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商標異議申立

2021-900176

コエノクスリ、コエノ、コエ

審判番号
2021-900176
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-102042
登録番号
商標登録第6355473号(T6355473)
請求日
2021年05月11日
審決日
2021年10月12日
公報発行日
2021年11月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】小林製薬株式会社
  • 【権利者代理人】杉村 憲司
  • 【権利者代理人】杉村 光嗣
  • 【権利者代理人】藤本 一
  • 【異議申立人】田村 良介
審判長/審判官
  • 審判長 平澤 芳行
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 須田 亮一
分類
T1651.13 -Y (W05) / T1651.16 -Y (W05) / T1651.272-Y (W05)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第6355473号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。

結論

【結 論】 登録第6355473号商標の商標登録を維持する。

理由

【理 由】 1 本件商標 本件登録第6355473商標(以下「本件商標」という。)は,「声の薬」の文字を標準文字で表してなり,令和2年8月18日に登録出願,第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として,同3年1月19日に登録査定,同年2月24日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきと申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本件商標は,「声の薬」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり,その構成中「声」の文字は,「人や動物が発声器官から出す音」等の意味を表し(甲2),「薬」の文字は,「病気や傷を治療・予防するために服用または塗布・注射するもの」等の意味を表す語(甲3)である。 したがって,本件商標は,「人や動物が発声器官から出す音を治療・予防するために服用または塗布・注射するもの」,すなわち,「声の治療のための薬」を表す語であると容易に認められる。 そして,本件商標の指定商品中,特に医薬品の分野においては,声がれ,しわがれ声,失声等の「声」の症状に効果のある商品が多数販売されている実情にある(甲4~甲14)。 さらに,医薬品の分野においては,「声」そのものが,治療や予防の対象として取り扱われている事実がある(甲15~甲17)。 加えて,医薬品業界では,薬の種類を示す際,「目の薬」,「口の薬」など,「治療や予防の対象」と「の薬」の語を組み合わせた「○の薬」という表現が一般に用いられ,「声の薬」も実際に使用されている(甲18~甲20)。 上記の事実に鑑みれば,本件商標をその指定商品中「薬剤」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に「声の治療のための薬」という商品の品質,用途を表示した語と認識するにとどまるものであって,かかる本件商標は,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。 そして,本件商標が商品の種類や用途を表示するものとして,現実に使用されている事実を考慮すれば,需要者,取引者がその取引に際して必要適切な表示として使用を欲する文字というべきであり,特定の者による独占使用を認めることは公益上適当としないものに当たるものである。 以上より,本件商標をその指定商品中「薬剤」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に商品の品質を表示した語と認識するにとどまるから,本件商標は,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,上記以外の商品に使用するときは,商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第3条第1項第6号について 上記(1)のとおり,本件商標をその指定商品中「薬剤」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「声の治療のための薬」であることを認識するにとどまるものであって,本件商標は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。 したがって,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。 よって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 当審の判断 (1)「声」の文字及び「声の薬」の文字の使用状況について ア 申立人提出の証拠によれば,以下のとおりである。 (ア)「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店)には,「声」の文字は「人や動物が発声器官から出す音。」,「物の振動から発する音。」,「意見。考え。」等の意味を,また,「薬」の文字は「病気や傷を治療・予防するために服用または塗布・注射するもの。」,「広く化学的作用をもつ物質。」等の意味をそれぞれ有する語として記載されている(甲2,甲3)。 (イ)クラシエホールディングス株式会社のウェブサイトにおいて,2015年7月21日付けの「声がれ・のどの痛みを改善する漢方薬 『甘草湯(かんぞうとう)』を飲みやすいスティック包装にして発売」というタイトルのニュースリリースが掲載されており,「クラシエ薬品は,『カンポウ専科』シリーズより,のどの炎症を抑え,声がれやのどの痛みを改善する『「クラシエ」漢方甘草湯エキス顆粒S』を,飲みやすいスティック包装にリニューアルして,8月25日に全国の薬局・薬店,ドラッグストアで発売いたします。」,「『「クラシエ」漢方甘草湯エキス顆粒S』は,抗炎症作用や鎮痛作用があり,のどの炎症を抑え,激しいせき,のどの痛み,しわがれ声を改善します。・・・急な声がれ,しわがれ声,声のかすれなどは,のどに炎症が起こることにより生じます。当社の調査によると,約8割の人が声がれやしわがれ声の症状を経験しているという結果となりました。原因は,かぜやせきによるもの以外にも,乾燥や環境要因,のどの酷使などさまざまです。・・・今回,多くの人が経験している声がれやしわがれ声を改善する漢方薬として,空気が乾燥し始める秋冬に向け発売いたします。スポーツ観戦やカラオケなどで声を出し過ぎた方にもお使いいただける商品です。」の記載があり,また,当該商品の「効能」として「激しいせき,咽喉痛,口内炎,しわがれ声」の記載がある(甲9)。 (ウ)株式会社浅田飴のウェブサイトにおける「浅田飴今昔物語 HISTORY」のページに「『せき・こえ・のどに浅田飴』の誕生」の見出しの下,「昭和37年(1962年),日本人の生活の洋風化に合わせ,『ニッキ味』に加え清涼感のある『クール味』を発売し,『固形浅田飴クール』『固形浅田飴ニッキ』の2種類に。日輪デザイン,『せき・こえ・のどに浅田飴』のキャッチコピーと共にテレビCMを展開。浅田飴の名前が全国に広がりました。」の記載がある(甲15)。 (エ)本件商標の登録査定後の出力(掲載日が不明)の証拠について a 第三者のウェブサイトの製品紹介のページにおいて,商品説明文や効能・効果として,例えば「声がれ,のどの不快感に」(甲4),「のどの不快感,しわがれ声に」(甲5),「しわがれ声,咽喉不快」(甲6~甲8),「のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ」(甲10),「のどの炎症によるのどあれ・のどのいたみ・のどのはれ・のどの不快感・声がれ」(甲11),「のどの炎症によるのどの痛み・のどのはれ・のどの不快感・声がれ・のどのあれ,口腔内の殺菌・消毒,口臭の除去」(甲12),「せき,たん,のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ」(甲16)等の記載がある。 b 二村耳鼻咽喉科ボイスクリニックのウェブサイトにおいて,「音声外来・声の診療とは」の項に「声の治療には3種類の方法があります。『薬物診療(飲み薬・点滴・ネブライザー・声帯への注射など)』『音声治療』『手術治療』です。」の記載(甲17)がある。 c e健康ショップのウェブサイト及びはな薬局オンラインストアのウェブサイトにおいて,「声の薬」の文字が医薬品の商品カテゴリーとして記載されている(甲19,甲20)。 イ 上記アの事実よりすれば,医薬品を取り扱う業界において,声がれ,しわがれ声といった具体的な声の症状に効果があることをうたった商品があることは認められるとしても,本件商標の登録査定時において,「声の薬」の文字が,「声の治療のための薬」という商品の品質,用途を表示するものとして広く使用されている事実は確認できない。 また,e健康ショップのウェブサイト(甲19)及びはな薬局オンラインストアのウェブサイト(甲20)には,「声の薬」の文字が医薬品の商品カテゴリーとして記載されているが,わずか2例のみであるし,しかもこれらは本件商標の登録査定後の出力のものであって掲載日が不明なものであるから,これらをもって,本件商標の登録査定時において,「声の薬」の文字が商品の品質等を表示するものとして普通に用いられているとはいい難い。 そして,当審において職権をもって調査するも,本件商標の登録査定時において,本件商標の指定商品中「薬剤」を取り扱う業界で,「声の薬」の文字が商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず,さらに,本件商標に接する取引者,需要者が,「声の薬」の文字を商品の品質等を表したものと認識するというべき事情や,「声の薬」の文字が商品の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実も見当たらない。 (2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は,上記1のとおり,「声の薬」の文字からなるところ,その構成文字は,いずれも同じ書体,同じ大きさで等間隔に表されているものであるから,視覚上,全体としてまとまりよく一体的に看取されるものである。 そして,本件商標の構成中,「声」の文字は「人や動物が発声器官から出す音。」,「物の振動から発する音。」,「意見。考え。」等の意味を,また,「薬」の文字は「病気や傷を治療・予防するために服用または塗布・注射するもの。」,「広く化学的作用をもつ物質。」等の意味をそれぞれ有する語である(甲2,甲3)としても,これらを格助詞「の」で結合した上記構成においては,これに接する取引者,需要者は,その構成全体で特定の意味合いを想起させることのない一体不可分の造語として認識し,把握するとみるのが相当である。 さらに,本件商標は,上記(1)イのとおり,本件商標の指定商品中「薬剤」を取り扱う業界において,商品の具体的な品質等を表示するものとして取引上一般に使用されている事実は発見できず,さらに,本件商標に接する取引者,需要者が,本件商標を商品の品質等を表したものと認識するというべき事情も見当たらない。 してみれば,本件商標は,本件商標の登録査定時において,これをその指定商品中「薬剤」に使用しても,商品の品質等を表示したものと認識されることはなく,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり,かつ,「薬剤」以外の指定商品に使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 (3)商標法3条第1項第6号該当性について 本件商標は,上記1のとおり,「声の薬」の文字からなるところ,上記(2)のとおり,商品の品質等を表示したものと認識されることはなく,また,上記(1)イのとおり,本件商標の指定商品について,「声の薬」の文字が商品の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実や,本件商標に接する取引者,需要者が当該文字を自他商品の識別標識とは認識しないというべき事情も見当たらない。 そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。

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