商標異議申立
2021-900270
フォブコープ、エフオオビイコープ
- 審判番号
- 2021-900270
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-017241
- 登録番号
- 6377170
- 請求日
- 2021年07月12日
- 審決日
- 2022年01月17日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社トレードワークス
- 【権利者代理人】特許業務法人東京アルパ特許事務所
- 【異議申立人】日本生活協同組合連合会
- 【異議申立人代理人】米屋 崇
- 【異議申立人代理人】米屋 武志
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T1651.261-Y (W14182035) / T1651.262-Y (W14182035) / T1651.263-Y (W14182035) / T1651.271-Y (W14182035)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6377170号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6377170号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6377170号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「FOB COOP」の欧文字を横書きした構成からなり、令和2年2月18日に登録出願され、第14類「身飾品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」、第20類「木製の包装用容器(「コルク製及び木製栓・木製ふた」を除く。),竹製の包装用容器,プラスチック製の包装用容器(「プラスチック製栓・ふた及び瓶」を除く。),家具」及び第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯用化粧道具入れの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「布製身の回り品」を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,木製の包装用容器(「コルク製及び木製栓・木製ふた」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,竹製の包装用容器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック製の包装用容器(「プラスチック製栓・ふた及び瓶」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同3年3月31日に登録査定、同年4月14日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次の5件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5291157号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きしてなり、平成21年5月1日に登録出願され、第14類「宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,時計」を指定商品として、同年12月25日に設定登録されたものである。
2 登録第5257919号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きしてなり、平成19年12月4日に登録出願され、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、同21年8月14日に設定登録されたものである。
3 登録第4988648号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きしてなり、平成18年3月6日に登録出願され、「傘,ステッキ,つえ」を含む第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月15日に設定登録されたものである。
4 登録第5007990号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きしてなり、平成18年4月5日に登録出願され、「家具」を含む第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月1日に設定登録されたものである。
5 登録第5257910号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きしてなり、平成19年7月2日に登録出願され、「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品(「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料・果実飲料・氷・人工甘味料・乳糖・乳児用粉乳・食用油脂・乳製品・ウースターソース・グレービーソース・ケチャップソース・しょうゆ・食酢・酢の素・そばつゆ・ドレッシング・ホワイトソース・マヨネーズソース・焼肉のたれ・角砂糖・果糖・氷砂糖(調味料)・砂糖・麦芽糖・はちみつ・ぶどう糖・粉末あめ・水あめ(調味料)・アイスクリームのもと・シャーベットのもと・乳清飲料」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同21年8月14日に設定登録されたものである。
以下、上記の引用商標1ないし引用商標5をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 引用商標の周知性
(1)申立人について
申立人は、1951年3月に消費生活協同組合法に基づき設立された組織であって、消費者一人ひとりが出資金を出し合い組合員となって協同で運営・利用する独立した法人組織である地域生協、職域生協、大学生協等の全国各地の計314(2020年度末時点)の会員生協が加入するとともに、それら会員生協の幾つかが商品の開発や仕入れ、物流設備やシステム基盤の整備などを協力して行う事業連合(連合会)が加入する、組合員総数約2996万人に及ぶ日本最大級の組織である(甲3)。
(2)引用商標を使用した商品の会員生協への供給について
申立人は、1960年から組合員の普段の暮らしに役立つ商品を目指して商品の開発に取り組んでいる。また、1981年から、引用商標をハウスマークとして使用するとともに、上記開発した商品に引用商標を使用し(以下「コープ商品」という。)会員生協に供給しており、2020年3月31日の時点では飲食料品全般(生鮮・日配品及び加工食品)及び日用品等(化粧品、キッチン・生活雑貨等)について約5500品目ものコープ商品を全国各地の会員生協に供給している(甲4)。
なお、申立人のコープ商品事業に関する2019年度の供給高は約3,100億円、2018年度の供給高は約3,010億円、2017年度の供給高は2,960億円である(甲5)。
(3)コープ商品の組合員への供給について
申立人より供給されているコープ商品は、遅くとも2011年から現在に至るまで、地域生協等の集まりである事業連合(連合会)のコープデリ連合会(組合員数約495万人)、コープきんき(組合員数約218万人)、コープ九州(組合員数約191万人)、ユーコープ(組合員数約179万人)、コープ東北サンネット(組合員数約180万人)、CSネット(組合員数約176万人)、コープこうべ(組合員数約172万人)等又は地域生協等が主体となって毎週1回発行し、希望する組合員に配布している宅配カタログ(甲6の2~7)や、会員生協が運営するインターネットサイトを通じた宅配や、会員生協が運営する全国各地の店舗(少なくとも850店舗)を通じて、組合員に供給されている。(甲6の1)
(4)小売等役務への引用商標の使用
ア 申立人は、衣服、キッチン・生活雑貨、家具等を製造メーカーから一括して買い付けるとともに、それらの商品を、会員生協を通じて組合員に供給しており、2005年からはインターネットサイトの全ページの下端部において、引用商標が小売等役務商標として標記された注文サイト「くらしと生協」を開設しており、組合員は注文サイトを通じて商品を購入することが可能となっている。
なお、上記注文サイトは、2020年度の後半の半年間でページビュー数が5千5百万以上であり(閲覧人数は200万人以上)、多くの組合員等に利用されている。(甲16の6)。
また、遅くとも2016年から現在に至るまで申立人が毎週1回発行し、希望する全国の組合員に会員生協を通じて配布している宅配カタログ「キャロット」(甲16の7、8)によっても、衣服等の商品が組合員に供給されている。
イ 会員生協の最大の集まりであるコープデリ連合会を構成する会員生協(甲17の1)が運営する店舗において、その看板に、申立人が使用を許諾している引用商標と社会通念上同一の商標が、小売等役務商標として使用されている(甲17の2、3)。
ウ また、コープデリ連合会が、その会員生協の組合員に配布するために毎週1回発行する宅配カタログにも、引用商標と社会通念上同一の商標が小売等役務商標として、遅くとも2011年から現在に至るまで使用されている(甲6の2、3)。さらに、コープデリ連合会を構成する会員生協が、その組合員に供給する商品を宅配する際に使用する約8000台の配送車にも、引用商標と社会通念上同一の商標が小売等役務商標として使用されている(甲17の4、5)。
エ なお、コープデリ連合会が、その会員生協の組合員に配布するために発行する宅配カタログ、及びその会員生協が運営するインターネットサイトには、コープ商品及びそれ以外の飲食料品、生鮮食料品(食肉、食用魚介類、野菜、果実等)、化粧品、衣服、キッチン・生活雑貨、家具等が掲載されている(甲6の2、3)。また、コープデリ連合会を構成する会員生協が運営する店舗においても、同様にコープ商品及びそれ以外の飲食料品等を販売しており、組合員はそれらを購入することが可能である(甲17の2、3、6)。
また、コープデリ連合会を構成する7つの会員生協の2019年度における商品供給高は、約5,300億円となっている(甲17の7)。
(5)以上のとおり、引用商標は、申立人が展開する商品(コープ商品)及び小売等役務について継続的に使用されているだけでなく、テレビ、新聞(WEB版を含む)等の各種メディアにおいて、コープ商品が継続的に取り上げられている。さらには、申立人の上記のような供給高の実績、及びコープデリ連合会を構成する7つの会員生協の上記のような供給高の実績があることから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の展開する商品及び小売等役務を表示するものとして、取引者及び需要者の間に広く認識されていたということができ、その周知性は、現在においても継続している。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標について
引用商標は、欧文字「CO」と「OP」の間に記号「・」を配置して横書きしてなる構成で、構成文字全体に相応して「コープ」の称呼が生じるものである。また、観念については、上記のとおり「CO・OP」が、申立人の展開する商品(コープ商品)及び小売等役務の表示として、「コープ」の称呼とともに、取引者及び需要者の間に広く認識されていることから、「申立人の展開する商品及び小売等役務の表示としての『CO・OP』」の観念が生ずるものである。
(2)本件商標について
本件商標は、欧文字で「FOB COOP」と横書きしてなる構成で、その各構成文字は同書同大で表され、「FOB」の文字部分と「COOP」の文字部分とから構成される結合商標である。そして、本件商標は、その構成中の「FOB」の文字部分と「COOP」の文字部分との間に半角分のスペースが空いており、商標の外観上「FOB」の文字部分と「COOP」の文字部分とを明瞭に区別して認識することができるものであること、そして、これら2つの文字の関連性が薄いこと等を考慮すると、本件商標の「FOB」の文字部分と「COOP」の文字部分は、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとみることはできない。
本件商標の構成中の「COOP」の文字部分は、「コープ」の称呼が生じ、引用商標の文字部分とつづりを同一にするものであること、上記のように「CO・OP」が申立人の展開する商品及び小売等役務の表示として、「コープ」の称呼とともに、取引者及び需要者の間に広く認識されていること等を考慮すると、本件商標の構成中の「COOP」の文字部分は、取引者及び需要者に対し、自他商品・役務の識別標識として強く支配的な印象を与える部分であるということができる。
一方、本件商標の構成中の「FOB」の文字部分は、指定商品・指定役務との関係において自他商品・役務を識別する機能が全くないというわけではないが、自他商品・役務の識別標識として強く支配的な印象を与える「COOP」の文字部分と対比した場合、本件商標の指定商品・指定役務との関係からすれば、取引者及び需要者に対し、自他商品・役務の識別標識として強く支配的な印象を与える部分とはいえない。
そのため、商取引の実際においては、本件商標に接する取引者・需要者は、商品又は役務の出所識別にあたり、その構成中の「FOB」の文字部分を捨象し、「COOP」の文字部分をその要部と認識するとともに、「申立人の展開する商品及び小売等役務の表示として広く認識されている『CO・OP』」を想起することも少なくないといえる。
そうすると、本件商標は、構成文字全体に相応した「フォブコープ」の称呼を生ずるほか、「COOP」の文字部分のみを捉えた「コープ」の称呼が生じるものいえ、「申立人の展開する商品及び小売等役務の表示としての『CO・OP』」の観念が生じ得るということができる。
(3)本件商標及び引用商標からは、いずれも「コープ」の称呼が生じるから、両者は称呼を共通するものである。また、引用商標からは「申立人の展開する商品及び小売等役務の表示としての『CO・OP』」の観念が生じ、本件商標からも、「申立人の展開する商品及び小売等役務の表示としての『CO・OP』」の観念を生じ得るから、両者は同一の観念を有するものである。
(4)上記より、本件商標と引用商標は、全体の外観において差異を有するとしても、本件商標の要部といい得る「COOP」の文字部分と引用商標とは、文字部分のつづりを同一にするものであり、「コープ」の称呼を共通にし、観念においても同一であるから、両者の外観・称呼・観念によって、取引者・需要者に与える印象・記憶・連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断できる。
(5)また、本件商標の指定商品・指定役務は、引用商標の指定商品・指定役務と同一又は類似の関係にある。
(6)以上によれば、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、本件商標に係る指定商品・指定役務と引用商標に係る指定商品・指定役務は同一又は類似である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標の類似性の程度
上記のとおり、引用商標は、申立人の展開する商品及び小売等役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者及び需要者の間に広く認識されていたといえる。また、本件商標と引用商標は、全体の外観において差異を有するとしても、本件商標の要部といい得る「COOP」の文字部分と引用商標とは文字部分のつづりを同一にするものであり、「コープ」の称呼を共通にし、観念においても同一であるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は高いというべきである。
(2)商品・役務の関連性、及び需要者の共通性について
本件商標に係る指定商品・指定役務は、前記第1のとおりである。
これに対し、申立人の主な業務は、コープ商品を含む飲食料品(生鮮・日配品及び加工食品)の会員生協への供給(販売及び小売)である。また、申立人は、コープ商品を含む家庭用品や繊維品に関する幅広い商品の会員生協及び組合員への供給(販売及び小売)も行っており、その具体的な商品としては、化粧品、衣服、キッチン・生活雑貨、家具等多岐にわたる。そして、2019年度における家庭用品、繊維品についての供給高は、それぞれ約640億円、約400億円、2018年度における供給高は、それぞれ約608億円、約402億円、2017年度における供給高は、それぞれ約625億円、約402億円である(甲5、甲6の2~4、甲6の6、甲16の1~5、甲16の7、8)。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務に係る商品と、申立人の業務(販売及び小売)に係る商品とは、日常生活で一般消費者によって使用され、一般消費者に比較的安価で販売され得るものであるなど、性質・用途又は目的において一定の関連性を有するものである。また、本件商標の指定商品及び指定役務と、申立人の業務に係る商品との需要者は、ともに一般消費者であって、その範囲は共通する。
さらに、上記のような一般消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれているといえるため、商品の購入及び役務の提供を受けるに際し、メーカー名やハウスマークなどについて常に注意深く確認するとは限らないものと考えられる。
(3)出所の混同を生じるおそれ
以上のとおり、引用商標は、我が国において申立人の展開する商品及び小売等役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者及び需要者の間に広く認識されていたものであり、本件商標と引用商標の類似性は相当程度高く、かつ申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品及び指定役務は一定の関連性を有するものであり、その需要者を共通にするものである。
これらの状況を考慮し、本件商標の指定商品又は指定役務の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する需要者が、周知性の程度が高い引用商標を連想又は想起することは少なくなく、その商品又は役務が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない場合であっても、同項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「FOB COOP」の欧文字を横書きしてなるところ、該構成文字は、「FOB」と「COOP」との間に半文字程度の空白があるとしても、同書、同大で外観上まとまりよく一連一体に表されており、いずれかの文字部分が、取引者、需要者に対し商品・役務の出所表示として強く支配的な印象を与えるとものはいい難く、その構成全体から生じる「フォブクープ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中、「FOB」の文字は「懐中時計の鎖(ひも)」等を意味する語として、「COOP」の文字は「(ニワトリ・ウサギ用の)囲いかご、小屋」の意味を有する語として、それぞれ辞書類に載録されている(いずれも「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)としても、我が国において一般に広く親しまれた語であるとはいえず、これらの2語を結合することによっても、親しまれた観念を生じるものではないことから、本件商標は、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解、認識されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「フォブクープ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「CO・OP」の欧文字を横書きした構成からなるところ、該文字は、我が国における一般的な辞書である「広辞苑第七版」(岩波書店)の「コープ(CO-OP)」の項において、「消費生活協同組合。略称、生協」の意味を有する語として掲載されており、一般の取引者、需要者もそのような意味合いをもって認識するというのが相当である。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「コープ」の称呼を生じ、「消費生活協同組合(生協)」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否を検討すると、まず、外観においては、両者は、語頭において「FOB」の文字の有無という明らかな差異を有しているほか、引用商標の「CO」と「OP」の文字の間には「・」(中黒)が存在することから、これらの差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれはないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「フォブクープ」の称呼と引用商標から生じる「コープ」の称呼とは、語尾において「プ」の音を共通にするとしても、称呼の識別上重要な語頭音を明らかに異にし、さらに、その構成音数、各音構成の相違及び音調の差異等により、それぞれを一連に称呼した場合においても、称呼上、明確に聴別し得るものである。
また、本件商標からは、特定の観念を生じないものであるから、引用商標から特定の観念が生ずるとしても、両者は観念上、互いに相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、いずれも非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、1951年3月に消費生活協同組合法に基づき設立された組織であり、各地の会員生協や生協連合会が加入する全国連合会である。2020年度末推計によれば、申立人に加入する全国の会員生協(独立した法人組織である地域生協、職域生協、大学生協等。)の数は314、組合員(出資している消費者)の総数は約2,996万人であり、会員生協の総事業高は約3.7兆円である(甲3、甲4)。
イ 申立人は、1960年から組合員向けの商品開発を行っており、1981年から引用商標と同一の態様からなる商標(以下「使用商標」という。)をハウスマークとして使用するとともに、使用商標を付した商品(以下「使用商品」という。)の開発、提供を行っている。2020年3月31日現在において、申立人は会員生協に、飲食料品や日用品など約5,500品目の使用商品を供給しており(甲4、甲6の2~7等)、申立人の使用商品事業に係る供給高は、2017年度は約2,961億円、2018年度は約3,013億円、2019年度は約3,094億円であった(甲5)。また、使用商品は、宅配カタログ(甲6の2~7等)や、全国の約850店舗(甲17の2、3)等を通じて、組合員に供給されており(甲6の1)、それらの商品は、「流通ニュース」、「冷凍食品エフエフプレス」等のウェブサイト、「日本経済新聞」、「日本食糧新聞」等の新聞(ウェブ版を含む。)、「ESSE」等の生活誌等において報道されている(甲10等)。
ウ 申立人は、使用商標を表示したウェブサイト「くらしと生協」において、ジュエリー、バッグ、家具等の供給を行っていることがうかがえる(甲16の1~5。ただし、甲号証の出力日や記事掲載日は不明。)。該ウェブサイトのページビュー数は、2020年9月21日ないし2021年3月20日の期間において、約5千5百万であったとされる(甲16の6)。また、申立人は、宅配カタログ(甲16の7)において、使用商品を含む種々の生活雑貨を供給している。
さらに、コープデリ連合会を構成する会員生協(甲17の1)が運営する小売店舗の看板に、申立人が使用を許諾したとする使用商標が付されており、これらの店舗では、飲食料品を中心とした商品が販売されている(甲17の2、3)。なお、コープデリ連合会が組合員に商品を宅配する際に使用する配送車の車体にも、使用商標が付されていることがうかがえる(甲17の4。ただし、該写真の撮影地や撮影日は不明。)。
エ 上記アないしウによれば、申立人は、消費生活協同組合法によって設立され、各地の会員生協や生協連合会が加入する全国連合会であること、使用商標は、申立人のハウスマークや、申立人が会員生協へ供給する使用商品(飲食料品や日用品等)に使用されていること、使用商品は、我が国において主に生協に加入している組合員(組合員総数約2,996万人)に、宅配カタログ等による注文や、会員生協が経営する店舗での販売を通じて供給されていること、申立人の使用商品事業に係る供給高は、2019年度ないし2017年度の各年度において、約3千億円前後であったことがうかがえる。
そうすると、使用商標と同一の構成からなり、飲食料品や日用品などの小売等役務をその指定役務に含む引用商標5は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務(飲食料品や日用品などの小売等役務)を表示するものとして、我が国の需要者の間において広く認識されていたものといえる。
しかしながら、申立人の販売実績や宣伝広告活動(宅配カタログやウェブサイト)は、飲食料品や日用品などを中心としたものであり、また、使用商品が新聞、雑誌等のメディアで取り上げられていることはうかがえるとしても、これらの記事も飲食料品を中心としたものであって、例えば、身飾品、かばん類、傘、家具等の商品や、それらの小売等役務に関する引用商標の周知性の向上に寄与するとは考えにくい。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標1ないし引用商標4が我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、申立人提出の証拠によっては、引用商標1ないし引用商標4は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとまではいうことができない。
(2)混同を生ずるおそれについて
上記1(3)のとおり、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
そうすると、引用商標5が申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていることを考慮してもなお、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-900270