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商標異議申立

2021-900331

グロッティープロ、グロッティー、プロ、ピイアアルオオ

審判番号
2021-900331
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-075455
登録番号
6403238
請求日
2021年09月02日
審決日
2022年03月30日
公報発行日
2022年04月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社プロラボホールディングス
  • 【異議申立人】株式会社 COLLABO
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 榎本 政実
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1652.261-Y (W10) / T1652.262-Y (W10) / T1652.263-Y (W10) / T1652.25 -Y (W10) / T1652.271-Y (W10) / T1652.222-Y (W10) / T1652.22 -Y (W10)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6403238号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6403238号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6403238号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年6月18日に登録出願、第10類「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器,医療用指サック,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,哺乳用具,魔法哺乳器,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),睡眠用耳栓,防音用耳栓,医療用手袋,しびん,病人用差込み便器,耳かき」を指定商品として、令和3年6月4日に登録査定され、同月16日に設定登録されたものである。 第2 引用商標等 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は以下のとおりである。 1 登録第6246963号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成31年3月29日に登録出願、第10類「理学療法装置」を指定商品として、令和2年4月21日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 2 申立人が、商品「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」(以下「申立人使用商品」という場合がある。)について使用している商標は、以下のとおりである。 (1)別掲3の商標(以下「使用商標1」という。)。 (2)別掲4の商標(以下「使用商標2」という。)。 (3)「GROTTI」(「O」の文字の上には、アクサン記号が付されている。以下同じ。)の欧文字からなる商標(以下「使用商標3」という。)。 以下、上記の使用商標1ないし使用商標3をまとめていうときは、「使用商標」という。また、引用商標と使用商標をまとめていうときは、「引用商標等」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中第10類「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」について、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第78号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)商標の類否について 本件商標は、「GROTTY」の文字と「PRO」の文字とを結合した結合商標であり、その構成中の「PRO」の文字は指定商品との関係において、「専門家、職業としてそれを行う人、プロ」を意味する「professional」の略語「pro」に由来し、指定商品との関係では「専門家用の、プロ用の」の意味であり自他商品識別力を有さない(甲76)。 してみれば、本件商標の要部は「GROTTY」の文字であり、その称呼は「グロッティ」である。 一方、引用商標は、その構成から称呼を「グロッティ」とするものである。 本件商標の要部「GROTTY」の文字と、引用商標とは、少なくとも称呼において、同一であり、両商標は類似する。 (2)指定商品の類否について 本件商標の指定商品中、本件異議申立にかかる指定商品は、第10類「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」(以下「本件申立商品」という場合がある。)であり、引用商標に係る指定商品は、第10類「理学療法装置」であるところ、引用商標の指定商品「理学療法装置」と、本件申立商品は少なくとも、生産部門、販売部門が一致し、原材料及び品質が一致し、用途が一致する。 すなわち、古くは「理学療法装置」としてのマッサージ装置は、大型で病院のみで用いられるマッサージ装置であったところ、現代では「理学療法装置」としてのマッサージ装置は小型化され、もはや「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」としても用いられており、両商品の垣根は存在しない(甲3)。 また、申立人の担当者と理学療法装置及び美容マッサージ装置の製造会社の担当者との電子メールのやりとりにおいても、「理学療法装置」としてのマッサージ装置と「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途は一致し、商品の製造販売が同一事業者において行われていることが明らかである(甲7~甲12)。 さらに、各種媒体において取り上げられた申立人の製品「GROTTI」記事(甲22~甲74)及び、Amazon、楽天市場、その他マッサージ器製造販売会社の販売サイトを見ても「理学療法装置」としてのマッサージ装置と、「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」においても生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途は一致し、商品の製造販売が同一事業者において行われていることが明らかである(甲77)。 以上を総合的に考慮すれば、申立人の引用商標に係る第10類「理学療法装置」と、本件商標の指定商品中、本件申立商品とは類似の商品である。 (3)小括 以上より、本件商標は、引用商標と類似し、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(又はこれらに類似する商品若しくは役務)について使用をするものに該当するため、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第10号について (1)本件商標は、申立人が、申立人使用商品について使用し、本件商標の商標登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されている使用商標の各商標と同一又は類似であり、かつ、上記申立人が使用商標を使用する商品と同一又は類似の商品「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」に使用するものである。 したがって、本件商標の指定商品中、本件申立商品は、商標法第4条第1項第10号に該当するものである(甲3~甲78)。 (2)引用商標等の周知性について 申立人は、商標「GROTTI」を使用して申立人使用商品を製造・販売しており(甲3)、この製品の開発は、申立人と理学療法装置及び美容マッサージ装置の製造会社との間で行われ、2018年7月には製品とパンフレットが完成し、2018年8月から製品の発注が開始された(甲7~甲12)。 その後、申立人使用商品は、多くの整骨院、エステティックサロン及び個人に購入され、テレビ番組、美容関連ウェブサイト、ブログ、SNS等多くのメディアにとりあげられた(甲22~甲74)。 なお、上記証拠(甲22~甲74)には、問い合わせ先として、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の関連会社「株式会社プロラボソリューション」が記載されているが、申立人と本件商標権者は、平成31年4月17日付で「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」の販売店契約書(甲5の1)を締結した「GROTTI\グロッティ」の商標の下に申立人使用商品を販売する販売代理店であり、当初申立人の製品の販売に関する広報部門として活動していたが、令和3年1月5日付にて一方的に「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)を送付したのであって、引用商標は申立人の商標として周知である。 したがって、申立人の使用商標は、申立人使用商品に使用するものであって、「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることが明らかである。 (3)商標の同一又は類似について 上記1(1)で述べたように、本件商標において、識別力を有さない文字「PRO」を有する結合商標は、それが付加結合されていない商標と類似するものであるところ、本件商標の要部「GROTTY」の文字と、引用商標とは、少なくとも称呼において、同一であり、両商標は類似する。 (4)商品の同一又は類似について 申立人の使用商標は、申立人使用商品(美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているのに対して、本件商標の指定商品中、本件申立商品は、「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」であり、両商品は同一又は類似する。 (5)小括 以上より、本件商標は、申立人の使用に係る周知著名な使用商標と類似し、その商品と同一又は類似の商品について使用するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標等は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標が、使用商標を使用する申立人使用商品に使用された場合、当該商品が申立人の製造販売に係るものであると誤信され、申立人の業務に係る商品であるとして出所の混同を生ずるおそれがある。 (2)引用商標等の周知性について 引用商標等は、上記2で述べたとおり、申立人の商標として周知であり、また、指定商品の同一又は類似についても同様である。 (3)混同を生ずるおそれについて 上述したように、本件商標と引用商標等とは類似する。 本件商標権者は、申立人と「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」の販売店契約書(甲5の1)を締結し、「GROTTI\グロッティ」の商標の下に当該商品を販売する販売代理店であったが、一方的に「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)を送った上、この時期と前後して「GROTTY PRO」を商標登録出願し、同商標の下、申立人が「GROTTI\グロッティ」の商標を付して使用する製品と同一の製品に本件商標を付して販売した(甲6)。申立人の製品「GROTTI\グロッティ」のパンフレット(甲3の1)と、商標権者の製品のパンフレット「GROTTY PRO」(甲6)を比較すると明らかなように、両製品の形状は全く同一のデッドコピーともいえるものである。 さらに、本件商標権者は、自社サイトに申立人の製品「GROTTI\グロッティ」の「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」がとりあげられた「でんじろうのTHE実験」の記事をあえて、「【TV番組】フジテレビ『でんじろうのTHE実験』で『GROTTY PRO』(グロッティプロ)が紹介されました。」(甲27)との申立人の製品と本件商標権者の製品の誤認混同を生じさせる表記を2021年1月5日の「期間満了による契約終了通知書」送付を見据えて2020年後半から開始するなど、申立人の製品と混同を生じさせて、申立人の引用商標に不正の目的をもってフリーライドする意思が明白である。 すなわち、本件商標と引用商標等が類似すること、引用商標等の周知性が高いこと、引用商標等は造語よりなるものであること、商品の需要者の共通性に鑑みれば、本件商標に係る商品は、引用商標等に係る商品と需要者、取引者をして混同を生ずるおそれがあることが明らかである。 (4)小括 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号について 引用商標等は、申立人の製造販売に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であり、本件商標は、使用商標と同一又は類似である。 本件商標権者は、申立人と平成31年4月17日付で販売店契約書(甲5の1)を締結し「GROTTI\グロッティ」の商標の下に申立人使用商品を販売する販売代理店であった。このことは、申立人の担当者と本件商標権者の担当者とのメールのやりとりも明らかである(甲13~甲21)。ところが、本件商標権者は、令和3年1月5日付で一方的に「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)を送った。また、販売店契約書が有効な令和2年6月18日の段階で本件商標を商標登録出願した。そして、「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)の送付とほぼ同時期に申立人が「GROTTI\グロッティ」の商標を付して使用する製品と同一の形状の製品に本件商標を付して販売し始めた(甲6)。 よって、本件商標権者は、申立人の製品が日本において周知著名であることを知りながら登録を受けたものであって、本件商標を不正の目的をもって使用するものである。「【TV番組】フジテレビ『でんじろうのTHE実験』でGROTTY PRO(グロッティプロ)が紹介されました。」(甲27)と誤認混同を生じさせる表記を令和3年1月5日の「期間満了による契約終了通知書」送付を見据えて徐々に開始するなど、申立人の製品と混同を生じさせて、引用商標等に不正の目的をもってフリーライドする意思が明白である。 すなわち、本件商標は、日本国内で広く知られている引用商標等と同一又は類似の商標について、出所表示機能を希釈化させたり、名声等を棄損させたりする目的をもって出願した商標であるといえる。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をする商標であるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 5 商標法第4条第1項第7号について 引用商標等は、申立人の製造販売に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であり、本件商標は、使用商標と同一又は類似である。 本件商標権者は、申立人と平成31年4月17日付で販売店契約書(甲5の1)を締結し「GROTTI\グロッティ」の商標の下に申立人使用商品を販売する販売代理店であった。このことは、申立人と本件商標権者の担当者とのメールのやりとりからも明らかである(甲13~甲21)。ところが、本件商標権者は、令和3年1月5日付で一方的に「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)を送った。また、販売店契約書が有効な令和2年6月18日の段階で本件商標を商標登録出願した。そして、「期間満了による契約終了の通知書」(甲5の2)の送付に前後する令和2年11月頃より、申立人の製品「GROTTI\グロッティ」紹介に「GROTTY PRO」の広告を載せる、申立人の製品「GROTTI\グロッティ」と同一の形状の製品に本件商標を付して「美容用マッサージ器,電気式美顔マッサージ器,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器」の販売を開始する等、悪質な手段を用いて商標登録出願をしているのである。 そうすると、本件商標権者が、申立人の周知著名な引用商標等にフリーライドする意思で日本において商標権を取得した当該行為は、公の秩序、善良の風俗を害する商標である(甲3~甲78)。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標等の周知著名性について 申立人の主張及び証拠によれば、インターネット情報等(甲22~甲26、甲30~甲39、甲41、甲43等)により、エステティックサロン等で使用商標2及び使用商標3を表示した美容用の機器(以下「使用商品」という。)が使用されていることが認められる。 しかしながら、我が国及び外国における引用商標等に係る商品の販売数量、売上高、市場シェア、広告宣伝の具体的状況等に係る主張はなく、それを確認できる証拠は何ら提出されていない。 したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、我が国において使用商標2及び使用商標3を表示した使用商品がエステティックサロン等で使用されていることは認められるものの、引用商標及び使用商標1については使用されている事実は見いだせないものであり、また、引用商標等を表示した使用商品の我が国及び外国における販売数量、売上高、市場シェア、広告宣伝の具体的状況等は確認できないから、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であること、及び申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「GROTTY PRO」の欧文字を横書きした構成よりなるところ、その構成文字は、「GROTTY」の文字と「PRO」の文字との間にスペースを有するものの、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表してなるものであり、これより生じる「グロッティプロ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、その構成中の「GROTTY」の語は、「不快な、気持ち悪い、汚い」等の意味を有する英語であるが、我が国において広く親しまれている語とまではいえないから、その構成文字全体として特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「グロッティプロ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、「GROTTI」(各文字が接するように表されており、「O」の文字の上には、アクサン記号が付されている。以下、同じ。)の欧文字とその下に小さく「グロッティ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解し得るから、これよりは、「グロッティ」の称呼を生じるものである。 そして、該文字は、一般的な外国語の辞書には掲載されていないことから、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 したがって、引用商標は、「グロッティ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標とは、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、まず、外観においては、書体の相違、後半部における「Y PRO」の文字と「I」の文字の相違及び「グロッティ」の片仮名の有無といった顕著な差異を有するものであるから、外観上、明確に区別し得るものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「グロッティプロ」の称呼と引用商標から生じる「グロッティ」の称呼を比較するに、両者は、「プロ」の音の有無に差異を有するものであるから、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。 したがって、本件商標と引用商標とは、観念においては比較することはできないとしても、外観及び称呼の点において相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 その他、本件商標と引用商標とが類似するものというべき理由は見あたらない。 以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について 上記1のとおり、引用商標等は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 そして、上記2(3)のとおり、本件商標は、引用商標とは、非類似の商標である。 また、使用商標1は、別掲3のとおり、引用商標と同様の構成よりなるものであり、使用商標2及び使用商標3は、別掲4及び上記第2の2(3)のとおり、ともに「GROTTI」(「O」の文字の上には、アクサン記号が付されている。以下、同じ。)の欧文字よりなるものであるから、上記2(2)の引用商標と同様に、「グロッティ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。 そうすると、本件商標と使用商標1ないし使用商標3とは、上記2(3)においてした本件商標と引用商標との比較における場合と同様に、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、引用商標等とは非類似の商標であって、類似性の程度は極めて低いといわざるを得ない。 以上によれば、本件商標は、本件商標権者がこれを本件申立商品について使用しても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標等を想起又は連想することはないとみるのが相当であるから、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当する商標ということはできない。 4 商標法第4条第1項第7号について 上記3のとおり、本件商標と引用商標等とは非類似の商標であること、また、引用商標等は、取引者、需要者の間に広く認識されているものとはいえないことからすると、本件商標は、引用商標等の周知著名性にただ乗りするものとはいえず、引用商標等に化体した価値を希釈化させるおそれもないというべきである。 申立人は、本件商標権者は申立人と販売店契約を締結し引用商標等について申立人とその契約を基に、申立人使用商品を販売する販売代理店であったが、一方的に契約を終了する旨の通知書を送付し、その契約書が有効な期間であるにも拘わらず、本件商標について登録出願をし、申立人の商品と同一の形状の製品に本件商標を付して販売を開始したことなどから、当該行為は、公の秩序、善良の風俗を害する商標である旨主張する。 確かに、本件商標権者は、申立人と平成31年4月17日付で販売店契約書を締結したことが認められるから、本件商標の登録出願時には申立人及び引用商標等の存在を知しつしていたものといえる。 しかしながら、そのことのみをもって直ちに本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるとか、不正の目的をもって使用するものであるとまではいい難い。 そして、申立人の提出した証拠からは、具体的に本件商標権者が申立人の活動を阻害しあるいは申立人に対して交渉等における有利な地位を確保しようとしていることなどを裏付ける事実は見いだせない。 そうすると、本件商標について、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。 また、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠もない。 してみると、本件商標権者が、本件商標の登録出願をし、登録を受ける行為が「公の秩序や善良の風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号について 商標法は、同法第4条第1項第19号において「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の要件を欠くものといわざるを得ない。 そして、申立人は、不正の目的についても、引用商標等が周知著名であることを前提に、日本国内で広く知られている引用商標等と同一又は類似の商標について、出所表示機能を希釈化させたり、名声等を棄損させたりする目的をもって出願した商標である旨を主張しているが、上記1のとおり、引用商標等の周知著名性は認めることができず、申立人が提出した証拠をみても、本件商標権者が、引用商標等の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る事実を見いだすことができない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-900331

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