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商標異議申立

2021-900115

ヒトノカネデヤキニクタベタイ

審判番号
2021-900115
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-016261
登録番号
6338400
請求日
2021年03月25日
審決日
2021年12月07日
公報発行日
2022年01月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社GOKIGENJAPAN
  • 【異議申立人】グラフィック・オン・デマンド 株式会社
  • 【異議申立人代理人】有田 和生
審判長/審判官
  • 審判長 平澤 芳行
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 須田 亮一
分類
T1651.22 -Y (W0918242541)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6338400号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6338400号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6338400号商標(以下「本件商標」という。)は,「人の金で焼肉食べたい」の文字を標準文字で表してなり,令和2年2月3日に登録出願,第9類「レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録音済みビデオディスク及びビデオテープ」,第18類「かばん類,袋物」,第24類「布製身の回り品」,第25類「被服,履物,仮装用衣装」及び第41類「オンラインによる画像・映画・動画・映像・音楽・文字情報の提供」を指定商品及び指定役務として,同年11月10日に登録査定,同3年1月8日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきと申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標について 「人の金で焼き肉が食べたい」及び「人の金で焼肉食べたい」は,いずれもインターネット上のSNSサービス「ツイッター」等で流行していた流行語である。ツイッターにおいては,「#」を付したハッシュタグ(検索用キーワード)として用いられており,「人の金で焼き肉が食べたい」については平成24年4月4日より,「人の金で焼肉食べたい」については同年2月24日より,間断なく利用されている(甲2,甲3)。 2 申立人の商品について 申立人は,Tシャツを主力商品としたドロップシッピング型のショッピングモール(以下「申立人モール」という。)をインターネット上にて運営している。 申立人モールにおいては,平成28年8月3日に「人の金で焼き肉が食べたい」とのデザインが,同30年5月22日に「人の金で焼肉食べたい」とのデザインがそれぞれ登録されている(甲4~甲6)。また,申立人モールと同様の他のドロップシッピングサイトにおいても,「人の金で焼き肉が食べたい」及び「人の金で焼肉食べたい」のデザインのTシャツ等が販売されている(甲7)。 申立人モールの「人の金で焼き肉が食べたい」のデザインのTシャツ(以下「申立人商品」という。)は,平成29年2月22日に,当時MLBのマーリンズに所属していたイチロー選手が着用(以下,イチロー氏が着用した「人の金で焼き肉が食べたい」と記載されたTシャツを「イチロー氏Tシャツ」ということがある。)し,大きく報道されたため,一般にも広く知られる著名な商品となった(甲8,甲9)。 3 被申立人について 被申立人は,「劇場版ゴキゲン帝国Ω」という名称のアイドルグループを運営する会社である。当該アイドルグループは,平成29年2月28日に本件商標と同一である「人の金で焼肉食べたい」という題名の楽曲を発表しており,また,同月16日には舞台衣装として,「人の金で焼肉食べたい」と記載されたデザインのTシャツを着用していたようである。同年3月14日にイチロー選手のものまね芸人であるニッチロー氏が当該アイドルグループの舞台に参加し,「人の金で焼肉食べたい」と記載されたTシャツを着用した写真が公開されている(甲10)。このような演出は,直前にイチロー選手が申立人商品を着用したことを強く意識したものであることは明らかである。 4 本件商標の登録が公序良俗に反すること (1)インターネット上の流行語については,インターネットにおいてSNSや掲示板を利用し発信行為を行っている者達は,インターネット上の文化を商標登録し,独占的に利用することに強い抵抗を示す。 過去には,「ギコ猫」,「のまネコ」についての商標登録出願が抗議メールやインターネット上での強い批判があったことを背景に取り下げられている。 本件商標についても,インターネット上では,同様に被申立人に対して多くの批判がなされている(甲13~甲15)。これは,被申立人が本件商標と同一文字の利用を開始した平成29年の段階においては,同24年から約5年間もの長期間にわたり,インターネット上で流行している文言を楽曲の題名とし,イチロー選手の着用により広く知られるようになった申立人商品と類似していることを利用するなど,インターネット上の流行語の一利用者であったにもかかわらず,これを独占しようとする被申立人の言動を非難するものである。このような事実をもってすれば,本件商標の登録は,一般人の感覚をもってして許されざるもの,すなわち,公序良俗に反するものである。 (2)被申立人が,本件商標の登録を報告するツイートにおいてもニッチロー氏の着用画像を掲載していることからすれば,被申立人が本件商標を利用したTシャツについては,イチロー氏Tシャツと類似していることを積極的に利用しようとしていることが見て取れる(甲13の3)。 イチロー氏Tシャツは,申立人の商品であり,「イチロー選手が着用したTシャツ」との良いイメージは,申立人の商品に関するものである。被申立人は,ニッチロー氏が被申立人の商品を着用している画像を使用することにより,「イチロー選手が着用したTシャツ」が自らの商品であるとの混同を生ぜしめようとしている。このように,被申立人の商標登録は,少なくとも第25類に関しては,申立人が築いた商品のイメージを剽窃的に利用しようとするものであり,公序良俗に反する。 第3 当審の判断 1 「人の金で焼き肉が食べたい」及び「人の金で焼肉食べたい」の周知性について (1)申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下のとおりである。 ア 本件商標権者は,アイドルグループを運営する会社であり,当該アイドルグループは,平成29年2月28日に「人の金で焼肉食べたい」という題名の楽曲を発表し,同月16日には舞台衣装として,「人の金で焼肉食べたい」と記載されたデザインのTシャツを着用していたとされる(申立人の主張)。 イ ツイッターにおいて,平成24年4月4日付けで「#人の金で焼き肉が食べたい」というハッシュタグを付けた投稿がされて以降,当該ハッシュタグを付けた投稿は,令和3年2月11日までの間不特定多数の者によってされている(甲2)。 ウ ツイッターにおいて,平成24年2月24日付けで「#人の金で焼肉食べたい」というハッシュタグを付けた投稿がされて以降,当該ハッシュタグを付けた投稿は,平成29年2月28日までの間不特定多数の者によってされている(甲3)。 エ 元プロ野球選手のイチロー氏が,平成29年2月22日に,「人の金で焼き肉が食べたい」の文字が黒色で記載された黄色のTシャツを着用したことが,その姿を撮影した写真とともに,産経フォト及び日刊スポーツのウェブサイト(同年2月23日付け)において紹介されている(甲8,甲9)。また,同様の写真が,ツイッター(同日付け,同月24日付け,令和2年3月26日付け等)において掲載されている(甲2,甲3)。 オ イチロー氏のものまねをする芸人であるニッチロー氏が「人の金で焼肉食べたい」の文字が白色で記載された黒色のTシャツを着用した写真は,ツイッター(平成29年3月14日付け)において掲載されている(甲10)。 カ イチロー氏Tシャツと同様のデザインのTシャツ等が申立人モールやウェブサイトで,一般に販売されていたことはうかがえるとしても,証拠説明書によれば,作成年月日とする甲第6号証,甲第7号証,甲第13号証ないし甲第15号証の出力日は,いずれも本件商標の登録査定後の日付である。 (2)上記(1)の事実よりすれば,「#人の金で焼き肉が食べたい」及び「#人の金で焼肉食べたい」のハッシュタグは,不特定多数の者によって相当の期間にわたって使用されてきたものであるから,本件商標の登録査定時において,ツイッターを多用する者を中心に,ツイッターのハッシュタグの一つとしてある程度知られていたことは認められる。 また,イチロー氏が「人の金で焼き肉が食べたい」の文字が記載されたTシャツを着用したこと,及びニッチロー氏が「人の金で焼肉食べたい」の文字が記載されたTシャツを着用したことがツイッターやウェブサイトにおいて紹介されたことは認められる。 しかしながら,ツイッターにおいて使用された上記ハッシュタグは,特定の者の商品又は役務を表示するものとして使用されたものとは認められないし,イチロー氏Tシャツと同様のデザインのTシャツ等が申立人モールやウェブサイトにおいて販売されていたとしても,これらTシャツ等の売上高,販売数,市場シェアなど販売実績,使用地域,並びに広告宣伝の方法,期間,地域及び規模を示す具体的な証拠は見いだすことはできず,我が国における客観的な使用事実に基づいて,その使用状況を把握することもできない。 そうすると,本件商標の登録査定時において,「人の金で焼き肉が食べたい」又は「人の金で焼肉食べたい」の文字が,特定の者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は,「人の金で焼肉食べたい」の文字を標準文字で表してなるところ,これは,上記1(2)のとおり,本件商標の登録査定時において,特定の者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであるから,本件商標は,これをその指定商品に使用することが,「人の金で焼き肉が食べたい」の周知性による信用及び顧客吸引力に便乗するものということはできない。 また,上記1(1)の事実によれば,イチロー氏が平成29年2月22日に「人の金で焼き肉が食べたい」の文字が記載されたTシャツを着用したことがウェブサイト及びツイッターで紹介されており,ニッチロー氏が「人の金で焼肉食べたい」の文字が記載されたTシャツを着用したことがツイッターで紹介されているものの,ニッチロー氏による着用日については,それを特定する客観的な証拠は見当たらない。そして,申立人が主張するように,イチロー氏によるイチローTシャツの着用日又はその着用の事実がウェブサイト及びツイッターで紹介された日より後に,本件商標権者が運営するアイドルグループが「人の金で焼肉食べたい」という題名の楽曲を発表し,舞台衣装として,「人の金で焼肉食べたい」と記載されたデザインのTシャツを着用していた事実や,ニッチロー氏が「人の金で焼肉食べたい」と記載されたTシャツを着用した事実があるとしても,これらをもって,本件商標権者が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的をもって剽窃的に本件商標を出願し,登録を受けたというような本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠く事実は認められないものである。 さらに,本件商標の構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様でもなく,本件商標をその指定商品について使用することが,公正な取引秩序を乱し,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するということもできないし,特定の国,若しくはその国民を侮辱し,又は国際信義に反するということもできず,他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。 その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる具体的事実や特段の事情は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。

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