商標異議申立
2021-900142
ホテルザラ、ザラ
- 審判番号
- 2021-900142
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-113719
- 登録番号
- 6342606
- 請求日
- 2021年04月09日
- 審決日
- 2021年12月09日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ワタナベ商事
- 【権利者代理人】富樫 竜一
- 【異議申立人】インダストリア・デ・ディセーニョ・テキスティル・エス・エイ(インディテクス・エス・エイ)
- 【異議申立人代理人】特許業務法人BORDERS IP
- 【異議申立人代理人】小暮 君平
- 【異議申立人代理人】福井 孝雄
- 審判長/審判官
- 審判長 森山 啓
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1651.222-Y (W43) / T1651.271-Y (W43) / T1651.4 -Y (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法8条1項商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第8条第1項、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6342606号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6342606号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6342606号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年9月14日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与」を指定役務として、同3年1月5日に登録査定され、同年1月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標等
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。
(1)国際登録第1463984C号商標(以下「引用商標」という。)
商標 ZARA
指定役務 第43類に属する別記のとおりの役務
国際商標登録出願日 2019年(平成31年)3月29日
優先権主張 2019年(平成31年)3月25日 Switzerland
設定登録日 令和3年2月19日
なお、引用商標に係る商標権は現に有効に存続している。
(2)「ZARA」の欧文字を別掲2のとおりの態様で表してなる商標(以下「使用商標」という。)
申立人が、同人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているとするものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第8条第1項、同法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)商標法第8条第1項について
本件商標と引用商標の類否判断にあたっては、引用商標の周知・著名性を含む、具体的な取引の実情をも勘案して判断すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、東京高裁平成13年(行ケ)第277号。甲3、甲4)。
ア 申立人の商標「ZARA」の周知・著名性について
申立人が使用する商標「ZARA」は、世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして、下記に述べるとおり、世界各国及び我が国の需要者・取引者に広く知られている。
申立人のファッションブランド「ZARA」は、1975年にスペインにて1号店がオープンして以来(甲7)、現在では世界で約2,040の店舗が展開されており(甲5)、「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)の2021年1月期の世界全体の売上高は、コロナ禍が響き減収となったものの、195億6,400万ユーロ(約2兆3,476億8,000万円、1ユーロ=120円で換算)を維持している(甲6)。日本においても1997年に日本法人が設立され、翌年に1号店を渋谷に開店した後、現時点で国内に約100の店舗が存在する(甲7)。
このような「ZARA」の世界展開や商業的成功及びそれに伴うブランド認知度の向上により、米Interbrand社が毎年公表するブランド価値評価ランキング「Best Global Brands」において、直近の2020年度版で第35位に選出されており、世界で最も成功しているファッションブランドの一つとして認識されている(甲8)。
したがって、申立人の商標「ZARA」は、本件商標の出願時点には、ファッションの分野において我が国の需要者・取引者の間で広く認識されており、強い顧客吸引力を持つ周知又は著名な商標といえる。特許庁における、過去の異議決定及び審決においても、商標「ZARA」が少なくとも「被服」の分野において、我が国の需要者・取引者の間で広く認識されている旨認定されている(甲9、甲10)。
イ 「被服」と「宿泊施設の提供,飲食物の提供」等の関連性について
昨今、アパレルブランドを中心に、「アルマーニ」「ブルガリ」「ベルサーチ」といった海外の有名ファッションブランドが、そのブランドの世界観を表現したホテルをプロデュースしていることが話題になっており(甲11~甲13)、また「シャネル」「アルマーニ」「ブルガリ」「ティファニー」といった有名ブランドが、日本においてカフェやレストランを展開している事実がある(甲14、甲15)。
これは、有名ブランドとしては、消費者がホテルやレストラン等におけるサービスを通じてブランドの世界観を体験することによって、当該ブランドの被服等ファッション商品の購買につなげようとするものであるし、また一方で、そのようなブランド体験によって商品を購入する消費者が存在することを示すものである(甲16、甲17)。
したがって、ファッションの中心アイテムである商品「被服」と役務「宿泊施設の提供,飲食物の提供」等とは、特に有名ファッションブランドにあっては、需要者・取引者の層が共通し、互いに関連性が強いものというべきである。
そして、上述のとおり、申立人のファッションブランド「ZARA」も、世界で最も成功しているファッションブランドの一つとして知られるものであることから、商品「被服」に関する申立人の商標「ZARA」の周知・著名性は「飲食物の提供,宿泊施設の提供」等といった役務にも及んでいることは明らかである。
ウ 本件商標と引用商標の類否等について
(ア)本件商標は、黒色の長方形の内部に白抜きで、欧文字の「HOTEL」と「ZALA」を上下二段に書し、これにZをモチーフにしたと思われる図形を結合して構成される。
そして、Zをモチーフにしたと思われる図形部分と、「HOTEL」及び「ZALA」の文字部分は、視覚上、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難い。
また、「ZALA」の文字部分は、「HOTEL」の文字部分に比して4倍程度の大きさにより顕著に表示されていることから、看者に対して強く支配的な印象を与えるものである。
さらに、「HOTEL」の文字部分は、指定役務「宿泊施設の提供」やホテル等の宿泊施設で提供される「飲食物の提供,敷物の貸与,会議室の貸与」といった指定役務との関係では役務の内容を表示するに過ぎず、役務の出所識別標識としての機能を発揮し得ないものである。
したがって、本件商標に接する需要者・取引者は、「ZALA」の文字部分を商標の要部として認識するものと考えるのが自然である。
一方、引用商標は欧文字「ZARA」を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、本件商標の要部「ZALA」と、引用商標「ZARA」は、いずれも辞書等に掲載されていないものであり、一種の造語として認識されることから、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って、それぞれ同一の「ザラ」の称呼が生じるものである。また、本件商標の要部「ZALA」は、引用商標と中間に位置する「R」及び「L」の文字において相違するに過ぎないことから互いに外観上も相紛らわしく、本件商標と引用商標は、称呼及び外観において類似する。
特に、引用商標を構成する「ZARA」は独創性の高い商標であり、このような造語より構成される創造商標については一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも需要者に対する印象・連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである(甲10)。
さらに上述のとおり、申立人の「ZARA」は「被服」の分野で周知・著名であって、その周知・著名性は関連する「宿泊施設の提供,飲食物の提供」等の分野にも及ぶことから、本件商標が指定役務に使用された場合には、周知・著名なブランド「ZARA」を想起・連想させるため、互いに観念上の類似性も認められる。
(イ)そして、本件商標の指定役務のうち、少なくとも「宿泊施設の提供,飲食物の提供,敷物の貸与,会議室の貸与」と引用商標の指定役務は、互いに同一又は類似の関係にあり、また、引用商標は本件商標よりも先に出願されたものであるから、本件商標の出願人は、商標法第8条第1項に規定する「最先の商標登録出願人」ではなく、引用商標の出願人こそが「最先の商標登録出願人」と認められる。
エ 小括
上述のとおり、本件商標と引用商標は互いに類似する商標であり、また、本件商標と引用商標の指定役務も同一又は類似することから、同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときに最先の商標登録出願人でない者(商標権者)が商標登録を受けたものといわざるを得ず、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本号の該当性について、商標審査基準に基づき、以下述べる。
ア 上述のとおり、申立人が使用する商標「ZARA」は、世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして知られ、申立人のハウスマークと同等に位置づけられるべきものである。それ自体は辞書に採録のない造語であるが、特に被服の分野においては周知・著名性を獲得しており、本件商標と外観・称呼及び観念において類似する。
また、上述のとおり、海外の有名ファッションブランドが、そのブランドの世界観を表現したカフェやレストラン、ホテルをプロデュースしていることが知られるに至っており、「被服」と「飲食物の提供、宿泊施設の提供」等とは、取引者・需要者の層は共通する。さらに、このような実情より、申立人のファッションブランド「ZARA」に関しても、申立人自身が多角経営の一環として、「飲食物の提供、宿泊施設の提供」等に関する役務に進出する可能性も十分に認識され得るといえる。
イ ところで、特に、申立人の使用する商標「ZARA」は、エレガントなイメージを与える「セリフ体」のフォント(甲18)を用いたロゴデザインが使用され(甲19)、当該ロゴデザインとともに周知性を獲得してきた。この「ZARA」のロゴは、2019年にリニューアルされたものの、リニューアルから2年程度が経過したに過ぎず、また多くの店舗看板(日本における基幹店・銀座店を含む。)では従前のセリフ体を用いたロゴデザインが引き続き使用されており(甲20)、従来のロゴデザインに化体した信用は依然として残存している。特に引用商標のような周知・著名なファッションブランドのロゴフォントは、その変更が話題になる程であり(甲19)、それに使用されるフォントも、顕著な特徴の一つとして認識されるものである(甲21)。
一方で、本件商標も、同一の「セリフ体」のフォントが使用されており、特に申立人の「ZARA」の周知・著名性をも合わせて考慮すれば、これから本件商標に接した需要者・取引者が、申立人の「ZARA」を連想する可能性が高く、出所混同のおそれが増幅される。
ウ そうすると、本件商標が指定役務に使用された場合は、これに接した需要者・取引者は、申立人と経済的又は組織的関係を有する者が提供する役務であると誤信することで、役務の出所について混同を生じるおそれが高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が外国及び我が国の需要者・取引者の間で周知・著名な商標であること及び本件商標が引用商標と類似することは、上述のとおりである。
そして、本件商標の使用に係るホテルのホームページでは、「ZALA」ではなく「ZARA」の語を用いた「Copyright【C】HOTEL ZARA.All Right Reserved」(異議決定注:「【C】」は、○の中に「C」の記号である。)の表示がなされ(甲22)、インターネットの検索エンジンで「ZARA」「ホテル」をキーワードとして検索すると、同ホテルがトップに検索されるに至っている(甲23)。また上述のように、申立人の使用する商標と同一のフォントをあえて使用しており、本件商標の権利者において、申立人の「ZARA」と混同させようとする意図があることは明らかである。
特に、本件商標は実際に、「一般に低俗なイメージを与えるいわゆるラブホテル」(ラブホテル・シャネル事件(神戸地判、昭和62.3.25))の名称として使用されており(甲24)、申立人が培ってきたブランドイメージを毀損させるものである。
したがって、本件商標の使用は、引用商標に化体した出所表示機能の希釈化を招き、また、その信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる不正の目的が認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)申立人の商標「ZARA」の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、ファッションブランド「ZARA」を展開するスペインの企業であり、1975年にスペインで1号店をオープンして以降、「ZARA」ブランドの下で被服等の製造、販売を行っており、現在は世界で2,000以上の店舗を展開していること(甲5、職権調査)。
(イ)「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)ブランドの2021年1月期の世界全体の売上高は141億2,900万ユーロ(約1兆7,944億円)であること(甲6)。
(ウ)米国Interbrand社のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2020」において、「ZARA」は第35位であること(甲8)。
(エ)我が国においては、1997年に日本法人「株式会社ザラ・ジャパン」が設立され、「ZARA」ブランドの商品(被服等)は、1998年に販売が開始され、現在は全国約100の店舗やインターネットを通じて販売されていること(甲5、甲7、職権調査)。
(オ)「ZARA」(「ZARA HOME」を除く。)ブランドの商品には、別掲2のとおりの商標(使用商標)及びこれと同一視し得る縦書きの商標等が使用されていること(甲7、甲20、職権調査)。
イ 上記アのとおり、「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)ブランドの商品(被服等)の2021年1月期の世界全体の売上高は141億2,900万ユーロ(約1兆7,944億円)であり、「ZARA」ブランドはInterbrand社のブランド価値評価ランキングで第35位であり、また、我が国において「ZARA」ブランドの商品は、1998年(平成10年)以降、現在まで継続して販売され、現在約100の店舗やインターネットを通じて販売されていることをあわせ考慮すれば、同ブランドに使用されている商標「ZARA」(使用商標)は、申立人の業務に係る商品(被服等)を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に一定程度認識されているものということができる。
しかしながら、我が国又は外国における使用商標を使用した商品に限定した売上高など販売実績を示す主張はなく、その証左も見いだせないし、また、当該商品に係る広告の実績も確認できないから、使用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標は、それがその指定役務について使用されていることが確認できないから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ なお、申立人は使用商標が我が国において周知であることの証左として過去の審決例等を挙げているが、商標の周知性は、事案毎に事実・証拠に基づき個別具体的に判断すべきものであるから、それらをもって上記判断が左右されるものではない。
(2)商標法第8条第1項について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒色の横長長方形内に白抜きで、左側に円形の図形、右側上部に「HOTEL」の欧文字を小さく、右側下部に「ZALA」の欧文字を大きく表してなり、その構成文字に相応し「ホテルザラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
そして、本件商標は、その構成中大きく表された「ZALA」の文字部分が看者に対して強く支配的な印象を与え、該文字に相応し「ザラ」の称呼も生じるものというのが相当である。なお、該文字部分は特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2(1)のとおり、「ZARA」の欧文字を表してなり、該文字に相応し「ザラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず、本件商標の構成中「ZALA」の文字部分と引用商標「ZARA」とを比較すれば、両者は外観において、3文字目に「L」と「R」という明らかに異なる文字の差異を有し、この差異が共に4文字という少ない文字構成からなる両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、明瞭に区別し得るものである。
また、両者は、称呼において「ザラ」の称呼を共通にするものであり、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することはできないものである。
そうとすると、本件商標の構成中「ZALA」の文字部分と引用商標とは、称呼を共通にするものの、観念において比較することができない上、外観において明らかに相違し、その相違の程度は顕著であることから、称呼の共通性が外観における差異を凌駕するものとはいい難く、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものと判断するのが相当である。
そして、上述のとおり、本件商標の構成中「ZALA」の文字部分と引用商標は非類似のものであって別異のものであることから、本件商標(構成全体)と引用商標とは、より非類似の商標であって、別異の商標ということができる。
他に、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似する役務を含むとしても、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、本件商標と使用商標とは、上記(2)と同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標ということができる。なお、使用商標の書体は顕著な特徴として認識されるものとは認められない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、引用商標との関係において本件商標が本号に該当する旨主張するところがあるが、主張の全趣旨から使用商標との関係を含めて、以下検討することとする(以下、使用商標及び引用商標をあわせて「使用商標等」という。)。
上記(1)のとおり使用商標等は、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)及び(3)のとおり本件商標は、使用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、使用商標を連想又は想起させることのないものである。また、上記(3)と同様に本件商標は引用商標を連想又は想起させることのないものといえる。
そうすると、本件商標は、使用商標等の名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、申立人提出の証拠によっては、本件商標が使用商標等の出所表示機能を希釈化させる又はその信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど不正の目的をもって使用するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものといえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-900142