別標識として、少なくとも中国の需要者、取引者に広く知られていることは明らかである。 (2)申立人と本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の関係について ア 本件商標権者との取引 本件商標権者は、ウェブサイトによると、電化製品の販売、電化製品のメンテナンス等を行っている日本の法人である(甲72、甲73)。 申立人は、2020年7月6日に、本件商標権者のサプライチェーン担当者より、電子メールを受領した(甲74)。その内容は、本件商標権者が申立人の商品に着目し、日本で申立人商品を販売したいとの打診であった。その後、両者はメッセージアプリ「WeChat(微信)」(甲11)にて、本件商標権者の代表者(甲72)を含めて、2020年7月6日から同月10日にかけて商品の説明等の相談を行った(甲75)。そして、2020年7月15日及び同月31日に、サンプル品として何種類の商品が1点ずつ、申立人から本件商標権者に販売された(甲77、甲78)。その後、2020年10月15日に、「little bulb pro」60個、「little bulb lite」40個が本件商標権者に販売された(甲79)。 本件商標権者による日本での販売について、申立人は詳細を知らされていないが、インターネットからの情報によれば、本件商標権者は、2020年8月6日に、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」(以下「Makuake」という。)にて、「little bulb(リトルバルブ)」を販売するプロジェクトを開始し、同プロジェクトは2020年9月18日に掲載が終了している(甲80、甲81)。同年10月26日付の記事において、商品の発送が完了したとの記事があることから(甲81)、前述の同月15日に申立人から購入した商品を、同プロジェクト参加者に発送したものと思われる。 申立人は、その後も現在に至るまで、「Makuake」及び「楽天」において、「little bulb」を販売している(甲82~甲84)。 申立人は、前述の2020年10月15日の販売以降、本件商標権者に対しては、商品を一切販売していない。 イ 本件商標権者による本件商標の登録出願及びその後の連絡 本件商標に係る登録出願は、本件商標権者からの商品販売打診に係る最初のメールの受領からわずか2日後の2020年7月8日に、申立人に無断で、本件商標権者によって登録出願されたものである。前述のとおり、申立人は本件商標権者と2020年7月6日から同月10日にかけて、PUPUPULAブランドの商品についてやり取りをしているが、その間、本件商標の登録出願に関する連絡は一切なかった(甲75)。また、申立人が本件商標権者に対して、日本における商標の登録出願及び登録を了承したという事実も現在に至るまで全くない。申立人と本件商標権者の間で、継続的な販売代理店契約を結んだというような密接な関係性があったわけではなく、他に、本件商標権者が、引用商標と同一又は類似する本件商標を、自己の名義で登録出願することを正当化する理由はない。 申立人は、2021年7月に、日本で本件商標が登録されたことを確認し、同月21日に、WeChatを通じて、本件商標権者の代表者に本件商標について説明を求めたが、回答を得られなかった(甲76)。申立人は、2021年11月24日から12月2日にかけて、改めて本件商標権者に連絡し、本件商標の譲渡を求めたが、現時点において本件商標の譲渡について同意を得られていない(甲95、甲96)。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は引用商標2と同一であり、引用商標1、引用商標3及び引用商標4とは構成要素を共通にするため、極めて類似するものといえる。そして、引用商標は申立人の業務に係る子供向けの家具、おもちゃ、照明、時計、生活雑貨等の商品の出所を表すものとして、本件商標の出願日前から、少なくとも中国における需要者の間に広く知られている。また、本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と同一又は密接に関連する。 前述のとおり、本件商標は、申立人が本件商標権者から商品の販売打診のメールを受領した日からわずか2日後に、本件商標権者によって登録出願されたものである。本件商標権者は、申立人商品の日本での販売を打診しているのであるから、当然、引用商標が申立人の商標であること、引用商標を使用した商品の評判が良く、中国の需要者等に広く知られていること、また今後日本国内に参入しうる商品ブランドであることを認識した上で、本件商標を自ら登録出願したとことは明白である。本件商標権者は、登録出願が行われた2020年7月8日頃、申立人とPUPUPULAブランドの商品について詳細なやり取りをしていたにもかかわらず、本件商標の登録出願に関し、申立人に相談や連絡を一切していない。本件商標権者は、2021年12月2日付のメール(甲96)において、商品の販売のために必要であるため本件商標を登録出願したと主張しているが、販売をするために登録出願が必須ではなく、仮に取引の安全のために登録出願が望ましいと考えるにしても、「PUPUPULA」ブランドの本来の権利者である申立人に一切の相談や連絡なく、自己のみの名義にて無断で出願することは信義にもとる。また、2021年7月に申立人が本件商標について説明を求めたにもかかわらず、何らの回答をしなかったことからも、本件商標権者が誠実であるとはいい難い。加えて、本件商標権者が日本で販売した商品は、電球状のワイヤレスポータブル照明「little bulb」(甲3、甲80)であるところ、これは第11類「照明用器具」に分類される商品であって、本件商標の指定商品とは異なる商品であるから、「little bulb」の販売のために本件商標の登録出願が必要であったという本件商標権者の主張は、そもそも成り立たないというべきである。 これらの経緯を鑑みれば、本件商標権者は、中国で周知な申立人の引用商標が、日本で登録されていないことを奇貨として、先取り的に本件商標を出願、登録することで、申立人の日本参入を妨害し、継続的な販売や代理店契約の締結など申立人との交渉を自己に有利に進めるため、あるいは、本件商標を申立人に高額で買い取らせるためや引用商標に化体された業務上の信用や顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)するため等、不正の利益を得る目的、すなわち不正の目的をもって出願されたものであるといわざるを得ない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 本号に該当するものとして、「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」が含まれる(知財高裁判決平成17年(行ケ)第10349号)。 これを本件商標についてみるに、前述のとおり、本件商標は、中国で広く知られた申立人の引用商標と同一又は極めて類似するものであり、申立人とのやり取りの経緯から、本件商標権者が、引用商標を知った上で、本件商標を登録出願したことは明らかである。また、前述のとおり、本件商標権者は申立人と友好的に交渉をする一方で、交渉開始後すぐに申立人に無断で本件商標を出願し、これについて一切連絡や相談がないばかりか、申立人からの説明の要請にも応じず、現在に至るまで正当な理由なく本件商標を保有している。このような行為は、申立人との取引上の信義則に反するものであり、不正の目的をもって出願されたものであることは明らかである。 したがって、本件商標は、「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当するものであるというべきである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 4 当審における取消理由 当審において、本件商標権者に対し、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するから、その登録は同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべき旨を令和4年4月15日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。 5 本件商標権者の意見 本件商標権者は、上記4の取消理由に対して、指定した期間内に何ら意見を述べていない。 6 当審の判断 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)申立人及び申立人商品並びに本件商標権者について ア 申立人は、2017年(平成29年)に北京で設立された会社で、子供向け家具、生活雑貨等を企画、製造、販売している(甲2、甲3)。 イ 申立人のウェブサイト、商品カタログや、申立人の製造、販売に係る照明用器具(商品名「little bulb」:以下「申立人照明器具」という。)、時計、身長計、かばん類、家具等には、引用商標が表示されている(甲2、甲3、甲57、甲59、甲60)。 ウ 本件商標権者は、電化製品の企画開発、製造、販売、輸出入及び日用雑貨、家具類の販売、輸出入等を行っている日本の法人である(甲72、甲73)。 (2)申立人及び本件商標権者間のやり取りについて ア 本件商標権者は、2020年(令和2年)7月6日に、申立人に対して、申立人と日本市場において提携や協力をしたい旨を申し入れ、申立人は、同月15日、31日及び同年10月15日に、本件商標権者に対し申立人照明用器具等を販売した(甲74、甲77~甲79)。 イ 本件商標権者は、2020年(令和2年)7月8日に、本件商標の登録出願を行った(甲1)。 ウ 本件商標権者は、2020年(令和2年)8月6日ないし同年9月17日の期間に、「Makuake」において、引用商標4が表示された申立人照明器具を販売した。当該商品紹介の記載中には、引用商標1及び引用商標3が表示され、「スケジュール」の項目に「2020年7月 PUPUPULAと代理販売契約」の記載が、「リスク&チャレンジ」の項目に「本製品は代理販売商品になります。」の記載がある(甲80、甲81)。 エ 本件商標は、2021年(令和3年)6月15日に登録に至った(甲1)。 オ 申立人は、本件商標の登録出願について、本件商標権者から事前の連絡を受けておらず、また、申立人が本件商標権者に対して、日本における本件商標の登録出願を了承した事実や、申立人が本件商標権者と販売代理店契約を結んだという事実もなかったため、2021年(令和3年)7月21日に、本件商標権者に対し、本件商標の登録出願について説明を求めたが回答は得られなかった(甲76、申立人主張)。 カ 申立人は、2021年(令和3年)11月24日及び同月29日に、本件商標権者に対し、本件商標の譲渡を求めたところ、本件商標権者は、同年12月2日に、「商標は、先取り登録したものではなく、販売の必要に応じて登録したものである。PUPUPULA製品は、本件商標権者が認証したものであるから、申立人が他の販売ルートを通じて日本で販売する行為は違法である。商標の譲渡は検討してもよいが、無料ではない。今後の協力を望むなら、誠意をもって接してほしい。」旨回答した(甲95、甲96)。 キ 本件商標権者は、少なくとも2021年(令和3年)11月26日に、「Makuake」及び「楽天市場」において、申立人照明器具を販売していた(甲82~甲84)。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について ア 商標法第4条第1項第7号の解釈 本号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれると解すべきである(知財高裁 平成17(行ケ)第10349号)。 イ 商標法第4条第1項第7号該当性について (ア)別掲2ないし別掲4に示した引用商標1、引用商標2及び引用商標4は、その構成中に、逆ハの字の下部に横線を配した図形(以下「引用図形部分」という。)を有し、引用商標1及び引用商標2は、引用図形部分の右側又は下部に「PUPU」及び「PULA」の欧文字(以下「引用文字部分」という。)を上下2段に配した構成からなる。また、引用商標3は、引用文字部分を横一連に配した構成からなる。引用商標は、引用図形部分及び引用文字部分がそれぞれ独創的な特徴を有するものであって、その構成全体が、識別標識として強い印象を与える。 一方、本件商標は、別掲1のとおり、逆ハの字の下部に横線を配した図形と、その下部に「PUPU」及び「PULA」の欧文字を上下2段に配した構成からなるところ、その構成態様が、上記引用商標とほぼ同一又は酷似するものであることは明らかである。 (イ)本件商標の指定商品は第20類「子供用家具」及び第28類「子供用おもちゃ」であるところ、申立人の製造販売に係る商品に「家具,子供用おもちゃ」が含まれることからすれば、本件商標は、申立人の製造販売に係る商品と同一又は類似の商品に使用するものである。 (ウ)本件商標権者は、申立人に対して、申立人と日本市場において提携や協力をしたい旨を申し入れた2日後に本件商標を登録出願し、申立人から申立人照明用器具等を購入した後には、「Makuake」において、引用商標1、引用商標3及び「本製品は代理販売商品になります。」等の記載とともに、引用商標4が表示された申立人照明器具を販売した。 さらに、本件商標の登録後、申立人が、本件商標権者に対して、本件商標の譲渡を求めたところ、本件商標権者は、譲渡は無料ではない旨述べるとともに、申立人が他の販売ルートを通じて日本で販売する行為は違法である旨を申立人に回答した。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、本件商標は、独創的な特徴を有する引用商標とほぼ同一又は酷似するといえるものであり、本件商標権者が引用商標を知り得ることなく、両者が偶然に一致したとは想定し難いものである。 そして、本件商標権者は、申立人に対して提携を申し入れた2日後に本件商標を登録出願していることから、商標権者は、引用商標の存在を知った上で、これが商標登録出願及び商標登録されていないことを奇貨として、不正な目的をもって剽窃的に出願したものと優に推認できるものである。 このような行為に係る本件商標は、上記アの(a)ないし(d)に該当するものではないものの、「(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当するものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものであるから、他の申立の理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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