商標異議申立
2021-900193
ザラスベミスト、ザラスベ
- 審判番号
- 2021-900193
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-010203
- 登録番号
- 6357258
- 請求日
- 2021年05月21日
- 審決日
- 2022年03月25日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社アイ・ビー・アイ
- 【異議申立人】インダストリア・デ・ディセーニョ・テキスティル・エス・エイ(インディテクス・エス・エイ)
- 【異議申立人代理人】特許業務法人BORDERS IP
- 【異議申立人代理人】小暮 君平
- 【異議申立人代理人】福井 孝雄
- 審判長/審判官
- 審判長 平澤 芳行
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03) / T1651.271-Y (W03) / T1651.222-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6357258号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6357258号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6357258号商標(以下「本件商標」という。)は,「Zara Sube mist」の文字を標準文字で表してなり,令和2年1月30日に登録出願され,第3類「ニキビ防止用化粧品,保湿ボディローション,身体用スプレー化粧品,スキンローション,化粧水,化粧品」(以下「本件指定商品」ということがある。)を指定商品として,同3年2月9日に登録査定,同年3月1日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第973064号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,2015年(平成27年)4月14日に国際登録出願(事後指定),第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use; cleaning, polishing, degreasing and abrasive preparations; soaps; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; toilet water; blueing for laundry; starch for laundry purposes; beauty masks; cosmetic preparations for skin care; hair colorants and dyes; shoe creams and polishes; shampoos; cosmetic kits; depilatory preparations; lipstick; cosmetic pencils; hair spray and nail polish; tissues impregnated with cosmetic lotions; after-shave lotions; make-up preparations; stain removers; sachets for perfuming linen; nail care preparations; flower extracts (perfumery); incense; scented wood; cosmetic preparations for baths; toiletries; oils for toiletry purposes; eau de cologne; deodorant soaps; mustache wax; hair colorants; eyebrow cosmetics; shampoos for pets; cosmetics for animals; cosmetic creams; cleansing milks; dry-cleaning preparations; scented water; perfumes; make-up powder; fabric softeners for laundry use; cosmetic dyes.」を指定商品として,平成28年1月22日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標の周知・著名性について
引用商標は,世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして,世界各国及び我が国の取引者,需要者に広く知られている。
申立人のファッションブランド「ZARA」は,1975年にスペインにて1号店がオープンして以来,現在では世界で約2040店舗が展開されており(甲5),「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)の2021年1月期の世界全体の売上高は,141億2900万ユーロ(約1兆7943億8300万円,1ユーロ=127円で換算)を維持している(甲6)。日本においても1997年に日本法人が設立され,翌年に1号店を渋谷に開店した後,現時点で国内に約100の店舗が存在する(甲7)。
米Interbrand社が毎年公表するブランド価値評価ランキング「Best Global Brands」において,直近の2020年度版で第35位に選出されている(甲8)。
したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時点には,ファッションの分野において我が国の取引者,需要者の間で広く認識されている周知又は著名な商標といえる。過去の異議申立ての決定及び無効審判の審決においても,引用商標が少なくとも商品「被服」の分野において,我が国の取引者,需要者の間で広く認識されている旨が認定されている(甲9,甲10)。
(2)申立人の化粧品の取り扱いについて
申立人の取扱商品には,被服の他,実際に化粧品が含まれており,申立人のオンラインショップにおいて,化粧品で検索すると,香水,フェイスパレット,リップスティック,ネイルポリッシュなどの多くの化粧品の一覧が表示される(甲11)。申立人は,日本でこれらの商品を引用商標の下で展開している(甲12~甲15)。
(3)商品「被服」と商品「化粧品」の関連性について
本件商標に係る指定商品「ニキビ防止用化粧品,保湿ボディローション,身体用スプレー化粧品,スキンローション,化粧水,化粧品」は,人の装いを整えたり,彩ったりする点で,ファッションに深く関係する商品である。そのため,申立人を含めた多くのファッションブランドでは,同一のブランドを用いて化粧品を展開することは一般的であるといえる。現に,「アルマーニ」,「TOMFORD」,「グッチ」,「ドルチェ&ガッバーナ」といった海外の有名ファッションブランドが,日本において化粧品を商品展開している事実が認められる(甲16~甲19)。
さらに,人気のブランド香水のランキング調査をみても,「ディオール」,「アバクロンビー&フィッチ」,「ラルフローレン」,「カルバンクライン」,「イヴ・サンローラン」,「ダンヒル」,「バーバリー」,「ランバン」,「ヴェルサーチ」,「ヒューゴ・ボス」,「ジバンシイ」,「ケンゾー」,「ポールスミス」など多数のファッションブランドが化粧品である香水を商品展開している(甲20)。
したがって,ファッションの中心アイテムである商品「被服」と商品「化粧品」とは,取引者,需要者の層が共通し,互いに関連性が強いものである。
(4)本件商標と引用商標の類否について
本件商標の「Zara」及び「Sube mist」の文字部分は,視覚上,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難い。
また,「Zara」の文字部分は,冒頭により顕著に表示されていることから,看者に対して強く支配的な印象を与えるものである。
したがって,本件商標に接する取引者,需要者は,「Zara」の文字部分を商標の要部として認識するものと考えるのが自然である。
本件商標の要部「Zara」と,引用商標は,いずれも辞書等に掲載されていないものであり,一種の造語として認識されることから,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って,それぞれ同一の「ザラ」の称呼を生じる。
また,本件商標の要部「Zara」と引用商標とは,外観上も相紛らわしく,本件商標と引用商標は,称呼及び外観において類似する。
特に,引用商標を構成する「ZARA」は独創性の高い商標であり,他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には,既成語から構成される商標よりも需要者に対する印象・連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである(甲10)。
さらに,申立人の「ZARA」は商品「被服」の分野で周知・著名であって,その周知・著名性は関連する商品「化粧品」の分野にも及ぶことから,本件商標がその指定商品に使用された場合には,周知・著名なブランド「ZARA」を想起,連想されるため,互いに観念上の類似性も認められる。
そして,本件商標の全指定商品と,引用商標の指定商品「cosmetics, hair lotions; toilet water; beauty masks; cosmetic preparations for skin care; hair colorants and dyes; cosmetic kits; depilatory preparations; lipstick; cosmetic pencils; hair spray and nail polish; tissues impregnated with cosmetic lotions; after-shave lotions; make-up preparations; nail care preparations; flower extracts (perfumery); cosmetic preparations for baths; oils for toiletry purposes; eau de cologne; hair colorants; eyebrow cosmetics; cosmetics for animals; cosmetic creams; cleansing milks; scented water; perfumes; make-up powder; cosmetic dyes.」とは,互いに同一又は類似の関係にある。
したがって,本件商標と引用商標は互いに類似する商標であり,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も同一又は類似することから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして知られ,申立人のハウスマークと同等に位置づけられるべきものである。それ自体は辞書に採録のない造語であるが,特に被服の分野においては周知・著名性を獲得しており,本件商標と外観,称呼及び観念において類似する。
また,海外の有名ファッションブランドが,化粧品の商品展開をしていることが通常であることからすると,商品「被服」と商品「化粧品」とは,密接な関連性を有すると共に,取引者,需要者の層が共通する。
そうすると,商品「被服」と商品「化粧品」の商品の関連性が高く,その需要者等を共通とするので,本件商標がその指定商品に使用された場合は,これに接した取引者・需要者は,申立人と経済的又は組織的関係を有する者の業務に係る商品であると誤信することで,商品の出所について混同を生じるおそれが高い。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
引用商標が外国及び我が国の取引者,需要者の間で周知・著名な商標であること,さらに,本件商標が引用商標と類似することは,上述のとおりである。
申立人とは無関係の他人である本件商標の権利者が,周知・著名な商標と類似する本件商標を採択することは,自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を,著名商標に化体した信用にただ乗り(フリーライド)することによって得ようとするものであり,不正の目的が認められる。
また,本件商標の使用は,引用商標に化体した出所表示機能の希釈化を招くものであり,その名声を棄損させるものである。
したがって,本件商標の使用は,引用商標に化体した出所表示機能の希釈化を招き,またその信用,名声,顧客吸引力等を毀損させる不正の目的が認められるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次のとおりである。
(1)申立人は,ファッションブランド「ZARA」を展開するスペインのアパレル企業であり,1975年にスペインで1号店をオープンし,その後,ヨーロッパ,アメリカ,アジアと世界各国において,「ZARA」ブランドの下で被服等の製造,販売を行っており,現在では世界で約2040を超える店舗を有する(甲5)。
(2)1997年に日本法人「株式会社ザラ・ジャパン」が設立され,翌年に日本1号店を渋谷に開店した後,現時点で国内に約100の店舗が存在する(甲5,甲7)。
(3)「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)ブランドの2021年1月期の世界全体の売上高は,141億2900万ユーロ(約1兆7943億8300万円,1ユーロ=127円で換算。)である(甲6)。
(4)米国Interbrand社が毎年公表するブランド価値評価ランキング「Best Global Brands」において,直近の2020年度版で「ZARA」は第35位に選出されている(甲8)。
(5)過去の異議申立ての決定及び無効審判の審決の中には,商標「ZARA」が「被服」の分野で,外国及び我が国において一定の周知性を獲得していたと判断したもの(甲9)や,「Zara」の文字が,我が国において申立人の業務に係る商品「被服」を表すものとして相当程度知られていたと判断したもの(甲10)がある。
(6)上記(1)ないし(5)の事実によれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国における需要者の間に,申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして一定程度知られていたことは認め得る。
しかしながら,引用商標を使用した本件指定商品の分野における申立人の業務に係る商品「化粧品」の我が国及び外国での販売数量,売上高,市場シェアなどの販売実績,並びに引用商標に係る広告宣伝の方法,回数,期間及び地域など,その事実を量的に把握することができる具体的な証拠の提出はなく,他に引用商標について,我が国及び外国における周知性の度合いを判断するための客観的な証拠も見いだすことはできないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時の本件指定商品の分野における引用商標の使用事実に基づいてその周知性の程度を推し量ることはできない。
そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,その被服の分野を超えて,本件指定商品の分野における申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は,上記第1のとおり,「Zara Sube mist」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,「Zara」,「Sube」及び「mist」の各文字部分の間に,1文字程度の間隔を有するとしても,その構成文字は,同じ書体,同じ大きさで,外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして,本件商標の構成中「Zara」及び「Sube」の文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語であると理解,認識されるものであり,また,「mist」の文字は「霧」等の意味を有する英語の単語(「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)であって,これらを1文字分の空白を介して結合してなる本件商標全体としても,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語であると理解,認識されるものである。
また,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,本件商標全体からは「ザラスベミスト」の称呼を生じるものとみるのが相当であって,その称呼は格別冗長なものではなく,無理なく一気一連に称呼し得るものである。
さらに,上記1(6)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,その被服の分野を超えて,本件指定商品の分野における申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,他に本件商標の構成中「Zara」の文字が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。
してみれば,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「Zara」の文字部分のみに着目することなく,本件商標の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「ザラスベミスト」の称呼のみを生じ,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,別掲のとおり,「ZARA」の欧文字(「R」の文字の右側下部と4文字目の「A」の左側下部はつながって表されている。)を横書きした構成からなるところ,当該文字は,辞書類に掲載のないものであって,特定の意味を認識させることのない一種の造語であるとし理解,認識されるものである。
してみれば,引用商標は,その構成文字に相応し,「ザラ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると,外観においては,上記ア及びイのとおり,本件商標の構成文字は,大文字と小文字からなるのに対し,引用商標の構成文字は,大文字のみからなるものという相違があることに加え,後半部における「Sube mist」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから,外観上,判然と区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標から生じる「ザラスベミスト」の称呼と引用商標から生じる「ザラ」の称呼とを比較すると,語頭における「ザラ」の音を共通にするとしても,後半部における「スベミスト」の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本件商標と引用商標とは,ともに特定の観念を生じないものであるから,比較することはできない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において判然と区別することができるものであって,称呼において明瞭に聴別し得るであるから,これらが取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考察すれば,両者は,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(2)小括
上記のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「Zara」の周知性について
上記1(6)のとおり,「Zara」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,その被服の分野を超えて,本件指定商品の分野における申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標とは,上記2(1)ウのとおり,非類似の商標であり,相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
(3)商標の独創性について
引用商標の「ZARA」の欧文字は,辞書等に掲載のない造語であるから,独創性が低いとはいえない。
(4)本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品との関連性について
本件商標の指定商品「ニキビ防止用化粧品,保湿ボディローション,身体用スプレー化粧品,スキンローション,化粧水,化粧品」と申立人の業務に係る商品「被服」の製造・販売とが同一事業者によって行われているのが一般的とまではいえないし,かつ,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「被服」とは,その用途,販売又は提供場所,需要者の範囲,業種の範囲などがそれぞれ一致するといった商取引の実情も見出せないから,両商品の関連性は低いというべきである。
(5)出所の混同
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,我が国において申立人の業務に係る商品「被服」を表すものとして,一定程度知られているものと認め得るとしても,その被服の分野を超えて,本件指定商品の分野において引用商標が広く知られていたとまでは認めることができない。
そして,本件商標と引用商標とは,上記(2)のとおり,非類似の商標であって,相紛れるおそれのない別異の商標というべきものであり,かつ,商品「被服」を取り扱う業界における引用商標の周知性を考慮したとしても,本件指定商品と申立人の業務に係る商品「被服」とは,商品分野が相当に相違しており,その用途,販売又は提供場所,需要者の範囲,業種の範囲等において関連性が強いとはいえないものであるから,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者に引用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれはないものである。
その他,本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(6)申立人の主張について
申立人は,申立人の「ZARA」は「被服」の分野で周知・著名であって,その周知・著名性は関連する「化粧品」の分野にも及ぶことから,本件商標がその指定商品に使用された場合には,周知・著名なブランド「ZARA」を想起,連想される旨主張する。
しかしながら,申立人の提出の証拠によっては,引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「化粧品」を表示するものとして,我が国の需要者に広く知られていたということはできないものであり,また,アパレルブランドが化粧品を手がけたり,化粧品ブランドがアパレルを手がけたりすることがあるとしても,上記(4)のとおり,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「被服」との関連性は低いというべきであるから,申立人の主張は採用することができない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1(6)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,その被服の分野を超えて,本件指定商品の分野における申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国及び外国の取引者,需要者の間で広く認識されていたということはできない。
また,上記2(1)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標である。
さらに,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を与える目的,その他不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-900193