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商標異議申立

2021-900219

エックス

審判番号
2021-900219
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-111185
登録番号
6369460
請求日
2021年06月08日
審決日
2023年02月07日
公報発行日
2023年03月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社コマリヨー
  • 【権利者代理人】齋藤 晴男
  • 【権利者代理人】齋藤 貴広
  • 【異議申立人】オフ-ホワイト エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 佐藤 淳
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T1651.255-Y (W1825) / T1651.261-Y (W1825) / T1651.262-Y (W1825) / T1651.263-Y (W1825) / T1651.271-Y (W1825)
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商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
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登録第6369460号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6369460号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6369460号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年9月8日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,ペット用被服類,かばん類,袋物,買物袋,キャンプ用バッグ,札入れ,スポーツバッグ,かばん用圧縮袋,バッグ,バックパック,ビーチバッグ,旅行かばん,旅行かばん用タグ,登山用バッグ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,乳幼児用スリング,幼児用背負い袋,動物用装着具,サドルバッグ」及び第25類「被服,外衣,オーバーオール,パーカ,ドレス,ベスト,レギンス,ポンチョ,バスローブ,ワイシャツ類及びシャツ,半袖シャツ類,レオタード,着物,タイツ及びタイツストッキング,スパッツ(運動用特殊衣服を除く。),乳幼児用パンツ(下着),保温用マフ,レッグウォーマー,ボア(襟巻),バイザー,衣服用フード,ベール,ベレー帽,シャワーキャップ,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,サスペンダー,ストッキング留め,マネーベルト,履物,アンクルブーツ,ハーフブーツ,ビーチシューズ,浴室用サンダル,浴室用スリッパ,サンダル靴及びサンダルげた,仮装用衣服,運動靴,制服」を指定商品として、同3年3月11日に登録査定され、同月26日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下のア及びイのとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 ア 登録第5899660号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:平成28年6月14日 設定登録日:平成28年11月25日 指定商品・役務: 第18類「汎用キャリーバッグ,旅行かばん,トランク,運動用バッグ,スポーツバッグ,クラッチ型財布,財布,ハンドバッグ,肩掛けかばん,トートバッグ,ビーチバッグ,札入れ,バックパック,クーリエバッグ,ブリーフケース,傘,つえ,動物用首輪」、第25類「被服,ジャケット,スウェットシャツ,コート,ブレザー,スーツ,ズボン,ジーンズ製の被服,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,セーター,チョッキ,ショーツ及び半ズボン,ワイシャツ類,ドレス,スカート,ネクタイ,ネッカチーフ,ストール,ショール,スカーフ,靴下,ベルト,バンド,ズボンつり,帽子,手袋,履物,ブーツ,スニーカー,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 イ 登録第6253923号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:平成31年4月19日 設定登録日:令和2年5月25日 指定商品:第18類「汎用キャリーバッグ,旅行かばん,トランク,運動用バッグ,スポーツバッグ,クラッチ型財布,財布,ハンドバッグ,肩掛けかばん,トートバッグ,ビーチバッグ,札入れ,バックパック,クーリエバッグ,ブリーフケース,かばん類,袋物,動物用首輪,傘,つえ」及び第25類「ジャケット,スウェットシャツ,コート,ブレザー,スーツ,ズボン,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,セーター,チョッキ,ベスト,ワイシャツ類,ドレス,スカート,ズボン及びパンツ,ショートパンツ及びショーツ,ネクタイ,ネッカチーフ,ネックウエア,ストール,ショール,スカーフ,靴下,ソックス,手袋,帽子,ジーンズ地の被服,被服,ベルト,バンド,ズボンつり,ブーツ,スニーカー,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに「運動用保護ヘルメット」を含む第9類、第3類、第14類に属する商標登録原簿に記載の商品 (2)引用標章 申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する標章は、両端に矢尻をもうけた矢印を欧文字「X」状に配置した別掲4のとおりの構成からなり、申立人が、商品「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,被服,履物」等に使用して、本件商標の登録出願前より、周知であるとする標章(以下「引用標章」という。)。 以下、引用商標1、引用商標2及び引用標章をまとめていうときは、「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(なお、表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する場合がある。)を提出した。 (1)申立人について 申立人は、アメリカ合衆国イリノイ州の法律に基づいて設立された法人であり、申立人の代表者は、ヴァージル・アブロー氏である。ヴァージル・アブロー氏は、2013年に申立人を設立し、現在に至るまでの申立人の代表者を務めている。また、ヴァージル・アブロー氏は、デザイナーとして活動しており、申立人は、ヴァージル・アブロー氏が創作した被服、履物、身飾品、かばん類、袋物等の商品を生産して譲渡している。 申立人は、リーバイス、ナイキ、リモワ、イケア、ルーブル美術館などの著名な商標権者等とのコラボレーションによる商品の販売、世界的なファッションショーであるパリ・コレクションヘの商品の出展、申立人の代表者兼デザイナーであるヴァージル・アブロー氏がルイ・ヴィトンのディレクターに指名される等の活動によって、申立人及び申立人の業務に係る商品は、日本国内の需要者に広く知られるに至っている(甲3~甲9、甲28、甲29、甲33、甲34)。 (2)引用標章の周知性について 引用標章は、数多くの新聞、雑誌、インターネット記事に掲載されていることから(甲4~甲34)、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されている。 他方、申立人の商品は、ヴァージ・アブロー氏の作品として、一品ごとに丁寧に少量が生産される希少価値の高い品質の優れた商品であるため、一般的に流通している大量生産される商品と価格を比較すると高価格である(甲9~甲32)。そのため、申立人の商品は、一般的に流通している大量生産される商品と性質が異なる商品である。 この申立人の商品の性質を鑑みれば、引用標章を使用した商品の販売実績、市場占有率、広告宣伝費等の立証及びその軽重によって、引用標章の周知性が否定されるものではない。また、市場には、申立人の商品の模倣品が多数流通している取引の実情があり、インターネットの検索エンジンで「オフホワイ卜偽物」と検索すれば、模倣品や真贋鑑定に関する多数のウェブサイトが表示される(甲35)。上述した申立人の商品の性質と模倣品の問題から、申立人の商品の流通経路は限られているが、申立人の商品の性質と模倣品の問題を鑑みれば、流通経路が限られていることに起因して、引用標章の周知性が否定されるものではない。すなわち、引用標章の全国民的な周知性が否定されるとしても、申立人の商品の性質や模倣品が流通する取引の実情に鑑みれば、引用標章は、少なくとも、ファッションに高い関心を有する需要者、アパレル企業の関係者、ファッション情報を取り扱う関係者等において、広く認識されている商標である。 本件商標の出願日は令和2年9月8日であるが、甲第4号証ないし甲第34号証は、いずれも出願日より前に発行又は掲載されているため、その周知性は、本件商標の出願時において獲得していたものである。また、本件商標の査定日は令和3年3月11日であるが、申立人は現在に至るまで業務を継続しており、売上の著しい減少など、周知性が失われるような特別の事情は生じていないため、引用標章の周知性は、査定日においても継続されていたものである。 (3)商標法第4条第1項第10号について ア 周知性について 引用標章は、上述した理由により、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されている標章である。 イ 商標の類否について 本件商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形のみからなる商標である。 一方、引用標章も、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配鷹した図形のみからなる商標である。本件商標と引用標章を対比すると、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形のみを構成要素とすることにおいて共通し、本件商標は引用標章より、やや縦長の外観であることに差異がある。しかし、両商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した基本的態様が共通するため、前記差異は軽微な差異であり、両商標は、離隔観察を基本とする商標の類否判断において、外観上相紛らわしい商標である。 したがって、本件商標と引用標章は類似である。 ウ 商品の類否について 本件商標の指定商品と引用標章を使用した商品とは同一又は類似の商品である(甲36、甲37)。 エ 小括 以上のことから、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用標章と同一又は類似の商標であり、その商品若しくはこれに類似する商品について使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標と引用標章の類似性の程度について 上記(3)イのとおり、本件商標と引用標章は、離隔観察を基本とする商標の類否判断において、外観上相紛らわしい商標である。 したがって、本件商標と引用標章の類似性の程度は高い。 イ 引用標章の周知性について 引用標章は、上述した理由により、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く認識されて周知性を獲得している。 ウ 商標の独創性について 引用標章は、第18類及び第25類に属する商品との関係において、普通名称、慣用商標、記述的表示等を構成に含む商標ではなく、自他商品役務識別力を具備している。また、申立人が、本件商標の出願日である令和2年9月8日までに、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形を構成要素に含む商標登録出願を8件行い、いずれも拒絶査定を受けることなく商標登録されている事実を鑑みれば、引用標章は、申立人の業務に係る独創的な商標として需要者に認知されている。(甲40)。 エ 商品の関連性について 本件商標の指定商品中、第18類及び第25類の商品は、引用標章を使用した、商品と同一又は類似の商品である(甲36、甲37)。 他方、本件商標の指定商品中、第18類「かばん金具,がまロロ金,蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,ペット用被服類,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,乳幼児用スリング,動物用装着具」と、引用標章を使用した「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び本件商標の指定商品中、第25類「仮装用衣服」は、引用標章を使用した「被服,履物」は非類似の商品である。 しかし、引用標章の周知性や性質を鑑みると、これらの商品に引用標章を付せば、需要者は申立人の業務に係る商品であると出所の混同が生じるおそれがあるため、これらの商品は、特許庁類似商品・役務審査基準において非類似の商品であっても、引用標章を使用した商品との関連性を否定できない。 オ 取引者、需要者の共通性・注意力について 引用標章を使用した商品と本件商標の指定商品は類似するものであるから、引用標章と本件商標の取引者及び需要者は共通する。そして、本件商標の指定商品と引用標章を使用した商品が、日常的に使用する「かばん」や「被服」であることからすると、これを購入するに際して払われる需要者の注意力は高いものではなく、特に考慮すべき事情は見当たらない。 したがって、引用標章と本件商標の対比においては、一般的な需要者の注意力をもって判断すればよい。 カ 小括 以上のことから、本件商標と引用標章の類似性の程度は高く、引用標章は周知性を獲得していると共にその独創性の程度も高く、本件商標の指定商品と引用標章の商品は同一又は類似の商品若しくは関連性があり、取引者及び需要者も共通し、考慮すべき取引者及び需要者の注意力や取引の実情は無い。 したがって、これらの事実を総合的に判断すると、本件商標を指定商品に使用すれば、申立人の業務に係る商品であると出所の混同を生じさせるものである。 また、本件商標の使用は、本件商標の商標権者と申立人との間に、いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係がある等の広義の混同を生じさせるものである。 さらに、本件商標の使用は、引用標章に化体した顧客吸引力へのただ乗りや希釈化を招くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 (7)商標法第4条第1項第11号について ア 引用商標1について (ア)引用商標1は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形と、この図形の上に横長の長方形の図形を配置した、図形のみからなる商標であり、可読文字を構成に含まないため、特定の称呼及び観念は生じない。 (イ)本件商標と引用商標1の対比 本件商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形のみからなる商標である。 一方、引用商標1は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形と、この図形の上に横長の長方形の図形を配置した、図形のみからなる商標である。両商標の差異は、横長の長方形の図形の有無であり、両商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形が共通する。引用商標1の構成を詳細に検討すると、その構成中、横長の長方形の図形は極めて簡単な構成であることから、出所表示としての機能が弱い部分である。 そして、引用商標1は、図形のみからなる商標であって、特定の称呼及び観念は生じないことから、これに接した需要者は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形の外観に強く印象付けられて記憶するものである。その上で、本件商標と引用商標1がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、両商標は外観において相紛らわしい類似商標である。 (ウ)本件商標と引用商標1の指定商品等の対比 本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品とは同一又は類似の商品である(甲37)。 イ 引用商標2について (ア)引用商標2は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形と、この図形に蔦の図形を巻くように配置した、図形のみからなる商標であり、可読文字を構成に含まないため、特定の称呼及び観念は生じない。 (イ)本件商標と引用商標2の対比 本件商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形のみからなる商標である。 一方、引用商標2は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配罹した図形と、この図形に蔦の図形を巻くように配置した、図形のみからなる商標である。両商標の差異は、蔦の図形の有無であり、両商標は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形が共通する。引用商標2は、図形のみからなる商標であって、特定の称呼及び観念は生じないことから、これに接した需要者は、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形の外観に強く印象付けられて記憶するものである。その上で、本件商標と引用商標2がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、両商標は外観において相紛らわしい類似商標である。 (ウ)本件商標と引用商標2の指定商品の対比 本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品とは同一又は類似の商品である(甲36、甲37)。 (8)小括 以上のことから、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似する商標であって、これらの指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (9)その他 申立人が、本件商標の出願日である令和2年9月8日までに、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形を構成要素に含む商標登録出願を8件行い、いずれも拒絶査定を受けることなく商標登録されている(甲40)。上述した引用標章の周知性を獲得している事実から、本件商標の商標権者が偶然且つ独自に、両端に矢尻を設けた矢印を欧文字「X」状に配置した図形を選択したとは考えられない。 4 当審の判断 (1)引用標章の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)「オフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)は、イタリアのストリート系高級ファッションブランドを展開するアパレル企業であり、アメリカ合衆国のファッションデザイナーであるヴァージル・アブロー氏によってイタリアのミラノにて2012年に設立された。」こと、また、ヴァージル・アブローについては、「2013年にハイエンドのストリートブランド・オフホワイト(Off-White)を立ち上げた。」こと、そして、申立人の代表権限を有する者であることが記載されている(甲3~甲5)。 (イ)雑誌「Pen No.470(2019年3月15日号)」によれば、ヴァージル・アブローが「19年春夏よりルイ・ヴィトン メンズアーティスティック・ディレクターに就任」と記載されている(甲6)。 (ウ)繊維新聞(2016年10月3日)によれば、申立人が2017年の春夏のパリ・コレクションに、また、読売新聞(2019年1月11日付)によれば、2019年春夏コレクションに商品を出展したことが記載されている(甲7、甲8)。 (エ)雑誌「ハーパーズ バザー No.37(2018年1月・2月合併号)」によれば、「ヒット確実のデザインコラボ」の見出しの下、「OFF WHITEのヴァージル・アブローが目下進めているプロジェクトといえば、IKEAとのカプセルコレクション製作。すでにSNSで話題のショッピングバッグやラクに加え、テーブルなどの家具も揃え、いよいよ来年発売の噂。」と記載されている(甲9)。 (オ)2018年ないし2020年に我が国で発行された雑誌等において、「OFF-WHITE C/O VIRGIL ABLOH(Off-Whote c/o VIRGIL ABLOH)」の表示と共に、シューズの側面、パーカーの胸、ジャケット等衣服の背中、スニーカー、バック、キャリーケースに、引用標章が表示されていること(色彩の異なるものを含む。引用標章全体が表示されていないものもある。)がうかがわれる(甲10~甲34)。 イ 上記アにおいて認定した事実によれば、申立人は、申立人の創業者及び代表者であるヴァージル・アブロー氏による商品を、2013年から販売し、我が国においても、引用標章がシューズ、パーカー、ジャケット等の衣服、スニーカー、バック、キャリーケースなど(以下「引用標章に係る商品」という。)に表示され販売されたことがうかがわれる(甲10~甲34)。 しかしながら、引用標章に係る商品の売上額、市場占有率など販売実績を示す主張、証拠は見いだせず、さらに、いくつかの雑誌において、広告に関する記事が掲載されているものの、引用標章に係る商品の宣伝広告の費用、方法、回数、期間及び規模等などについては、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。 そうすると、引用標章に係る商品は、2018年ないし2020年に販売されたことがうかがえるものの、提出された証拠をもってしては、引用標章の周知性を認めるには不十分といわざるを得ないものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることができない。 なお、申立人の販売に係る上記商品に表示された引用標章は、引用商標1及び2とは態様が異なるものであり、引用商標1及び2が表示されている使用の状況は見当たらない(甲10~甲33)。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。 申立人は、本件商標は引用標章との関係で本号に該当する旨主張しているので、以下、検討する。 引用標章は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 そうすると、仮に本件商標と引用標章が類似であり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が、同一又は類似する商品であるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(1)のとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また、本件商標の指定商品と、引用標章に係る商品とは、その一部(被服、かばん類)において同一であり、取引者、需要者を共通にするものであるから関連性があるものの、他の指定商品における関連性や取引者、需要者の共通性は高いとはいえない。 してみると、本件商標と引用標章の類似性の程度が高く、両商標に係る取引者、需要者の範囲が共通する場合があるとしても、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものではないから、本件商標に接する取引者、需要者が、引用標章を想起又は連想することはないというべきである。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その商品が他人(申立人及びヴァージル・アブロー氏)又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。 なお、申立人は、本件商標は、引用標章の関係で本号に該当する旨主張しているところ、引用商標1及び2との関係を含めても、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第11号該当性について、 ア 本件商標の構成 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなる図形であるところ、その構成は、X字形に交差させた線と、その両端に矢じり状の突起を配し、全体として、やや縦長に一体的に表した図形からなるものである。そして、該図形からは特定の称呼は生じず、特定の意味合いを有するものとはいえない。 そうすると、本件商標は、特定の称呼、観念は生じないものの、外観上、上記の特徴を有する特異な図形として、看者に強く印象付けるものである。 イ 引用商標1及び引用商標2の構成 (ア)引用商標1は、別掲2のとおりの構成よりなる図形であるところ、その構成は、X字形に配置された線とその両端に矢じり状の突起を配した図形と、その上部に、当該黒色で塗りつぶされた長方形を当該X字形と同じ幅で配置されており、これらは、全体として一体的に描かれているものである。 そして、該図形からは特定の称呼は生じず、特定の意味合いを有するものとはいえない。 そうすると、引用商標1は、特定の称呼及び観念は生じないものの、上記の特徴を有する特異な図形として、看者に強く印象付けられるものである。 (イ)引用商標2は、別掲3のとおりの構成よりなる図形であるところ、その構成は、X字形に配置された線と、その両端に矢じり状の突起部分を配し、白抜きで表された蔦の図形を当該X字形に巻きつけるように配置されており、これらの図形は、一体的に描かれているものである。 そして、該図形からは特定の称呼は生じず、特定の意味合いを有するものとはえいえない。 そうすると、引用商標2は、特定の称呼及び観念は生じないものの、上記特徴を有する特異な構成の図形として、看者に強く印象付けるものである。 ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否について (ア)本件商標と引用商標1とを比較するに、両者は前記ア及びイ(ア)のとおりの構成よりなるところ、いずれも両先端に矢じり状の突起をそれぞれ有する二本の線をX字形に配置している図形を含む点において共通性を有するとしても、本件商標は、X字形の先端の矢じりが小さく、やや縦長に表されているのに対して、引用商標1は、X字形の先端が大きく表され、その上に、同じ幅で、黒塗り長方形を配置していることから、両者の構成全体から受け取るそれぞれの印象は異なり、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、明らかに区別し得るものである。 また、本件商標及び引用商標1とは、特定の称呼及び観念は生じないものであるから、称呼及び観念については比較できない。 してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼及び観念については、比較できないとしても、外観において明らかに区別できるものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるといえるものである。 その他、本件商標と引用商標1とが類似するというべき事情は見いだせない。 (イ)次に、本件商標と引用商標2とを比較するに、両者は前記ア及びイ(イ)のとおりの構成よりなるところ、いずれも両先端に矢じり状の突起をそれぞれ有する二本の線をX字形に配置している図形を含む点において共通点を有するとしても、引用商標2は、白抜きで表された蔦の図形をX字形に巻き付けて一体的に表されていることから、両者は明確な差異を有するものであり、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、明らかに区別し得るものである。 また、本件商標及び引用商標2とは、特定の称呼及び観念は生じないものであるから、称呼及び観念については比較できない。 してみれば、本件商標と引用商標2とは、称呼及び観念については、比較できないとしても、外観において明らかに区別できるものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるといえるものである。 その他、本件商標と引用商標2とが類似するというべき事情は見いだせない。 (ウ)以上のとおり、本件商標は、引用商標1及び2のいずれにも類似しない商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-900219

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