商標異議申立
2021-900167
メデュラ、ミーデュラ
- 審判番号
- 2021-900167
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-028542
- 登録番号
- 6350514
- 請求日
- 2021年04月28日
- 審決日
- 2021年12月22日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社Sparty
- 【権利者代理人】IPTech特許業務法人
- 【異議申立人】奥村 真由
- 【異議申立人代理人】瀧野 文雄
- 【異議申立人代理人】今井 貴子
- 【異議申立人代理人】江成 文恵
- 審判長/審判官
- 審判長 森山 啓
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T1652.13 -Y (W03354044) / T1652.272-Y (W03354044)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号商標法43条の3第4項商標法43条の21号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6350514号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6350514号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6350514号商標(以下「本件商標」という。)は,「MEDULLA」の文字を標準文字で表してなり,令和2年3月16日に登録出願,第3類,第35類,第40類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同3年2月2日に登録査定,同月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第3類「せっけん類,化粧品,シャンプー,ヘアーリンス,ヘアーコンディショナー,ヘアートリートメント」,第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,第40類「受託による化粧品の製造,受託によるシャンプーの製造,受託によるヘアーリンスの製造,受託によるヘアーコンディショナーの製造,受託によるヘアートリートメントの製造,受託によるせっけん類・化粧品・香料類の製造・調合並びにこれらに関する助言・情報の提供」及び第44類「美容又は理容に関する相談・助言・指導,エステティックサロンにおける美容,エステティックサロンに関する情報の提供,エステティック美容に関するカウンセリング,理容・美容に関するコンサルティング,美容,理容」(以下「申立商品及び役務」という。)について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
(1)「MEDULLA」及びその表音である「メデュラ」の文字の使用状況について
インターネット百科事典「コトバンク」の「メデュラ(medulla)」の項に記載のデジタル大辞泉の解説には,「メデュラ(medulla)」とは,「3層構造からなる毛髪の中心部を構成する物質。多数の空胞があり,空気を含む。毛髄質。→キューティクル→コルテックス」と記載(甲2)されているほか,業界団体や,権利者をはじめとする複数の化粧品メーカー・美容院のウェブサイト等において,「medulla(メデュラ)」とは,「3層に構成された毛髪の中心部。毛髄質」のことであることが解説されると共に,申立商品及び役務を取り扱う美容業界では,近年,髪の外側のキューティクルだけではなく,中心部の「medulla(メデュラ)」をケアし保護することの効果や重要性が注目され,「medulla(メデュラ)」をケアするための商品が製造・販売され,美容サロンにおいても「メデュラ」のケアが行われている事実がある(甲3~甲17)。
上記事実により,申立商品及び役務を取り扱う業界においては,本件商標が出願された2020年3月以前から,「medulla」「メデュラ」の語が,「3層に構成された髪の中心部」であることは広く一般的に知られており,また,近年,輝く髪をつくるためには,髪の表面のキューティクルだけではなく,髪の中心である「メデュラをケアする」ことの必要性が認識され,「メデュラをケアする効果を有する商品」が多数販売されるようになり,美容サロンにおいても,メデュラを意識した施術が行われている事実があることは明らかである。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条1項第16号について
上記使用例に示すとおり,「MEDULLA」の文字は,「髪の中心部」を表す語として広く認識され,メデュラをケアするための商品が広く販売されている実情があることから,普通の文字態様で表示された本件商標「MEDULLA」を,「毛髪のメデュラに効果のある商品や役務」に使用しても,本件商標に接する取引者,需要者は,単に商品の品質や効能,役務の質や効能を表示した語と認識するにとどまるから,本件商標は自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,上記以外の商品・役務に使用するときは,商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
なお,特許庁の審査例においても,自他商品又は自他役務の識別力がないと判断され,登録を拒絶されている商標がある(甲18~甲22)。出願に係る商標が自他商品又は自他役務の識別力を有するか否かの判断は,過去の審査例・登録例に捉われないことは承知しているが,上記審査例は,本件商標と極めて類似した事案であり,また,取引の実情において何ら相違するところがないことから,これらの審査例は,申立人の上記主張が正当であることを立証するものである。
(3)むすび
以上詳述のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから,商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
本件商標は,「MEDULLA」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,「髄,骨髄,脊髄」等を意味する英語である(「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館発行)と共に,申立人の提出に係る証拠によれば,「3層構造からなる毛髪の中心部の物質」である「メデュラ(毛髄質)」の英語表記(甲2~甲4,甲9)と認められる。
そして,申立人の提出に係る証拠によれば,メデュラ(毛髄質)が空洞化したり,その強度が低下したりすること(甲4~甲6,甲8,甲9ほか)や,メデュラ(毛髄質)を含めた毛髪のケアが重要であること等が記載されている(甲5~甲8,甲10,甲11ほか)ものの,申立人商品及び役務との関係においては,シャンプー・トリートメントについて,「6種類の高級保湿成分が・・・メデュラまで浸透」(甲12),「髪の内部(メデュラ)から強化」(甲13)といった記載や,メデュラ(毛髄質)のケアを目的・機能の一つとするものがあること(甲10,甲14,甲15)が一部のインターネット記事やブログ等で見受けられる程度である。
また,提出された証拠のほとんどは,「女性にとって深刻な髪の悩み。その原因は外側を覆う『キューティクル』の問題だけだと思っていませんか?」(甲5),「『キューティクル』という言葉はよく耳にしますよね。」(甲6),「この髪の毛の傷みは、髪表面のキューティクルの傷みだけではありません。」(甲7)等の記載と共に毛髪の3層構造について説明した上でメデュラ(毛髄質)に触れるものか,「メデュラ(毛髄質)」,「毛髄質(メデュラ)」等,「毛髄質」と併記されているものであることからすれば,「メデュラ」が一般に知られている語であるとはいい難いものである。
加えて,申立人提出の証拠において,申立商品及び役務についての「MEDULLA」の文字の使用は,商標権者による使用(甲17)以外に見あたらない。
かかる実情からすれば,「メデュラ」の語が,毛髪の中心部である「毛髄質」の意味を有するものであるとしても,当該語の英語表記「MEDULLA」の文字が申立商品及び役務の品質や効能又は質や効能を直接的に表示したものと認識させることは困難というべきである。
さらに,当審において職権をもって調査するも,申立商品及び役務を取り扱う業界において,「MEDULLA」の文字が,本件商標の登録査定時に,商品の品質,効能又は役務の質,効能を直接的に表示するものとして,取引上一般に使用されている事実は発見できず,また,本件商標に接する取引者,需要者が,当該文字を商品の品質等又は役務の質等を表示したものと認識するというべき特段の事情も発見できなかった。
そうすると,本件商標「MEDULLA」は,申立商品及び役務に使用をしても,商品の品質,効能又は役務の質,効能を表示する標章のみからなる商標ということはできず,自他商品又は自他役務の識別標識として機能し得るものであり,また,商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれもないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当せず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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