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商標異議申立

2021-900275

ガイドレシーバー

審判番号
2021-900275
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-069126
登録番号
6385363
請求日
2021年07月15日
審決日
2022年02月28日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社エアサーブ
  • 【異議申立人】株式会社 ケンネット
  • 【異議申立人代理人】田辺 一男
  • 【異議申立人代理人】柿島 房枝
  • 【異議申立人代理人】加藤 平一朗
  • 【異議申立人】一般社団法人 日本旅行業協会
  • 【異議申立人代理人】中村 行孝
  • 【異議申立人代理人】宮嶋 学
  • 【異議申立人代理人】本宮 照久
  • 【異議申立人代理人】高田 泰彦
  • 【異議申立人代理人】柏 延之
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 淳
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T1651.13 -Z (W38)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号、商標法第43条の2第1号、商標法第3条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6385363号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6385363号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6385363号商標(以下「本件商標」という。)は、「ガイドレシーバー」の文字を標準文字で表してなり、令和2年6月4日に登録出願、第38類「携帯無線通信機器・電話機その他の通信機器の貸与」を指定役務として、同3年4月19日に登録査定、同年5月6日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)2名は、本件商標は、以下の理由から、商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立てた(申立て番号01、02)。 (1)申立ての理由(申立て番号01) 申立て番号01に係る申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のとおりに述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第8号証(枝番号を含む。以下「甲01-1」から「甲01-8」という。)を提出した。 ア 「ガイドレシーバー」という語の一般的意味等について (ア)本件商標の構成中、「ガイド」の文字は、「案内すること、手引すること、案内人、案内する」等を意味し、また、「レシーバー」の文字は、「受信装置で主に直接耳に当てて聞く物、受信機」等を意味する語として、各種の辞書(甲01-1の1~甲01-1の5)に記載されており、それぞれ一般に極めてよく知られている。 また、本件商標の構成中「ガイド」の文字は、例えば「ガイドブック」(案内書)、「ガイドライン」(指導目標)など、「ガイド○○」という用法で使用されることが多く、「ガイド」の語と結合した複合語の意味がいずれも「案内(指導)のための○○」と理解されることが非常に多い。 したがって、「レシーバー」が、旅行業界及び無線業界において「受信装置で主に直接耳に当てて聞く物」を意味する語として、「ガイド」が「案内」を意味する語として普通に使われ、「ガイド」と他の語が結合した複合語の場合、その意味が「案内(指導)のための○○」と理解されることが非常に多いことからすれば、「ガイドレシーバー」の語が少なくとも旅行業界及び無線業界において使用される際は、これに接した取引者・需要者に、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」の意味を、容易に認識させるものである。 (イ)さらに、日本旅行業協会及び全国旅行業協会の定めた令和2年5月14日付け「旅行業における新型コロナウィルス対応ガイドライン(第1版)」(甲01-2)においては、「観光地では、団体メンバーが集まって『密』の状態を作らないよう、ガイドレシーバーを利用したガイディング等を行う」と規定されている。また、同年7月1日付け「旅行業における新型コロナウィルス対応ガイドライン(第2版)」(甲01-3)においても、同様の規定がある。 これらの事実からするに、「ガイドレシーバー」という語は、令和2年5月14日までに、旅行業界及び旅行業界に対してレシーバーを売る業界である無線機業界においては、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」を意味するものとして定着していた。 そして、上記ガイドラインの制定を受け、無線機を取り扱う各社より上記ガイドラインに沿った「ガイドレシーバー」として、「イヤホンガイド」(甲01-4~甲01-6)、「トラベルイヤホン」(甲01-7)、「ビーガイド」(甲01-8)等の製品が発売されている。 つまり、「ガイドレシーバー」という語は、令和2年5月14日以降、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」のことを表示するものとして、旅行業界だけでなく無線機業界においても、普通に使用されていた(甲01-2~甲01-8)。 また、「ガイドレシーバー」の供給者である旅行業界及び無線機業界がこのような認識であることからすれば、観光地等で無線機の貸与等を受ける事業者及び旅行客等においても、「ガイドレシーバー」という語は、各社それぞれが販売・貸与している「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」のことを総称して表示するものと認識していた。 以上から、「ガイドレシーバー」の語は、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」の意味で普通に使用されていた語である。 イ 商標法第3条第1項第3号について 本件商標は、「案内人」、「案内する」を示す「ガイド」と、「受信装置で主に直接耳に当てて聞く物」、「受信機」を意味する「レシーバー」を組み合わせ、片仮名を普通に用いられる方法で横書きしたものであり、その表示方法・形式等から自他識別をすることはできない。 また、「ガイドレシーバー」の語は、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」のことを表す語として、令和2年5月14日以降、供給者・需要者双方において、普通に使用されていた。 したがって、本件商標をその指定役務中「携帯無線通信機器の貸与」に使用したとしても、これに接する取引者、需要者は、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」の貸与が受けられるという意味での「役務の質」(内容)を表したもの、あるいは「役務提供の用に供する物」を単に表示したと理解するにとどまるため、当該「ガイドレシーバー」の語を用いたからといって、それが特定者の役務であると認識する者はいない。 つまり、「ガイドレシーバー」という語は、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものである。 また、このように旅行業界及び無線業界において、一般的に使用されている語に特定人が独占使用し得る商標権が設定されることは公益上適当ではない。 よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 ウ 商標法第3条第1項第6号について 本件商標「ガイドレシーバー」は、「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」の意味で普通に使用されていた語であるから、それを使用したとしても、何人かの業務に係る役務であるかを認識することはできない。 実際にガイドライン(甲01-1、甲01-2)の制定を受け、無線機を取り扱う各社より同ガイドラインに沿った「ガイドレシーバー」として、「イヤホンガイド」(甲01-3~甲01-5)、「トラベルイヤホン」(甲01-6)、「ビーガイド」(甲01-7)等の製品が発売されているから、「ガイドレシーバー」といっても、どの商品を示すのか不明である。 本件商標をその指定役務中「携帯無線通信機器の貸与」に使用するとしても、「ガイドレシーバー」という語が、特定の商品を示すものでもなければ、特定の役務を示すものでもないから、何人の役務なのかは特定できない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 エ 商標法第4条第1項第16号について 旅行業界及び無線業界において、「ガイドレシーバー」という語が「観光地等での案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」と理解されている実情にあっては、本件商標の指定役務中「その他の通信機器」(例えばファクシミリ、パソコン等)や、音声受信が可能であってもその機能が付加されていないような機器(例えば自動音声再生機器等)の貸与等において使用される場合、これに接する取引者、需要者をして、当該役務があたかも「観光地等での案内人の案内を通信機器を用いて行う際に使用される音声受信機器」の貸与を受けられるものであると、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 (2)申立ての理由(申立て番号02) 申立て番号02に係る申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のとおりに述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第19号証(以下「甲02-1」から「甲02-19」という。)を提出した。 ア 「ガイドレシーバー」の語の意味合いについて 本件商標の構成中、「ガイド」の文字は「案内すること。手引きすること。旅行・登山の案内者。案内人。特に通訳案内者。」等の意味を有し(甲02-2)、「レシーバー」の文字は「受信装置で、主に直接耳に当てて聞くもの。」等の意味を有するから(甲02-3)、本件商標は、その構成全体より「案内に関する受信装置」ほどの意味合いが容易に理解される。 そして、音声受信機に関する商品及び役務の分野において、「ガイドレシーバー」が「案内に用いられる音声受信機」を示すものとして知られており、現に「ガイドレシーバー」の名称の下、その使用がなされている。 イ 異議申立ての経緯について 一般社団法人日本旅行業協会及び一般社団法人全国旅行業協会は、政府が各業界団体に対して新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に関するガイドライン等の作成指導、要請したことを受けて、2020年5月に「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン 第1版」(以下、「本件ガイドライン」という。)を作成、公表した。 本件ガイドラインは、旅行業における新型コロナウイルスの感染拡大予防を目的としており、「観光地では団体メンバーが集まって『密』の状態を作らないよう、ガイドレシーバーを利用したガイディング等を行う」と記載されている(甲02-4)。 上記より、本件ガイドラインが公表された2020年5月14日以降、業界団体により、観光地等における案内に「ガイドレシーバー」の使用が推奨されている状況にあったといえる。そして、これを推奨するガイドラインを作成した申立人においては、「ガイドレシーバー」の語は、観光地や施設見学において、「案内に用いられる音声受信機」を指すものとして一般的な語であり、その登録は許されるべきではないから、本件異議申立てに至ったものである。 ウ 「ガイドレシーバー」の語の使用状況について (ア)観光地や施設見学における「ガイドレシーバー」の語の認識の度合いについて上記で述べたが、この点に関しては、甲02-5から甲02-7のとおり、観光地や施設見学において、「案内に用いられる音声受信機」を「ガイドレシーバー」と称し、その呼び名をもって使用されている状況からも看取し得るところである。 以上のとおり、観光地や施設見学において、「案内に用いられる音声受信機」を「ガイドレシーバー」と称して使用されているが、このことは、この分野が特殊なわけではなく、「案内に用いられる音声受信機」を「ガイドレシーバー」の表示をもって、商品として販売又は貸与する状況も存在する。 (イ)その他に、「ガイドレシーバー」の語をもって音声受信機が販売されている例(甲02-8~甲02-13)、「ガイドレシーバー」の語を音声送受信機の貸与に使用している例(甲02-14~甲02-18)、本件商標権者による使用例(甲02-19)がある。 (ウ)上記によれば、本件商標権者においても、「ガイドレシーバー」を利用したガイディングや本件ガイドラインを十分に認識しており、その上で、「音声受信機の貸与」を想定して、「音声受信機」との関係で一般的、記述的な語として使用されている「ガイドレシーバー」を商標として採択したことが伺い知れる。 エ まとめ 以上のとおり、複数の事業者が、「案内に用いられる音声受信機(音声送受信機)」を「ガイドレシーバー」という名称の下、その商品を販売しており、この点に照らすと、「ガイドレシーバー」の語が「音声受信機」との関係で一般的、記述的な語として使用されている。 そして、一般に、販売の対象となる商品は、貸与の対象になることも容易に想定し得るところ、「案内に用いられる音声受信機」を「ガイドレシーバー」と称して販売している状況があれば、「音声受信機の貸与」の際に用いられる「ガイドレシーバー」の語は、そのような貸与との関係では、「役務の提供の用に供する物」の名称にあたる。実際に、「音声受信機の貸与」に際して、「ガイドレシーバー」の語が上記意味合いで使用されている。 加えて、観光、施設見学等における案内に際して、種々の態様で音声送受信機が使用されており、その際には、「音声受信機(音声送受信機)」の一般的、記述的な名称としての「ガイドレシーバー」の語をもって紹介されている。 そうすると、「ガイドレシーバー」の語を、本件商標の指定役務「携帯無線通信機器・電話機その他の通信機器の貸与」に使用した場合、「案内に用いられる音声受信機」ほどの意味合いを認識させ、役務の提供の用に供する物を表示したものと理解される。 オ 結論 以上を総合すると、「ガイドレシーバー」の語より「案内に用いられる音声受信機」ほどの意味合いが看取されるとともに、実際にそのような意味合いで使用されている状況に鑑みると、本件商標「ガイドレシーバー」の語を、その指定役務に使用した場合、これに接する需要者、取引者等は、貸与の対象となる物が「ガイドレシーバー(案内に用いられる音声受信機)」であると認識するにとどまる。 したがって、本件商標は、単に役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 当審による取消理由通知 当審において、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するから、本件商標の登録は同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべき旨を、本件商標権者に通知し、意見を求めた。 4 上記通知に対する本件商標権者の意見 本件商標権者は、上記通知に対して、意見書を提出していない。 5 当審の判断 (1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について ア 本件商標は、「ガイドレシーバー」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同種文字(片仮名)を、同じ大きさ及び書体で、字間なく、横一列にまとまりよく表してなるから、一連一体の語を表してなると認識、理解できる。 そして、本件商標の構成中「ガイド」の文字は「案内すること。旅行・登山の案内者。」の意味を、「レシーバー」の文字は「受信装置で、主に直接耳に当てて聞くもの。」の意味を有する語(甲01-1の2。「広辞苑 第7版」岩波書店。)で、いずれも我が国でも親しまれた意味合いの理解が容易な外来語である。 イ また、旅行業界においては、別掲(1)のとおり、業界団体(日本旅行業協会、全国旅行業協会)によるガイドラインによって「ガイドレシーバー」を利用したガイディングが推奨されていることもあって、別掲(2)から別掲(18)のとおり、それに相当する製品(ガイドに利用する送受信装置等)が、例えば「ガイドレシーバー」、「無線ガイドレシーバー」、「音声ガイドレシーバー」、「ツアーガイドレシーバー」、「ワイヤレスツアーガイドレシーバー」などと称して製造、販売、貸与又はツアー利用されている取引の実情がある。 ウ そうすると、本件商標は、その指定役務(携帯無線通信機器・電話機その他の通信機器の貸与)との関係において、その需要者及び取引者をして、「ガイド(に利用する)受信装置」程度の意味合いを認識、理解させるもので、単に役務の提供の用に供する物(役務の提供を受ける者の利用に供する物)を表示するにすぎない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項3号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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