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商標無効審判

2021-890090

デラム

審判番号
2021-890090
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2021-027682
登録番号
6396085
請求日
2021年12月21日
審決日
2023年02月13日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】深セン市徳拉姆電子商務有限公司
  • 【請求人代理人】村井 康司
  • 【請求人代理人】魯 佳瑛
  • 【被請求人】彭 俊
  • 【被請求人代理人】五味 和泰
  • 【被請求人代理人】淡路 里美
  • 【被請求人代理人】渡辺 貴康
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 鈴木 雅也
分類
T111 .25 -Y (W11) / T111 .222-Y (W11) / T111 .22 -Y (W11)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1号、商標法第1条、商標法第4条第3項、商標法第4条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6396085号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6396085号商標(以下「本件商標」という。)は、「Delamu」の文字を標準文字で表してなり、令和3年3月9日に登録出願、第11類「化学製品製造用乾燥装置,化学製品製造用換熱器,化学製品製造用蒸煮装置,化学製品製造用蒸発装置,化学製品製造用蒸留装置,化学製品製造用熱交換器,工業用炉,原子炉,収穫物乾燥機,飼料乾燥装置,換気扇,業務用暖冷房装置,業務用冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,業務用調理台,業務用流し台,ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,業務用浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),家庭用加熱器(電気式のものを除く。),家庭用調理台,家庭用流し台,家庭用浄水器(電気式のものを除く。),あんか,懐炉,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用椅子,ストーブ類(電気式のものを除く。)」を指定商品として,同年5月18日に登録査定され,同月31日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 本件審判請求人(以下「請求人」という。)が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第19号及び同項第7号に該当するとして引用する商標は、「Delamu」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)である。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 無効事由 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第19号及び同項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 無効原因 (1)本件商標について 本件商標は、欧文字「Delamu」を特殊な書体や図案化することのない文字で構成されており、その構成文字は、辞書に載録された既成語ではなく(甲3の1)、英語サイトを検索してやっと中国映画監督が製作した映画「茶馬古道:徳拉姆」の「徳拉姆」部分に対するピンイン表示、又は英語式表示であることが分かる(甲3の2)。そのため、その意味合いより特定の称呼は生じず、その構成文字どおり、「デラム」という称呼を生じる。 (2)引用商標について ア 請求人の引用商標 引用商標は、本件商標と同一である「Delamu」からなる商標である。請求人は、我が国で同商標の商標登録(第21類)を有している(甲2)。 引用商標は、請求人の商号「深セン市徳拉姆電子商務有限公司」の「徳拉姆」部分のピンイン表示又は英語式表示に該当し、請求人の商号商標として請求人の出所を表示するものである(甲4)。 イ 引用商標の周知性について (ア)請求人は、中華人民共和国の法律に基づき2016年4月に設立された会社であって、電子製品、コンピュータハードウェア及びソフトウェアの開発及び販売、電子商取引の運営等を営業範囲とし、海外に電子商取引を介して中国製商品を販売することを主な営業範囲とする(甲4)。 (イ)請求人は、Amazonにおいて、我が国と米国に「小型扇風機,加湿器,ストーブ,焚火台,手袋型ペット用品のブラシ,キャンピング用の調理用具,充電器等」を販売してきており、直近2年間の売上げは、以下のとおりである(甲5の1、2)。 a 日本 販売期間:2019年7月27日ないし2021年7月27日 販売数量:121,464個 販売額 :JP¥220,259,504.00(約2.2億円) b 米国 販売期間:2019年7月27日ないし2021年7月27日 販売数量:834,810個 販売額 :US$13,914,250.00(約15.6億円) (ウ)我が国において、請求人は、Amazon Japanに引用商標からなる「Delamu」ストアを運営し、「扇風機,加湿器,ストーブ,焚火台,手袋型ペット用品のブラシ,キャンピング用の調理用具,充電器等」を販売してきており(甲5の3)、具体的に、2019年8月26日から2021年5月31日の間、手袋型ペット用ブラシ(ASIN:B07FQRJ9GL等)、扇風機(ASIN:B07R4TGLCK等)、卓上加湿器(ASIN:B07XM5JN2K等)、ストーブ(ASIN:B08J6W282V)、焚火台(ASIN:B08RD555K)、キャンプ用メスティン(ASIN:B07X3G7DDM等)等を含む66個のASINに係る商品を販売してきており、その販売数量は、およそ10万個に至る(甲5の4~10)。ここで、「ASIN」は、「Amazon Standard Identification Number」の略称で、Amazonグループが採用する商品識別番号をいう。その中で、請求人の重要商品に関する、2019年8月26日ないし2021年5月31日の期間売上は、以下のとおりである(甲5の10)。 a 扇風機 (a)ASIN:B07R4TGLCK 販売数量:21,312個(そのうち、B2B販売数298個) 販売総額:約5,619万円 (b)ASIN:B089LNT8J1 販売数量:420個(そのうち、B2B販売数30個) 販売総額:約100万円 (c)ASIN:B08W1HGY8N 販売数量:60個 販売総額:約10万円 (d)ASIN:B08W233FBJ 販売数量:71個 販売総額:約23万円 (e)ASIN:B08XQ2Z4FP 販売数量:6個 販売総額:約2万円 b 加湿器 ASIN:B07XM5JN2K 販売数量:3,658個 販売総額:約550万円 c ストーブ ASIN:B08J6W282V 販売数量:2,954個(そのうち、B2B販売数25個) 販売総額:約224万円 d 焚火台 ASIN:B08RD555K7 販売数量:117個(そのうち、B2B販売数1個) 販売総額:約36万円 (エ)引用商標は、請求人の扇風機等を販売するストアに限らず、請求人が2019年5月から販売してきた請求人の主力商品である扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)に付されており、その商品は、上述のとおり、単独で1年半強の期間の間、2万個以上販売されている(甲5の4、10)。この販売数量は、一見多く思われないかもしれないが、扇風機がシーズン商品であり、暑い時期に集中的に販売される取引事情を考慮すると、少なくとも小型扇風機分野において、一般需要者に請求人の商標が出所表示として認識されるほど、周知性を獲得しているといえる。 (オ)「一般社団法人 日本電気工業会」が発表した「民生用電気機器 国内出荷実績2021年10月分」による扇風機の出荷数量を分析すると、暑くなる季節に出荷が集中していることが分かる(甲5の11)。 a 2021年1月ないし2021年3月(3か月) 出荷量 :42,000台 1か月平均出荷量:14,000台 b 2021年4月ないし2021年9月(6か月) 出荷量 :999,000台 1か月平均出荷量:166,500台 c 2021年10月(1か月) 出荷量 :6,000台 1か月平均出荷量:6,000台 d 2021年1月ないし2021年10月(10か月) 出荷量 :1,047,000台 1か月平均出荷量:104,700台 (カ)このような取引事情からすると、請求人の扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)に係る販売数量21,312個は、2019年8月26日ないし2021年5月31日の期間の中、2019年8月26日ないし9月、2020年4月ないし9月、2021年4月ないし5月の9か月間、集中して販売されたと容易に推測できる。その場合、平均すると、オンシーズンの間、1か月当たり2,000個以上販売されたことになり、上述の日本全国の国内出荷数量のオンシーズンの平均からすると、全国出荷量の約1%を占めることとなる。 (キ)ここで、注目を引きたいところは、請求人の販売数量は、請求人の扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)の単一品目に関する販売数量である。また、本扇風機は、クリップ式の小型扇風機であり、どこでも設置が可能である点、USBによる充電が可能である点、ファンが360度回転し、サーキュレーターとしても使用することが可能な点等、従来の扇風機と異なる新しいタイプの扇風機である(甲5の4)。扇風機のカテゴリーには、その形によって、例えば、リビングファン、タワーファン、エアマルチプライアー、卓上扇風機、携帯扇風機、サーキュレーター等、多様な種類がある中(甲5の12)、新しいタイプの扇風機単一品目として全体の出荷数量の1%に該当する販売数量に至ったことは、この扇風機が極めて人気商品で集中的に販売されたことを表すことだと思われる。 (ク)実際に請求人の扇風機は、多くウェブサイトにおいて、2020年、2021年にわたり、お勧めの小型扇風機、USB扇風機として紹介されており、首位にランクされている(甲5の13~20)。 (ケ)なお、「Amazon Japan」は、我が国で利用者の数で首位を占める電子商取引プラットフォームであり(甲5の21)、また、コロナ禍で電子商取引を利用する需要者が増える傾向であることから、「Amazon Japan」での販売行為によって商品の露出度は相当なものと思われる。 (コ)してみれば、請求人の引用商標は、本件商標の出願時(令和3年3月9日)及び登録査定時(令和3年5月18日)には、請求人の業務に係る商品の中、少なくとも「小型扇風機」を表示するものとして、国内需要者において一定の周知度を有するものと思料する。 ウ 本件商標権者の不正の目的について 請求人は、我が国において、小型扇風機を含め、様々家庭用品を販売しており、請求人が取り扱う商品は、Amazonにおいて、「ホーム&キッチン」カテゴリーに属する商品であり、請求人は、「ホーム&キッチン」カテゴリーでの自社商標の使用を保護すべく、第21類「コーヒーポット(電気式のものを除く。),家庭用又は台所用の容器,水飼い用おけ,コップ類,かいばおけ,電気式歯ブラシ用ヘッド,台所用器具,台所用具及び清掃用具」との関係で既に商標登録を取得している。 請求人が取り扱う商品は、「Amazon Japan」において、短い期間でありながら集中的に販売されており、その中、特に請求人の引用商標を付した「小型扇風機」は、その販売量より需要者の間で、請求人の商品として周知性を獲得している。 ここで、請求人の「小型扇風機」は、「Amazon Japan」において、「ホーム&キッチン」カテゴリーに属する商品であり、請求人は、第21類に商標登録を取得したものの、「小型扇風機」には商標権を取得せず、使用を継続し続けた結果、請求人の出所表示として認識されることになった。 一方、本件商標権者は、中国の方であり、請求人と同様に中国から「Amazon Japan」を介し、物を販売することが容易に推測される。実際にAmazon社は、「Global Selling Program」を提供し、世界各地のセラー(販売者)からの日本への出品を手助けしている(甲6)。 このような状況で、本件商標権者が、本件商標の出願日以前、請求人の商品カテゴリーと同じカテゴリーに属する商品群に対し、引用商標と全く同じ文字列を有する商標を出願したことは、請求人が今まで日本市場において構築してきた信用や顧客吸引力を毀損するおそれがあり、不正の目的をもって出願したものと容易に推認される。 (3)商標法第4条第1項第10号該当について 本件商標と引用商標は、文字構成が完全同一であり、互いに同一の商標である。また、本件商標は、我が国において少なくとも「(家庭用)小型扇風機」について一定の周知度を取得しており、この商品は、本件商標の指定商品中、「換気扇、家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」と類似群を共通する互いに類似する商品である。よって、本件商標は、その指定商品中、少なくとも「換気扇、家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」について商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録を無効にすべきである。 (4)商標法第4条第1号第19号該当について 本件商標と引用商標は、文字構成が完全同ーで、互いに同一の商標である。また、本件商標は、我が国において少なくとも「(家庭用)小型扇風機」について一定の周知度を取得しており、「小型扇風機」以外にも「手袋型のペット用ブラシ,(家庭用)加湿器、ストーブ、焚火台、キャンピング用具」等、いわゆる、ホーム&キッチンカテゴリーにおける商品との関係で使用を続けられており、需要者の間で、商品の出所を表示するものと認識されている。 特に、請求人は、我が国の最大のECプラットフォームである「Amazon Japan」において集中的に販売活動を行っており、本件商標を同カテゴリーに属する商品に使用することを前提として商標出願を行った本件商標権者は、請求人の商標に化体した信用や顧客吸引力を知った上、扇風機を含め第11類の指定商品との関係で、登録されてないことを奇貨として出願されたことが明らかである。つまり、請求人が「Amazon Japan」において構築した信用が毀損されるおそれがあることは明白であるので、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録を無効にすべきである。 (5)商標法第4条第1号第7号該当について 万一、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しないとした場合、請求人の引用商標には使用による信用が化体されており、商標法上、保護すべき商標であるので、本件商標の登録は、社会的相当性を欠くものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、その登録を無効にすべきである。 3 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第10号に違反するとされる点について 商標法第4条第1項第10号の「需要者の間に広く認識されている」の判断に当たっては、「(1)出願商標の構成及び態様、(2)商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域、(3)宣伝広告の方法、期間、地域及び規模、(4)出願人以外の者による出願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況、(5)商品又は役務の性質その他の取引の実情、(6)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果」を総合勘案するとされている(乙1)。 また、上述の「(5)商品又は役務の性質その他の取引の実情」に関して「新・注解商標法(上巻)」には、「商標の周知は、取引の実態に基づいて認定される事実の問題である(大判昭3・3・10判例工業所有権法789の3頁)。「周知の地域的範囲」と「その対象となる需要者・取引者」は、当該商標を使用する商品又は役務の取引実態に応じて認定され、商品又は役務の種類・性質により異なり、一律に認定されるものではない。例えば、「高価な機械」と「雑貨、菓子」、また「全国的に流通する商品」と「地方の特産品」では、それぞれの取引実態が異なり、取引者・需要者をはじめとして、流通経路・範囲、宣伝広告方法等も同じではない。」との法解釈が示されている(乙2)。 したがって、本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第10号に違反してされたというためには、前述の(1)から(6)に基づく事実を正当に評価し、特に、(2)引用商標の使用態様、使用数量、使用期間及び使用地域、(3)引用商標の宣伝広告の方法、期間、地域及び規模、(5)引用商標を使用した商品の性質その他の取引の実情、(6)需要者の引用商標の認識度を調査したアンケートの結果から、引用商標の周知性を基礎付ける事実がどのように評価されるべきであるかという点を十分に踏まえた判断がなされるべきである。 この点、(5)引用商品の性質、取引の実情に関して、引用商標を使用した商品が、高価な商品であるか、全国的に流通商品であるかにより、取引実態が異なるところ、引用商標を使用した商品「扇風機、加湿器、ストーブ、焚火台、手袋型ペット用品のブラシ、キャンピング用の調理器具、充電器」(以下「引用商品」という)は、いずれも高価な商品ではなく、全国的に流通する一般大衆向け商品である。 こうした引用商品の性質、取引の実情を考慮すると、モノであふれる成熟した現代社会において、引用商標を使用した引用商品が需要者の間に広く認識されているといえるためには、引用商品の魅力を広く一般大衆に向けて訴求する必要があり、大量生産大量消費する需要者たる一般消費者向けに、大量の使用数量、長期の使用期間を要するほか、テレビCM等マス向けの宣伝広告の方法・規模等を要するというべきである。 また、(2)引用商標の使用態様、使用数量、使用期間に関して、請求人は、引用商標の周知性を基礎付ける事実として、日本国内における2019年7月27日から2021年7月27日(主力商品は、このうち2019年8月26日から2021年5月31日)の販売期間に係る販売総数及び販売総額を示している。 しかしながら、玉石混交といえる個人を含む取引者による多品種少量商品が同列に並べられてひしめく「Amazon Japan」のECプラットフォームにおける取引実態は、個別商品の販売ページにおいて、そのほとんどは、目立たない態様によるものである(甲5の5、6、8、9)。すなわち、ECプラットフォーマーたるAmazon社以外の取引者ブランドは、ECサイト上で、文字数が多い商品タイトル部分(甲5の10)よりも更に小さく目立たない態様で引用商標が表示されるにすぎない。この「Amazon Japan」における商取引の実情を考慮する限り、引用商標の使用による宣伝広告等の効果は極めて限定されたものと評価せざるを得ない。 なお、甲第5号証の7に示されるように、個別商品の販売ページの中には、上のトップページから下へ何ページもスクロールした先に、取引者ブランドが普通の大きさで紹介されることも一部にある。 しかしながら、一般にECサイトでは、アクセスした先の目立つ商品トップページ画面に表示される内容を閲覧し、他の商品トップページの内容と比較検討していくのが常であるところ、下へ何ページもスクロールしなければならないページ部分は閲覧されないことも多いため、引用商標の使用による宣伝広告等の効果は低くならざるを得ない。 加えて、引用商標の使用態様は、「Delamuのストアを表示」、「販売元Delamu japan」と表示されるとおり、引用商品の出所を表す使用態様ではなく、請求人店舗における小売等役務に係る役務の出所を表す使用態様であるため、引用商品に引用商標が使用された実績と評価されるべきものではない。 さらに、そもそも引用商品のうち、「手袋型ペット用品のブラシ、キャンピング用の調理器具、充電器」は、本件商標の指定商品「換気扇,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」と同一又は類似の商品ではないため、これら引用商品の販売実績は考慮されるべきものでもない。 また、(2)引用商標の使用期間に関して、本件商標の出願日は、2021年3月9日であり、この日までのものが引用商標の周知性を基礎付ける事実として考慮されるところ(商標法第4条第3項)、この日以降の2021年7月27日までの期間における販売総数、販売総額を示されても、引用商標の周知性を基礎付ける事実として評価し得ない。 請求人は、「扇風機の出荷数量は、暑くなる季節に出荷が集中している」(甲5の11)と主張するが、請求人が示す日本国内における2019年7月27日から2021年7月27日(主力商品は、このうち2019年8月26日から2021年5月31日)の販売期間に係る販売総数及び販売総額は、本件商標の出願日以降の出荷が集中するとされる暑くなる季節の期間をも都合よく含むものであり、引用商標の周知性を適切に評価できない。 そして、請求人は、「請求人の扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)に係る販売数量21,312個は、2019年8月26日ないし2021年5月31日の期間中、2019年8月26日ないし9月、2020年4月ないし9月、2021年4月ないし5月の9か月間、集中して販売されたと容易に推測できる。」と主張する。 しかしながら、前述のとおり、2021年4月から5月の期間は考慮に値しないため、実質2019年9月から2021年2月末までの1年半未満の短い使用期間により、引用商品は、わずか「全国出荷量の約1%」(販売期間を考慮すれば1%にも満たない)の市場シェアを占めるにすぎない。 モノであふれる成熟した現代社会において、家電量販店のほか、文房具店、雑貨店、パソコンショップ、ドラッグストア、セレクトショップ、コンビニ、スーパー等の様々な販路で販売される昨今極めてありふれた安価な商品である「家庭用小型扇風機」は、大量生産大量消費する需要者たる一般消費者向けの商品であるところ、個人を含む様々な取引者の多品種少量商品が容易に出品され、同列に並べられてひしめき合う「Amazon Japan」のECプラットフォームにおけるブランド露出度が低い宣伝広告の方法、規模で1年半にも満たない販売期間により、わずか1%にも満たない市場シェアを獲得したとしても、その使用及び取引の実態を考慮すれば、およそ引用商標の周知性を基礎付ける事実として肯定的に評価されるべきものではない。 なお、請求人は、扇風機のカテゴリーを細分化し、「新しいタイプの扇風機単一品目として全体の出荷数量の1%」という市場シェアの意義を強調する。 しかしながら、新しいタイプの扇風機という主観に依存する細分化は、客観性を欠き、本件商標の指定商品分野の業界で一般に行われるものでなく(請求人も「扇風機」としてカテゴリーする。甲5の11)、本件商標の指定商品は、「換気扇,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」の包括範囲であるため、このような細分化に基づく強調には意味がない。 また、請求人は、「請求人の扇風機は、多くウェブサイトにおいて、2020年、2021年にわたり、お勧めの小型扇風機、USB扇風機として紹介されており、首位にランクされている(甲5の13~20)。」旨主張する。 しかしながら、甲第5号証の13で示されるウェブサイトにおいて、「【2021年版】USB扇風機おすすめ人気ランキング32選」と題し、「卓上型(12選)、クリップ型(7選)、ハンディ型(10選)、車用(3選)」の各分野で1位で紹介されたのは、「Nakabayashi(ナカバヤシ)Digio2 マグネット付USB扇風機」、「BRUNO ポータブルミニファン」、「PORAXY 車用USB扇風機」の各ブランドであり、引用商標は1位以外のどこにも見当たらない。 甲第5号証の14で示されるウェブサイトは、「【2021年】安いおすすめUSB卓上扇風機7選 ダイソー・無印より」と題し、「KEYNICE充電式小型扇風機」、「AMZHOOZ卓上扇風機」、「KeyniceUSB扇風機クリップ型」、「ドウシシャ卓上扇風機」に続く最後に「Delamu卓上扇風機クリップ式」が紹介されたにすぎず、特に順位も示されない。 甲第5号証の15で示されるウェブサイト(「【2021年】卓上扇風機(冷風機)おすすめ35選を徹底比較!」)では、引用商標は35選中の1つとして紹介されたにすぎず、特に順位も示されない。 甲第5号証の16で示されるウェブサイトにおいても、「【2021年】卓上扇風機おすすめ19選」と題し、「おすすめのメーカーのご紹介!」との小見出しで、「アイリスオーヤマ」、「ドウシシャ」、「YAMAZEN(山善)」、「無印良品」の4ブランドが紹介されるが、引用商標は紹介されない。そして、引用商標は19選中の1つとして紹介されたにすぎず、特に順位も示されない。 甲第5号証の18で示されるウェブサイトにおいては、「【最新版】USB扇風機のおすすめ20選!」と題し、「【卓上型】USB扇風機のおすすめ人気ランキング7選」の小見出しで、「【7位】Delamu卓上扇風機」として引用商標が紹介されたが、7選中の最下位で紹介されているにすぎない。 甲第5号証の19で示されるウェブサイトは、「ナイトライト搭載!Delamu卓上扇風機クーポン情報」と題し、引用商標のみを採り上げて単にクーポン情報が紹介されたにすぎない。 甲第5号証の20で示されるウェブサイトにおいては、「一人暮らしにおすすめコンパクトな卓上扇風機8選」と題し、「DelamuUSB充電式卓上扇風機DLM-DFS-C」と紹介されたが、8選中の1つとして順位を示すことなく、紹介されたにすぎない。 唯一、甲第5号証の17で示されるウェブサイトにおいて、「【2021年】卓上扇風機のおすすめ人気ランキング13選【徹底比較】」と題し、検証対象の商品1から13のうち、「1.DelamuUSB卓上扇風機」、「ベストバイ卓上扇風機涼しさNo.1 静かさNo.1」と、引用商標が13選中の1位として紹介されたにすぎない。 以上のとおり、請求人は、甲第5号証の13ないし20をもって、「2020年、2021年にわたり、お勧めの小型扇風機、USB扇風機として紹介されており、首位にランクされている」と主張するが、引用商標は、甲第5号証の17を除き、どの証拠も首位にランクされたものはなく、全く紹介されないか、ランク付けされず単に他ブランドと同列に紹介されるか、下位ランクで紹介されたにすぎず、引用商標が周知であることを基礎付ける事実ではない。 その他、(6)に関し、需要者の引用商標の認識度を調査したアンケートの結果もない。 よって、本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるという請求人の主張には、理由がない。 2 商標法第4条第1項第19号に違反するとされる点について 本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第19号に違反してされたというためには、被請求人が、本件商標について、その出願時に、(1)請求人に高額で買い取らせたり、請求人の国内参入を阻止したり、請求人に国内代理店契約を強制したりする等の不正の目的を有していたか、(2)出所表示機能を稀釈化させたり、その名声を毀損させる不正の目的を有していたか、(3)信義則に反する不正の目的を有していたか、という点を十分に踏まえた判断がなされるべきである(乙3)。 この点、請求人は、引用商標は「家庭用小型扇風機」に使用され周知性を獲得し、Amazon社が「Global Selling Program」を提供し、世界各地の販売者からの日本への出品を手助けしている状況があるから、被請求人が引用商標と全く同じ文字列を有する本件商標を出願したことは、請求人が日本市場で構築した信用や顧客吸引力を毀損するおそれがあり、不正の目的をもって出願したものと容易に推認させると主張する。 しかしながら、Amazon社が外国向けにも出品が可能なECプラットフォームを提供している状況があると、何ゆえに、被請求人が本件商標を不正の目的をもって出願したと容易に推認されるのか、理解できない。 また、請求人は、引用商標について、「その構成文字は、辞書に載録された既成語ではなく(甲3の1)、英語サイトを検索してやっと中国映画監督が制作した映画の「茶馬古道・徳拉姆」の「徳拉姆」の部分に対するピンイン表示、又は英語式表示であることが分かる(甲3の2)。」と主張する。 しかしながら、引用商標の文字は、多くの映画関係者が芸術映画と評し、中国で知られる田壮壮監督作品のドキュメンタリー映画「徳拉姆/DELAMU」のピンイン表示かつ中国の交易路「茶馬古道」の別称であって、請求人の造語ではなく、「Delamu」は誰もが採択する既成語にすぎない(甲3の2、乙4、乙5)。 被請求人は、この映画を視聴し、映画の舞台となった雲南省麗江市周辺に旅行に行き、茶馬古道(Delamu)のエリアに良い印象を持っていたため、「Delamu」の既成語を本件商標に採択したにすぎない。 以上のとおり、請求人は、単に、引用商標は周知性であってAmazonが提供するECサービスを利用できる状況にあるとか、引用商標に信用が化体しているとか、引用商標が登録されていないことを奇貨として出願したことが明らかであるとかを、さしたる根拠なく主張することに終始し、被請求人が「不正の目的」をもって出願したことを推認させる具体的事実を明らかにしない。 そもそも、一般に、「Amazon Japan」のECサイトの中から、引用商標を付した「家庭用小型扇風機」を見つけることは容易でないところ、被請求人は、本件商標の出願時に引用商標が使用された引用商品を知るところではない。 また、前述のとおり、自国外において、個人を含む様々な取引者の多品種少量商品が容易に出品され、同列に並べられてひしめき合う「Amazon Japan」のECプラットフォームを利用し、ブランド露出度が低い宣伝広告の方法、規模で1年半に満たない期間販売されることで一時期好評を博し、わずか1%にも満たない市場シェアを獲得したからといって、引用商標の使用態様及びAmazonの商取引の実態を考慮すれば、引用商標の周知性を基礎付ける事実として肯定的に評価されるべきものではない。 被請求人は、本件商標の使用をする意思もなく、「不正の目的」をもって本件商標を出願したものではない。 被請求人は、本件商標を「家庭用電気式扇風機」や「家庭用電気ストーブ」等に使用するために、同一又は類似の先行登録商標がないことを商標調査した上で、2021年3月9日に登録出願したにすぎない。 現に、遅くとも2020年5月11日には、被請求人が営業部部長を務める中国湖南省長沙市所在の「長沙創佳機械有限公司」は、本件商標を付した「Delamu Handy FAN,Black,3350mAh Li-ion Battery,4windspeed」(家庭用電気式扇風機)を200台、愛知県名古屋市所在の「勝美商事株式会社」に卸売りをし、本件商標の使用をしている(乙6、乙7の1~乙7の3)。 また、2020年9月18日にも、上記「長沙創佳機械有限公司」は、本件商標を付した「Delamu Space Heater,with thermostat,100V,1500W」(家庭用電気ストーブ)を300台、上記「勝美商事株式会社」に卸売りをし、本件商標の使用をしている(乙6、乙8)。 なお、一般に、商品数量の多いBtoBの輸出入取引では、商談開始、取引条件合意、発注に至るまで一定の期間を要し、さらに、その前の製品化プロセス(企画、製造、量産)の期間を無視し販売できないところ、量産化、商談開始から発注までの工程を考慮すると、少なくとも半年から1年以上の期間を要するため、遅くとも2019年には、本件商標の使用が開始されたことを優に推認させるものである(乙9、乙10)。 したがって、本件商標について、その出願時に、被請求人が、請求人に高額で買い取らせたり、請求人の国内参入を阻止したり、請求人に国内代理店契約を強制したりする等の不正の目的を有していたことを容易に推認させる事実はない。また、引用商標は、その商品・役務の分野を問わず全国的に知られている著名商標とは到底評価し得ないが、仮に引用商標が著名商標であったとしても、本件商標について、その出願時に、被請求人が、出所表示機能を稀釈化させたり、その名声を毀損させる不正の目的を有していたことを容易に推認させる事実もない。その他、本件商標について、その出願時に、被請求人が、信義則に反する不正の目的を有していたことを容易に推認させる事実もない。 よって、本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであるという請求人の主張には、理由がない。 3 商標法第4条第1項第7号に違反するとされる点について 本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第7号に違反してされたというためには、(1)本件商標の出願の経緯に、社会的相当性を欠くものがあり、本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないといえるか、(2)商標法4条1項7号を私的領域にまで拡大解釈し本件商標の出願を排除し、商標登録の予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことが許される特段の事情がある例外的な場合に当たるか、という点を十分に踏まえた判断がなされるべきである(乙11)。 この点、請求人は、「請求人の引用商標には使用による信用が化体されており、商標法上、保護すべき商標であるので、本件商標の登録は、社会的相当性を欠くものである。」と主張する。 しかしながら、日本の商標登録制度は、被請求人のように、自他商品又は役務の識別機能を発揮する商標を採択し、商標の使用をする者又は商標の使用をする意思を有する者が、公平な先願登録主義の原則の下で、商品又は役務を指定し特許庁に登録出願することにより商標を登録し、その登録商標の使用を通じて業務上の信用を獲得し、商標の使用をする者を保護し、取引の秩序を保つ制度である(商標法第1条)。 この商標法の基本的理念及び目的(商標法第1条)を無視し、請求人のように、商標を使用する者が特許庁に登録出願することなく、未登録の商標を使用する者を保護する制度ではない。 よって、本件商標の商標登録が商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるという請求人の主張には、理由がない。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係について争いがないから、本案について判断する。 1 引用商標の周知性について (1)請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、2016年4月25日に設立された中国法人(有限公司)であって、その営業範囲を「電子商取引の運営、デジタル製品、電子製品、コンピューターソフトウェア及びハードウェアの技術開発と販売、国内貿易(フランチャイズ、独占販売、独占管理製品を除く)、輸出入事業の運営(法律、行政規則、国務院決定によって禁止されている項目を除く。制限項目は許可を得て営業することができる。)」とするものである(甲4)。 イ 請求人は、その商号を「深セン市徳拉姆電子商務有限公司」(各文字は中国語の標記。)とし(甲4)、我が国において、第21類「コーヒーポット(電気式のものを除く。),家庭用又は台所用の容器,水飼い用おけ,コップ類,かいばおけ,電気式歯ブラシ用ヘッド,台所用器具,台所用具及び清掃用具」を指定商品として、「Delamu」の標準文字からなる登録商標(登録第6145130号商標:令和元年5月17日登録)を有している(甲2)。 ウ 「Delamu(徳拉姆)」(デラム)は、我が国における辞書等に特定の意味を有する語としての採録はないものの、2004年の中国の映画監督「田壮壮」によるドキュメンタリー映画のタイトルであり、チベット語で「平和な天使」を意味するとされる(甲3の2)。 エ Amazon Japan(https://www.amazon.co.jp/)には「Delamu(DELAMU)」と称するストアがあり、当該ストアには、「手袋型ペットブラシ、卓上加湿器、ポケットストーブ、焚火台、キャンプ用の調理用具等」が掲載されている(甲5の3、5~9)。 また、Amazonのウェブサイト(https://sellercentral-japan.amazon.com/business-reports#/dashboard)によれば、「Delamu Official 日本」による2019年7月27日ないし2021年7月26日の売上げ情報として、「注文アイテムの総数 117,839」「注文した商品の数量 121,464」「注文商品販売 220,259,504.00円」等の記載がある(甲5の1)。 同じく、Amazonのウェブサイト(https://sellercentral.amazon.com/business-reports#/dashboard)によれば、「Delamu Official 美国(米国)」による2019年7月27日ないし2021年7月26日の売上げ情報として、「注文アイテムの総数 761,661」「注文した商品の数量 834,810」「注文商品販売 13,914,250.00米ドル」等の記載がある(甲5の2)。 さらに、Amazon Japanの注文管理ページ(https://sellercentral-japan.amazon.com/orders-v3/search?pa...)」によれば、2019年5月22日ないし同月30日に「小型卓上扇風機(AISN:B07R4TGLCK)」について、9回の顧客からの注文があった旨の記載がある(甲5の4)。 オ(ア)「nanblogee」のブログには、「【2021年】安いおすすめUSB卓上扇風機7選|ダイソー・無印より◎静音はオフィスでも活躍!」(2021年5月18日)のタイトルの下、「Delamu卓上扇風機クリップ式・・・Amazonがおすすめする商品のAmazon’s Choiceに選ばれている人気のクリップ式卓上扇風機です。」の記載がある(甲5の14)。 (イ)「RENTRY NOTE」のウェブサイトには、「【2021年】卓上扇風機(冷風機)おすすめ35選を徹底比較!静音モデルも紹介」(2021/08/29)のタイトルの下、「【おしゃれ・かわいい】卓上扇風機・冷風機おすすめランキング9選【2021】]」の項に「Delamu(デラム)卓上扇風機」の記載がある(甲5の15)。 (ウ)「マイナビおすすめナビ」のウェブサイトには、「【2021年】卓上扇風機おすすめ19選|静音タイプやおしゃれなモデルを厳選」(2021年10月18日更新)のタイトルの下、「卓上扇風機のおすすめ19選」の項に、商品の画像と共に「Delamu『USB卓上扇風機(DLM-DFS-C)』」の記載がある(甲5の16)。 (エ)「mybest」のウェブサイトには、「【2021年】卓上扇風機のおすすめ人気ランキング13選【徹底比較】」(2021年11月19日更新)のタイトルの下、「卓上扇風機全13商品おすすめ人気ランキング」の項に、「No.1」として「Delamu/USB卓上扇風機|DLM-DFS-C」の記載がある(甲5の17)。 (オ)「ぐーちょ」のウェブサイトには、「【最新版】USB扇風機のおすすめ20選!静音、首振り機能も。デスクや車で快適に過ごそう」(2021年6月29日)のタイトルの下、「【卓上型】USB扇風機のおすすめ人気ランキング7選」の項に、商品の写真と共に「【7位】Delamu 卓上扇風機 小型 USB 超静音 DLM-FAN-mtl-White-JP」の記載がある(甲5の18)。 (カ)「FLIP/FLOP」のウェブサイトには、「ナイトライト搭載!Delamu卓上&クリップ扇風機クーポン情報」(2020.08.17/2020.08.13)のタイトルの下、商品の写真と共に「今回はDelamuのナイトライト搭載USBクリップファンのクーポン情報です。」の記載がある(甲5の19)。 (キ)「暇な自営業もうりの気ままな一人暮らし」のブログには、「一人暮らしにおすすめコンパクトな卓上扇風機8選」(2021-07-11)のタイトルの下、商品の写真と共に「(1)Delamu USB充電式卓上扇風機DLM-DFS-C」(審決注:「(1)」は丸付き数字の「1」。)の記載がある(甲5の20)。 (2)上記(1)からすれば、引用商標と同一の構成文字からなる「Delamu(DELAMU)」と称するAmazonのストア(以下「Delamuストア」という。)において、「手袋型ペットブラシ、卓上加湿器、ポケットストーブ、焚火台、キャンプ用の調理用具」等が商品として掲載され、2019年5月22日ないし同月30日に、商品「小型卓上扇風機」について、計9回の商品の注文があったことがうかがえるほか、Amazonのウェブサイトによれば、2019年7月27日ないし2021年7月26日には、我が国で約2億2千万円の売上げ、及び、米国で約1.4千万米ドルの売上げがあった旨の記載が確認できる(甲5の1、2)。 しかしながら、「Delamu(徳拉姆)」の文字は、「平和な天使」を意味するチベット語として2004年に映画のタイトルにもなった(甲3)既成の語であって、直ちに請求人を想起させる文字とはいえないところ、甲各号証には、Delamuストアの運営者や「小型卓上扇風機(AISN:B07R4TGLCK)」の提供者が請求人であることを示す記載はなく、ほかに、Delamuストアの運営者あるいは商品の提供者が請求人であることを確認できる証拠はないから、Delamuストアに掲載された「小型扇風機」等が請求人の業務に係る商品であると確認することはできない。 また、仮に、Delamuストアの運営者あるいは商品の提供者が請求人であったとしても、請求人の業務に係る引用商標を使用した「扇風機」(以下「使用商品」という。)における引用商標の具体的な使用態様は明らかでない上、Amazonのウェブサイト(甲5の1、2)に記載された上記売上高が使用商品に係るものであるかも不明であって、我が国及び米国での使用商品の売上高を裏付ける客観的な証拠ということはできない。そうすると、Delamuストアに係る甲各号証をみても、我が国及び米国における使用商品の販売開始時期、販売総数、販売総額等の事実も不明であって、引用商標の使用事実は不明であるといわざるを得ない。 さらに、請求人は、「引用商標は、請求人の扇風機等を販売するストアに限らず、請求人が2019年5月から販売してきた請求人の主力商品である扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)に付されており、その商品は、単独で1年半強の期間の間、2万個以上販売されている。」旨主張し、「Amazon JapanにおけるASIN別販売数、販売額に関する一覧」なる証拠(甲5の10)を提出しているが、当該証拠は、出典や作者不明の一覧表であって、使用商品の販売数、販売額を客観的に示すものとはいえず、使用商品の販売数、販売額を裏付けるものということはできない。 加えて、2020年8月から2021年11月にかけて、ブログやウェブサイトに「Delamu(デラム)」と称する「小型扇風機」について紹介やランキングの記載があるものの、これらの「小型扇風機」と請求人との関係を示す記載が見いだせないばかりでなく、サイトへのアクセス数は不明もあり、加えて、ランキングの基準も個人的なもので、2020年からの1年間程度の評価にすぎないから、これらのネット上の記載をもって、我が国又は外国の需要者、取引者の間で、当該「小型扇風機」が請求人の業務に係る商品であると広く認識されるに至っているということはできない。 その他、請求人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、使用商品に関する販売個数、販売地域及び市場シェアなどの販売実績は不明である上に、メディア等における使用商品に関する広告宣伝の実績についても明らかではなく、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。 したがって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 (3)請求人の主張について 請求人は、「「民生用電気機器 国内出荷実績2021年10月分」による扇風機の出荷数量を分析すると、扇風機の出荷数量は、暑くなる季節に出荷が集中し(甲5の11)、このような取引事情からすると、請求人の扇風機は、オンシーズンの間、1か月当たり2,000個以上販売されたことになり、全国出荷量の約1%を占めることとなる。・・・本扇風機は、クリップ式の小型扇風機であり、どこでも設置が可能である点、USBによる充電が可能である点、ファンが360度回転し、サーキュレーターとしても使用することが可能な点等、従来の扇風機と異なる新しいタイプの扇風機で(甲5の4)、扇風機のカテゴリーには、その形によって、例えば、リビングファン、タワーファン、エアマルチプライアー、卓上扇風機、携帯扇風機、サーキュレーター等、多様な種類がある中(甲5の12)、新しいタイプの扇風機単一品目として全体の出荷数量の1%に該当する販売数量に至ったことは、この扇風機が極めて人気商品で集中的に販売されたことを表すこと」である旨主張する。 しかしながら、家庭用扇風機には上記のような多様なカテゴリーがあるとしても、いずれのカテゴリーの扇風機を選択するかは、購入しようとする需要者が判断するものであり、上記カテゴリーによって需要者そのものが異なるものではないから、引用商標の周知性を判断するに当たって基準とすべき需要者は、家庭用扇風機を必要とする需要者全体とするのが相当である。 そうすると、家庭用扇風機の需要者全体からみれば、請求人の主張する夏場における出荷数量の1%に該当する市場シェアは決して高いとはいえないものであって、当該市場シェアの数値により請求人の扇風機(ASIN:B07R4TGLCK)なる商品が人気商品であって高い周知性を有することを裏付けることはできない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について 商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定している。 引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。 してみれば、本件商標は、引用商標と同一であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品が同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。 そして、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 さらに、請求人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 請求人は、「請求人の引用商標には使用による信用が化体されており、商標法上、保護すべき商標であるので、本件商標の登録は、社会的相当性を欠くものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する」旨主張する。 しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであるから、本件商標をその指定商品について使用をすることが、引用商標の周知性による信用及び顧客吸引力に便乗するものであるということはできない。 また、請求人の提出に係る証拠からは、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的を持って剽窃的に本件商標を登録出願し、登録を受けたというような、本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く事実は見いだせない。 その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということもできず、他の法律によってその使用が禁止されている等の事情も見いだせないことから、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-890090

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