商標無効審判
2021-890070
エアープレックス、エアー、エイアイアアル、プレックス
- 審判番号
- 2021-890070
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2019-059591
- 登録番号
- 6275745
- 請求日
- 2021年11月22日
- 審決日
- 2022年09月07日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 アイエーシーインターナショナル
- 【請求人代理人】岸本 忠昭
- 【請求人代理人】松下 ひろ美
- 【被請求人】株式会社 LADDER FRAME
- 【被請求人代理人】特許業務法人信友国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 森山 啓
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T111 .222-Y (W12) / T111 .25 -Y (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第46条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6275745号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6275745号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIRPLEX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成31年4月11日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、令和2年6月15日に登録査定され、同年8月3日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が引用する商標は、「AIRPLEX」の欧文字からなり(以下「引用商標」という。)、ニュージーランド オークランド所在の「エアプレックス インダストリーズ リミテッド」が「自動車部品(自動車用アクセサリ)」について使用し、外国及び日本における取引者・需要者の間で広く知られているとするものである。
第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第10号に該当し、商標法第46条第1項第1号により、その登録は無効にすべきものである。
2 具体的な理由
(1)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標の周知性について
「エアプレックス インダストリーズ リミテッド(Airplex Industries Ltd)」(以下「エアプレックス社」)という。)は、1982年にニュージーランドで設立された自動車製品の製造販売会社であって、ニュージーランド オークランド所在の法人である(甲3~甲5)。
エアプレックス社は、引用商標について2000年10月にオーストラリアで、2001年4月にニュージーランドでそれぞれ商標登録を受けている(甲6、甲7)。
エアプレックス社は、自己の業務に係る「自動車部品」に引用商標を使用して、世界30か国以上に商品を輸出するものであり(甲3、甲4、甲8)、本件商標の登録出願時及び登録査定時には外国及び日本において広く知られた商標であった。
例えば、エアプレックス社商品には「三菱のグランディス 2003-2011年」用アクセサリ(甲9)、「ホンダ アコード 2003-2007年」用アクセサリ等(甲10)、「トヨタのアルファード 2002-2008年」用アクセサリ(甲11)等が含まれる。エアプレックス社がこのような自動車用アクセサリを本件商標の登録出願日前から販売していたことは、同社の過去のウェブサイト(甲12~甲14)やFacebook(甲15)で確認できる。さらに、エアプレックス社は、米国ラスベガスで行われる世界最大規模の自動車パーツ見本市であるSEMAにも定期的に出展している(甲3、甲4、甲15)。
また、請求人は、自動車部品の輸出入事業を行う者であり(甲16)、本件商標の登録出願日前からエアプレックス社商品を日本国内へ継続的に輸入し(甲17~甲20)、これを請求人のグループ会社である株式会社インターナショナル通商(甲21)を通じて日本国内で販売している。なお、請求人によるエアプレックス社商品の輸入取引書類は2013年のもの(甲17)が現在保管されている書類の中で最も古いものであるが、輸入事業はそれ以前から行われていた。
さらに、エアプレックス社商品は、少なくとも2011年から日本国内においてネットオークションで取引されており(甲22~甲25)、2018年から通販サイトAmazonでも販売されている(甲26~甲29)。
また、エアプレックス社によれば、2000年から2018年までの18年間では、主力のボンネットバード及びドアバイザーを合わせると、国外の複数の商社経由(三角貿易)及び請求人経由で約17,000個のエアプレックス商品が日本国内で流通している。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は「AIRPLEX」の欧文字を横書きした商標である(甲2)。引用商標も「AIRPLEX」の欧文字を横書きした商標であり(甲3、甲4、甲6、甲7)、本件商標と引用商標は同一又は類似の商標である。
ウ 本件指定商品とエアプレックス社商品の類否
本件商標の指定商品(「自動車並びにその部品及び附属品」など。甲2)とエアプレックス社が引用商標を使用している商品「ボンネット用プロテクタ等の自動車アクセサリ」(甲3、甲4、甲6、甲7)は同一又は類似である。
エ 不正の目的について
上述したように、請求人は自動車部品の輸出入事業を行うものであり、少なくとも2013年からエアプレックス社商品を日本国内へ輸入し販売している(甲16~甲20)。また、請求人はエアプレックス社から代理店としての認定も受けている(甲30、甲31)。
被請求人は、自社のウェブページでエアプレックス社の総代理店を名乗っているが(甲32)、これは事実ではない。上述したように、請求人もエアプレックス社商品を取り扱うエアプレックス社代理店(代理人)であり、このことはエアプレックス社も認めている(甲30、甲31、甲33~甲36)。即ち、被請求人はエアプレックス社代理店(代理人)ではあるものの、総代理店ではない。
上述の株式会社インターナショナル通商は、被請求人から「請求人によるエアプレックス商品の販売行為は被請求人が有する商標権(本件商標)の侵害にあたる」「訴訟手続に入る」という内容の警告を受けた(甲37、甲38)。
これは、エアプレックス社の意向に反する行為であるばかりでなく(甲35、甲36)、消費者に対しては被請求人がエアプレックス社の総代理店であるという誤った情報を与える一方で、他のエアプレックス社代理店に対しては商標権を行使して営業を妨害し、エアプレックス社商品の販売に係る事業を独占しようとするものであり、よって、被請求人には不正の目的がある。
オ 小括
本件商標は、取引者・需要者の間で広く知られているエアプレックス社の商標「AIRPLEX」(引用商標)と同一又は類似であり、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
上述のように、エアプレックス社商品は少なくとも2013年から日本国内へ継続的に輸入されて販売され(甲17~甲20)、少なくとも2011年から日本国内においてネットオークションで取引されており(甲22~甲25)、また少なくとも2018年から通販サイトAmazonでも販売されており(甲26~甲29)、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において取引者・需要者の間で広く知られている引用商標と同一又は類似である。
また、本件指定商品とエアプレックス社商品が同一又は類似であることも上述のとおりである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 本件商標と引用商標の類否
本件商標「AIRPLEX」と引用商標「AIRPLEX」は、外観及び称呼「エアプレックス」を共通にし、類似する。
また、本件商標の指定商品とエアプレックス社の業務に係る商品は同一又は類似する。
2 請求人の主張の検討
(1)引用商標の周知性について
周知性の判断については、商標審査基準に示されているところ、請求人の提出する証拠に、引用商標が周知性を獲得していたことを示す事実を明確に示しているものはなく、以下その理由について述べる。
ア 甲第3号証ないし甲第5号証及び甲第8号証について
請求人は、エアプレックス社のウェブページ(甲3~甲5)及び被請求人のウェブページの写し(甲8)を提出し、世界30か国以上に商品を輸出している点や米国ラスベガスのSEMA/APAAに定期的に出展している点を紹介している。これらの点について特段の反論はないが、自社のウェブページに会社概要や沿革、製品情報、展示会等への出展情報を掲載することは通常行われることであり、商品の出荷国、出荷数(生産数)、販売数等や展示会等へ出展を示す具体的な写真、出展回数、出展時期、出展商品等の詳細について記載がない以上、この掲載のみをもって、引用商標が周知性を獲得していたことを裏付ける証拠とはならない。
イ 甲第9号証ないし甲第15号証について
請求人は、これらを提出し、エアプレックス社の商品に三菱自動車工業株式会社、トヨタ自動車株式会社及び本田技研工業株式会社製の自動車用アクセサリが含まれること(甲9~甲11)並びにエアプレックス社が本件商標の登録出願日前からこれらの商品を販売していること(甲12~甲15)を主張している。
しかしながら、これらの証拠からは、エアプレックス社が本件商標の登録出願日前から自動車用アクセサリを販売している事実、商品の販売価格及び商品のラインナップは把握できるものの、商品の生産数、販売数、販売地域や販売シェア等、引用商標の周知性を示すような記載はない。
また、三菱のグランディスは生産台数11万7751台(乙1)、ホンダのアコードの新車登録台数は6万9086台(乙2)及びトヨタのアルファード(2002年~2008年の対象車種)の新車販売台数は46万8111台(乙3)である。これらの車種だけでも全国で相当規模の販売数であるが、請求人が提出した証拠を見る限り、これらの車種の自動車用アクセサリを取り扱っている業者としては、商品の流通実績が極めて少なく、むしろ、引用商標が周知性を獲得するには至っていないことがわかる。
ウ 甲第17号証ないし甲第20号証について
請求人は、エアプレックス社からの船荷証券の写し(甲17~甲20)を提出しており、これらの船荷証券から、2013年頃から、請求人がエアプレックス社から自動車用アクセサリを輸入していた事実が見受けられる。
しかしながら、エアプレックス社は、AIRPLEXブランド以外の自動車用アクセサリの販売も行っており、実際のインボイス等を公開しない限り、「AIRPLEX」の商標を付した自動車用アクセサリを入荷したという証明にはならない。
また、2013年8月5日、2017年10月23日、2018年6月11日及び2019年1月22日にそれぞれ1回ずつ(7年間でわずか4回)の輸入歴を見るに、請求人は、極めて少ない回数を散発的に取引していたにすぎず、取引が活発であったといえる状況ではないことがわかる。
よって、これらは、周知性を示す証拠というより、むしろ、日本でのエアプレックス社の商品の流通量が少ないことを裏付けている。
エ 甲第22号証ないし甲第25号証について
請求人は、これらを提出し、少なくとも2011年からエアプレックス社の商品が日本国内においてネットオークションで取引されている旨を主張している。
しかしながら、クルマSNSサイト「みんなのカーライフ」(甲22)は、主に、同じ車種や車好きの人々が車関連のみにかぎり情報交換したり意見交換したりする場である(Wikipedia「みんカラ」より)。
当該サイトでは、「みんカラショッピング」という名称のネットショッピング機能も提供しているが、当該ウェブページ(甲22)は、単にエアプレックス社のパーツを愛車に取り付けた者の感想が列挙されているにすぎず、書き込み日時やパーツの情報(パーツレビュー)について認識できるものの、それらパーツの購入時期や購入先、価格等といった具体的な取引状況の記載はない。
また、エアプレックス社の自動車用アクセサリに関するコメント数は、2011年から2019年の9年間で128(コメント人数:120人)、平均すると年間14.22程である。これは、自動車用パーツの市場規模に対して極めて少ないコメント数である。
また、「aucfan」及び「aucfree」等のオークションサイト(甲23~甲25)に出品されている商品には、通常、中古品と新品が入り交じり、重複して同じ商品が取引されることもあり、オークションヘの出品数と市場で流通している商品数が等しいとは限らない。実際に出品されている商品(甲23)は中古品である。さらに、上記のオークションサイトでのエアプレックス社の商品の出品数は、2014年に1件、2016年に1件及び2017年に1件(全3件)と、自動車用パーツの市場規模に対して極めて少ない出品件数で、ネットオークションサイトにおいても、エアプレックス社の商品の取引実績が極めて少ないという事実を導くことができる。
オ 甲第26号証ないし甲第29号証について
請求人は、通販サイトamazonにおいてエアプレックス社の商品が販売されていることを主張している。
これらamazonのウェブページの写し(甲26~甲29)は、被請求人の出店ページであるが、同一の出店ページを重複して提出しているものがあり(甲27、甲28)、実際は、トヨタのランドクルーザー用アクセサリ(甲26)、日産のエクストレイル用アクセサリ(甲27、甲28)及びトヨタのハイラックス用アクセサリ(甲29)の3点となる。
2018年5月12日から販売を開始した日産のエクストレイル用のアクセサリの出品ページ(甲27)では、当時の在庫数は、わずか8点であり、年間5万台以上販売されている当該車種(乙4)に対して極めて少ない在庫数であることがわかる。また、他の車種の自動車用アクセサリについても、当時、被請求人は、同等数の在庫しか抱えていなかった。
よって、これらの証拠は、amazonの通販サイトにおけるエアプレックス社の商品の取引量が極めて少なかったことを証明している。
カ 請求人は、「エアプレックス社によれば、2000年から2018年までの18年間では、(中略)約17,000個のエアプレックス社商品が日本国内で流通している。」旨を主張している。しかしながら、この商品数を裏付ける証拠は示されておらず、正確性に欠ける主張である。
キ 甲第16号証及び甲第21号証について
請求人のウェブサイトの写し(甲16)及び株式会社インターナショナル通商のウェブサイトの写し(甲21)には、エアプレックス社の商品の取引情報を示す記載はない。
ク 小括
以上を踏まえ、請求人の主張及び証拠を考察すると、2011年頃より、エアプレックス社の商品が日本において取引されている事実は見て取れるものの、引用商標の周知性の獲得を証明するものは何も示されておらず、むしろ、引用商標が、周知性を獲得するには至っていなかったことがわかる。
よって、請求人の主張は失当であるといわざるを得ない。
(2)不正の目的について
請求人は、被請求人がエアプレックス社の意向に反する行為を行い、消費者に対して被請求人が総代理店であるという誤った情報を与え、他のエアプレックス社代理店に対し営業妨害をし、エアプレックス社商品の販売に係る事業を独占しようとする不正の目的があると主張している。
しかしながら、被請求人は、エアプレックス社の正規販売代理店であり(乙5、乙6)、被請求人による本件商標の商標登録は、エアプレックス社と合意の上で行われたものである。商標権の取得の許可は、2019年2月11日ないし13日当時、電子メールによる通信文書で行われたが(乙7、乙8)、被請求人が不正の目的をもって本件商標の商標権を取得したものではないことを証明するため、あらためて、エアプレックス社より「AIRPLEX」の商標取得許可書を入手した(乙9、乙10)。
被請求人が本件商標の商標権を取得した目的は、日本において、エアプレックス社の代わりに、商標「AIRPLEX」を侵害行為から保護することにあり、被請求人の意思は、電子メールにも明記されている(乙7)。
なお、被請求人は、本件商標の登録許可に加え、エアプレックス社よリニュージーランドの登録商標「AIRPLEX」の日本国内での使用も許諾されている(乙11、乙12)。
以上より、被請求人による本件商標の商標登録は、エアプレックス社の許可の下に行われたものであり、被請求人には不正の目的があるとの請求人の主張は失当である。
3 被請求人の主張
(1)商標法第4条第1項第10号について
本号にいう「広く認識されている」とは、業務にかかる商品等とこれと競合する商品等の組み合わせた市場において、その需要者又は取引者として想定される者に対して、当該業務に係る商品等の出所が周知されていることであり、その周知の程度は、全国的に知られているまでの必要性はないものの、通常、一地方、すなわち、一県の全域及び隣接の数県を含む程度の地理的範囲で知られている必要がある(平成27年(行ケ)10083号)ところ、三菱のグランディス、ホンダのアコード及びトヨタのアルファード(甲9~甲11)を含む自動車は、日本全国の市場で販売されているものであり、自動車に取り付ける自動車用アクセサリ及びパーツ等も当然に日本全国で販売されるものであって、特定の地域で集中的に又は専属的に販売されるものという事情は見受けられない。
そして、上述のとおり、引用商標が周知であったとの主張を具体的に示す全国規模の自動車用アクセサリの市場における使用数量(生産数、販売数等)、商品の売上金額、市場占有率(マーケットシェア)及び広告宣伝等の証拠は何も提示されていない。
以上より、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において取引者及び需要者の間で広く知られているとの請求人の主張は失当であり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知性を獲得していたとはいい難く、かつ、被請求人はエアプレックス社から日本における商標権の取得について許可を得た上で商標登録出願を行い(乙7~乙10)、商標権を取得し、責任をもって商標の保護に努めている。
よって、被請求人が、取引者・需要者の間で広く知られている引用商標と同一又は類似する商標を不正の目的もって使用するものであるとの請求人の主張は甚だ心外であり、失当といわざるを得ず、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
4 結論
本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当せず、本件商標の登録には正当性があり無効理由は存在しない。
第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案に入って審理する。
1 引用商標の周知性について
(1)請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、「Airplex Industries Ltd」(エアプレックス社)は、1982年にニュージーランドで設立された自動車用アクセサリ(ボンネットガード、ヘッドライトプロテクターなど)の製造、販売などを行う法人であり(甲3、甲4)、商標「AIRPLEX」(引用商標)についてオーストラリア及びニュージーランドで商標登録を受けていること(甲6、甲7)、及びエアプレックス社は、ニュージーランドにおいて、自己の業務に係る商品(自動車用アクセサリ)について引用商標(大文字と小文字の異なるものを含む。以下同じ。)を使用していること(甲10、甲12~甲14)が認められる。
また、我が国において、エアプレックス社の商品(自動車用アクセサリ)は遅くとも2011年頃から引用商標の使用のもとに販売等されていたこと(甲22~甲29)、及び請求人は、滋賀県彦根市所在の自動車部品の輸出入事業などを行う法人であり(甲16)、2013年、2017年、2018年、2019年に各1回、エアプレックス社から自動車用アクセサリを輸入したこと(甲17~甲20)が認められる。
しかしながら、引用商標を使用したエアプレックス社の商品(以下「使用商品」という。)の我が国及びニュージーランドなど外国における販売数、売上高、シェアなど販売実績や広告宣伝の実績を示す証左は、いずれも見いだせない。
(2)上記(1)のとおり、使用商品は我が国において遅くとも2011年頃から販売等されており、また、このことから、エアプレックス社はニュージーランドにおいて遅くとも2011年頃から引用商標を自己の業務に係る商品について使用しているといい得るものの、使用商品の我が国及びニュージーランドなど外国における販売実績などを示す証左は見いだせないから、使用商品及びそれに使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、エアプレックス社の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして、我が国又はニュージーランドなど外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、請求人は、エアプレックス社によれば、2000年ないし2018年に主力のボンネットバード及びドアバイザーを合わせ約17,000個のエアプレックス社商品が日本国内で流通している旨主張しているが、それを裏付ける証左はなく、また、仮にかかる個数が事実だとしても、我が国における自動車の普及状況を考慮すれば、引用商標の周知性を認め得るほどの数量とはいえず、上記判断を覆し得ない。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の周知性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、エアプレックス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、上記第1及び第2のとおり、いずれも「AIRPLEX」の欧文字からなるものであるから、同一又は類似の商標であること明らかである。
(3)不正の目的について
請求人は、被請求人は他のエアプレックス社代理店に対して商標権の侵害にあたるなどと警告をし、営業を妨害し、エアプレックス社商品の販売に係る事業を独占しようとするものであるなどとして、被請求人には不正の目的がある旨主張している。
しかしながら、自己の商標権に基づき商標権侵害である旨の警告をすることは、通常の商標権の行使といえるものであり、また、提出された証拠によっては、本件商標は不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。
したがって、請求人のかかる主張は採用できない。
よって、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
(4)小括
上記(2)のとおり本件商標と引用商標は同一又は類似の商標であるが、上記(1)のとおり引用商標はエアプレックス社の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(3)のとおり本件商標は不正の目的をもって使用をするものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。
3 商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用商標及び本件商標の指定商品と使用商品は同一又は類似するものであるが、上記1のとおり引用商標はエアプレックス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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