商標異議申立
2021-900232
アイチョ、イイワイエコー、アイエコー
- 審判番号
- 2021-900232
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-115574
- 登録番号
- 6372639
- 請求日
- 2021年06月16日
- 審決日
- 2022年06月10日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】藍 旭日
- 【異議申立人】メイク マネー リミテッド
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】佐藤 俊司
- 【異議申立人代理人】飯田 遥
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 大森 友子
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6372639号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6372639号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6372639号商標(以下「本件商標」という。)は、「Eyecho」の文字を標準文字で表してなり、令和2年9月16日に登録出願、第3類「家庭用漂白剤(脱色用のもの),洗濯用剤,化粧用接着剤,人用又は動物用の防臭剤,化粧用綿棒,ラッカー除去剤,靴用つや出し剤,つや出し剤,固形せっけん,シャンプー,化粧品、せっけん類及び歯磨き,練り歯磨き,美顔用パック,まつ毛用化粧品,化粧品,メイクアップ用化粧品,化粧落とし剤,香料、薫料及び香水類,精油,研磨剤(研磨用補助液及び歯科用のものを除く。),つけまつ毛,床用ワックス,皮革用つや出し剤,家具用及び床用のつや出し剤,光沢剤,裁縫用ワックス,乳児用おしり拭きに浸み込ませた洗浄剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),身体の衛生用クレンザー(医療用のものを除く。),洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。)」を指定商品として、同3年2月25日に登録査定され、同年4月2日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第5607443号商標(以下「引用商標」という。)は、「Eyeko」の文字を標準文字で表してなり、平成24年3月16日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同25年8月16日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類似性
ア 本件商標について
本件商標は、標準文字で欧文字の「Eyecho」を書したものであり、辞書等に掲載されていない文字であって、一般には特定の観念を生じない造語として認識されるものである。
称呼については、本件商標は、目を意味する英語の「Eye」が「アイ」と読むものとして一般に知られていることから、「Eye」部分から「アイ」の称呼が生じ、また、「cho」部分は、「ECHO」(エコー)のように「cho」を「コー」と読む英語が日常的に用いられるものとして広く一般に知られているほか、「PSYCHO」(サイコ)、「Jericho」(ジェリコ)など、「cho」を「コ」と読むものも知られていることから、本件商標からは、全体として「アイコー」又は「アイコ」の称呼が生じるといえる。
イ 引用商標について
引用商標は、標準文字で欧文字の「Eyeko」を配した構成より、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語である。
称呼については、引用商標の「Eye」部分は上述のとおり「アイ」の称呼が生じ、「ko」部分は、ローマ字風の読みである「コ」の称呼が生じるので、引用商標は全体として「アイコ」の称呼が生じるといえる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標を対比すると、外観においては前半の「Eye」部分と末尾の「o」が共通していることから、本件商標及び引用商標は、外観上、互いに類似する。
称呼については、本件商標から生じる「アイコ」又は「アイコー」の称呼と、引用商標から生じる「アイコ」の称呼は、同一又は類似するものであることが明らかである。
よって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼が同一又は類似するから、商標全体として観察した場合、全体として相紛れるおそれのある類似商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
上述のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標である。
本件商標に係る指定商品中、第3類「洗濯用剤,固形せっけん,シャンプー,化粧品、せっけん類及び歯磨き,乳児用おしり拭きに浸み込ませた洗浄剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),身体の衛生用クレンザー(医療用のものを除く。),洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。)」は、引用商標に係る指定商品中、第3類「せっけん類」と同一又は類似の商品である。
また、本件商標に係る指定商品中、第3類「人用又は動物用の防臭剤,化粧品、せっけん類及び歯磨き,美顔用パック,まつ毛用化粧品,化粧品,メイクアップ用化粧品,化粧落とし剤,香料,薫料及び香水類」は、引用商標に係る指定商品中、第3類「化粧品」と同一又は類似の商品である。
さらに、引用商標は、本件商標の先願にかかる商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の業務にかかる商品表示として引用商標と本件商標との間で「混同を生ずるおそれ」の有無について、最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)で判示された判断基準に照らして検討する。
ア 引用商標の周知著名性について
引用商標は、下記に述べるとおり少なくとも本件商標の登録出願時までには、「化粧品」の関連商品に使用される商標として広く認識されていたものというべきである。
申立人は、英国に本店を置くザ ホット.ドットコム リミテッドが所有する会社で、本件商標の登録出願時より前の平成11年から、引用商標を使用した「Eyeko」という目元用化粧品ブランドを運営している(甲4、甲5)。
「Eyeko」の創設者が高性能の目元用化粧品を市場に投入し、「Eyeko」は数々の受賞歴のある先進的なブランドとなった(甲5)。革新的で高品質のマスカラ、リキッドライナー、ブロージェル等で有名になったEyekoブランドは、英国の伝統を受け継ぎ、韓国の専門知識を活用して革新的な製品を提供している(甲5)。
また、世界中の多くの編集者、メイクアップアーティスト、インフルエンサーからの熱狂的な支持を得ている(甲6~甲9)。さらに、著名なアンバサダーには、以前にクリエイティブコンサルタントとしてEyekoと協力していたAlexa Chungが名を連ねており、「Alexa Chung Collection」と題するEyekoブランドのブロージェルが販売されている(甲5、甲10)。
Eyeko製品は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Selfridges、Ulta、Sephora(甲11~甲16)などの著名な小売業者を通じて、日本、英国、米国、オーストラリア、さらにはヨーロッパを含む複数の国で販売されている(甲5)。日本の消費者は、Eyekoブランドを、「eyeko.co.uk」(甲17)及びザ ホット.ドットコム リミテッドが運営する「lookfantastic.com」を通じて直接入手することもできる(甲5、甲18)。
Eyekoブランドは、Instagramでは14.7万人(甲19)、Facebookでは4.5万人(甲20)、Twitterでは2.2万人(甲21)と各種SNSにおいて多くのフォロワーを集め、Eyekoブランド製品について世界中に発信し続けている。
上記のとおり、申立人は、引用商標をその業務に係る「化粧品」についてヨーロッパを中心に日本を含めた世界各国で永年使用しており、遅くとも、本件商標の出願時までには、日本国内においても周知・著名な標章となっていたというべきである。
イ 引用商標の独創性の程度
上述のとおり、「Eyeko」という成語は存在せず、引用商標は、申立人の創作にかかる語であって、独創性を有する商標である。
ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上述のとおり、外観及び称呼が同一又は類似するものであり、全体として相紛れるおそれのある類似商標である。
エ 商品間の関連性、需要者及び取引者の共通性
本件商標の指定商品中の「化粧品、せっけん類及び歯磨き,美顔用パック,まつ毛用化粧品,化粧品,メイクアップ用化粧品,化粧落とし剤,香料,薫料及び香水類,人用又は動物用の防臭剤」は、引用商標が周知・著名性を獲得した「化粧品」と同一又は類似する商品である。本件商標のその他の指定商品についても、「固形せっけん」「シャンプー」、「練り歯磨き」、「つけまつ毛」などは、化粧品の主たる需要者である一般女性が日常的に購入・消費する商品であるし、また、「家庭用漂白剤(脱色用のもの)」、「洗濯用剤」、「乳児用おしり拭きに浸み込ませた洗浄剤」、「身体の衛生用クレンザー(医療用のものを除く。)」など、化粧品を取り扱う百貨店、ドラッグストア、スーパーマーケット等の同一店舗で一般に販売されている商品が多く含まれている。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、商品の関連性の程度並びに需要者及び取引者の共通性は非常に高いというべきである。
オ 小括
上述のとおり、周知・著名で独創性を有する引用商標と類似するというべき本件商標が、商品の関連性が高く、需要者及び取引者が共通している「化粧品」をはじめとする本件商標の指定商品に使用された場合、本件商標に接する需要者及び取引者は、それらの商品があたかも申立人若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「Eyecho」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されておらず、何らかの意味を有する成語を表してなるものとは直ちに認識できない。
そして、一般的に、商標が、特定の意味合いを想起させない欧文字からなる場合、これに接する取引者は、我が国において広く親しまれている英語読みに倣って称呼するとみるのが自然といえるところ、本件商標の構成前半の「Eye」は、英語の「eye」に倣って、「アイ」と称呼され、本件商標の構成後半の「cho」は、我が国で親しまれた英語といえる「chocolate」、「choice」、「chopsticks」が「チョコレート」、「チョイス」、「チョップスチックス」と発音されることから、「チョ」と称呼されると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、「Eyecho」の文字に相応して、「アイチョ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり「Eyeko」の文字を標準文字で表してなるところ、その文字構成に相応し「アイコ」の称呼を生じ、該文字は辞書等に載録のない造語であるから、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「Eyecho」と引用商標の構成文字「Eyeko」の比較において、両者は中間部において「ch」と「k」の文字の差異を有し、この差異が6文字と5文字という比較的少ない文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「アイチョ」と引用商標から生じる「アイコ」の称呼を比較すると、語尾において「チョ」と「コ」の音の差異を有し、この差異が共に3音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標の語尾の「cho」の部分は、「ECHO」、「PSYCHO」、「Jericho」などにおいて「コ(ー)」と読まれることから、本件商標は「アイコー」、「アイコ」の称呼も生じるとして、本件商標と引用商標が類似する旨主張している。
しかしながら、「cho」の文字は、申立人が挙げた上記の語において「コ(ー)」と発音される場合もあるものの、これらの語は、上記アにおいて列挙した「chocolate」、「choice」、「chopsticks」程に親しまれたものとは認められず、「チョ」と発音されるとみるのが自然であるから、本件商標「Eyecho」は、「アイコ(ー)」の称呼を生じるというより、むしろ上記アのとおり「アイチョ」の称呼を生じると判断するのが合理的である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、1999年(平成11年)から、マスカラ、リキッドライナーなど目元化粧品に商標「Eyeko」(大文字と小文字が異なるものを含む、以下同じ。)が使用されていること(甲5、ほか)、商標「Eyeko」が使用された商品(以下「使用商品」という。)は、「Amazon」、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」などで販売されていること(甲11~甲13、ほか)、使用商品を紹介等するウェブサイトがあること(甲6~甲9)、使用商品に係る情報が「Instagram」、「Facebook」、「Twitter」で発信されていること(甲19~甲21)が認められる。
しかしながら、使用商品の我が国における売上高、シェアなど販売実績を示す主張はなく、その証左も見いだせない。また、甲各号証からは申立人と使用商品との関係は確認できない。
(イ)上記(ア)のとおり、商標「Eyeko」は平成11年からマスカラ、リキッドライナーなど目元化粧品に使用され、使用商品は我が国において「Amazon」、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」などで販売されていることなどが認められるものの、使用商品の我が国における販売実績を示す証左は見いだせないから、使用商品は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると、使用商品が申立人の業務に係る商品であるとしても、使用商品に使用されている商標「Eyeko」及び当該文字と同じつづりからなる引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 出所混同のおそれ
上記アのとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(1)のとおり本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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