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商標異議申立

2021-900184

ゴチソーシメサバ、ゴチソー

審判番号
2021-900184
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-070993
登録番号
6356871
請求日
2021年05月14日
審決日
2022年01月27日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】有限会社鈴木安太郎商店
  • 【権利者代理人】古岩 信嗣
  • 【異議申立人】武輪水産 株式会社
  • 【異議申立人代理人】三浦 誠一
審判長/審判官
  • 審判長 平澤 芳行
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 須田 亮一
分類
T1651.22 -Z (W29) / T1651.25 -Z (W29) / T1651.271-Z (W29) / T1651.222-Z (W29)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6356871号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6356871号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6356871号商標(以下「本件商標」という。)は,「御馳走しめさば」の文字を標準文字で表してなり,令和2年6月9日に登録出願,第29類「しめさば」を指定商品として,同3年2月15日に登録査定,同月26日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議申立ての理由において,引用する商標は,別掲のとおり,「御馳走」の漢字及び「しめさば」の平仮名を毛筆の書体で二列に縦書きしてなる商標(以下「引用商標」という。)であり,申立人が2013年10月から「しめさば」について使用し,本件商標の登録出願時において,しめさば業界の需要者の間に広く認識されていたと主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第7号について 申立人は,2013年10月より,インターネット通信限定(甲4,甲5)で,商品ラベルに引用商標を付した2種類のしめさば(以下,引用商標を付した申立人の業務に係る商品「しめさば」を「申立人商品」という。:甲6,甲7)の販売を開始した(甲8)。 販売開始から1年を経過すると,販売枚数が急激に伸び,2015年は,販売枚数が3万枚を越え,その後3年間は,販売枚数が落ち込んだが,2019年からまた販売枚数が伸び,2020年の販売枚数は10万枚に近づいた。本件商標の登録出願時までには14万枚,本件商標の登録査定時までには22万枚の申立人商品が我が国で消費されている(甲8)。 また,申立人商品は,北海道,本州,四国,九州に所在の販売先,小売店で取り扱われている(甲9)。 申立人は,主力商品であるしめさばの開発に力を注ぎ,商品カタログのとおり,申立人が製造販売するしめさばは多種あり(甲10),そのうち,申立人商品は,2016年に日本ギフト大賞を受賞している(甲11)。 申立人は,我が国においてしめさばの有力メーカーであり(甲12),国内の取引業者や同業他社に広く知られている。また,本件商標権者もしめさばの開発に力を注いでいる。 そして,本件商標権者と申立人は,2019年11月8日に開催された「第30回全国水産加工品総合品質審査会」にしめさばを出品し,本件商標権者は水産庁長官賞を,申立人は農林水産大臣賞をそれぞれ受賞している(甲15)。また,2018年9月からサバ缶が値上げされることについて,本件商標権者と申立人は,ともに同じニュースにて回答している(甲16,甲17)。このように,本件商標権者と申立人は,さばの加工品メーカーであり,さばの仕入れ状況に影響を受ける同業他社の関係にある。 申立人商品の販売枚数がピーク(12月を除く。)の時に本件商標の登録出願が行われていること,本件商標権者が申立人と同業他社の関係にあること,本件商標の登録出願時において既に使用されている引用商標がしめさば業界において一定の知名度・認知度(周知度)を有していたこと(甲2,甲4~甲14,甲18~甲32)の3点に鑑みると,本件商標権者は,本件商標の登録出願前から,引用商標が国内の有力メーカーである申立人によって,しめさばに使用されていたことを認知していながら,引用商標が商標登録されていないことを奇貨として,引用商標と同じ文字からなる,引用商標と同一又は類似の本件商標を申立人の承認を得ずに登録出願し,商標登録を得たことは明らかであり,引用商標を剽窃したものといわざるを得ない。 以上のとおり,本件商標の登録出願の経緯には,著しく社会的妥当性を欠くものがあり,その商標登録を認めることは,商標法の予定する秩序に反するから,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。 2 商標法第4条第1項第10号について 申立人は,申立人商品の販売開始以来今日に至るまで,引用商標を継続して使用しており(甲2,甲4~甲14,甲18~甲32),本件商標の登録出願時において,引用商標はしめさば業界において既に一定の知名度・認知度(周知度)を有している商標である。 甲第23号証は,NHKテレビ「きょうの料理」の2015年2月2日ないし3月2日の放送分のテキストであり,多くの購読者に引用商標の商品を知られる機会になったと思われる(甲8:放送終了後に申立人商品の販売枚数が伸びている。)。 2020年は,新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり需要の重なり,申立人商品の販売枚数が伸び,取引者・需要者に広く知られるようになった(甲8,甲9)。 申立人商品の売上高は,申立人の総売上高の1%にも満たないが,申立人は,しめさば業界において,「『御馳走しめさば』といえば『武輪(水産)』」,「『武輪(水産)』といえば『御馳走しめさば』」と取引者・需要者に認識されるように,しめさば商品のメイン商品として社内・社外にPRしている(甲33)。 今日においても,申立人商品は,取引者・需要者に注目されている(甲34~甲43)。 過去又は現在において,商品「しめさば」について商標「御馳走しめさば」を付した商品はなく,2013年10月以来今日まで継続して使用され,既に一定の信用が蓄積されている引用商標と同一又は類似の本件商標が商品「しめさば」について使用された場合,商品の出所について混同を生じることは明白であり,引用商標の既得の利益が保護されないおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号について 上記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標は,しめさば業界において既に一定の知名度・認知度(周知度)を有していることは明らかである。 また,2020年に入り,新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり需要も重なり,申立人商品は急激に広く知られるようになっており(甲8,甲9),取引者・需要者の知名度・認知度は向上している。 さらには,過去又は現在において,商品「しめさば」について,商標「御馳走しめさば」を付した商品は存在しない。 本件商標権者が本件商標を商品「しめさば」に使用したときは,その商品・商標に接する取引者・需要者が,申立人が使用する引用商標を想起又は連想し,本件商標を付する商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し,商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号について 引用商標は,造語からなるものであり,本件商標の登録出願時において,申立人商品は全国に販売されており,取引者を含む需要者の間に広く認識されている。本件商標権者は,本件商標を付した商品「しめさば」を販売した場合,申立人商品の名声・信用に便乗して利益を得ることができることから,他人である申立人が積み重ねてきた引用商標に化体した信用にただ乗りし,不当な利益を得る,不正の目的のもとに,引用商標と同一又は類似する本件商標を登録出願し,商標登録を受けようとしたものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 取消理由の通知 当審において,商標権者に対して,「本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。」旨の取消理由を令和3年11月17日付けで通知した。 第5 商標権者の意見 上記第4の取消理由の通知に対し,商標権者は,何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の主張及び同人の提出した本件商標の登録査定前の証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア 各種ウェブサイト (ア)「あおもり産品情報サイト 青森のうまいものたち」のウェブサイトにおいて,「フラッグシップ商品(2014年12月)」の見出しの下,「【御馳走しめさば】武輪水産株式会社(八戸市)」の記載とともに引用商標及び「武輪水産」の落款が付された「しめさば」の写真の掲載があり,当該商品がインターネットによる通信販売により販売されていることが記載されている(甲4)。 (イ)「日本ギフト大賞」のウェブサイトにおける,「日本ギフト大賞2016 都道府県賞」の紹介ページにおいて,「青森/御馳走しめさば/武輪水産株式会社」の記載がある(甲11)。 (ウ)「NEWSポストセブン」及び「gooニュース」のウェブサイトにおける,「海の宝石箱や乳製品・・・『おつまみ甲子園』北海道・東北代表」(2018年12月4日付け)の見出しの下,「【青森 『脂のりも肉質の旨さも抜群!』】/『御馳走しめさば お試しセット』武輪水産」の記載がある(甲28,甲29)。 (エ)「おとなの週末」のウェブサイトにおける,「『鯖サミット2019in八戸』11月2,3日開催! 全国から珠玉のサバグルメが集結!/至福の鯖百選[21]」の見出しの下,目次の中に「武輪水産:『御馳走しめさば』」の記載があり,また,2019年10月24日に築地「ボン・マルシェ」で開催された「『サバらしいナイト!in築地~鯖サミット2019in八戸開催記念~』(主催:全日本さば連合会,一般社団法人 東京築地目利き協会)」の紹介文中に「武輪水産:『御馳走しめさば』」の記載とともに引用商標及び「武輪水産」の落款が付された「しめさば」の写真の掲載がある(甲30)。 (オ)「TOYOSU BLOG」のウェブサイトにおいて,「1本1キロの巨大金華さばの水煮缶詰!一般入手困難な数量限定品&特大肉厚『御馳走しめさば』」(2020年1月11日)の見出しの下,「青森県八戸港で水揚げした1尾700g級の大型サバを使った特大肉厚『御馳走しめさば』」及び「青森県八戸 武輪水産の特大肉厚『御馳走しめさば』」の記載がある(甲31)。 (カ)「うまいもんドットコム」のウェブサイトにおいて,引用商標及び「武輪水産」の落款が付された「しめさば」の写真の掲載とともに,「“御馳走”の名にふさわしい特大肉厚『しめさば』/『御馳走しめさば』青森県産 1枚230g以上 ※冷凍」の見出しの下,「一般店頭にはほぼ並ばない御馳走しめさば!」の記載及び「販売期間:’20/3/23 00:00~’20/3/28 10:00」の記載がある(甲32)。 イ 新聞記事 (ア)「日刊水産経済新聞」(2018年9月28日付け)において,「〈企業ニュース〉“高熱”冷めず サバ商品ビジネス。」の見出しの下,申立人について,「同社の主力サバ製品である『しめさば』を中心にPRした。・・・〆サバの有力メーカーであり扱う〆サバ製品の種類も豊富だ。」,「日本ギフト大賞青森賞受賞の『御馳走しめさば八戸産』をはじめ,〆サバのタタキ,コンブ〆,かぶら漬,マリネなど多彩。」の記載がある(甲12)。 (イ)「東奥日報」(2016年4月29日付け)において,「武輪水産八戸など受賞 日本ギフト大賞 東京で表彰式」の見出しの下,「本県からは武輪水産(八戸市)の『八戸産御馳走しめさば』が都道府県賞の一つに選ばれた。」の記載がある(甲26)。 (ウ)「北海道新聞 朝刊全道(特集)」(2016年6月17日付け)において,「日本ギフト大賞*贈り物に託す感謝の心*創造性や地域色を評価」の見出しの下,「日本ギフト大賞都道府県賞」を受賞したものの一つとして,「青森 御馳走しめさば」の記載がある(甲27)。 ウ 雑誌 (ア)「NHKテレビテキスト『きょうの料理』」(2015年2月号)において,「みんなのきょうの料理ひろば 八戸港の『究極のとろサバ』」の見出しの下,「御馳走しめさば」及び「武輪水産 八戸産 御馳走しめさば」の記載がある(甲23)。 (イ)「クロワッサン」(2020年12月25日号)において,「まだまだあります!お取り寄せもできる,おいしい逸品。」の見出しの下,「青森」の欄に「御馳走しめさば」及び「(武輪水産)」の記載とともに,引用商標及び「武輪水産」の落款が付された「しめさば」の写真の掲載がある(甲34)。 エ 各種取引書類 申立人は,自社の見積書,売上伝票及び発注書(2019年8月9日~2020年12月13日)に品名として「御馳走しめさば」を記載しており,また,見積書においては,その画像欄に,引用商標及び「武輪水産」の落款が付された商品写真を掲載している(甲18~甲22)。 (2)上記(1)によれば,申立人は,遅くとも,本件商標の登録出願前である2014年12月から現在に至るまで,申立人商品を全国に向けて販売しており,取引の際には,引用商標又は「御馳走しめさば」を記載して取引を行っている(甲18~甲22)。 そして,申立人商品は,引用商標又は「御馳走しめさば」及び「武輪水産」の記載とともに,全国の読者を対象とする各種雑誌,新聞,ウェブサイトにおいて広く紹介されているものである(甲4,甲11,甲12,甲23,甲26~甲32,甲34)。 また,申立人商品は,「日本ギフト大賞2016」の都道府県賞(青森)を受賞したものであって,また,おつまみ甲子園においては「北海道・東北代表」に選出されたものであり,これらの事実は複数の新聞やウェブサイトにおいて広く紹介されている(甲11,甲12,甲26~甲29)。 以上からすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,少なくとも青森県のみならず,北海道,東北,又は全日本さば連合会や水産関連の取引者,需要者の間において,広く認識されていたものというべきである。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は,上記第1のとおり,「御馳走しめさば」の文字を標準文字で表してなるのに対し,引用商標は,別掲に示すとおり,「御馳走」の文字と「しめさば」の文字を毛筆体で二列に縦書きしてなるところ,これらの構成中「御馳走」の文字は「もてなし」,「豪華な食事。」等の,「しめさば」の文字は「サバを三枚におろして塩で締め,さらに酢で締めたもの。」(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有するものであるから,本件商標と引用商標はともにその構成文字に相応して,「豪華な,サバを三枚におろして塩で締め,さらに酢で締めたもの。」の観念を生じるものである。 そして,本件商標と引用商標とは,その構成文字を同一にすることから,外観においては互いに似通った印象を与えるものである。また,本件商標と引用商標とはともに「ゴチソウシメサバ」の称呼及び「豪華な,サバを三枚におろして塩で締め,さらに酢で締めたもの。」の観念を生じるのであるから,両商標は称呼及び観念において共通するものである。 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観において類似するものであって,称呼及び観念を共通にするものであるから,両商標が需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 また,本件商標の指定商品は,上記第1のとおり,第29類「しめさば」であるところ,引用商標の使用に係る商品も上記第2のとおり「しめさば」であるから,両商品は同一の商品である。 そして,引用商標は,上記1(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものである。 してみれば,本件商標は,その登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「しめさば」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であって,その商品と同一の商品について使用するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定に基づき,その登録を取り消すべきものである。 付言するに,当審は,本件商標は,申立人が主張する商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号には該当しないものと判断する。 よって,結論のとおり決定する。

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