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商標無効審判

2021-890059

アイステディ

審判番号
2021-890059
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2019-119178
登録番号
6211728
請求日
2021年11月05日
審決日
2022年06月21日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】深▲せん▼市浩瀚卓越科技有限公司
  • 【請求人代理人】崔 海龍
  • 【被請求人】WES 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 齋藤 貴博
  • 審判官 森山 啓
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T111 .18 -Y (W09) / T111 .222-Y (W09) / T111 .255-Y (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6211728号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6211728号商標(以下「本件商標」という。)は、「iSteady」の文字を標準文字で表してなり、令和元年9月7日に登録出願、第9類「自撮り棒(手持用一脚),デジタルカメラ用自撮り棒」を指定商品として、同年11月28日に登録査定され、同年12月27日に設定登録されたものである。 2 引用商標 請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、請求人が自撮り棒の名称として使用していると主張する「iSteady」の欧文字よりなる標章(以下「引用商標」という。)である。 3 請求人の主張 請求人は、「登録第6211728号商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項柱書 本件商標の出願人である「WES株式会社」は、平成28年5月16日に設立された茨城県つくば市に所在する会社であり、その事業内容は「コンピュータ、その周辺機器・関連機器及びそのソフトウェアの開発、設計、製造、販売並びに輸出入業務・インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス、情報収集サービス、広告・宣伝に関する業務及び代理業務や、通信販売業務、その他前記に付帯関連する一切の事業」とされている。同社の資本金は300万円であり、代表取締役は「眞田一将」氏である(甲1)。 WES株式会社は、平成27年から現在にかけて、日本国において、合計74件の商標登録出願又は商標登録の名義人である(甲2)。さらに、同社取締役社長の眞田一将と同一の人物と思われる真田一将名義の商標登録出願又は商標登録は合計25件が確認されている(甲3)。 一方、同社名義で経営されているインターネット通販サイト「WES STORE」(甲4)では、わずか6点の商品しか取り扱われておらず(甲5)、これらの商品にはいずれも本件商標「iSteady」が使用されていないことが確認できる。 さらに、登録商標の売買を業として経営されているウェブサイト「アットしょうひょう」(甲6)では、本件商標の名義人である「WES株式会社」又はその取締役社長「眞田一将」氏が所有している登録商標の転売に関する情報が大量に掲載されており、これらの商標はいずれも「WES株式会社」又は「眞田一将」氏の自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標ではないことが明白である(甲7~甲27)。 以上の事実により、本件商標は登録後、登録権者の自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標ではなく、転売目的で本件商標を登録した蓋然性が極めて高いことが分かる。この理由から、本件商標の登録は無効とされるべきである。 (2)商標法第4条第1項第10号 本件審判請求人(以下「請求人」という。)である「深▲せん▼市浩瀚卓越科技有限公司(Hohem Technology Co.,Ltd.)」は2014年5月20日に中華人民共和国で設立された法人であり(甲28)、同国では商標登録「iSteady」の登録権者である(甲29)。 請求人は、本件商標の出願前にすでに日本の通販サイトアマゾンにおいて「iSteady」を商標として商品「自撮り棒」について使用を開始した。 具体的には、次の証拠において、商標「iSteady」が商品「自撮り棒」に使用されていること、及びその具体的な使用態様が確認できる。 ア 商品「Hohem iSteady Pro2 アクションカメラ用 IPX4 防水 ジンバル 手持ち スタビライザー 3軸 ミニ三脚付き【日本語取説付属】30°傾斜角設計 手ブレ防止 PhoneGoモード モバイルムービー制作 運動遅延撮影 APPリモートコントロール DJI OSMOアクシヨン GoPro Hero 7/6/5/4/3 YI SJCAM SONY RX0などアクションカメラに対応」、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2019年8月4日(甲30)。 イ 商品「Hohem iSteady Mobile+ スマホ スタビライザー 手持ち ジンバル 3軸 ミニ三脚付き【日本語取説付属】iPhone スマートフォン ジンバル スタビライザー ハンドヘルド 手ブレ防止 PhoneGoモード 美容モード トラッキングモーション 遅延撮影 フォーカス&ズーム機能 iPhone11 Pro Max iPhone XS MAX iPhone XS Samsung SONY Huaweiなど機種対応(最大6.5インチ)(iSteady Mobile2)」、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2019年6月21日(甲31)。 ウ 商品「Hohem iSteady Mobile Plus 3軸ジンバルスタビライザー for iPhonell X XR XS スマートフォン Vlog ビデオ録画及びスポーツ開始モード顔オブジェクトトラッキングモーションタイムラプス[日本語マニュアル付属]」、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2017年10月9日(甲32)。 上記イの商品は、現在においてもAmazon.co.jpにおいて同種の製品のベストセラーであり、需要者においては多大な信頼を獲得した人気商品である(甲33)。 また、本件商標出願日前、上記商品を購入した需要者が、これらの商品を取り上げる動画を動画共有サイトYoutubeで多数公開している。以下は日本国内の需要者が取り上げた動画を証拠として提出する。 エ タイトル「コスパ最強の1万円で買えるジンバル Hohem iSteady Mobile Plusを紹介!ハードウェア解説編」、視聴回数:13512回、公開日:2019年6月23日(甲34)。 オ タイトル「ハイコスパ 3軸ジンバル iSteady Pro レビュー 春を撮ってきたゾー」、視聴回数:4298回、公開日:2019年3月3日(甲35)。 上記の事実により、商標「iSteady」は、本件商標の出願時及び登録時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることが明らかである。本件商標は、請求人の商標と同一であり、その指定商品も請求人の商標が使用された商品「自撮り棒」と同一である。よって、本件商標は第4条第1項第10号に該当し、その登録は無効とされるべきである。 (3)商標法第4条第1項第19号 本件商標「iSteady」は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標であって、不正の目的をもって使用するものに該当し、同法第4条第1項第19号によってその登録が取り消されるべきであると考える。 請求人の商標「iSteady」は、その商品「自撮り棒」について、本件商標の出願日前において既に日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている。日本国内では、以下のとおり、出願日前の日付で請求人の「iSteady」ブランドの自撮り棒を取り上げる記事が多数あった。 ア タイトル「Hohem iSteady Pro購入した。激安のアクションカメラ用ジンバルはどこまで使えるのか!開封の儀行ってみました。」、日付:2019年3月9日(甲36)。 イ タイトル「アクションカム用ジンバル iSteady Proで遊ぶ その2:初期設定」、日付:2019年5月13日(甲37)。 ウ タイトル「Hohem iSteady Pro 02GoProKarmaGripと比較」、日付:2019年5月5日(甲38)。 エ タイトル「1万円でお釣りが来る!世界最安値クラスの3軸電子ジンバルがすごすぎる!【Hohem iSteady Pro 3軸ジンバル】」、日付:2018年9月8日(甲39)。 オ タイトル「iSteady Pro Action Camera Gimbal これは買いです。hohem 3軸 ハンドヘルド ジンバル スタビライザー」日付:2018年11月17日(甲40)。 一方、海外においても、請求人の商標「iSteady」がその商品「自撮り棒」についての紹介動画がYoutubeで多数確認でき、海外における需要者の間に広く認識されていることが明白である。 カ タイトル「Hohem iSteady Mobile REVIEW-CHEAP BUDGET GIMBAL FOR SMARTPHONES-iPHONE3-AXIS GIMBAL」、視聴回数:81081回、公開日:2018年10月25日(甲41)。 キ タイトル「iSteady Mobile Plus Tutorial-Partl」、視聴回数:57307回、公開日:2019年5月24日(甲42)。 ク タイトル「Hohemi Steady Pro 2 Gimbal Review with GoPro Hero7 Black」、視聴回数:70691回、公開日:2019年7月27日(甲43)。 ケ タイトル「Hohem iSteady Mobile REVIEW-CHEAP BUDGET GIMBAL FOR SMARTPHONES-iPHONE3-AXIS GIMBAL」、視聴回数:81081回、公開日:2018年10月26日(甲44)。 コ タイトル「Hohem iSteady Pro:Best Budget GoPro Gimbal For Under $100?」)、視聴回数:59256回、公開日:2018年7月2日(甲45)。 さらに、本件商標の登録権者は明らかに不正の利益を得るための目的として、高額の譲渡価格(17000ドル)が打診されており、さらには、過去においても中国のクライアントに対して高額で譲渡したことがあることを上げつつ高額の譲渡価額を正当化しようとしていた(甲46)。 上記(1)で述べたとおり、本件商標の登録権者が、本件商標を自己の業務に係る商品又は役務について使用することなく、転売目的で本件商標を登録した蓋然性が極めて高いことから、請求人の業務上の信用が化体された商標「iSteady」の著名性に便乗し、本件商標を転売で不正な利益を得る目的をもって使用する可能性が非常に高いといえる。本件商標の登録が維持された場合、請求人の業務上の信用が著しく害され、また、需要者の間に当該商標の出所の混同を生じるおそれがある。私益の観点のみならず、公益の観点でも本件商標は登録を認めるべきではない。 よって、第4条第1項第19号に該当する商標として、無効とされるべきである。 もっとも、本件商標の登録権者は多数の商標登録を出願し登録しながらも、いずれの商標についてもその商品に使用した事実がなく、しかも使用する予定も考えにくく、過去において同登録権者に係る商標登録が登録の異議申立てや無効審判が多数存在する経緯があり、さらに先取りした対象の多くが日本国外の他人の著名な商標で、登録後は高額で譲渡することも多いことを鑑みれば、その行為は極めて悪質であって、このような悪質行為を行政機関として看過することは当該悪質行為を助長することともみなされるため、商標法の目的(商標法第1条)に反し、我が国の商標秩序を乱すものであることは明らかである。 (4)むすび ア 商標法第3条第1項柱書 本件商標の出願人である「WES株式会社」は、2019年において商標登録出願計51件を行っており、当該出願人の規模や、自ら所有する商標権を不特定多数の者に販売する事情から鑑み、自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標とは到底いえず、商標法第3条第1項柱書によりその登録が無効とされるべきである。 イ 商標法第4条第1項第10号 本件商標は、出願時及び登録時において、請求人である「深▲せん▼市浩瀚卓越科技有限公司(Hohem Technology Co.,Ltd.)」の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一であり、その商品について使用するものとして、第4条第1項第10号に該当し、その登録は無効とされるべきである。 ウ 商標法第4条第1項第19号 本件商標は、出願時及び登録時において、他人である請求人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標であって、不正の目的をもって使用するものとして、第4条第1項第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。 5 当審の判断 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについて、被請求人は何ら答弁をしていないが、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 (1)商標法第3条第1項柱書き該当性について ア 事実認定 本件商標の商標権者(被請求人)「WES株式会社」は、平成28年5月16日に設立された茨城県つくば市に所在する会社であり、その事業内容は「コンピュータ、その周辺機器・関連機器及びそのソフトウェアの開発、設計、製造、販売並びに輸出入業務」、「インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス、情報収集サービス、広告・宣伝に関する業務及び代理業務」、「通信販売業務」及び「前各号に付帯関連する一切の事業」とされている。同社の資本金は300万円であり、代表取締役は「眞田一将」氏である(甲1)。 WES株式会社は、令和2年(2020年)3月16日時点で、我が国において、合計74件の商標登録出願又は商標登録の名義人であり、このうち2019年の出願に係るものは51件であった(甲2)。なお、甲第2号証の一覧表には、No.50までしか印刷されていないところ、No.1ないしNo.40には登録商標、No.41ないしNo.50には商標登録出願がそれぞれ番号の若い順に掲載されていることから、74件中、商標登録は40件、商標登録出願は34件と推認される。また、同社代表取締役の眞田一将氏の「眞」の字(旧字)を「真」の字とした真田一将氏名義の商標登録出願又は商標登録は、合計25件であった(甲3)。なお、被請求人の代表取締役である眞田一将氏と真田一将氏が同一人であるか否かは、提出された証拠からは確認できない。 AMAZONサイトにおいて同社名義で経営されているインターネット通販サイト「WES STORE」(甲4)で取り扱われている商品は、令和2年(2020年)3月15日時点で、6点であり、これらの商品にはいずれも本件商標「iSteady」は使用されていない(甲5)。 また、登録商標の売買を業として経営されているウェブサイト「アットしょうひょう」(甲6)では、令和2年(2020年)3月15日時点で、本件商標の商標権者(被請求人)「WES株式会社」が所有している登録商標の転売に関する情報が4件(甲7~甲11)、及び「真田一将」氏が所有している登録商標の転売に関する情報が13件(甲12~甲27)、合計17件掲載されている。なお、本件商標「iSteady」に関する情報は掲載されていない(甲7~甲27。なお、甲7と甲11、甲14と甲23、及び甲15と甲16と甲24は、それぞれ同一の重複した証拠と認められる。)。 イ 判断 上記事実によれば、被請求人が、2019年の1年間に51件の商標登録出願を行っていることは、被請求人の企業規模からすれば、比較的多い印象はあるものの、令和2年(2020年)3月16日時点で被請求人が所有している合計40件の商標登録のうち、同月15日時点で、ウェブサイト「アットしょうひょう」に掲載され、売買の対象となっている商標は4件にすぎないから、当該事実をもって、直ちに本件商標が、自己(被請求人)の業務に係る商品又は役務について使用する商標又は使用する意思を有する商標に該当しないとはいえない。また、被請求人の運営に係るインターネット通販サイト「WES STORE」で取り扱われている商品が、令和2年(2020年)3月15日時点で、6点のみであり、その中で本件商標が使用されていなかったとしても、本件商標を使用する機会は当該通販サイトに限られるわけではないから、当該事実をもって、直ちに本件商標が、自己(被請求人)の業務に係る商品又は役務について使用する商標又は使用する意思を有する商標に該当しないともいえない。 そうすると、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、同法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、請求人が提出する証拠によっては、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品について本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同項第19号該当性について ア 引用商標の周知性について (ア)事実認定 請求人の提出に係る甲各号証及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。 a 請求人は、2014年(平成26年)5月20日に中華人民共和国で設立された法人であり(甲28)、同国では、商標「iSteady」の商標権者である(甲29)。なお、請求人の英語名については確認できない。 b 我が国の通販サイト「Amazon.co.jp」(以下「アマゾン」という。)において、商標「iSteady」が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル」(ジンバル(Gimbal)とは、ブレのない動画を撮影する事を目的とした電子制御式スタビライザーのこと(「広告デザイン業界用語辞典」https://andspace.net/dictionary/jp-sa/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB/))等が、「Hohem Japan」より販売されているところ(甲30~甲32)、商品「アクションカメラ用ジンバル」は、「iSteady Pro2」の名称で、遅くとも2019年(令和元年)8月4日から(甲30)、商品「スマートフォン(以下「スマホ」という。)用ジンバル」は、「iSteady Mobile+(Plus)」の名称で、遅くとも2017年(平成29年)10月9日から、それぞれ販売されていた(甲32)。 なお、アマゾンにおいて(印刷日:2020年(令和2年)3月15日)、上記の商品(甲30~甲32)が、商品の写真とともに掲載されている(甲33)。なお、請求人は、当該商品がベストセラーと認定された旨主張するが、同号証からはかかる事実は確認できない。 c 動画共有サイト「Youtube」において、「コスパ最強の1万円で買えるジンバル Hohem iSteady Mobile Plusを紹介!ハードウェア解説編」(甲34:公開日2019年(令和元年)6月23日)及び「ハイコスパ 3軸 ジンバル iSteady Pro レビュー 春を撮ってきたゾー」(甲35:公開日2019年(平成31年)3月3日)の見出しの下、動画が提供されており、これらの動画の視聴回数は、2020年(令和2年)3月15日現在、それぞれ、13512回及び4306回である。 d 我が国のインターネット記事(ブログ)において、引用商標が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル」がいずれも本件商標の出願日(令和元年(2019年)9月7日)前の日付(同年3月9日、5月13日、5月5日、2018年9月8日、同年11月17日の各日付)で紹介されている(甲36~甲40)。 e 引用商標が使用された商品「スマホ用ジンバル」(甲41、42、甲44)及び「アクションカメラ用ジンバル」(甲43、甲45)についての5つの紹介動画が、2018年(平成30年)7月2日から2019年(令和元年)7月27日までの間に、動画共有サイト「Youtube」において、第三者により英語で公開されたところ、2020年(令和2年)3月15日時点での視聴回数は、少ないものは57307回、多いものは81081回であった(甲41~甲45)。 (イ)判断 上記(ア)で認定した事実によれば、以下のとおりである。 a 我が国において、引用商標「iSteady」が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル、スマホ用ジンバル」等が販売されていたことは認め得るとしても、上記商品の我が国における販売期間(本件商標の出願日までの販売期間)は2年程度と短く、また、日本国内又は外国での販売数量、販売額等の販売実績なども明らかではない。さらに、販売元である「Hohem Japan」と請求人との関係が不明であり、上記商品が請求人の業務に係る商品であることも確認できない。 b 引用商標が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル」は、インターネット記事(ブログ)において紹介されているが、提出された記事はわずか5件であり、しかも、それらは購入者等の個人的な感想にすぎない。 c 動画共有サイト「YouTube」において、引用商標が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル、スマホ用ジンバル」が日本語又は英語で紹介されているとしても、視聴回数の多寡について、比較すべき客観的な証拠は見いだせない。 d 請求人は、引用商標を商品「自撮り棒」(「スマートホンで自撮りするための棒。先端部にスマートホンを取り付け、・・・遠隔操作でシャッターを切る。」(「デジタル大辞泉」小学館))について使用している旨主張するが、請求人が提出した全証拠をみても、請求人が引用商標を商品「自撮り棒」に使用した事実は確認できない。 e その他、商品「アクションカメラ用ジンバル、スマホ用ジンバル」及び請求人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」について、日本国内又は外国において引用商標が需要者の間に広く認識されていることを客観的に判断するための証拠、すなわち、商品の販売数量、市場シェア、広告宣伝の方法、広告地域及び広告宣伝費等を具体的に示す証拠の提出はない。 以上よりすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が使用された商品「アクションカメラ用ジンバル、スマホ用ジンバル」又は請求人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 イ 商標法第4条第1項第10号及び同項第19号該当性について 上記アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(「アクションカメラ用ジンバル、スマホ用ジンバル」又は「自撮り棒」)を表すものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認められないものであるから、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号の要件を充足しないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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