審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2021-900235

エヌエスケイ、エヌエスブイ

審判番号
2021-900235
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-132836
登録番号
6370905
請求日
2021年06月17日
審決日
2021年12月27日
公報発行日
2022年01月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】修 華
  • 【権利者代理人】原田 貴史
  • 【異議申立人】日本精工 株式会社
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人RIN IP Partners
  • 【異議申立人代理人】宮城 和浩
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T1651.22 -Y (W07) / T1651.261-Y (W07) / T1651.262-Y (W07) / T1651.263-Y (W07) / T1651.271-Y (W07)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6370905号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6370905号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6370905号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年10月27日に登録出願、第7類「自動注油軸受,機械用軸受台,軸受(機械部品),伝導軸用軸受,ころ軸受,軸受用ボールリング,減摩用軸受(機械用のもの),自転車組立機械,農業用機械,金属加工用・木工用・石材加工用彫刻盤,農業用エレベーター,粉砕機,のこぎり台(機械部品),印刷用シリンダー,メリヤス編機,針布(梳綿機部品),紡績機,紡ぎ車,レース製造機」を指定商品として、同3年3月8日に登録査定され、同月30日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、次の7件である。 (1)登録第1444366号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和44年6月23日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同55年11月28日に設定登録、その後、平成15年2月12日に指定商品を、第6類ないし第9類、第11類、第12類、第15類ないし第17類、第19類ないし第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、さらに、令和3年1月22日にその指定商品を、第6類、第7類、第9類、第11類、第12類、第16類、第17類及び第20類に属する別掲3のとおりの商品とする商標権の更新登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 (2)登録第4877777号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成16年6月10日に登録出願、第7類に属する別掲5に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年7月8日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 (3)登録第5879767号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲6のとおりの構成よりなり、平成27年7月31日に登録出願、第7類「障害物回避先導のための工業用ロボット, 3Dプリンター」を指定商品として、同28年9月9日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 (4)登録第1444366号の防護標章登録第1号標章(以下「引用防護標章1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成14年12月16日に登録出願、第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,金属製のばね(機械要素に当たるものを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ」及び第17類「ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング,ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー,ゴム製栓,ゴム製ふた,プラスチック基礎製品」を指定商品として、同16年8月6日に設定登録され、同27年1月16日に防護標章の更新登録がされたものである。 (5)登録第1444366号の防護標章登録第2号標章(以下「引用防護標章2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成14年12月16日に登録出願、第37類「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)の修理又は保守,陸上の乗物用の機械要素の修理又は保守,回転アクチュエータ・直動アクチュエータの修理又は保守,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)の修理又は保守,陸上の乗物用の動力機械の部品の修理又は保守,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。)の修理又は保守, 自動車並びにその部品及び附属品の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,電子応用機械器具の修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,半導体製造用又はディスプレイ装置製造用露光装置の修理又は保守,精密機械器具の修理又は保守」を指定役務として、同16年8月27日に設定登録され、同26年10月24日に防護標章の更新登録がされたものである。 (6)登録第1444366号の防護標章登録第3号標章(以下「引用防護標章3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成14年12月16日に登録出願、第4類「固形潤滑剤,液体燃料,気体燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」を指定商品として、同20年10月31日に設定登録され、同30年11月22日に防護標章の更新登録がされたものである。 (7)登録第1444366号の防護標章登録第4号標章(以下「引用防護標章4」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成14年12月16日に登録出願、第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の緩衝器及びばね,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同21年2月20日に設定登録され、令和元年7月26日に防護標章の更新登録がされたものである。 以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、11号引用商標といい、11号引用商標及び引用防護標章1ないし引用防護標章4をまとめていう場合は、引用商標という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、構成文字をレタリングしているものの、「NSK」の文字よりなるものと把握し得るものである。特に、最後の文字は、他の2文字に比べてレタリングの程度は多少高いものの、このようなレタリング手法はさほど珍しいものではなく、また、その前に位置するレタリングを施した「NS」の文字に続くものであり、かつ、右下に「○」がバランスよく配置されることにより、全体として「K」の文字をレタリングしたものと比較的容易に想起、認識できるものである。 したがって、本件商標から、「エヌエスケイ」の称呼が生じるものである。 本件商標の登録商標公報(甲1)にも、【称呼(参考情報)】の欄に「エヌエスケイ」の称呼が最初に記載され、また、【検索用文字商標(参考情報)】の欄に「NSK」と記載されている。 これに対し、11号引用商標は、ややレタリングしてなるが、「NSK」の文字よりなるものと容易に把握し得るものであるから、同様に「エヌエスケイ」の称呼を生じるものである。 また、本件商標は、構成文字の線の太さ、描写の仕方などのレタリング手法が11号引用商標と似ていることから、外観上も近似するものといえる。 したがって、本件商標は、11号引用商標と称呼及び外観において類似する商標である。 また、本件商標の第7類の指定商品が、11号引用商標の第7類の指定商品と同一又は類似するものであることは明らかである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人は、1916年に創立された会社であり、我が国の軸受(ベアリング)のパイオニアとして、様々な軸受(ベアリング)を開発・供給し、現在においては軸受の分野で国内第一位、世界でも有数の地位を占めるまでになっている(甲9:申立人のウェブサイトの会社概要抜粋)。 また、申立人は、総合軸受メーカーとして幅広い分野での顧客のニーズに対応しつつ、「産業機械事業」及び「自動車事業」の2つの分野にて事業を展開している(甲10:申立人のウェブサイトのセグメント情報抜粋)。 そして、申立人は、1960年代より海外にも積極的に進出し、現在における海外生産・販売・技術拠点は、日本・米国・欧州・アジアの4極体制をベースに日本国内に59ヶ所、グローバルで32カ国(日本含む)に205ヶ所の生産拠点・販売拠点・技術拠点のネットワークを拡充している(甲11:申立人のウェブサイトのグローバルネットワーク抜粋)。 上述のように、申立人は、軸受分野を中心に世界的に有名な会社であるが、引用商標は、申立人(日本精工株式会社)の英文表記「NSK Ltd.」の要部として位置付けられるのみならず、申立人のいわゆるハウスマークとしても機能する標章でもあり、創立当初から、申立人が製造する軸受の出所を表示する商標として継続的に使用されてきたものである。 このような状況の下、申立人は、「NSK」ブランドの更なる浸透を図るべく、国内外を問わず、積極的な宣伝活動、諸外国における宣伝広告や展示会への出展などを行っており、「NSK」ブランドを象徴する引用商標1については、日本有名商標集に掲載されているとともに(甲12)、引用防護標章1ないし引用防護標章4の登録も認められている(甲5~甲8)。 また、引用防護標章3及び引用防護標章4の登録に際して、引用商標1は、申立人の取扱いに係る商品「軸受(ベアリング)」について永年継続して使用され、その間、新聞、雑誌等の媒体を通じて宣伝、広告活動を行ってきた結果、現在においては、申立人の業務に係る商品を表示する商標として需要者の間に広く認識されている旨の判断がなされている(甲13、甲14)。 したがって、申立人の引用商標1が商品「軸受(ベアリング)」との関係において、周知著名な商標であることは顕著な事実であることは疑いがない。 このように、引用商標1の周知著名性に鑑みれば、本件商標の指定商品が「軸受(ベアリング)」を含む第7類の商品であること、本件商標は文字にレタリングが施されているものの「NSK」と認識し得る状況にあることと相まって、本件商標に接する需要者によっては、本件商標を引用商標1の新しいロゴと誤認することも十分に起こり得るものである。 上記を総合的に勘案すると、引用商標1に近似する本件商標を第7類の軸受けを含む指定商品に使用するときには、これに接する需要者をして、申立人の製造販売に係る商品であるかのごとく、あるいは、該商品が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 3 商標法第4条第1項第7号について 商標法第4条第1項第7号に規定する「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(1)当該商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号判決参照)。 ここで、当該条文の適用の可否について検討するに、まず、本件商標と引用商標は、造語である「NSK」の文字に程度の差はあれレタリングを施しているものの、いずれも「NSK」と認識できるという点で共通する。 次に、本件商標の権利者「修華」(以下「本件商標権者」という。)に関する調査結果(甲15)及び企業工商登記情報(甲16~甲19)によれば、本件商標権者は、中国内の4社の監査役、法定代表者、総経理などの役員を務めており、しかも、これらの法人は、軸受(ベアリング)の(製造)販売を手掛けていることから、当然に申立人及び世界的に知られている申立人の商標「NSK」の存在を熟知していることは明らかである。 事実、例えば、4社中の1社のウェブサイトによれば、同社は申立人の製品を取り扱っている(甲20)。 さらに、本件商標権者の名義にかかる中国での商標登録出願の状況を調べたところ、添付の商標出願リスト及び中国国家知識産権局の商標データベース抜粋(甲21、甲22)から、本件商標権者は申立人の商標以外に、アメリカの「TIMKEN」、ドイツの「FAG」、中国の「HRB」などの有名なベアリングブランドの商標を模倣したと思われる登録出願をしていることも明らかになった。 これらの事実からすれば、本件商標の採択が、申立人により長年に使用され、周知・著名となっている引用商標1のレタリングを施した構成文字「NSK」と偶然に一致したとみることはできず、実質的に申立人の同業者と同視し得る本件商標権者は、申立人が引用商標1を使用していることを十分に知しつしつつ、引用商標1に化体した名声や信用に便乗する不正、悪意の意図の下、本件商標を登録出願したものと推認し得るものである。 そうすると、本件商標は、利害関係を有する申立人が使用する周知・著名な商標について悪意性、不正な目的をもって登録出願したものであり、その経緯に社会的相当性を欠くものであるから、その登録を維持することは、本来商標法が予定する秩序に明らかに反するものであって、特段の事情のない限り許されない行為というべきである。 しかるに、申立人の知る限り、本件商標権者による本件商標の登録出願を正当化する特段の事情も見当たらないものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人提出の甲各号証、同人の主張によれば、申立人は、1916年に創立された会社であり、申立人は、総合軸受メーカーとして、「産業機械事業」及び「自動車事業」の2つの分野にて事業を展開していること(甲9、甲10)、申立人は、軸受(ベアリング)の製造・販売を行い、1960年代より海外にも積極的に進出し、現在、日本・米国・欧州・アジアの4極体制をベースに日本国内に59ヶ所、32カ国(日本含む)に205ヶ所の生産拠点・販売拠点・技術拠点のネットワークを拡充していること(甲11)、引用防護標章3及び引用防護標章4の登録に際して、引用商標1は、申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」について永年継続して使用され、その間、新聞、雑誌等の媒体を通じて宣伝、広告活動を行ってきた結果、現在においては、申立人の業務に係る商品を表示する商標として需要者の間に広く認識されている旨の判断がなされている(甲13、甲14)ことは認められる。 (2)しかしながら、申立人は、我が国の軸受(ベアリング)のパイオニアとして、様々な軸受(ベアリング)を開発・供給し、現在においては軸受の分野で国内第一位、世界でも有数の地位を占めるまでになっている旨主張し、申立人のウェブサイトの抜粋記事(甲9、甲10)を提出しているが、申立人の主張の裏付けとなる我が国及び外国における申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」の販売数量、販売総額、国内・国外の市場占有率等を客観的に証明するための証拠は提出されていない。 また、申立人は、「NSK」ブランドの更なる浸透を図るべく、国内外を問わず、積極的な宣伝活動、諸外国における宣伝広告や展示会への出展などを行っている旨主張するが、我が国及び外国における宣伝広告費用、宣伝広告を行った媒体、その回数や期間等が客観的に把握し得る証拠は提出されていない。 さらに、引用商標が、申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」に使用されていることを示す証拠の提出もない。 そうすると、本件において、申立人が提出した全証拠によっては、引用商標が、申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、本願商標の構成各部分は、欧文字の「N」、「S」及び「V」をモチーフとしてデザイン化されたものであり、「V」の右下に「○」の図形を配しているものと理解できるものである。 また、本件商標は、デザイン化されているものの、欧文字「N」、「S」及び「V」で構成されていることが十分に認識できることから、「エヌエスブイ」の称呼を生じるものである。 さらに、「NSV」の文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 したがって、本願商標は、「エヌエスブイ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 (2)11号引用商標について 11号引用商標は、別掲2、別掲4及び別掲6のとおり、「NSK」の欧文字を横書きにしてなるものである。 そして、「NSK」の文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 したがって、11号引用商標は、「エヌエスケイ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と11号引用商標との類否について ア 外観について 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、11号引用商標は、それぞれ、別掲2、別掲4及び別掲6のとおりの構成よりなるところ、本願商標と11号引用商標とは、構成文字中の「K」と「V」が相違すること、や11号引用商標には「○」図形を有していないことから、これらの外観は、明確に相違するものである。 したがって、本件商標と11号引用商標は、外観上、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに紛れるおそれはない。 イ 称呼について 本件商標から生ずる「エヌエスブイ」の称呼と11号引用商標から生ずる「エヌエスケイ」の称呼とは、第5音における「ブ」の音と「ケ」の音が相違するため、それぞれを一連に称呼した場合は、これらの音の差が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえず、語調語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。 したがって、本件商標と11号引用商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標と11号引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。 エ 小括 上記アないしウからすると、本件商標と11号引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観及び称呼において相違するものであり、これらを総合して判断すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と11号引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 (4)まとめ したがって、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品が、類似するものであるとしても、本願商標と11号引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人又は申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度について 上記2(3)のエのとおり、本件商標と11号引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。 また、引用防護標章1ないし引用防護標章4は、引用商標1と商標の構成を同一にするものであるから、上記2(3)のエのとおり、本願商標と11号引用商標と同様に、本件商標と引用防護標章1ないし引用防護標章4とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。 (3)本件商標の指定商品と申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」の関連性、需要者の共通性について 本件商標の指定商品中の「自動注油軸受,軸受(機械部品),伝導軸用軸受,ころ軸受」と申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」は、同一又は類似する商品であり、関連性は高いものであり、需要者も共通にする商品である。 (4)出所混同のおそれについて 上記(3)のとおり、本件商標の指定商品と申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」は、同一又は類似する商品であり、関連性は高く、需要者も共通にする商品であるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人又は申立人の製造・販売に係る商品「軸受(ベアリング)」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものであることからすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記第1のとおり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 また、本件商標は、上記3のとおり、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することのないものである。 その他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。 そうすると、本件商標は、引用商標の出所表示力を希釈化するとか、その名声にフリーライドするなど不正の目的をもって使用するものとはいえず、また、他に商標権者が本件商標をその指定役務に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-900235

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存