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商標異議申立

2021-900266

バンライフ、バン、ブイエイエヌ、ライフ

審判番号
2021-900266
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-114866
登録番号
6377757
請求日
2021年07月09日
審決日
2022年09月29日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社デイトナ・インターナショナル
  • 【権利者代理人】蔵田 昌俊
  • 【権利者代理人】小出 俊實
  • 【権利者代理人】幡 茂良
  • 【権利者代理人】橋本 良樹
  • 【権利者代理人】岡田 貴志
  • 【異議申立人】ケントジャパン 株式会社
  • 【異議申立人代理人】藤沢 則昭
  • 【異議申立人代理人】藤沢 昭太郎
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 山田 啓之
分類
T1652.251-Z (W1825) / T1652.252-Z (W1825) / T1652.253-Z (W1825) / T1652.271-Z (W1825)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項、商標法第51条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6377757号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6377757号商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」についての商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6377757号商標(以下「本件商標」という。)は、「VAN LIFE」の欧文字及び「ヴァンライフ」の片仮名を上下2段に表してなり、令和元年8月28日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「被服,履物」を指定商品として、同3年3月29日に登録査定、同年4月15日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する商標は、「VAN」の文字からなる商標であり、以下「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第69号証までを提出した。 1(1)申立人である、ケントジャパン株式会社のグループ会社である株式会社ヴァンヂャケット(以下「ヴァン社」という。)は、長年、被服等の商品だけでなく、「ライフスタイル」を提供している。 ヴァン社(メインブランド名:VAN)の創始者は、団塊の世代の若者たちに「アイビーファッション」を提案し、アメリカン感覚の新しいライフスタイルを作り上げた。1951年、大阪府にアメリカン・カジュアルを中心としたメンズアパレル「ヴァンヂャケット」を創設した。最初、VANはコットンのワークシャツやジーンズなどのアメリカン感覚の商品を販売し、人気を博していたが、1959年、細身のシルエットのアイビー・モデル・スーツを発表、都会の若者たちの注目を集めることとなった。1964年、二十代前半の男性を対象とした週刊誌「平凡パンチ」が創刊され、アイビー・ルックが紹介されると、アイビーファッションは全国的にブームを引き起こした。VANの作り出したアイビー・ルックは、若者たちの青春のシンボルになって、日本の津々浦々まで広がり、60年代の若者の文化になった。その後も、メンズファッションの新しい着装の方法を提案し、VANブランドを不朽のものとし、その後のメンズファッションに大きな影響を与えた(甲1~甲5)。 そして、ヴァン社は、1974年から1976年頃には300億円以上の売上げがあり、ジャケット、シャツ等の膨大な数の商品に「VAN」ブランドに係る商標が付されていた(甲6)。 (2)ヴァン社は、設立当初から日常生活の衣、食、住、音楽、演劇、スポーツと様々なライフスタイル・文化を発信してきた(甲5、甲7~甲17)。 また、ヴァン社が、ライフスタイルを発信(提供)していた点については、多くの作家や記者が述べている(甲5、甲18~甲22)。 そして、現在も、ヴァン社は、日本TRADの発信者として、様々な「モノ」、「コト」、「ライフスタイル」を提供し続けている(甲23)。 2 ヴァン社又は同社の業務に係る商品及び「VAN」ブランドは、多くの有名人に対し、影響を与えている(甲24~甲28)。 3(1)ヴァン社又は同社の業務に係る商品に係る「VAN」ブランドは、現在においても、周知・著名性を有している。 商標法第51条第1項の取消審判(取消2013-300941)の審決において、「株式会社ヴァンヂャケットないし同社の業務に係る商品及び引用商標に係るブランドは、1960年代から1970年代にかけて、若者を中心として、全国的に絶大な支持を得ていた。その後も、同社は専ら引用商標及びそれに類する商標を継続的に使用してきた。その結果、2013年6月の時点においても、ファッションに興味がある者を含め、一般の取引者、需要者の間において、一定程度の周知性を有している。」と認定されている(甲29)。 (2)現在でも、全国約40のショップ(甲30)とECサイト(甲31、甲32)で、「VAN」ブランドを付した被服、かばん、雑貨類を販売し、カタログも毎シーズン発行している。また、本においても、2018年、2019年と宝島社が「VAN」を特集したムック本を出版した(甲33、甲34)。 また、国内最大級規模のファッションブランドのデータベースサイト「Fuku DB」では、ヴァン社の「VAN」ブランドが紹介されている(甲35)。国内アパレルメーカー(主要メーカーのみ)の創業年度をまとめたHPでも、ヴァン社の「VAN」ブランドが掲載されている(甲36)。さらに、2020年3月の繊研新聞に掲載された、19年度百貨店バイヤーズ賞(メンズ)の「カジュアル部門」では、ヴァン社の「VAN」ブランドが3位に選出された(甲37)。 したがって、現在も、ヴァン社に係る「VAN」ブランドは、ファッションに興味がある者を含め、一般の取引者、需要者の間において、一定程度の周知性を有している。 (3)その結果、近年も、ブランドとコラボレーション(=協同)して、商品を販売している(甲38~甲41)。 また、テレビ東京が放映している、各地の名所を紹介する長寿番組「アド街ック天国」で、2020年1月18日に「蔵前」を特集した際に、第12位としてヴァン社の直営ショップである「VAN Shop Kuramae」が紹介された(甲42)。 4 申立人は、「VAN ○○」の商標を多数所有し、ヴァン社は、これらの商標を付した商品を販売している(甲7、甲43~甲55)。 このように、ヴァン社が、「VAN ○○」といった「VAN」ブランドと関連するブランドを展開した多数の実績があるため、本件商標を見たり聞いたりした取引者・需要者は、ヴァン社の「VAN」ブランドとの関連性を想起する。 5 本件商標の商標権者である、株式会社デイトナ・インターナショナル(以下「デイトナ社」という。)と、ヴァン社は、コラボレーション(=協同)して、商品を販売した。 2018年4月18日に、デイトナ社から、「日本のアメリカントラッド発信ブランド「VAN」と、アメリカンライフスタイルを提案するフリークスストアは、アメリカを切り口にするショップ同士として、親和性が高いことからコラボ商品を発売したい。」との申入れがあった。つまり、ヴァン社に係る「VAN」ブランドが被服等を示すものとして周知・著名であるため、デイトナ社からヴァン社とコラボレーションしたいと申入れしてきた。 その結果、ヴァン社は、デイトナ社に対し、登録商標「VAN」(第719648号、第4145251号)のトートバッグ、ジャケット、Tシャツ等の指定商品について、2018年11月15日に通常使用権を許諾した。また、デイトナ社は、ヴァン社とのコラボレーションに伴い、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの被服等を自身の店舗で販売した(甲56、甲57)。そして、ヴァン社とデイトナ社は、2019年4月6日に、コラボ商品の販売を開始した。その後、デイトナ社は、ヴァン社に何ら話もなく、2019年8月28日に本件商標に係る登録出願を行った。 6 他人の周知・著名な商標を一部に含む商標について、当該他人の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあるとして、登録を無効又は取消しの判断をした審決が多数存在する(甲29、甲59~甲63)。 7 デイトナ社は、本件商標とは異なる構成の「VAN」を1段目、「LIFE」を2段目に配置した、2段書きのロゴ「VAN/LIFE」を付した商品を販売している(甲64)。 8 ヴァン社に係る「VAN」ブランドは、主に「被服」等の商品に使用されているが、上述したとおり、同ブランドは、周知・著名であるため、「かばん類,袋物,履物」といった、被服とは非類似の商品に使用された場合であっても、本件商標を見たり聞いたりした取引者・需要者は、ヴァン社に係る商品である、又はヴァン社と組織的・経済的に何らかの関連性を有する者の業務に係る商品であると誤って認識する。 9 結論 (1)現在において、ヴァン社に係る「VAN」ブランドは、被服の分野で周知・著名性を有している。また、ヴァン社は、長年、被服等の商品を販売するだけでなく、「ライフスタイル」を提供している。さらに、ヴァン社は、商標「VAN」に関連する商標「VAN ○○」を数多く有しており、それらの商標を使用した商品を販売している。また、多くの服飾メーカーが、靴やバッグにまで同一ブランドの下に商品を製造・販売し、同一デザインや同一コンセプトを活かしたトータルファッションを提供するという商品展開を行っている。 したがって、被服等の商品に付されている、又は「かばん類,袋物,履物」といった、被服とは非類似の商品に付されている本件商標を見たり・聞いたりした取引者・需要者は、ヴァン社の商品である、又はヴァン社と組織的・経済的に何らかの関連性を有する者の業務に係る商品であると、誤って認識する。そのため、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当する。 (2)デイトナ社とヴァン社は、コラボレーション(=協同)して、商品を販売した。元々、デイトナ社は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドが被服等を示すものとして周知・著名であるため、ヴァン社とコラボレーションしたいと申入れしてきたわけである。したがって、言わずもがな、デイトナ社は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの存在及び周知性を十分認識している。 また、デイトナ社は、ECサイトで、本件商標とは異なる構成の、「VAN」を1段目、「LIFE」を2段目に配置した、2段書きのロゴ「VAN/LIFE」を付した「Tシャツ」、「パーカー」、「トートバッグ」、「カバーオール」及び「ワークシャツ」を通販サイト「楽天」や「ZOZOタウン」で販売している(甲64)。デイトナ社は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの存在及び周知・著名性を充分認識しており、「VAN LIFE」と一連に1段書きの態様で登録を受ける一方で、実際の商品に係る使用では、一連1段書きの態様ではなく、上段に「VAN」、下段に「LIFE」と2段書きの態様に変更している。 なお、デイトナ社は、商標出願「VAN LIFE FOSTER HUNTINGTON/ヴァンライフフォスターハンティントン」(商願2021-18526、甲68)及び商標出願「VAN LIFE SUPPLY by FREAK’S STORE/ヴァンライフサプライ バイ フリークスストア」(商願2021-21265、甲69)といった「VAN LIFE」に係る他の商標出願を行っているが、本件商標のように、一連1段書きの態様で出願していても、実際の商品に係る使用では、態様を変えて使用している前例があるため、これらの商標出願に係る商標についても、将来的に、ヴァン社に係る「VAN」ブランドとの出所の混同や同ブランドに係る商標権の侵害行為が発生する可能性が十分ある。 すなわち、デイトナ社は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの周知性にフリーライド、盗用する目的で、本件商標に係る出願を行ったことは、明白である。そのため、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (3)したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものである。 第4 当審における取消理由 当審において、商標権者に対して、「本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服」について、商標法第4条第1項第10号に該当し、仮に同号に該当しないとしても、同項第15号に該当し、また、その指定商品中、第25類「履物」について、商標法第4条第1項第15号に該当するから、本件商標の第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」についての登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものである。したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」について、商標法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和4年5月26日付けで通知した。 第5 商標権者の意見 1 引用商標の周知著名性について ヴァン社の商品を象徴する標識として繰り返し掲載され使用されている商標は、普通の書体で表記した欧文字「VAN」ではなく、「V」、「A」、「N」の各文字を構成する肉太の線同士が接する箇所に所々切れ込みのようなスペースを設けている点、及び中央の「A」の文字のみを赤で塗り潰している、といった特徴を有するものである(甲2~甲5、甲7、甲15、甲16、甲23、甲25、甲26、甲28、甲33、甲34)。また、様々なブランドや「機動戦士ガンダム」などのアニメとのコラボレーション商品においても、普通の書体で表記した欧文字「VAN」ではなく、上記「V」、「A」、「N」のほか、肉太の「V」を細い線で囲い、場合によってその上にイラストやキャラクター等を施す、といった特徴を有する商標が使用されている(甲24、甲38~甲41)。 そうすると、仮にヴァン社の商標として需要者の間に広く認識されているものが存在するとしても、それは、上記のとおり、「V」、「A」、「N」の各文字を構成する肉太の線同士が接する箇所に所々切れ込みのようなスペースを設けている点、及び中央の「A」の文字のみを赤で塗り潰している、といった特徴を有する商標、又は肉太の「V」を細い線で囲い、場合によってその上にイラストやキャラクター等を施す、といった特徴を有する商標であって、普通の書体で表記した欧文字「VAN」(引用商標)が周知著名性を獲得しているとはいい得ない。普通の書体で表示した欧文字「VAN」を引用商標と認定している点は、客観的な事実に合致していないものである。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)「VAN」はヴァン社が創作した造語ではなく、元々「有蓋トラック」の意味を表す英単語であって、中学生・高校生の英語学習向けの辞書においては、基本語であることが明示されており(乙1)、広辞苑においても「貨物を運搬する有蓋の自動車」のことを表す言葉として掲載されている(乙2)。事実、自動車社会である我が国においては、業務用のみならずファミリー向けの自動車としても「VAN(バン)」があまねく普及しているものであって、「VAN(バン)」も「LIFE(ライフ)」と同様に、我々の日々の生活で頻繁に使用されている言葉である。 したがって、本件商標を敢えて「VAN(バン)」と「LIFE(ライフ)」とに分離して考察してみたとしても、一般に親しまれている点においては同等であって、その識別力において優劣があるわけではない。 そもそも「VAN(バン)」は「バン、貨物を運搬する有蓋の自動車」の意味を表す言葉として広く親しまれておリ、「LIFE(ライフ)」も「生活、暮らし」の意味を表す言葉として広く親しまれているのであるから、普通の書体で表した本件商標「VAN LIFE」「ヴァンライフ」からは「バン(自動車)暮らし」といった意味合いを容易に認識するものであって、「VAN」「ヴァン」の部分のみが要部として機能するようなものではない。 (2)本件商標の出願は2019年の8月であるところ、インターネット上では、同時期に「バンライフ(VANLIFE)」に関する多数の記事が見受けられるものである(乙3~乙8)。 このように、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、既に「バンライフ(VANLIFE)」が「車中泊」、「車上生活」、「車で暮らすライフスタイル」といった意味を表す一つの言葉として定着していたものである。 そうすると、「VAN LIFE」「ヴァンライフ」の文字を普通の書体で表記した構成からなる本件商標からは「車中泊」、「車上生活」、「車で暮らすライフスタイル」という観念を生じるものといえ、「バンライフ」の一連の称呼のみを生じるものであるから、引用商標を想起させるようなことはなく、外観、称呼及び観念のいずれも引用商標と類似する関係にはないものである。 なお、商標権者は、衣・食・住におけるライフスタイル事業全般を手掛けておリ、具体的には、ファッション・小物雑貨・家具の企画・製造・販売等を主たる事業としているところ、2006年よりオンラインショップ「FREAK’S STORE ONLINE」を運営している(乙9)。同オンラインショップにおいては、「VANLIFE SUPPLY BY FREAK’S STORE」というブランドを立ち上げているところ、商標権者は、当該ブランドを「アウトドア志向の新たなライフバリューを提案するブランド」と位置付けている。すなわち、「VANLIFE(車上生活)」という新しい生活様式に適したモノやコトを提案するのが当該ブランドのコンセプ卜である(乙10)。このように、商標権者は、「VANLIFE(車上生活)」という新しい生き方をブランドとして立ち上げているものであって、本件商標には、引用商標とは何らの関係性も有しないものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に該当するものではない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)本件商標と引用商標との類似性の程度について 前記のとおり、本件商標は「VAN LIFE」「ヴァンライフ」の構成全体で一体不可分であって、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても全くの非類似である。 (2)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について 仮にヴァン社の商標が広く認識されているとしても、それは、「V」、「A」、「N」の各文字を構成する肉太の線同士が接する箇所に所々切れ込みのようなスペースを設けている点、及び中央の「A」の文字のみを赤で塗り潰している、といった特徴を有する商標、又は肉太の「V」を細い線で囲い、場合によってその上にイラストやキャラクター等を施す、といった特徴を有する商標であり、普通の書体で表記した欧文字「VAN」ではない。 また、「VAN(バン)」は「バン、貨物を運搬する有蓋の自動車」の意味を表す言葉として広く親しまれているものであって、我々日本国民が日常普通に用いている言葉であるから、「VAN」には全く独創性はないものである。 (3)本件商標の指定商品とヴァン社の業務に係る商品との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」とヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」とはいずれもファッションに関連する商品であり、関連性の程度が高いこと及び需要者を共通にすることは否めないが、この点は、本件商標と引用商標とが全く非類似であること及び引用商標が周知著名性を獲得しておらず独創性がないとの判断に影響を及ぼすものではない。 (4)本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力について 本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」は、いずれもファッションに関する商品であるから、ファッションに関する商品を購入する一般消費者の注意力が基準になるものと考えられる。 (5)混同を生ずるおそれについて 以上によれば、本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」とヴァン社の「男性用被服,かばん」との関連性の程度は高く、また、需要者を共通にし、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」の需要者が取引に際して普通に払われる注意力はさほど高いとはいえないとしても、本件商標と引用商標とは外観、称呼及び観念において非類似であり、また、引用商標自体が著名とはいい難いことから、当該商品がヴァン社又は同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれはないものといえる。 (6)その他 本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当しないことは、第25類「被服」を指定商品に含み、商標の構成中、語頭の「VAN」の文字部分が他の欧文字部分とは分離して把握し得る商標が、引用商標との関係で出所の混同を生じるおそれがあるとは判断されずに登録されていることからも明らかといえる(乙11~乙18)。 (7)以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。 第6 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 ア ヴァン社について 申立人のグループ会社であるヴァン社は、1951年に「有限会社ヴァンヂャケット」として設立し、1955年に株式会社となり、1978年10月に破産宣告されるも、1981年に再度営業を開始した(申立人の主張、甲2、甲35、甲36、甲67。以下、組織変更の前後及び破産の前後も併せて「ヴァン社」という。)。 イ 引用商標及びヴァン社使用商標並びにその使用に係る商品等について (ア)ヴァン社は、別掲のとおりの構成からなる商標(色彩を異にするものを含む。以下「ヴァン社使用商標」という。)を「男性用被服」に使用をしており(甲2、甲3、甲5、甲7、甲23、甲26、甲31~甲34)、遅くとも1965年12月には使用をしていた(甲3)。また、ヴァン社は、ヴァン社使用商標を「かばん」にも使用をしている(甲23、甲33、甲34)。 (イ)ヴァン社使用商標の使用をした商品(以下「ヴァン社使用商品」という。)は、書籍、雑誌及びウェブサイトにおいて、普通の書体で表された「VAN」の文字からなる商標(引用商標)により、又は当該商標とともに紹介又は掲載されている(甲1~甲5、甲7、甲23、甲26、甲31、甲33、甲34)。 (ウ)国内最大級規模のファッションブランドのデータベースサイトである「FukuDB」及び繊維・アパレル(ファッション)分野の基礎的な情報サイトである「ファッションガイドJP」において、引用商標が紹介されている(甲35、甲36)。 (エ)雑誌、書籍及びウェブサイトにおいて、引用商標の片仮名表記が「ヴァン」である旨が記載されている(甲5、甲7、甲35)。 (オ)ヴァン社の業務に係る商品(ヴァン社使用商品を含む。)は、全国約30店のショップ(甲30)、高島屋の「FASHION SQUARE」と称するウェブサイト(甲31)及びヴァン社のウェブサイト(甲32)において販売されている。 (カ)ヴァン社の年商は、1974年に300億円、1975年に452億円、1976年に330億円であった(甲2)。 (キ)ヴァン社使用商品は、1960年代及び70年代において人気を博していた(甲1~甲5、甲21)。 ウ 引用商標又はヴァン社使用商品に関する書籍及び紹介記事等について (ア)「MEN’S CLUB 1965年12月号」において、ヴァン社使用商品に関する記事及び広告が掲載されている(甲3)。 (イ)1980年11月10日に、引用商標に関する書籍として、「VANグラフィティ アイビーが青春だった」(株式会社立風書房)が発行された(甲2)。 (ウ)「Hot・Dog PRESS 1981年8月10日号」(株式会社講談社)において、引用商標に関する特集記事が掲載されている(甲5)。 (エ)1990年4月5日発行「MEN’S CLUB BOOKS SUPER EDITION CityBoy Graffiti シティボーイ・グラフィティ」(株式会社婦人画報社)において、引用商標に関する記事が掲載されている(甲4)。 (オ)1992年3月31日発行「ティーポ3月号増刊 Tipo 60’s goods manual」(株式会社企画室ネコ)において、ヴァン社使用商品に関する記事が掲載されている(甲15)。 (カ)1993年7月30日に、引用商標に関する書籍として、「VANヂャケット博物館」(株式会社扶桑社)が発行された(甲7)。 (キ)2001年11月25日発行「ファッション・ブランド・ベスト101」(株式会社新書館)において、引用商標が紹介されている(甲1)。 (ク)2006年12月19日に、引用商標に関する書籍として、「VANストーリーズ」(株式会社集英社)が発行された(甲18)。 (ケ)2011年10月12日発行「夕刊讀賣新聞」において、引用商標に関する記事が掲載されている(甲20)。 (コ)2012年12月発行「高田純次 男の美学」(文化出版局)において、引用商標に関する記事が掲載されている(甲26)。 (サ)2018年11月1日に、ヴァン社使用商標の使用をした「被服」及び「かばん」を特集したムックとして、「e-MOOK VAN 2018 FALL/WINTER」(株式会社宝島社)が発行された(甲33)。 (シ)2019年7月8日及び同年11月29日発行「日本経済新聞」において、引用商標に関する記事が掲載されている(甲21、甲27)。 (ス)2019年7月21日に、ヴァン社使用商標の使用をした「被服」及び「かばん」を特集したムックとして、「VAN FEAT.草刈正雄 ショルダーバッグBOOK」(株式会社宝島社)が発行された(甲34)。 (セ)2020年11月20日に、ヴァン社使用商標の使用をした「被服」及び「かばん」を特集したムックとして、「VAN 2020 FALL/WINTER ビッグトート&エコバッグBOOK」(株式会社宝島社)が発行された(甲23)。 エ その他 (ア)2015年に東京の蔵前において「VAN SHOP」がオープンしたところ(甲67)、2020年1月18日にテレビ東京にて放送された、街を紹介する番組「出没!アド街ック天国」において、「蔵前」の特集に際し、第12位として「VAN Shop Kuramae」が紹介された(甲42)。 (イ)2020年3月発行「繊研新聞」において、「19年度百貨店バイヤーズ賞メンズ」の「カジュアル」部門にヴァン社の引用商標のブランドが3位に選出された旨の記事が掲載されている(甲37)。 (ウ)ヴァン社は、様々なブランドや「機動戦士ガンダム」といったアニメとコラボレーションした商品を販売している(甲38~甲41)。 (2)判断 前記(1)によれば、ヴァン社は、「男性用被服,かばん」にヴァン社使用商標の使用をし、遅くとも1965年12月には使用しており、当該商品は、1960年代及び70年代において人気を博していた。 その後も現在に至るまで、引用商標に関する書籍やヴァン社使用商標の使用をした「被服」及び「かばん」を特集したムックが発行されたり、新聞、雑誌及び書籍に引用商標に関する記事が掲載されたり、ヴァン社の店舗がテレビ番組で紹介されたりするなどしている。 そして、ヴァン社使用商標は、別掲のとおり、「VAN」の欧文字をデザイン化してなるものであり、そのデザイン化は、「VAN」の欧文字を表したものと無理なく認識される程度のものである。 また、ヴァン社使用商品は、書籍、雑誌及びウェブサイトにおいて、普通の書体で表された「VAN」の文字からなる商標(引用商標)により、又は当該商標とともに紹介又は掲載されているものである。 加えて、ファッションブランドのデータベースサイト及び繊維・アパレル(ファッション)分野の基礎的な情報サイトに掲載される場合や、「繊研新聞」における「19年度百貨店バイヤーズ賞メンズ」の「カジュアル」部門の3位に選出された旨の記事に記載された場合においては、ヴァン社使用商標ではなく、普通の書体で表された引用商標によって記載され、紹介されているものである。 そうすると、「VAN」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、その片仮名表記は「ヴァン」であって、ヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして、一定の世代の男性を中心とする需要者の間に広く認識されているというのが相当である。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)前記1(2)のとおり、引用商標は、他人(ヴァン社)の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして、一定の世代の男性を中心とする需要者の間に広く認識されているものである。 (2)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「VAN LIFE」の欧文字及び「ヴァンライフ」の片仮名を上下2段に表してなるものであり、その構成文字及び意味合いから、「VAN」及び「ヴァン」の文字と「LIFE」及び「ライフ」の文字とをそれぞれ結合させたものと容易に理解されるものである。 そして、「VAN」の文字からなる引用商標は、その片仮名表記が「ヴァン」であって、ヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして、一定の世代の男性を中心とする需要者の間に広く認識されていることからすると、本件商標は、その構成中「VAN」及び「ヴァン」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。一方で、本件商標の構成中「LIFE」及び「ライフ」の文字部分は、当該文字(語)が「生活」等を意味する一般に親しまれている語(広辞苑第7版)であることから、自他商品の識別力が比較的弱い部分であるといえる。 そうすると、本件商標は、その構成中「VAN」及び「ヴァン」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 してみると、本件商標は、その構成中「VAN」及び「ヴァン」の文字部分から、「バン」の称呼を生じ、「ヴァン社のブランド」としての観念を生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、前記第2のとおり、「VAN」の文字からなるものであり、「バン」の称呼を生じ、「ヴァン社のブランド」としての観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との比較 本件商標の構成中「VAN」及び「ヴァン」の文字部分と引用商標とを比較すると、外観においては、「VAN」の欧文字を共通にするから、両者は近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念においては、「バン」の称呼及び「ヴァン社のブランド」としての観念を共通にするものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、引用商標に類似する商標である。 (3)本件商標の指定商品とヴァン社の業務に係る商品との類否について ヴァン社の業務に係る商品は「男性用被服,かばん」であり、本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服」とは、同一又は類似の商品である。 (4)小括 以上により、本件商標は、他人(ヴァン社)の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、当該商品又はこれに類似する第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服」に使用をするものである。 したがって、本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服」について、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決)。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度について 前記2(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標であるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いといえる。 (3)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について 前記1(2)のとおり、引用商標は、ヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして、一定の世代の男性を中心とする需要者の間に広く認識されているものである。 したがって、引用商標の周知著名性の程度は高いといえる。 また、引用商標を構成する「VAN」の文字(語)は、「屋根付の貨物運搬用自動車」を意味する既成の語(前掲書)であるから、引用商標の独創性の程度は低いといえる。 (4)本件商標の指定商品とヴァン社の業務に係る商品との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」とヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」とは、いずれもファッションに関する商品であるから、関連性の程度は高く、需要者を共通にするものである。 (5)本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力について 本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」は、いずれもファッションに関する商品であり、その需要者には一般の消費者が含まれるものであるから、当該者が取引に際して普通に払われる注意力はさほど高いとはいえない。 (6)混同を生ずるおそれについて 以上によれば、引用商標の独創性の程度が低いとしても、本件商標と引用商標との類似性の程度、引用商標の周知著名性の程度及び本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」とヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」との関連性の程度はいずれも高く、また、需要者を共通にし、さらに、本件商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」の需要者が取引に際して普通に払われる注意力はさほど高いとはいえないものである。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」に使用をされた場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起、連想し、当該商品がヴァン社又は同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。 (7)小括 以上により、本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」について、他人(ヴァン社)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 4 商標権者の主張について (1)引用商標の周知著名性について ア 商標権者は、ヴァン社の使用に係る商標は、普通の書体で表記した欧文字「VAN」ではなく、「V」、「A」、「N」の各文字を構成する肉太の線同士が接する箇所に所々切れ込みのようなスペースを設けている点、及び中央の「A」の文字のみを赤で塗り潰している、といった特徴を有するものであり、仮にヴァン社の商標として需要者の間に広く認識されているものが存在するとしても、それは、当該特徴を有する商標であって、普通の書体で表記した欧文字「VAN」(引用商標)が周知著名性を獲得しているとはいえない旨主張している。 イ しかしながら、たとえ、ヴァン社が「男性用被服,かばん」に使用をしている商標がヴァン社使用商標であるとしても、前記1(2)のとおり、ヴァン社使用商標は、「VAN」の欧文字をデザイン化してなるものであり、そのデザイン化は、「VAN」の欧文字を表したものと無理なく認識される程度のものである。 そして、ヴァン社使用商品は、書籍、雑誌及びウェブサイトにおいて、普通の書体で表された「VAN」の文字からなる商標(引用商標)により、又は当該商標とともに紹介又は掲載されているものであり、加えて、ファッションブランドのデータベースサイト及び繊維・アパレル(ファッション)分野の基礎的な情報サイトに掲載される場合や、「繊研新聞」における「19年度百貨店バイヤーズ賞メンズ」の「カジュアル」部門の3位に選出された旨の記事に記載された場合においては、ヴァン社使用商標ではなく、普通の書体で表された引用商標によって記載され、紹介されているものである。 そうすると、ヴァン社使用商標のみならず、「VAN」の文字からなる引用商標についても、需要者の間に広く認識されているというのが相当である。 (2)本件商標と引用商標との類否について ア 商標権者は、本件商標を敢えて「VAN(バン)」と「LIFE(ライフ)」とに分離して考察したとしても、一般に親しまれている点においては同等であって、その識別力において優劣があるわけではない旨、また、インターネット上では、「バンライフ(VANLIFE)」に関する多数の記事が見受けられ、「車中泊」、「車上生活」、「車で暮らすライフスタイル」といった意味を表す一つの言葉として定着していたものであるから、本件商標からは「車中泊」、「車上生活」、「車で暮らすライフスタイル」という観念を生じ、「バンライフ」の一連の称呼のみを生じるものであり、外観、称呼及び観念のいずれも引用商標と類似する関係にはない旨主張している。 イ 商標権者の提出に係る証拠によれば、いくつものウェブサイトにおいて、「バンライフ」、「VAN LIFE」及び「VANLIFE」の語が「車中泊」、「車上生活」又は「車で暮らすライフスタイル」といった意味合いの語として使用されていることが認められる(乙3~乙8)。 そうすると、「バンライフ」、「VAN LIFE」及び「VANLIFE」の語は、「車中泊」、「車上生活」又は「車で暮らすライフスタイル」といった意味合いを表す語として定着していることがうかがえる。 しかしながら、たとえ、そうであるとしても、本件商標の指定商品は自動車関連の商品ではなく、ファッション関連の商品であること、本件商標の片仮名部分は「バンライフ」ではなく「ヴァンライフ」であること、「VAN」の文字からなる引用商標が「ヴァン」と表記され、ヴァン社の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして、一定の世代の男性を中心とする需要者の間に広く認識されていることからすると、本件商標は、その指定商品に使用された場合には、「車中泊」、「車上生活」又は「車で暮らすライフスタイル」といった意味合いを表す一体のものとして認識されるというよりも、むしろ、「VAN」及び「ヴァン」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成中「VAN」及び「ヴァン」の文字部分から「バン」の称呼及び「ヴァン社のブランド」としての観念を生じるものであり、「VAN」の文字からなり、同様の称呼及び観念を生じる引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいての相紛らわしい類似の商標というべきである。 (3)登録例について ア 商標権者は、第25類「被服」を指定商品とし、商標の構成中に「VAN」の文字を含む登録例をいくつも挙げている(乙11~乙18)。 イ しかしながら、これらの登録例は、いずれも欧文字のみの構成からなるものであるか、又は片仮名部分が「バン○○」の文字からなるものであるから、本件商標とは、その具体的な構成態様において相違するものであり、本件とは事案を異にするものである。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人は、商標権者は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの存在及び周知性を十分認識しており、また、本件商標とは異なる構成の、「VAN」を1段目、「LIFE」を2段目に配置した、2段書きのロゴ「VAN/LIFE」を付したTシャツ等を販売していることなどから、商標権者は、ヴァン社に係る「VAN」ブランドの周知性にフリーライド、盗用する目的で、本件商標に係る出願を行った旨主張している。 申立人の提出に係る証拠によれば、「VAN」及び「LIFE」の欧文字を上下2段に表してなる商標を付したTシャツ等がインターネット上において販売されていることが認められる(甲64)。 仮に、当該Tシャツ等が商標権者の業務に係る商品であるとしても、このことをもって、商標権者が、引用商標にフリーライドする、又はこれを盗用する目的で、本件商標の登録出願を行ったということはできない。 他に、本件商標が不正の目的をもって使用をするものであることを認めるに足る証拠は見いだせない。 したがって、たとえ、本件商標が、他人(ヴァン社)の業務に係る「男性用被服,かばん」を表示するものとして日本国内の需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であるとしても、不正の目的をもって使用をするものとは認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号には該当しない。 6 まとめ 以上よりすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号には該当しないものの、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服」について、同項第10号に該当し、仮に同号に該当しないとしても、同項第15号に該当する。 また、本件商標は、その指定商品中、第25類「履物」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。 そうすると、本件商標の第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」についての登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件商標の第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,履物」についての登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-900266

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