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商標無効審判

2021-890061

シャット、シアット、ジアット、キシアット、クシアット、エキシャット、エクシャット

審判番号
2021-890061
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2016-063931
登録番号
5897540
請求日
2021年11月15日
審決日
2022年07月29日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】アディダス アーゲー
  • 【請求人代理人】柳田 征史
  • 【被請求人】義烏誠品网絡科技有限公司
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 山田 啓之
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T111 .271-Z (W25)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法4条1項15号商標法46条1項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5897540号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5897540号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5897540号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年6月10日に登録出願、第25類「ジャケット,半そでのワイシャツ類及びアンダーシャツ,スーツ,被服,新生児用被服,防水加工を施した被服,靴及び運動用特殊靴,ネクタイ,スカーフ,ベルト,皮製のベルト,水泳着,ワイシャツ類及びシャツ,帽子,靴下」を指定商品として、同年11月4日に登録査定、同月18日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、引用する商標は、次の17件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第1752369号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲2(1)のとおり 指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和55年7月31日 設定登録日 昭和60年3月25日 2 登録第1893755号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲2(1)のとおり 指定商品 第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和55年7月31日 設定登録日 昭和61年9月29日 3 登録第1664559号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲2(1)のとおり 指定商品 第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和55年7月31日 設定登録日 昭和59年2月23日 4 登録第4058526号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成6年12月8日 設定登録日 平成9年9月19日 5 登録第5322769号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第3類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成21年5月22日 設定登録日 平成22年5月14日 6 登録第1577096号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様 別掲2(3)のとおり 指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和52年4月8日 設定登録日 昭和58年3月28日 7 登録第1625615号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様 別掲2(1)のとおり 指定商品 第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和55年7月31日 設定登録日 昭和58年10月27日 8 登録第6012725号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の態様 別掲2(1)のとおり 指定商品 第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成29年4月24日 設定登録日 平成30年1月19日 9 登録第2373646号商標(以下「引用商標9」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第9類及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和63年4月29日 設定登録日 平成4年1月31日 10 登録第3368057号商標(以下「引用商標10」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成7年12月12日 設定登録日 平成9年12月26日 11 登録第4046196号商標(以下「引用商標11」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成7年12月8日 設定登録日 平成9年8月22日 12 登録第4053543号商標(以下「引用商標12」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成7年12月8日 設定登録日 平成9年9月5日 13 登録第4073381号商標(以下「引用商標13」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成8年5月10日 設定登録日 平成9年10月24日 14 登録第5043717号商標(以下「引用商標14」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成18年9月12日 設定登録日 平成19年4月27日 15 登録第5337065号商標(以下「引用商標15」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成21年12月14日 設定登録日 平成22年7月9日 16 登録第5661893号商標(以下「引用商標16」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成25年11月8日 設定登録日 平成26年4月4日 17 登録第5941171号商標(以下「引用商標17」という。) 商標の態様 別掲2(2)のとおり 指定商品 第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成28年8月18日 設定登録日 平成29年4月21日 以下、引用商標1ないし17をまとめて「引用商標」という。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第148号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 利害関係 本件商標は、請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがあり、また、請求人のトレフォイルロゴの世界的著名性、顧客吸引力にフリーライドするものであって、その出所表示力を稀釈化するものであるから、請求人は、本件商標の登録無効審判の請求について利害関係を有する。 2 請求人の使用に係るトレフォイルロゴの著名性 (1)アディダスの沿革及び3本線商標の歴史 請求人のアディダス アーゲー(以下「アディダス」という。)は、ドイツ国ヘルツオーゲンアウラッハを本拠とする世界的に著名なスポーツ用品メーカーであり、その歴史は、アディ・ダスラーが1920年にスポーツシューズを開発したことに始まる(甲26の6)。アディダスが「3本線」(スリーストライプス)を商標として使用開始したのは、1949年のことであり、同年に、3本線をスポーツシューズの甲の側面にサイドラインとして付したデザインを採用し(甲26の6)、これ以降、3本線商標は、今日まで60年を超える長期に渡り継続して請求人の業務に係る商品及び役務の識別標識として世界各国で使用され、需要者の間で広く認識されるに至っている。 靴の甲の側面に3本線を付したアディダス製スポーツシューズは、1952年のオリンピック・ヘルシンキ大会で西ドイツ選手が着用したことによって世界の舞台に初登場し、1952年ヘルシンキ大会後、1960年のローマ大会では参加選手中約75%がアディダス製品を、1964年の東京大会から1976年のモントリオール大会までは参加選手の80%以上がアディダス製品を着用していた(甲31)。 請求人の3本線商標は、サッカーのワールドカップ大会やテニスの国際大会等を通じても、請求人の商品及び役務を観念させるものとして需要者に広く知られるに至った。1954年開催のサッカー・ワールドカップ大会では、アディダス製サッカーシューズを着用した西ドイツ代表チームが優勝し、また、1970年にはアディダス製サッカーボールが初めてサッカー・ワールドカップ大会の公式ボールとして採用され(甲26の7)、これ以降、アディダス製サッカーボールは連続して大会公式ボールに採用されることとなった。 また、アディダス製のサッカーユニフォームは、アディダスの本国のドイツ国を始め、世界のサッカー強豪国の代表チームやプロリーグチームが採用し(甲120)、サッカー日本代表チームにも公式採用されている(甲115~甲117、甲121)。 (2)「3本線」に関する広告活動 請求人は、需要者の間で広く認知されている「3本線=アディダス」というイメージの保持と徹底を図るべく、「3本線」又は「スリーストライプス」とのフレーズを自己の業務に係る商品と常に結び付けた形で商品カタログや広告等に使用した。すなわち、少なくとも1989年から1996年までの7年間、アディダスの商品カタログの裏表紙(甲35~甲40、甲43~甲47)や雑誌掲載広告(甲107、甲114)には、3本線から構成される図形の表示とともに「3本線はアディダスの登録商標です」なる表示が継続的に記載された。甲第108号証に示す雑誌掲載広告では、「ハイテクを秘めた3本線」及び「勝利を呼ぶ3本線」とのフレーズを、甲第114号証に示す商品カタログでは「勝利をめざす三本線/スリーストライプス」とのフレーズを用いて、アディダス製品の広告宣伝を行った。 (3)日本における営業活動 我が国におけるアディダス製品の営業活動は、遅くとも1971年頃、当時アディダスの商標の日本における使用権者であった株式会社デサントを通じて開始された(甲27)。これ以降1998年までは株式会社デサント(途中、兼松スポーツ用品株式会社を含む。)を通じて、アディダス製のポロシャツ、ティーシャツ、スウェットスーツ、帽子等の被服、運動靴、サンダル等の履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴、ベルト、かばん類、布製身の回り品等が日本で販売され、これらの商品並びにそのカタログ及び広告に3本線商標が表示された(甲27~甲48、甲50~甲64、甲103~甲114)。1999年1月から現在に至るまでは、アディダスの子会社として設立された日本法人のアディダスジャパン株式会社(甲122)によって、アディダス製品の販売が継続され、ハウスマーク及び各種取扱製品に3本線商標が使用された(甲49、甲65~甲102、甲114、甲119~甲124、甲126~甲129、甲131~甲133)。 (4)審決等及び判決における3本線商標の著名性の認定 このような長期問に渡る大規模な使用によって、被服、靴類、運動用具など請求人の取扱商品に付された3本線を基調とする商標は、請求人の製造販売に係る商品の出所を表示するものとして需要者の間で広く認識されるに至っている。 (5)トレフォイルロゴの使用実績及びその著名性 請求人は、1972年に、上記のとおり請求人の代表的商品出所表示である3本線商標を三つ葉の図案と組み合わせて構成した「トレフォイル(三つ葉の模様)」と呼ばれる新しいロゴマーク(以下「トレフォイルロゴ」という。)を創作し、これを商標として正式に採用した(甲26の7、甲122)。トレフォイルロゴは、3枚の細長い葉様図形を扇形に並べ、その下半部を横切るように3本の平行線(3本線)を白抜きで表示した構成からなるもので、その独創性の程度は極めて高い。 トレフォイルロゴは、1972年から1995年までの23年間に渡ってアディダスのコーポレートロゴ(社章)として使用されてきたものであり、各種の個別商品商標(ワンポイントマークとしての使用を含む。)における使用にとどまらず、ほとんど全てのアディダス製品カタログの表紙、裏表紙又は各頁、取引書類、販売促進物(雑誌付録など)及び広告物に最も大きく目立つ態様で表示されて使用された(甲28~甲65、甲103~甲113)。 2001年に請求人は、トレフォイルロゴを、アディダスの主要製品部門中、伝説の名品モデルの復刻商品、現在のトレンドを反映させた新作モデル、世界を代表するクリエイターやデザイナーとのコレボレーションなどをストリートスポーツウェアとして展開する「オリジナルス」と呼ばれる製品部門を代表するシンボルマークに採用した(甲122、甲125)。これ以降現在に至るまで、トレフォイルロゴは、「オリジナルス」部門の商品及びその商品情報(甲66~甲96、甲123)、並びにアディダス公式オンラインショップで販売する「オリジナルス」部門の各商品(甲97~甲102、甲126~甲133)、例えば、パーカー、Tシャツ、スウェットシャツ、スウェットパンツ、帽子、スニーカー、サンダル、ソックスなどに使用されている。 請求人は、引用商標に示すとおり、被服、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴、運動用具、かばん類などのアディダスの主要製品を含む様々な商品分野において数多くのトレフォイルロゴの登録を所有している。また、トレフォイルロゴと「adidas」の文字や3本線のデザインを組み合わせた態様ついても登録を取得している(甲19~甲22)。 以上の事実に照らせば、請求人の使用に係るトレフォイルロゴは、本件商標の登録出願時及び査定時には、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。 3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由 本件商標は、細長い木の葉状の図形の下半部を水平に切り取ったものを仮想垂直線と平行に並べ、その右側に細長い木の葉状の図形の下半部を斜めに切り取ったものを仮想垂直線に対して右に傾けて並べたもの(2枚の葉様図形)と、水平方向に2本の同幅で互いに平行な線を均等間隔で配置したもの(2本線)からなる図形部分、及び当該図形の下に欧文字で「XIAT」と横書きした文字部分から構成される。 請求人の使用に係るトレフォイルロゴ(引用商標)は、細長い木の葉状の図形(葉様図形)3枚を、1枚目は仮想垂直線と平行に並べ、その両側に2枚目及び3枚目を仮想垂直線に対してそれぞれ左右に傾けて1枚目の輪郭線と接する程度まで近付けて配置したもの(三つ葉)に、その下半分を横切るように3本の同幅の互いに平行な線を均等間隔で配置して白抜きで表示したもの(3本線)から構成される。 当該図形部分と文字部分は、互いが物理的に分離しており、また、両者の間に観念的なつながりを見いだすこともできないから、これら全体が常に不可分一体の出所識別標識として認識、理解されるものとはいえない。したがって、図形部分が独立の商品出所識別標識として認識され、機能し得るものであることは明白である。 そこで、当該図形部分と請求人の使用に係るトレフォイルロゴを比較対照すると、両者は、まず、放射状に配置された2枚又は3枚の細長い葉様図形と、2本又は3本の同幅で均等問隔に配置された平行線から構成される点が共通し、その全体的な外観印象が類似する。 両者を詳細に観察すると、図形部分は、2枚の葉様図形と2本の平行線で構成される点、当該葉様図形は上半部のみが存在し、下半部が存在しない点、2本の平行線は塗りつぶされている点で請求人のトレフォイルロゴの構成と厳密には異なるが、図形部分は、請求人の卜レフォイルロゴの構成の一部を切り取ってなる図形と一致する。 したがって、図形部分は、トレフォイルロゴと基本的な構成の軌跡を一にするものというべきであり、両者の微細な相違点は捨象され、出所識別標識として酷似した印象を取引者及び需要者に与えるものであることが明らかである。 本件商標は、図形部分に加え、「XIAT」の文字部分を有するが、当該文字部分は特定の既存の観念を直観させるものではなく、図形部分が取引者及び需要者に与える出所識別標識としての圧倒的に強い印象を凌駕するものではない。 請求人は、トレフォイルロゴと「adidas」の文字等を組み合わせて使用することも多い(甲19~甲21)。また、請求人がトレフォイルロゴと組み合わせて使用している文字は「adidas」だけにとどまらない(甲128~甲130)。 以上の事項に照らせば、本件商標と請求人の使用に係るトレフォイルロゴの類似性の程度は極めて高いというべきである。 本件商標の指定商品は、請求人が長年トレフォイルロゴを使用し、著名性を獲得しているTシャツ、パーカー、スウェットシャツなどのカジュアルウエア及びスポーツウエア、スニーカー及びサンダル、バッグ類などの商品と同一又は類似のもの、あるいは、ファッション関述の品目として使用目的、販売場所、需要者を共通にする、関連性が密接なものである。 本件商標の指定商品を取り扱う業界では、商標をワンポイントマークとして商品に表示することが一般的に行われており、請求人のトレフォイルロゴがワンポンイントマークとして使用されることも少なくない。したがって、本件商標がワンポイントマークとして指定商品に小さく表示されることも容易に想定される。そのような場合、本件商標の構成の細部まで正確に表示されないことや、需要者が微細な点に気付かないことも多く、看者は、細部の相違点が捨象された商標の全体的な印象で、当該商品の出所を認識、理解することも少なくない。 また、本件商標の指定商品の最終的な需要者は、一般の消費者であるから、必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たず、商品の選択・購人において払われる注意力の程度は高いものとはいえない。 以上の事項を総合的に勘案すれば、本件商標が指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、請求人のトレフォイルロゴ及び請求人会社を直観し、本件商標を請求人の使用に係るトレフォイルロゴの一類型(トレフォイルロゴのデザインバリエーション)であると誤信し、あるいは、当該指定商品が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的関連を有する者の業務に係る商品(例えば、請求人との共同事業によって開発されたコラボレーション商品、あるいは、請求人がトレフォイルロゴを使用許諾したライセンス商品)であると誤信し、商品の出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。 4 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由 本件商標は、請求人の商品出所表示として世界的に著名なトレフォイルロゴの信用力、顧客吸引力にフリーライドせんとする不正な目的で採択使用されたものと推認せざるを得ず、本件商標が指定商品に使用された場合、請求人の長年の企業努力及び宣伝活動によって獲得されたトレフォイルロゴの出所表示機能が稀釈化され、請求人が経済的及び精神的損害を被ることは明らかである。 したがって、本件商標は、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の目的、社会一般道徳及び国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。 5 結語 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)請求人商標の周知著名性の程度について ア 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)請求人は、1920年に創業者がスポーツシューズを製造したことを起源とする、ドイツを本拠とするスポーツ用品メーカーであり、1949年から3本線の商標を、1972年からはトレフォイル(三つ葉模様)と称する別掲2(2)のとおりの構成からなる商標(以下「請求人商標」という。)の使用を開始した(甲26の6、甲26の7、甲122)。 (イ)請求人商標は、1972年から1995年まで、請求人の正式ロゴとして使用されており(甲125)、請求人と関連するスポーツ用品やシューズの製品カタログ(1975年、1978年、1980年から1982年、1986年から1990年、1993年、2004年から2006年、2008年から2011年)の表紙には、請求人商標又はこれと酷似する他の引用商標が顕著に表示され、その他の年を含む当該製品カタログの掲載記事や掲載商品の中にも、同商標を表示したものが多数見受けられる(甲28~甲96)。 また、請求人商標は、2001年からは、ストリートスポーツウェアブランドで、アスリートのために開発されたプロダクトの復刻商品から、現在のトレンドを反映させた新作モデルやコラボレーションによるプロダクトまで、幅広い商品展開が行われている「アディダスオリジナルズ」のロゴとして採用されている(甲122、甲125)。 そして、2017年時点において販売されている請求人に係る商品のうち、請求人商標が付されているものは、「パーカー,Tシャツ,ハット,スニーカー」などである(甲97~甲101、甲128、甲129、甲131~甲133)。 (ウ)申立人に係る商品の広告や紹介記事は、請求人商標又はこれと酷似する他の引用商標とともに、サッカー雑誌やスポーツ雑誌などに掲載されており(甲103~甲109)、「マイナビニュース」(2013年6月16日付け)の「アディダスのロゴデザインの歴史について、広報さんに聞いてみた」の見出しの記事において、請求人は「世界的に有名なスポーツ用品メーカー」と紹介され、請求人商標について「ある年代にとっては、アディダスといえば『三つ葉のロゴ』でした」、「おなじみの三つ葉のロゴ」と言及されている(甲125)。 イ 以上によれば、世界的なスポーツ用品メーカーである請求人は、請求人商標を、1972年以降、自社の正式ロゴ又はブランドの1つとして、主にスポーツ用品との関係において長期に渡り使用し、2001年以降はストリートスポーツウェアなどカジュアル衣料品を含む幅広い分野で使用しており、これらの事業活動に伴い、請求人商標を表示した広告又は製品が雑誌等に掲載されたものであるから、本件商標の登録出願時及び査定時において、請求人商標は、請求人の業務に係る商品「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」などを表示するものとして、我が国の需要者及び取引者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その周知著名性の程度は、極めて高いものということができる。 (2)請求人商標の独創性の程度について 請求人商標は、後記(3)イにおいて認定した構成からなるものであるから、その独創性の程度は高いというべきである。 (3)本件商標と請求人商標との類似性の程度について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、上端に頂点を有する縦長の山形図形を中心に、その右側に、右上に頂点を有する縦長の山形図形、その下に、右上の山形図形の外側曲線からの延長線に沿って右端が斜めに切り取られ、かつ、左端も斜めに切り取られた略平行四辺形状の2本の水平な横線、及びその下に「XIAT」の欧文字をそれぞれ配した構成からなるものである。 イ 請求人商標について 請求人商標は、別掲2(2)のとおり、上端に頂点を有する縦長の山形図形を中心に、その左右に、左上又は右上に頂点を有する縦長の山形図形、その下に左上及び右上の山形図形の外側曲線からの延長線に沿って両端が斜めに切り取られた、2本の水平な横線及び下端に頂点を有する3つの山形図形からなるものであり、全体として、3枚の葉状図形を扇状に並べ、それらの上部の接点付近から下部にかけて、3本の白抜きの横線で貫いて表した構成からなるものである。 ウ 本件商標と請求人商標との比較 本件商標と請求人商標とを比較すると、両商標は、中央及び右側の山形図形、その下部の2本の水平な横線並びに当該横線の右端は上の山形図形の外側曲線からの延長線に沿って斜めに切り取られた構成からなる図形部分において構成上の特徴が共通するが、本件商標に文字部分を有する点、及び2本の水平な横線が略平行四辺形状になっている点、並びに請求人商標では、左側に葉状図形を有する点、及び下端に頂点を有する3つの山形図形がある点で相違する。 しかしながら、両商標の上記共通部分は、葉状図形及びその下部の2本の水平な横線を有する点において基本的な構成が極めて酷似すること、そして、上記(1)イのとおり、周知著名性の程度が極めて高い請求人商標の構成である、3枚の葉状図形を3本の白抜きの横線で貫くという特徴の一部を充足するものであることからすると、本件商標は、請求人商標の一部を省略しているといった印象をも同時に与えるものである。 そうすると、本件商標は、部分的とはいえ、請求人商標と基本的な構図、着想、特徴が一致し、請求人商標のデザインの一部を変更、省略して表したものと認識、理解されるというべきである。 したがって、本件商標と請求人商標との類似性の程度は、相当程度高いということができる。 (4)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、被服などの、日常生活において人が着用することを目的又は用途にする衣料品であり、広く一般消費者を需要者とするところ、請求人の使用に係る商品は「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」で、スポーツの愛好家により使用されることを目的とするものに加えて、日常生活において人が着用することを目的又は用途にする衣料品を含むものであるから、その需要者は、スポーツ愛好家を含む、一般消費者である。 そうすると、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品とは、衣料品としての性質、用途又は目的における関連性の程度が高く、また、取引者及び需要者を共通にするものと認められる。 (5)出所の混同のおそれについて 以上のとおり、請求人商標の周知著名性及び独創性の程度、本件商標と請求人商標との類似性の程度、並びに本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との関連性の程度はいずれも高く、また、取引者及び需要者を共通にするものである。 そうすると、本件商標の商標権者が、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者及び需要者は、請求人又は同人の業務に係る商品との関係を連想、想起し、当該商品が請求人又は請求人との間に緊密な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 商標法第4条第1項第7号該当性について 請求人は、本件商標は、請求人の商品出所表示として世界的に著名なトレフォイルロゴの信用力、顧客吸引力にフリーライドせんとする不正な目的で採択使用されたものと推認せざるを得ず、本件商標が指定商品に使用された場合、請求人の長年の企業努力及び宣伝活動によって獲得されたトレフォイルロゴの出所表示機能が稀釈化され、請求人が経済的及び精神的損害を被る旨主張する。 しかしながら、そのような事実を明らかにする具体的な証拠の提出はなく、職権による調査によってもそのような事情は見いだせない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号には該当しないとしても、同項第15号に該当するものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-890061

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