商標異議申立
2021-900252
トンタイ、トングタイ、トーンタイ
- 審判番号
- 2021-900252
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-094145
- 登録番号
- 6373183
- 請求日
- 2021年06月25日
- 審決日
- 2022年06月17日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】張校林
- 【異議申立人】童泰▲嬰▼幼▲児▼服▲飾▼有限公司
- 【異議申立人代理人】潮崎 宗
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T1651.22 -Y (W25) / T1651.222-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6373183号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6373183号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6373183号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年7月30日に登録出願、第25類「乳幼児用ズボン及びパンツ,新生児用被服,子供服,被服,ドレス,水泳着,コート,ズボン,靴及び運動用特殊靴,ティーシャツ,パジャマ,下着,外衣,ヘッドバンド,帽子,スカーフ,運動用及び運動競技用シングレット,アイマスク」を指定商品として、同3年3月17日に登録査定、同年4月5日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、申立人の業務に係る「被服,履物」について使用する「TONGTAI」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」といい、引用商標1及び引用商標2を併せて「引用商標」という。)である。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、鹿のごとき動物のシルエットの図形及び「Tongtai」の欧文字からなる。
イ 引用商標
申立人は、引用商標1を、27年前から「被服,履物」について使用し、また、引用商標2についても、約8年前から「被服,履物」について使用している。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)引用商標1について
本件商標は、「Tongtai」の欧文字を有してなるところ、引用商標1とは、大文字と小文字の違いこそあれ、構成するアルファベットは完全に一致するため、互いに類似するものである。
なお、本件商標において、図形と文字の結合商標となっているが、それぞれ不可分一体に構成されているものではなく、互いに分離独立して配されていることから、図形、文字の要素ごとにそれぞれ類否判断されるべきである。
(イ)引用商標2について
本件商標と引用商標2を比べると、鹿のごとき動物のシルエットの図形及び「Tongtai」の欧文字までは、色彩の違いこそあれ、同一の構成となっている。「童泰」という漢字が付加されているが、これは「Tongtai」の称呼を読みとする漢字である。
よって、本件商標と引用商標2とは、その称呼及び外観において共通する。
エ 引用商標の周知性について
(ア)申立人の経緯
申立人は、1996年に創立された中国法人であり、創立当初より「童泰」及び「TONGTAI」という商標を使用して、子供用の被服・履物などの商品を生産し、販売してきており、中国国内市場では人気があるブランドとなっている(甲2)。
申立人は、「童泰」及び「TONGTAI(Tongtai)」の文字を有する商標について、第25類の商品を指定して、中国国家商標局において登録が認められている(甲3~甲6)。
(イ)引用商標の使用状況
引用商標1については、屋号商標として、25年前から「被服,履物」について使用している。
引用商標2については、申立人の法人ウェブサイトにおいて、はっきり明瞭に、第25類の商品について使用しており、広く宣伝広告している(甲7)。
また、中国のeコマースサイトである「天猫商家(テンマォ)」や「京東(ジンドン)」といったウェブページにおいて、申立人は引用商標を広く使用し、宣伝広告している(甲8、甲9)。
なお、申立人は、これらのサイトでは販売代理を委託している法人である「河北電子童泰商務有限公司」を介して、商品の販売を行っており(甲10)、その他のウェブサイトでも、引用商標は申立人の有名な商標として掲載され、広く宣伝広告されている(甲11~甲13)。
これらの情報は、引用商標2は申立人の所有に係る商標として、中国においては、周知・著名となっていることを示すものである。
申立人は、幅広い商品やサービスの提供を行っており、中国において多方面の複数事業を行う大会社となっており、この点については、申立人がこれまでに取得した中国商標登録リストと、複数の販売加盟店を有していることを示す申立人ウェブサイトを提出する(甲14、甲15)。
また、申立人のこれまでのブランド事業展開と拡大の結果、「童泰」、「TONGTAI」は、「河北省有名なブランド品証明書」、「地域有名商標証明書」を取得しているほか、河北省繊維と衣服産業協会による「名誉証書」、河北省偽造防止産業協会による「名誉証書」を受けるなどしており、申立人の周知商標として賞されている(甲16~甲19)。
さらに、引用商標2については、中国において著作権の登録がなされている(甲20)。
以上より、本件商標は、その登録出願日より前に、この種商品の業界において、申立人の出所標識として需要者の間に広く認識されていた商標と類似する。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標である。
オ 不正の目的について
引用商標は、約25年前に申立人によって独自に採択されたものであり、特に引用商標2については鹿のごとき動物のシルエットの図形を有し、独創性が極めて高いものである。
本件商標の指定商品と申立人が中国で取得している中国商標登録36480290号(甲5)に係る商品とを比べると、「乳幼児用パンツ(服装)」、「乳幼児用パンツ(下着)」、「新生児用被服」といった特徴的な表現からなる商品において共通し、需要者の共通性を有している。
当該状況からして、本件商標権者によって本件商標が使用されると、申立人の業務に係る商品であるとの混同を生じるおそれがあることは明らかである。また、本件商標は、申立人に無断で剽窃的に出願され登録されたことも明らかである。
これは、中国において周知な申立人の商標と、同一又は類似の商標について、我が国において登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせたり、外国の権利者の国内参入を阻止したり、国内代理店契約を強制したりするのが目的で出願したものであり、信義則に反する不正の目的で出願したものと考えるのが自然である。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
前述のとおり、本件商標権者は、申立人に係る引用商標が、本件商標の登録出願時に出願・登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で出願・登録したものであり、不正の目的に基づいた剽窃的行為である。
よって、本件商標は、社会の一般的道徳観念に反し、公正な商取引の秩序を乱すものであって、公序良俗を害するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(ア)申立人は、1996年に創立された中国法人であり、子供用の被服・履物などの商品の生産、販売を経営範囲とする(甲2)。
(イ)申立人の中国語のウェブサイトには、引用商標2が表示されている(甲7)。
(ウ)中国のeコマースサイトにおいて、引用商標2が、子供用衣服とともに表示されている(甲8、甲9)。
(エ)申立人に関する河北省有名なブランド品証明書は、2007年10月に、商品「子供服」の登録商標「童泰」について証明しており(有効期限:2010年10月。甲16)、2016年河北省有名な商標証明書(有効期限3年)は、2016年12月に、「童泰 TONGTAI」及び図形からなる商標について認定している(甲17)。
また、河北省繊維と衣服産業協会による「名誉証書」は、「童泰」について、2018年河北省十大服装ブランドに選ばれたことを記載している(甲18)。
イ 上記によれば、中国のeコマースサイトにおいて、申立人も関与する子供用衣服が引用商標2の表示とともに販売されていることはうかがえる。
しかしながら、引用商標を使用する商品に関する中国及び我が国における販売数、売上高、市場シェア、広告宣伝の規模等を示す具体的な証拠の提出はないから、客観的に販売実績及び広告宣伝実績を把握、評価することができない。
さらに、引用商標とも関連して、中国の河北省において有名である旨の証明書等を得ているとしても、中国における知名度やその程度をそれより推し量ることはできない。
また、その他の申立人提出の証拠によっても、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国において使用された実績を客観的に把握できない。
そうすると、申立人の提出証拠からは、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、中国又は我が国の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国(中国)の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないから、その他の要件について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠く。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、引用商標が出願、登録されていないことを奇貨として、不正の目的に基づいた剽窃的行為である旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標は、共通する構成要素(図形、文字)を含むとしても、それ以外に本件商標の登録出願の経緯及び意図を具体的に示す証拠はないから、申立人の提出証拠によっては、本件商標が不正な利益を得る目的をもって剽窃的に登録出願したものと認めるに足りない。
なお、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでなく、また、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
してみると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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