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商標異議申立

2021-900048

ダイコーキ、ビゴーラブ

審判番号
2021-900048
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-132237
登録番号
6318718
請求日
2021年02月02日
審決日
2022年02月01日
公報発行日
2023年02月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】蘇州鴻多文化創意有限公司
  • 【異議申立人】ビゴ テクノロジー ピーティーイー. リミテッド
  • 【異議申立人代理人】伊東 忠重
  • 【異議申立人代理人】伊東 忠彦
  • 【異議申立人代理人】宮崎 修
審判長/審判官
  • 審判長 森山 啓
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.271-Y (W43)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6318718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6318718号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6318718号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年10月11日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同2年10月30日に登録査定され、同年11月19日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1467072号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、2019年1月10日にSingaporeにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成31年)2月27日に国際商標登録出願、第9類、第38類、第41類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年7月31日に設定登録されたものであり(以下「引用商標」という。)、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べた。 1 本件商標について 本件商標は、「BIGOLOVE」の欧文字で横書きしてなり、1字目の「B」を小さめに表し、最後の「E」の文字に至るまで、右側になるほど徐々に大きくして遠近感を持たせるようにして構成されるもので、当該「BIGOLOVE」の「BI」の部分の上に小さく横一連に「口」の字を図案化した「大口喜」の文字を表示して構成される。 2 引用商標について 引用商標は、恐竜を題材にしたような図と、当該図の下に「BIGO LIVE」の欧文字を横書きしてなるものである。 3 本件商標と引用商標の近似性について 本件商標と引用商標を対比すると、外観においては、商標の要部となる構成文字が、いずれも8文字という比較的長い文字構成からなり、いずれも看者にとって印象の弱い語尾から3文字目に位置する「O」と「I」の1字の差異を有するに過ぎず、これらの差異が両商標の外観全体に及ぼす影響は小さいとみるのが相当である。 そうすると、両商標は、その要部である構成文字中の差異は1文字のみであり、ともに欧文字の大文字8文字という構成から成り、語頭からの5文字「BIGOL」と語尾からの2文字「VE」は文字綴りを同じくするものであるから、両商標の要部は8文字中7文字の綴り・配置を同じくする外観上近似した印象を与える商標といえる。 次に、本件商標から生じる「ビゴラブ」の称呼と引用商標から生じる「ビゴライブ」を比較すると、両者の差異は語頭音ではなく、また音調に差異がなく、かつ、母音である「イ」の音の有無のみで、前者は4音、後者は5音という小数音でない構成において、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音の「ビ」、第2音の「ゴ」、第3音の「ラ」までの3連の音と語尾音の「ブ」という全体の称呼の大半を占める4音を共通にする。 したがって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感・音調が極めて近似し、かれこれ紛らわしいものというべきである。 本件商標と引用商標は、いずれも既成の親しまれた観念を有する成語を表したものとはいえないが、後述するように、申立人の引用商標「BIGO LIVE」は広く知られた商標であるから、引用商標と近似する本件商標「BIGOLOVE」は、引用商標を想起させるものということができる。 以上から、本件商標と引用商標とは、役務の出所混同を生じるおそれのあるほど近似する関係にあると結論付けられる。 4 引用商標の周知・著名性について 引用商標は、申立人が日本及び世界において、リアルタイムで動画を配信でき、世界中のリアルタイムの配信動画を視聴できるライブ配信プラットフォームの運営等の役務について使用をして広く知られた商標である。 申立人は、2014年にシンガポールで設立され、申立人の引用商標に係るライブ配信プラットフォームサービスは、2016年3月から開始され、2018年2月には登録ユーザー数が100カ国以上の2億人に達し、同年7月には日本で配信サービスを開始、2019年5月には、米国アップル社が運営するスマートフォン「iPhone」等向けアプリケーションのダウンロードサービスであるApp Storeのソーシャルネットワーキングカテゴリにて、LINEやFacebookを抑えダウンロード数ランキングで第1位を獲得するに至った。2020年4月には、世界150カ国・地域で4億人の利用者数に達し、現在に至るまでも急速に利用者数を増しており、ライブ配信業界を席巻している。 2020年初め頃から現在に至るまで、新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、「感染拡大前と比較した感染収束後のコンテンツ関連の支出意向の傾向」の調査によれば、スポーツ試合観戦、音楽ライブ、コンサート鑑賞、映画鑑賞等のリアルの場におけるものは、ほぼすべて減少傾向を示しているのに対し、動画配信サービスは15歳から70歳のすべての年代で増加傾向を示している。 したがって、我が国におけるライブ配信サービスの利用者数の拡大は、今後も継続していくとみられる。 インターネットビジネスでは、人件費やシステム開発費等の固定費が発生するものの、仕入れ等の変動費はほとんどかからず、利用者数に比例して増加しないため、利用者数が増えて売上が伸びるほど、固定費の割合が減り、利益率が押し上げられる。 申立人は、2020年第4四半期で34億元(日本円で約574億円)の収益を上げたと報道されている。申立人のライブ配信サービスの爆発的な拡大は、既に世界中にインターネットが定着し、SNSが普及した環境を土台としてメトカーフの法則が働いた結果といえる。 また、申立人の引用商標に係るライブ配信サービスの利用者の中には、日本の有名な芸能人も含まれており、大きな話題を提供した。 申立人のライブ配信サービスに係る引用商標は、上述したような過程を経て著名性を獲得するに至った。 従来、著名性を獲得した商標として認められるには、長期間にわたり自己の商品について反復継続して使用をされたことを経て、業務上の信用が蓄積された状態に至っていることを要した。 そして、その証拠として、商標の使用を開始した時期、地理的範囲、市場シェア、広告宣伝費、紙媒体のマスメディアでの報道等が重視されてきた。 しかし、インターネットが定着して、SNS等様々な付随サービス業が出現した後に発生した申立人のライブ配信サービスのように、世界中で同時に双方向の受発信が可能となって、ネット社会の中で短期間で爆発的に拡大する業種における商標の著名性を判断するに際しては、必ずしも適切な手法とはいい難い。 そうすると、どれだけの利用者数がいて、どれだけ売り上げているかという指標が最も重視されるべきである。 ただ、インターネット付随サービス業は、需要者が情報機器に触れていない時間でのリアルの世界の場面での広告宣伝を通じた露出・コミュニケーションも行われることがあり、例えば、申立人は2019年3月には、東京・大阪及び福岡の大都市圏でアドトラック(トラックのコンテナ部分等に広告物が張り付けてあるトラック)により繁華街を巡ったり、同年12月には渋谷駅の構内で電子看板を掲示したりする等、リアルの世界においても広告活動を行っている。 以上見たように、申立人の引用商標に係るライブ配信プラットフォームは、今日において世界中の多くの人々によって利用されているが、引用商標は本件商標の出願時において既に広く知られるところとなっており、本件商標の登録査定時においても継続してその著名性を維持していた。 5 引用商標の独創性 本件商標と対比される引用商標の要部である「BIGO LIVE」は、「BIGO」と「LIVE」の語を同書・同大で結合させてなるものであるが、「BIGO」は申立人の名称の略称であり、既成の単語ではなく「Before I get old」の頭文字をつなげたもので、日本ではなじみのない言葉である。一方、「LIVE」は「生きている」「住む」といった意味の日本人にとってなじみのある英単語であるが、引用商標に係る役務との関係では「ライブ」「生放送」を意味するものである。 この両語を組み合わせた「BIGO LIVE」は、申立人の造語であり、ライブ配信の分野のみならず、他の事業分野にもない申立人独自の商標である。 他方、本件商標の主要部は、「BIGO」と、「愛」「愛する」といった意味の日本においてなじみのある英単語「LOVE」とを横一連で結合させてなるものであるが、上述のように、引用商標とは8文字中の7文字と順を同じくするものであり、引用商標は本件商標の出願時においては既に広く知られていたから、独創性のある商標とはいい難いものである。 6 役務の関連性及び需要者の共通性について 本件商標について指定されている役務は、第43類の「喫茶店における飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,簡易食堂における飲食物の提供,和食の提供,コーヒーバー及びジュースバーにおける飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,移動形式のケータリング,コーヒーバー及びティーバーにおける飲食物の提供」である。 この点、近年いわゆるインターネット企業がカフェテリアを開店する事例が続出している。例えば、「Facebook」、「Google」、「Yahoo」、「楽天」といったインターネット企業は軒並みカフェ出店の実績がある。 インターネット企業のサービスは、有名で日常よく利用されているものであっても、あくまでネット空間の中で行われるものであるので、リアルの実店舗のような場で利用者に対面で提供されるものではない。 そこで、両者の接点の場として設けられるのが、こうしたカフェテリアの実店舗であり、カフェテリアに据え付けの端末機器や電源・無線環境を用いて利用者に気軽に使ってもらったり、企業側が利用者にサービスのより深い知識を与えたりして、顧客体験の提供・顧客満足度・企業イメージの向上を図っている。 また、起業支援の拠点としてのカフェテリアが増加している。起業志望者がカフェテリアの場で気軽に他の起業志望者と交流を図ったり、専門家の助言やマッチング支援を受けたりしながら、起業の実現を目指す場として提供されるものである。 このような状況をみると、カフェテリアは単なる飲食の場ではなく、インターネット空間では提供することができない対面式のリアルな交流の場を一般需要者に提供しており、そのように理解されているということができる。 とすれば、申立人はインターネット企業であり、また申立人の引用商標の著名性を考え合わせると、本件商標が「カフェテリアにおける飲食物の提供」及びこれと類似する指定役務について使用をされた場合には、一般需要者等が役務の出所を誤認するおそれがあるというべきである。 7 その他 本件商標の「BIGOLOVE」の「BI」の上には、横一連に「大口喜」の漢字が表されているが、当該漢字の成語は既存の日本語にはない言葉であり、中国語であることが容易に推認されることから、中国関連の商標であると理解できる。 一方、申立人はシンガポール企業であるが、2019年3月に中国企業に買収され、各方面で報道された。したがって、申立人は中国資本と関係がある。 そうすると、申立人の役務を表示するものとして著名な「BIGO LIVE」の文字と近似する本件商標がその指定役務について使用をされた場合、取引者・需要者が当該役務が申立人ないし申立人と経済的・組織的に関連がある者の提供に係る役務であるかのように認識され、出所の混同を生じさせる蓋然性が極めて高いものといわざるを得ない。 8 むすび 以上の事情を勘案すると、本件商標が指定役務について使用をされた場合、その役務の需要者が普通に払われる注意力をもってしても、申立人の業務に係る役務と出所について混同するおそれがある。 申立人の引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時において、既に保護すべき申立人の業務上の信用が化体し、著名な表示となっていたからである。 したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。 同号の規定は、周知・著名表示へのただ乗り及び希釈化を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるから、企業経営の多角化等、市場の変化に応じて、周知・著名な商品・役務の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、狭義・広義の混同を生ずるおそれがある商標を登録すべきでないからである。 第4 当審の判断 1 引用商標等の周知性について 申立人は、引用商標を示し、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているところ、「申立人の引用商標『BIGO LIVE』」、「引用商標の要部である『BIGO LIVE』」などと述べるところがあるので、当審は、申立人の主張の全趣旨から、引用商標のほか、「BIGO LIVE」の文字についての周知性も含め、以下検討する(以下、これらをあわせて「引用商標等」という場合がある。)。 (1)申立人の主張及び職権調査(インターネット情報など)によれば、ア)申立人は2014年にシンガポールで設立されたこと、イ)申立人に係るライブ配信プラットフォームサービス(以下「本件サービス」という。)は2016年3月から開始されたこと、ウ)2018年7月から我が国で本件サービスの提供が開始されたこと、エ)我が国で2019年5月にApp Storeのソーシャルネットワーキングカテゴリにて「BIGO LIVE」に係るアプリがダウンロード1位を獲得したこと、オ)本件サービスの利用者が2020年4月に世界150カ国・地域で4億人に達したことはうかがえる。 (2)しかしながら、本件サービスの開始以来、どのような商標がどのような態様、表示方法でどのように使用されてきたかは必ずしも明らかでなく、本件商標の登録出願の時及び登録査定時における商標の使用状況について具体的に把握することができない。 また、広告宣伝の規模(期間、回数、場所等)等も明らかでない。 さらに、他の同種サービスやアプリの利用者数やダウンロード数も不明であるため、申立人の引用商標等に係るサービスの利用者数について、その多寡を推し量ることができない。 したがって、引用商標等は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、我が国で2019年5月にApp Storeのソーシャルネットワーキングカテゴリにて「BIGO LIVE」に係るアプリがダウンロード1位を獲得したとしても、当該アプリを利用したサービスの我が国における利用者の総数は明らかでないことなどから、特定の月にダウンロード数が多かったとしても、同種サービスの利用者全体に占める割合も多いとまでは評価することができない。 2 本件商標と引用商標等との類似性の程度について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「BIGOLOVE」の文字を右側に向けて徐々に大きくなるように表し、当該文字中の「BI」部分の上に「大口喜」の文字を表したと認識し得るものが配されてなるものである。 そして、本件商標は、その構成中、大きく表された「BIGOLOVE」の文字部分が強く支配的な印象を与え、独立して把握され得るものといえるから、当該文字に相応し、「ビゴラブ」の称呼が生じるものといえ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (2)引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、恐竜をキャラクター的に表したような図形と、「BIGO LIVE」の文字からなるものであり、その構成文字部分が独立して把握され得るものといえるから、当該文字「BIGO LIVE」に相応し「ビゴライブ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (3)本件商標と引用商標等との対比 本件商標と引用商標を比較すると、両者は、それらの前記のとおりの外観は構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。また、独立して把握され得る前記の構成態様からなる「BIGOLOVE」の文字と「BIGO LIVE」の文字との比較においても、書体の相違や6文字目における「O」か「I」かの相違により、相紛れるおそれのないものである。 次に、称呼についてみると、本件商標から生じる「ビゴラブ」の称呼と引用商標等から生じる「ビゴライブ」の称呼とは、「イ」の音の有無という差異があることから、4音と5音という音数において語調語感が異なり、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標と引用商標等はいずれも特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標等は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標等との類似性が高いというべき事情は見いだせない。 3 出所の混同を生ずるおそれについて 前記1のとおり、引用商標等は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記2のとおり、本件商標は引用商標等と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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