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商標異議申立

2021-900215

エイテイジイ

審判番号
2021-900215
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-120611
登録番号
6365675
請求日
2021年06月07日
審決日
2022年05月02日
公報発行日
2022年05月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ラングラー アパレル コーポレイション
  • 【権利者代理人】又市 義男
  • 【異議申立人】エーティージー セイロン (プライベート) リミテッド
  • 【異議申立人代理人】小暮 理恵子
  • 【異議申立人代理人】行田 朋弘
  • 【異議申立人代理人】安部 光河
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.22 -Y (W25) / T1651.23 -Y (W25) / T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25) / T1651.222-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6365675号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6365675号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6365675号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATG」の文字を標準文字で表してなり、令和2年9月30日に登録出願、第25類「被服,履物,帽子,下着」を指定商品として、同3年3月9日に登録査定され、同月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は以下に掲げるとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5653188号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様: ATG(標準文字) 登録出願日: 平成25年7月25日 設定登録日: 平成26年2月28日 指定商品: 第9類「事故防護用手袋,工業用事故防護用手袋」 (2)登録第5651480号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様: 別掲1のとおり 登録出願日: 平成25年7月26日 設定登録日: 平成26年2月21日 指定商品: 第9類「事故防護用手袋,工業用の事故防護用手袋」 (3)登録第5927217号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様: 別掲2のとおり 登録出願日: 平成28年10月26日(優先権主張:2016年4月29日 域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)) 設定登録日 平成29年2月24日 指定商品:第9類「事故防護用手袋,工業で使用する事故防護用手袋」 (4)登録第5927065号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様: 別掲3のとおり 登録出願日: 平成28年8月19日 設定登録日: 平成29年2月24日 指定商品:第9類「事故防護用手袋,工業用事故防護用手袋」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標の我が国及び世界各国における著名性 申立人は、1992年に設立されたスリランカのグローバル手袋メーカー(甲3)であり、2016年の時点で、引用商標の指定商品「事故防護用手袋,工業用事故防護用手袋」等(以下「申立人製品」という。)に相当する作業用手袋を年間8000万双以上、生産しており(甲4)、2008年10月から現在まで、我が国を含む全世界において、引用商標と同一の商標を、申立人製品について継続的に使用し(甲5)、申立人製品は、我が国を含む70の国・地域で販売され、また、それらの国・地域において、引用商標と同一又は類似の商標について商標登録を受けている(甲6の2)。 我が国では、ミドリ安全株式会社(以下「ミドリ安全社」という。)が、申立人の総代理店として、2017年以降、申立人製品を、多数のECサイトを含め、販売している(甲3、甲7)。 申立人製品は、用途ごとに様々な作業用手袋のシリーズがあり(甲5)、各シリーズにおいて、豊富なラインアップを誇っている(甲8)。 我が国においては、特に、世界初の制汗テクノロジーを採用し、発汗減少率31%を実現した「MaxiFlexR(マキシフレックス) UltimateTM 42-874」(構成中の「R」は、丸付き文字であり、「TM」は、上付きで小さく表示されている。)は、販売の中心と考えられており、物流、倉庫、建設業等、過酷な環境での作業時に作業環境の改善として通気性が求められていることから、大きな需要が見込まれていた(甲3)。 2018年度、我が国において、申立人製品は、シリーズ単体で、年間売上高1億円を達成した(甲9の1)。 申立人が2017年から2020年の間に我が国で販売した申立人製品に係る、販売数量・価格を示す表(甲9の2)及び当該販売に係るインボイスの一例(甲9の3)を提出する。 我が国のみでこれほどの売上高を記録していることから、主要国を含む全世界での売上高が莫大な金額であることは想像に難くない。 申立人製品は、物流や製造等の大手グローバル企業に導入されているところ、そのコストパフォーマンスや品質、新技術の導入、熱意、課題への取組について高い評価を受けている(甲3)。申立人は、申立人製品を使う作業者の手を守るため、品質や肌への優しさを第一優先に考え、申立人製品の製造に際して外注を一切せず、全て自社内工場で製造するといった独自の方針を持ち(甲3)、業界内で確固たる地位を確立してきた。その結果、申立人製品は、Oeko-Tex(エコテックス)(甲10、甲11)、Skin Health Alliance(スキンヘルスアライアンス)(甲10、甲12)の国際基準認定を受け、また、申立人製品の製造工程に「REACH規則(欧州化学品規制)」の要件を遵守するものとして認められている(甲10)。 申立人製品が各国際基準認定を受け、また、REACH規制の要件を満たした製造工程で製造されている国際的な優良製品である事実は、多くの日本語のウェブサイトに掲載されているため(甲9の1、甲10、甲14等)、我が国の需要者・取引者の間でも周知になっていることは明らかである。 以上の各事実から、引用商標(特に引用商標1及び引用商標2)を付した作業用手袋が申立人に係るものとして既に国内外の需要者・取引者の間で周知・著名性を獲得していることは明らかである。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標の類似性について 引用商標は、本件商標よりも先に登録出願及び登録されている。 本件商標は、「ATG」の文字を標準文字で表した外観を有する。 引用商標1は、「ATG」の文字を標準文字で表した外観からなり、引用商標2ないし引用商標4は、欧文字「aTG」を認識できる態様である。 本件商標は、引用商標1とは「ATG」の文字を共通にし、引用商標2ないし引用商標4の文字部分とは大文字「A」と小文字「a」で異なるものの実質的に同一のつづりの文字を有している。 すなわち、本件商標は、全構成文字が引用商標と共通し、本件商標は、外観について、引用商標1と同一であり、引用商標2ないし引用商標4とは類似である。 また、称呼については、引用商標と同一である。 よって、本件商標は、引用商標1と同一の商標であり、引用商標2ないし引用商標4とは類似の商標である。 イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類似性について 一般的に、引用商標の指定商品を含むいわゆる「作業用手袋」は、作業用被服の製造・販売業者が製造・販売する商品である(甲15)。 この取引実情は、本件商標の指定商品である「被服」が「手袋」を含むものとしている特許庁の考え方と共通する。 昨今の企業経営の多角化により、作業用被服の製造・販売業者の多くが、いわゆるカジュアル服のみならず「履物,帽子,下着」に属する商品も製造・販売するようになっている(甲16)。 また、昨今、従来品よりもファッション性の高い作業用被服が多く販売されている結果、作業用被服とカジュアル服の境界が以前と比べてあいまいになってきているという取引実情が認められる(甲17)。 上記の取引実情によれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、仮に「原材料及び品質」が一致せず、「完成品と部品との関係」にないとしても、一般的に、それぞれの商標の指定商品の製造・販売業者が、「被服」の製造・販売業者で共通するため、これらの「生産部門」及び「販売部門」が一致し、また、本件商標の指定商品のうち「被服」に含まれている「手袋」と引用商標の指定商品は、一般的に、いずれも手を保護するという「用途」が一致している。 さらに、作業用手袋の需要者は様々な分野の作業者であるところ、作業者が勤務外の時間にカジュアル服を使用することは当然であるため、「需要者の範囲」も一致する。 上記の取引実情等を総合的に考慮すれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商標を使用した場合にその出所について混同を生じるおそれが認められることが明らかなため、互いに類似の商品である。 ウ まとめ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について 本件商標は、引用商標1と同一の商標であり、引用商標2ないし引用商標4とは類似の商標である。 イ 引用商標の周知度について 本件商標の登録出願及び登録査定時において、引用商標は、需要者の間に広く認識されていた。 ウ 引用商標が造語よりなるか、又は構成上顕著な特徴を有するか 引用商標に関し、欧文字「ATG」及び欧文字部分「aTG」は、所定の略称として辞書に掲載されている(甲18)が、いずれの略称も、引用商標の指定商品の需要者・取引者の間で理解されているとは考えにくいから、引用商標は造語よりなるものと理解される。 また、引用商標2ないし引用商標4に関しては、特殊な書体で書した欧文字「aTG」の部分を、円形又は略円形の図形と五本の指のような図形からなる図形部分と重なるように配してなる点で、構成上顕著な特徴を有するものである。 エ 引用商標がハウスマークであるか 少なくとも引用商標1及び引用商標2は、申立人のハウスマークである(甲5)。 オ 商品間の関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品の範囲に属する商品と引用商標の指定商品等を含む「作業用手袋」は、どちらも作業用被服の製造・販売業者が製造し、同じ場所で販売している(甲16)。 また、昨今、従来品よりもファッション性の高い作業用被服が販売されているため、作業用被服とカジュアル服の境界が以前と比べてあいまいになってきている。 したがって、両者の指定商品間の関連性は、極めて高い。 また、本件商標の指定商品の需要者は、引用商標の指定商品の需要者と共通する。 カ 取引の実情について 上記オの取引の実情が認められ、また、本件商標の指定商品「被服」の製造・販売業者が、引用商標の指定商品等を含む「作業用手袋」の製造・販売業者とともに、コラボ商品を製造・販売するという取引の実情も認められる(甲19)。 このような取引実情の下、引用商標の指定商品の需要者が、引用商標1と同一の商標である本件商標を本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の社名の一部である欧文字「WRANGLER」と並列して使用した商品(被服)に接した際に、それを申立人と本件商標権者に係るコラボ商品であるものと勘違いし、申立人が製造・販売する商品と混同する危険性は非常に高い(甲20)。本件商標権者に係る手袋が販売されている事実(甲21)も考慮すれば、これは明らかな危険性といわざるを得ない。 キ 上記アないしカを考慮すると、申立人のハウスマークとして本件商標の指定商品の需要者によって広く認識されていた引用商標1と同一で、引用商標2と類似の本件商標を、その指定商品に使用すると、需要者は、本件商標が申立人の製造・販売する商品に使用するものであり、当該商品の出所が申立人であると誤認するか、又は当該商品が、申立人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認して、商品の出所について混同するおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標は、仮に商標法第4条第1項第11号に該当しない場合でも、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、同項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、引用商標と同一又は類似し、又は少なくとも申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。 また、本件商標の指定商品「被服」の製造・販売業者が、引用商標の指定商品を含む「作業用手袋」の製造・販売業者とともにコラボ商品を製造・販売するといった実情も認められる。このことから、本件商標権者が、コラボ商品が流行している昨今の取引実情に着目し、引用商標の著名性・周知性及び顧客吸引力に便乗し、不正の利益を得ようとする目的をもって登録出願及び登録したことは想像に難くない。 したがって、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないため、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第8号について 本件商標権者は、申立人とは何らの関係も有しておらず、他人に該当する。 また、本件商標は、申立人の略称であり、当該略称は本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であった。 本件商標権者は、申立人より何らの承諾も得ていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていた商標であり、また、本件商標は引用商標1と同一の商標であり、引用商標2ないし引用商標4とは類似する商標である。 本件商標の指定商品「被服」の製造・販売業者が、引用商標の指定商品を含む「作業用手袋」の製造・販売業者とともにコラボ商品を製造・販売するといった取引の実情も認められる。 そうすると、本件商標権者が、コラボ商品が流行している昨今の取引実情に着目し、引用商標の著名性・周知性及び顧客吸引力に便乗して、不正の利益を得る目的をもって登録出願及び登録したことは明らかである。 よって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「ATG」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に載録のないものであるから、特定の意味合いを有しない一種の造語とみるのが相当である。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「エイティージー」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり、「ATG」の文字を標準文字で表してなるところ、上記アと同様、当該文字は、辞書等に載録のないものであるから、特定の意味合いを有しない一種の造語とみるのが相当である。 したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「エイティージー」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (イ)引用商標2は、別掲1のとおり、グレーの円内に、赤から橙、橙から黄へと変化させるように着色した長さが異なる5本の太い斜め線(以下「5本線」という。)を左下から右上にかけて配し、その下に赤色で「T」の左右に左右対称のモノグラム化した図形(以下「モノグラム図形」という。)を配してなるものである。 引用商標3は、別掲2のとおり、右側下方部分が切れた円弧状の図形の下に、単色の「5本線」とその下に「モノグラム図形」を配してなるものであり、全体をグレーで着色したものである。 引用商標4は、別掲3のとおり、グレーの横長四角形内に、白抜きの引用商標3と同様の図形を配してものである。 そして、引用商標2ないし引用商標4は、いずれも、各構成要素がまとまりよく一体的に表されているものであり、また、引用商標2ないし引用商標4の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、これらは、構成全体をもって図形と看取されるのが相当であるから、引用商標2ないし引用商標4からは、特定の称呼及び観念を生じるとはいえない。 ウ 本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較できないとしても、「ATG」の文字のつづり及び「エイティージー」の称呼を共通にする。 また、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは、観念において比較できないとしても、欧文字のみからなる本件商標と図形からなる引用商標2ないし引用商標4とは、外観において明らかに相違するものであり、本件商標は「エイティージー」の称呼を生じるのに対し、引用商標2ないし引用商標4は、特定の称呼を生じないものであるから、称呼においても相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標と引用商標1は、同一又は類似の商標であって、本件商標と引用商標2ないし引用商標4は、非類似の商標である。 エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本件商標の指定商品「被服,履物,帽子,下着」は、ファッション関連商品であって、その需要者は、主に一般需要者であり、また、その指定商品中の被服に含まれている手袋は、ファッション用又は防寒用のものである。 これに対し、引用商標の指定商品「事故防護用手袋,工業用事故防護用手袋」等は、事故防護のために特殊な加工が施されているものであって、各種作業をする者が使用するものであって、その需要者は、主に作業をする者である。 そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、これらを取り扱う業界が相違し、その生産部門及び販売部門も一致するとはいえず、その用途、需要者も相違するというべきであるから、両者は類似するとはいえない。 なお、申立人は、作業用被服とカジュアル服の境界があいまいになっていること、作業用手袋の製造・販売業者とともにコラボ商品を製造・販売していることをもって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは関連性が高く、需要者が共通する旨主張しているが、仮に、作業用被服とファッション関連商品としての被服について、これらの需要者が共通する場合があるとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品を取り扱う業界、生産部門、販売部門及び用途等は一致せず、また、本件商標の指定商品の需要者は、主に一般需要者であるのに対し、引用商標の指定商品の需要者は、主に作業をする者であって、需要者が必ずしも一致するものではないから、申立人の主張は採用することができない。 オ まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標1と同一又は類似の商標であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品は類似するとはいえない。 また、本件商標は、引用商標2ないし引用商標4と非類似の商標であって、その指定商品も類似するとはいえない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、1992年に設立されたスリランカの手袋メーカーであって、我が国を含む30か国以上において、申立人製品を販売している(甲3、甲6の1、甲9の1)。 また、我が国を含む上記申立人製品が販売されている多数の国において、引用商標と同一又は類似の商標が登録されている(甲6の2)。 (イ)安全靴や作業着等を製造・販売するミドリ安全社は、2016年10月5日にスリランカのグローバル手袋メーカーであるアドバンスト・テクノロジー・グローブ社(以下、「ATG社」という。)と日本総代理店契約を締結している(甲3、甲4)。 (ウ)申立人製品は、国内の複数のECサイトを通じて、引用商標2の表示の下、オンラインにて販売されている。また、当該ウェブサイト上の一部の申立人商品には、色彩は異なるが、引用商標2と同じ態様の標章が付されており、当該ウェブサイト上には、「ゴム手袋ランキング2位」との記載がある(甲7)。 (エ)日刊工業新聞のウェブサイトにおいて、申立人製品について、「ATG社製手袋シリーズが年間売上1億円超の大ヒット!最高レベルの耐切創性手袋など3種が新登場8月1日(木)新発売」(2019年8月1日付け)の見出しの下、「2017年より各種法人や個人のお客様への販売を開始いたしました。」、「用途:ドライ環境で切創事故の危険性が高い作業などに」として、「MaxiCut(R)Ultra」が、「用途:寒冷地や低温環境での作業に。」として、「MaxiDry(R)ZERO」等の作業グローブの紹介があり、当該グローブの甲部分には、色彩が異なるが引用商標3と同態様の標章が付されている。また、当該記事中に、作業用グローブでシリーズ単体1億円を超えるのは業界でも異例とされている旨が記載されている(甲9の1)。 (オ)インボイスの写し(甲9の3、甲22の1~甲22の68)には、引用商標2が表示され、2017年ないし2020年にかけて、我が国において、上記(エ)に記載された作業グローブが取引されていることは確認できる。 なお、我が国向けに販売した申立人製品に係る販売数量・価格とされる表(甲9の2)において、2017年ないし2020年における申立人製品の販売数量及び価格が記載されているが、当該表の作成日及び作成者は不明である。 また、引用商標を付した申立人製品に関する市場シェアや広告宣伝に係る証拠は、確認できない。 (カ)申立人製品は、「REACH(欧州化学品規制)」、「Oeko-Tex」及び、「皮膚科学的認証」等の認証を受けている旨の記事に引用商標2の表示があるが、当該記事は、本件商標の登録査定後のものである(甲10)。 (キ)上記(ア)ないし(カ)よりすれば、少なくとも、2017年以降、引用商標2が付された申立人製品は、我が国において販売されており、申立人製品に係るゴム手袋におけるランキングや作業グローブの売上高に関する記事の内容からすれば、申立人製品は、申立人製品を取り扱う業界において、ある程度知られているとしても、申立人製品の市場シェアや広告宣伝等は確認できないことから、引用商標が申立人製品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 なお、提出された各証拠に係る企業の名称と申立人の名称とは必ずしも一致していない。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について 上記(1)のとおり、本件商標と引用商標1とは、同一又は類似のものである。 また、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いというべきである。 ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、ファッション関連商品であり、その需要者は、一般需要者である。また、その指定商品中の被服に含まれている手袋は、ファッション用又は防寒用のものである。 これに対し、引用商標の指定商品は、事故防護のために特殊な加工を施されているものであって、各種作業をする者が使用するものである。 そうすると、本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品は、その生産部門及び販売部門が一致するとはいえず、その用途、需要者も相違するというべきである。 エ 出所の混同のおそれについて 上記アないしウのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、また、本件商標と引用商標1は、同一又は類似のものであるとしても、本件商標と引用商標2ないし引用商標4は、類似性の程度が低いものであり、両商標の指定商品は、需要者の範囲、用途等を異にするものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第8号該当性について 商標法第4条第1項第8号の趣旨は、人の氏名、名称、略称等に対する人格的利益を保護することにあるところ、商標中に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず、当該他人を想起、連想できないのであれば、他人の人格的利益が毀損されるおそれはないと考えられるから、他人の略称等を「含む」商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に「含む」状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解される(平成24年(行ケ)第10360号 知的財産高等裁判所平成25年4月18日判決言渡)。 しかしながら、「ATG」の文字からなる引用商標1を含む引用商標は、上記(2)ア(キ)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人製品を表すものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また、申立人のウェブサイト等において、申立人を「ATG」と表示している例が見受けられる(甲3、甲7ほか)ものの、提出された証拠を参照しても、「ATG」の文字が申立人の略称として需要者に認識されていることを裏付けるものといえない。 そうすると、本件商標は、「ATG」の文字からなるものであるとしても、これを申立人の略称と認識し、把握されることはなく、他人の著名な略称からなる商標であるとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 上記(1)のとおり、本件商標と引用商標1は、同一又は類似の商標であるとしても、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは、非類似の商標である。 また、引用商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていたとは認められないものである。 そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき証左も見あたらない。 さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る証拠からは、本件商標権者が引用商標の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-900215

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