商標異議申立
2021-900134
マバ
- 審判番号
- 2021-900134
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2019-159913
- 登録番号
- 6343439
- 請求日
- 2021年04月07日
- 審決日
- 2022年03月22日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】易清春
- 【異議申立人】マバラ ソシエテ アノニム
- 【異議申立人代理人】秋元 輝雄
- 【異議申立人代理人】吉澤 大輔
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03) / T1651.25 -Y (W03) / T1651.271-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6343439号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6343439号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6343439号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAVA」の文字を標準文字で表してなり、令和元年12月18日に登録出願、第3類「せっけん,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),精油,口紅,化粧品,つけまつ毛,美顔用パック,香水,ネイルアート用ステッカー,ネイルエナメル,リップグロス,おしろい,アイブローペンシル,マスカラ,粉状ネイルエナメル,化粧用脱脂綿,脱毛剤,歯磨き,愛玩動物用化粧品,芳香剤」を指定商品として、同2年12月22日に登録査定され、同3年1月21日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は次のとおりである(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)。
(1)登録第645036号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「MAVALA」の文字を横書きしてなる
指定商品 第3類「化粧品」(平成16年12月1日書換登録)
登録出願日 昭和37年6月8日
設定登録日 昭和39年6月18日
なお、引用商標1に係る商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)「MAVA+」、「MAVA-STRONG」、「MAVA-FLEX Serum」、「MAVAPEN」、「MAVADRY」、「MAVADRY Spray」、「MAVADERMA」の文字からなり、申立人が化粧品について使用しているとする商標(以下、これらをまとめて「引用商標2」という。)
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)引用商標について
引用商標1は、そのつづりから、「マバラ、マヴァラ」の称呼が自然に生じ、辞書等に掲載のない語であるため造語として認識され、特定の観念を想起させないものである。
引用商標1に係るブランド「MAVALA」は、1959年にスイスで創業され、主に化粧品等の製造販売を行うものとして、60年以上の歴史を有する世界的に認知されているブランドである(甲3)。日本においても古くから商品展開をはじめ(甲4)、1998年には当該ブランド商品を用いたネイルケアのセミナーを開き(甲5)、雑誌に取り上げられる(甲6)など、ブランドの認知・普及に継続して努めてきた。日本における2020年の引用商標1に係る商品の販売場所数は、280を超え(甲7)、公式オンラインショップだけでなく、大手のショッピングサイトでも引用商標に係る商品の取扱いが確認できる(甲9~甲12)。また、日本での販売実績の一例(甲13、甲14)、当該ブランドに係るSNS(インスタグラム)のプリントアウト(甲15)を示す。
以上のとおり、引用商標1は、今日、日本において、ネイル関連の化粧品及び関連グッズを中心に化粧品等に係るブランドとして広く知られるに至っている。
なお、引用商標1に係る商品のうち、一部の商品については、「MAVA」を要部とする商標(引用商標2)が使用されている(甲16)。引用商標2に係る商品も、日本でも多数の販売実績があり(甲13、甲14)、引用商標1と同様に引用商標2も日本において広く認知されるに至っている。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、引用商標1の最初の4文字を共通にするものであり、引用商標1の称呼「マバラ」においても、「ラ」の音は語尾に位置し、明確にアクセントが置かれないことから、共通する「マバ」において互いに近似した相紛らわしいものである。また、引用商標1の指定商品は、本件商標の指定商品中「口紅,化粧品,美顔用パック,香水,ネイルエナメル,リップグロス,おしろい,アイブローペンシル,マスカラ,粉状ネイルエナメル,脱毛剤,愛玩動物用化粧品」と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標と引用商標1は類似する商標であって、同一又は類似の商品を指定するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標1に係る商品のうち、一部の商品については、「MAVA」を要部とする商標(引用商標2)が使用されている。そして、使用されている商品は「化粧品」の範ちゅうに入るものであり、これは広く認知されている(甲12~甲14)。そして引用商標2は、本件商標と明らかに類似である。
したがって、本件商標は、「MAVA」を要部とする引用商標2と類似する商標であって、その商品・役務又はこれらに類似する商品・役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標に係るブランドは、60年以上の歴史を持つ世界的に知られる存在である。そして、本件商標の指定商品中、「洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),精油,ネイルアート用ステッカー,化粧用脱脂綿,歯磨き,芳香剤」などの商品は、「化粧品」の身体の清潔・美化等といった目的と共通するものであるため、関連が深い商品であることは明らかであり、これらの商品を一業者が取り扱うことに何ら違和感はなく、むしろ自然といっても過言ではない。
したがって、本件商標は、引用商標権者等の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれが極めて強い商標であるため、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「MAVA」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔にまとまりよく横書きしてなり、当該構成文字に相応して「マバ」の称呼を生じるものである。そして、当該文字は、辞書等に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、特定の観念は生じない。
イ 引用商標1
引用商標1は、前記2のとおり、「MAVALA」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔にまとまりよく横書きしてなり、当該構成文字に相応して「マバラ」の称呼を生じるものである。そして、当該文字は、辞書等に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1とを比較すると、両者は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観において、4文字と6文字という構成文字数の差異及び語尾の「LA」の文字の有無という差異を有し、これらの差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
また、本件商標は「マバ」の称呼を生じ、引用商標1は「マバラ」の称呼を生じるが、語尾における「ラ」の音の有無が、2音と3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きいから、称呼上の相違を十分認識することができる。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
以上によると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれはないから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標1が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 1959年にスイスで設立された申立人は、1998年3月31日に、東京都新宿区において、申立人に係るネイルケア製品(以下「申立人商品」という。)を使用して、女性誌の編集者25名にネイルケアセミナーを開催した(甲3、甲5)。
イ 申立人商品は、2014年及び2015年に発売された女性誌等において、計4回紹介された。なお、提出された雑誌掲載ページは、画像が小さく、申立人商品の包装容器に表示されている文字は判別できない。また、ブランドクレジット(商品のブランド名や値段等の記載欄)には、引用商標の記載は見受けられず、「マヴァラ」と表記されている(甲6)。
ウ 申立人商品は、2020年には、小田急百貨店、Loft、イオン等の約280の小売店において取扱いがあったとされる(甲7)。なお、包装容器に引用商標1が表示された申立人商品は、申立人に係る公式オンラインショップのほか、オンライン通販サイトであるAmazon、楽天、ZOZOTOWNにおいて販売されていることがうかがえるが、これらの商品のウェブ掲載日は不明であり、甲号証の出力日は、本件商標の登録出願時及び登録査定時よりも後の2021年7月7日である(甲9~甲12)。
エ 引用商標2に係る商品を含む申立人商品の販売額は、2018年ないし2020年の期間において、約3千6百万円ないし約5千4百万円であった(甲13、甲14)。
オ 申立人は、Instagramに「mavalajapan」のアカウント名で日本向けのアカウントを開設しており、2018年11月8日に、包装容器に引用商標1が表示された申立人商品の写真を投稿した。なお、当該アカウントのフォロワー数は、2021年7月7日時点において109人である(甲15)。
カ 申立人商品の一部の商品について、引用商標2が使用されているとする写真によれば、申立人商品の包装容器や包装箱に、引用商標1とともに、「MAVA+」、「MAVA-STRONG」、「MAVA-FLEX SERUM」、「MAVAPEN」、「MAVADRY」、「MAVADRY SPRAY」、「MAVADERMA」の文字がそれぞれ表示されていることがうかがえるものの、これらの商品の撮影日は明らかでない(甲16)。
キ 申立人が、1970年に行った新聞広告(白黒)とするものには、引用商標1の表示、「DIAMOND HARD NAILS」等の英語表記のほか、「美華麗硬甲水」、「瑞士」等の漢字表記は見受けられるものの、日本語による情報は記載されておらず、また、掲載紙、掲載日等の詳細は明らかでない(甲4)。
ク 以上からすると、申立人は、申立人商品を、1998年に開催したセミナーで使用し、2018年にInstagramで広告宣伝したこと、申立人商品は2018年ないし2020年の期間において一定の販売実績があること、また、申立人商品は2014年及び2015年に雑誌で紹介されたことが認められる。
しかしながら、申立人商品に係る市場シェアは不明であること、我が国において、申立人商品の継続的な広告宣伝が行われていたとはいえないこと、雑誌で紹介された回数もわずか4回にすぎず、いずれの掲載方法においても、引用商標の記載は見受けられないことに加え、申立人商品は、複数の他社の商品とともに掲載されており、申立人商品のみが需要者に強く印象付けられるとはいえないこと等を総合すると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
上記(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
そして、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
さらに、本件商標と引用商標2とを比較するにあたり、「MAVA+」、「MAVA-STRONG」、「MAVA-FLEX Serum」、「MAVAPEN」、「MAVADRY」、「MAVADRY Spray」、「MAVADERMA」について検討すると、これらは、同書、同大で外観上まとまりよく一連一体に表されており、いずれかの文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所表示として強く支配的な印象を与えるものとはいい難く、その構成全体からそれぞれ生じる「マバプラス」、「マバストロング」、「マバフレックスセラム」、「マバペン」、「マバドライ」、「マバドライスプレー」、「マバデルマ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。申立人は、引用商標2は「MAVA」を要部とする商標であると主張するが、上述のとおり、引用商標2は、外観上まとまりよく表され、一連に称呼し得るものであり、引用商標2の構成中の「MAVA」の文字が要部として需要者に対して強く支配的な印象を与えるとする根拠は、申立人の提出に係る証拠上見出すことができない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、ともに観念を生じないため、観念において比較できないものの、構成態様及び構成文字数が明らかに相違するため、外観上、明確に区別でき、全体の構成音及び音数が明らかに異なるため、称呼上、聴別し得る非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上記(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
そして、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、化粧品の分野における需要者、取引者において共通性があるものの、本件商標は、これを本件商標権者がその指定商品に使用しても、需要者、取引者が引用商標を想起して、その商品が申立人又は同人と親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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