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商標無効審判

2021-890049

リベング、レベング

審判番号
2021-890049
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2018-074717
登録番号
6299288
請求日
2021年09月16日
審決日
2022年09月29日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】バンズ インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】達野 大輔
  • 【請求人代理人】竹中 陽輔
  • 【請求人代理人】中山 真理子
  • 【請求人代理人】稲垣 朋子
  • 【被請求人】リベンジ バイ ストーム リミテッド
  • 【被請求人代理人】神保 欣正
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 矢澤 一幸
  • 審判官 杉本 克治
分類
T111 .251-Y (W25) / T111 .261-Y (W25) / T111 .271-Y (W25)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6299288号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6299288号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなる立体商標であり、平成30年6月5日に登録出願、第25類「運動靴」を指定商品として、令和2年7月13日に登録査定、同年10月2日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 本件審判請求人(以下「請求人」という。)が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は、以下(1)及び(2)の登録商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4605174号商標(以下「引用商標1」という)は、別掲2に示すとおりの構成からなる図形商標であり、1996年4月19日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年8月30日に登録出願、第25類「運動靴及びスニーカー」を指定商品として、同14年9月20日に設定登録されたものである。 (2)登録第5497892号商標(以下「引用商標2」という)は、別掲3に示すとおりの構成からなる図形商標であり、平成23年12月8日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同24年6月1日に設定登録されたものである。 上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下、「引用商標」という。 2 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標(以下「使用商標」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなる商標であり、請求人が、「運動靴」に使用しているというものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第304号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由の要点 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、請求人の保有する引用商標と同一又は類似である。 また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似である。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 請求人の引用商標は、本件商標の先願権発生日以前より、我が国及び外国において請求人の商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されてきた周知・著名な商標であり、本件商標は、請求人の周知・著名な商標と同一又は類似である。 また、本件商標の指定商品は、請求人が提供する商品と同一又は類似するものを含んでいる。 したがって、本件商標がその指定商品に使用される場合、請求人の業務に係る商品又は請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、出所を混同するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第10号について 請求人の使用商標は、本件商標の先願権発生日以前より、我が国及び外国において請求人が提供する商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されてきた周知・著名な商標であり、本件商標は、請求人の周知・著名な商標と同一又は類似である。 また、本件商標の指定商品は、請求人が製造・販売する商品と同一又は類似する商品である。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 2 本件商標登録を無効とすべき理由 (1)請求人及びその保有商標について ア 請求人は、アメリカ合衆国カリフォルニア州を拠点とするカジュアルシューズその他のアパレル製品を製造販売する企業であり、「VANS」は、1966年3月16日にポール・ヴァン・ドーレンと3人のパートナーが、アメリカ合衆国カリフォルニア州でスニーカーを中心に販売するショップとして誕生し(甲第3号証の1及び2)以来、一貫して履物を中心に取り扱っている。 イ また、1995年以降、請求人が積極的に次々と各種スポーツ・音楽イベントのスポンサーとなった(甲第3号証の1及び2)ことによっても、「VANS」は、そのブランド名と商品を世界中に知らしめ、著名性を確立した。2016年にブランド創設50周年を迎えた際には、請求人はブランドキャンペーンについて詳細な仕様を定めて(甲第5号証)大々的なキャンペーンを行い、メディアにおいて多数取り上げられた(甲第5号証ないし甲第28号証)。 ウ 請求人は、本国であるアメリカ合衆国を含む北米のみならず、中南米、ヨーロッパ、ロシア、中東、オセアニア、アジア各国でショップ展開し、商標「VANS」及び「VANSロゴマーク」を付した商品は、世界中で販売され、我が国においては、株式会社エービーシー・マート(以下「エービーシー・マート社」という。)が、「VANS」の国内での販売権を取得して「VANS」ブランドの商品を開発し、全国各地の店舗を通じて販売を行うほか、その他小売チェーンの店舗やオンラインストアにおいても「VANS」ブランドの名の下、「履物」及び「運動用特殊靴」を含むアパレル商品の販売が行われている。 また、請求人は、国内に7店舗を有し、「VANS」ブランドの名の下、「履物」及び「運動用特殊靴」を含むアパレル商品を販売している。 エ 加えて、請求人は全国において、「VANS」の宣伝広告活動を行っている。 請求人の2011年から2016年の我が国における「VANS」ブランド商品の小売分についての売上高並びに2009年から2016年までの我が国を含む各地域における宣伝広告費の年間合計は以下のとおりである。 我が国における売上高及びロイヤリティ収入(括弧内は、ロイヤリティ収入)は、2012年は208億9,900万円(10億4,900万円)、2013年は210億700万円(10億6,300万円)、2014年は296億8,600万円(15億1,400万円)、2015年は271億8,200万円(14億4,800万円)、2016年は221億3,400万円(12億2,700万円)である。 また、我が国における広告宣伝費(テレビ、雑誌、POP広告、イベント及びその他広告の合計金額)は、2011年は4億800万円、2012年は5億5,800万円、2013年は5億5,800万円、2014年は5億500万円、2015年は3億2,000万円であり、アジア・オセアニア、欧州・中東、米国の広告宣伝費(合計金額)は、2009年は3,950万米ドル、2010年は6,410万米ドル、2011年は7,570万米ドル、2012年は8,590万米ドル、2013年は1億670万米ドル、2014年は1億2,330万米ドル、2015年は1億3,240万ドル、2016年は1億4,670万米ドルである。 (2)請求人の製造販売する商品であるスニーカーのひとつ「オールドスクール(OLD SKOOL)」の形態の周知・著名性について 「VANS」ブランドの商品は、履物を中心として展開されており(甲第29号証の1ないし4)、請求人の宣伝広告活動及び幅広い商品展開により、請求人の商標「VANS」は、男女を問わず、これらの多種多様な商品の取引者・需要者に幅広く知られている。 また、「VANS」は、ブランド誕生以来一貫してスケートボードやBMXの愛好家の間で人気を得ているが、これらのスポーツの認知度の広まりに加え、請求人の幅広い商品展開や各種イベントにおけるスポンサー活動を通じて、請求人の商標であり、かつ、その略称である「VANS」は、スケートボードやBMXの愛好家のみならず、広く一般の消費者にも知られるに至っている。 我が国においては、エービーシー・マート社の公表によれば、北は北海道から南は沖縄まで全国に2020年5月末日時点において1,027店舗を展開する靴・衣料・雑貨等小売チェーンであるところ、請求人の商標「VANS」を付した商品は、これらの店舗を通じて全国各地の一般消費者に販売され、「VANS」ブランドは、請求人を表すブランド及びその名称の略称として、広く知られているということができる。 請求人の商品は、現在に至るまで多くの雑誌において繰り返し紹介されてきているところ、ここに提出した甲第30号証ないし甲第280号証及び甲第294号証ないし甲第304号証(雑誌等広告)は、ファッションを中心とする情報を掲載した雑誌からの抜粋であり、広く10代から40代までの男性又は女性をターゲットにした記事の写しであって、2012年2月から2021年1月の間に発行されたものである。 甲第281号証の審決に示すとおり、請求人の商標「VANS」が、平成28年7月25日及び同29年1月27日時点において、雑誌等に「VANS」の文字の見出しの下、商品「スニーカー」の写真とともに掲載の上、多数広告宣伝され、相当程度販売されているものであるから、我が国の取引者・需要者の間で請求人の業務に係る商品「スニーカー」を表示するものとして、広く認識されるものとなっていたことは、特許庁においても既に認められている。 よって、その後も現在に至るまで、請求人の商標は、「VANS」の文字の見出しの下、商品「スニーカー」の写真とともに掲載の上、多数広告宣伝することを継続していることから、本件商標の出願日である平成30年6月5日において既に、請求人の商標「VANS」又は「VANSロゴマーク」が、我が国において履物を中心とするファッション関連の商品に実際に使用されていたこと、及びファッションに関心を寄せる幅広い年齢層の男性・女性の間に広く認識されていたことは、客観的に明白である。 加えて、1977年に発売されて以降「VANS」ブランドの代表的な商品のひとつとなっている商品に、「Old Skool(オールドスクール)」(商品:スニーカー)が存在する。 この「Old Skool(オールドスクール)」の商品は、上記にて提出した雑誌等広告において、外観の写真とともに、多数取り上げられている。 以上のような、請求人による1977年から40年以上にわたる我が国における販売(販売代理店及び直営店を含む。)の事実、多くの広告費を費やした宣伝広告活動、及び、長年にわたる各種雑誌等におけるメディアでの継続した露出などの請求人の努力によって、「Old Skool(オールドスクール)」の商品の外観が、本件商標の出願日である令和元年(2019年)5月8日より以前から、履物の商品分野において、請求人の商標として周知・著名であって、かつ、それらの状態が本件商標の登録査定時、つまり同2年(2020年)8月25日の時点においても継続していたことは明らかである。 (3)本件商標との類似性について ア 引用商標1について 引用商標1は、周知・著名となった「Old Skool(オールドスクール)」の外観を横から見た図をもとに、外観の概略を破線、サイドストライプ部分を実線で表したものとなっている。 引用商標1は、「Old Skool(オールドスクール)」の外観のうち、平坦で厚手のソール部分、つま先部分、シューレース部分、ヒールカウンター部分に施されたステッチングを表したものであり、「Old Skool(オールドスクール)」の外観を象徴的に表したものとなっている。 引用商標1と本件商標は、ともに側面部分に線状のデザイン(「Old Skool(オールドスクール)」のサイドストライプに対応するもの)を有しており、その形状は若干異なるものの、本件商標に現れたスニーカーの外観は、別掲2の引用商標1に現れた「Old Skool(オールドスクール)」の外観と共通することが明らかであり、両者は類似するものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、周知・著名となった「Old Skool(オールドスクール)」の外観を横から見た図をもとに、外観の概略を破線、サイドストライプ部分を実線で表したものとなっている。引用商標2のサイドマーク部分が、変形された「V字」に近い形状となっている。 引用商標2についても、「Old Skool(オールドスクール)」の外観のうち、平坦で厚手のソール部分、つま先部分、シューレース部分、ヒールカウンター部分に施されたステンチングを表したものであり、「Old Skool(オールドスクール)」の外観を象徴的に表したものとなっている。 引用商標2と本件商標は、ともに側面部分に線状のデザイン(「Old Skool(オールドスクール)」のサイドストライプに対応するもの)を有しており、その形状は若干異なるものの、本件商標に現れたスニーカーの外観は、別掲3の引用商標2に現れた「Old Skool(オールドスクール)」の外観と共通することが明らかであり、両者は類似するものである。 ウ 使用商標について 使用商標は、上記第3 2(2)に記載の「Old Skool(オールドスクール)」の外観であり、その特徴は、次のとおりである。 ・ローカット(足首下までを覆う)のスニーカーであること ・ソール(靴底)が平坦で、白い厚手のゴムで構成されており、ソール部分の外周が全て当該ゴム製ソールで滑らかに覆われていること ・アッパー(ソールより上の部分)については、つま先部分、シューレース部分、ヒールカウンターといった部分ごとに、生地の色とは異なる糸でステッチングが施されていること。また、特につま先部分は、靴を正面上側から見た場合にステッチングが平行方向になるようなデザインとなっていること ・ソール部分とアッパー部分の接合部に、接合部からソール側に若干下がった位置に、黒色(又はその他の、生地によって異なる色)で、ソール部分の外周を取り囲むような線状のデザインが施され、これがソール部分とアッパー部分の間のアクセントとして目立つものとなっていること ・側面部分に、波状の白い太線の模様(サイドストライプ)が付されていること ・履き口(足を入れる部分)が柔らかい生地で補強されており、見た目にも厚みのあるものになっていること 本件商標は、使用商標に現された外観上の特徴に極めて酷似したものとなっている、すなわち、以下の点において明らかに使用商標と同じ形状を有している。 ・ローカット(足首下までを覆う)のスニーカーであること ・ソール(靴底)が平坦で、白い厚手のゴムで構成されており、ソール部分の外周が全て当該ゴム製ソールで滑らかに覆われていること ・アッパー(ソールより上の部分)については、つま先部分、シューレース部分、ヒールカウンターといった部分ごとに、生地の色とは異なる糸でステッチングが施されていること。また、特につま先部分は、靴を正面上側から見た場合にステッチングが平行方向になるようなデザインとなっていること ・ソール部分とアッパー部分の接合部に、接合部からソール側に若干下がった位置に、黒色(又はその他の、生地によって異なる色)で、ソール部分の外周を取り囲むような線状のデザインが施され、これがソール部分とアッパー部分の間のアクセントとして目立つものとなっていること ・側面部分に、白い太線の模様が付されていること ・履き口(足を入れる部分)が柔らかい生地で補強されており、見た目にも厚みのあるものになっていること このような特徴を有する本件商標が使用された商品を、需要者が見た場合は、上記の類似性から直ちに請求人の「Old Skool(オールドスクール)」を想起することが明らかであり、また、請求人の商品が様々なカラーバリエーションで販売されていることもあって、本件商標が使用された商品が請求人の商品である、あるいは請求人からのライセンスを受けた等の関連性を有する商品であると混同するおそれが極めて高いものであることは明らかである。 3 結論 以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第10号に該当し、速やかに無効とされるべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べた。 1 答弁の理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 請求人がサイドストライプと称する本件商標の模様箇所は、後方から2個の菱形を上下にずらして結合し、さらにその前方に三角形を上下にずらして結合した構成よりなる。 イ これに対し、引用商標1のサイドストライプと称する模様箇所は、くの字状の図形を時計方向に180度回転させて上下に偏平にした構成よりなる。 よって、本件商標の模様箇所と引用商標1の模様部分は、幾何学上の共通性がないばかりか、看者が受けるイメージの関連性もなく、明らかに非類似である。 ウ また、引用商標2のサイドストライプと称する模様箇所は、Vの字の右上端を水平に折り曲げて右方向に延長した構成よりなる。 よって、本件商標の模様箇所と引用商標2の模様部分は、幾何学上の共通性がないばかりか、看者が受けるイメージの関連性もなく、明らかに非類似である。 エ 以上により、本件商標は、引用商標1、2とは非類似であり商標法第4条第1項第11号には該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号、同項第10号について ア 本件商標の模様箇所と使用商標の模様部分は、幾何学上の共通性がないばかりか、看者が受けるイメージの関連性もなく、明らかに非類似である。 イ よって、本件商標は、使用商標とは非類似であり、その余を検討するまでもなく商標法第4条第1項第15号、同項第10号には該当しない。 (3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第10号には該当しないものであり、本件審判の請求は成り立たない。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間で争いがないので、本案に入って審理する。 1 引用商標及び使用商標の周知性について 請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)請求人は、米国カリフォルニア州を拠点とするカジュアルシューズその他のアパレル製品を製造販売する企業であり、1966年3月16日に、同州でスニーカーを中心に販売するショップとして誕生し(甲第3号証の1及び2)、設立当初から、一貫して履物(スニーカー)(以下「請求人商品」という。)を中心に取り扱っている。 (2)請求人は、1995年以降、次々と各種スポーツ・音楽イベントのスポンサーとなり(甲第3号証の1及び2)、2016年にブランド創設50周年を迎えた際には、大々的なキャンペーンを行い、メディアにおいて多数取り上げられたとして、甲第5号証ないし甲第28号証を提出している。 しかし、当該各号証は外国語の証拠であるにもかかわらず、訳文の提出がないから、その詳細な内容は明らかでない。 (3)請求人は、本国であるアメリカ合衆国を含む、中南米、ヨーロッパ、ロシア、中東、オセアニア、アジア各国でショップ展開し、商標「VANS」及び別掲5の「VANSロゴマーク」(以下「請求人商標」という。)を付した請求人商品は、世界中で販売され、我が国においては、エービーシー・マート社が、「VANS」の国内での販売権を取得して「VANS」ブランドの商品を開発し、全国各地の店舗を通じて販売を行っている。 (4)請求人によれば、エービーシー・マート社は、北は北海道から南は沖縄まで全国に2020年5月末日時点において1,027店舗を展開する靴・衣料・雑貨等小売チェーンであり、請求人商品は、これらの店舗を通じて全国各地の一般消費者に販売されている旨主張するが、それらの事実を明らかにする客観的な資料は提出されておらず、エービーシー・マート社の店舗数や同社における請求人商品の販売状況については不明である。 (5)我が国における請求人商品の売上高は、2012年は208億9,900万円、2013年は210億700万円、2014年は296億8,600万円、2015年は271億8,200万円、2016年は221億3,400万円であり、また、2011年から2015年の、我が国におけるVANS商品の宣伝広告費(テレビ、雑誌、POP広告、イベント及びその他広告の合計金額)は、2011年は4億800万円、2012年は5億5,800万円、2013年は5億5,800万円、2014年は5億500万円、2015年は3億2,000万円である。 しかし、上記金額を裏付ける客観的な資料は提出されておらず、引用商標及び使用商標に係る商品の売上高や宣伝広告費等については不明である。 (6)請求人商品は、多くの雑誌において掲載されており、請求人商標を用いた宣伝広告も多くの雑誌(甲第30号証ないし甲第304号証)において掲載されていることが確認できるが、使用商標についてはそれほど多くはない。 (7)上記(1)ないし(6)からすれば、請求人商品は、一般消費者に対し、これまで相当多数販売されてきたものと推認することができ、請求人商標は、ある程度大きな規模で宣伝広告活動が展開されてきたものと推認することができるから、請求人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「履物(スニーカー)」を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く知られているといい得るものである。 (8)しかしながら、引用商標及び使用商標を付した商品の具体的な取引(販売)の状況や宣伝広告の回数、費用、内容等は明らかではなく、その他、引用商標及び使用商標の周知著名性を客観的に把握することができる証拠は見いだせないから、引用商標及び使用商標については、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「履物(スニーカー)」を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く知られているものということはできない。 2 本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度について (1)本件商標ついて 本件商標は、別掲1に示したとおり、運動靴(右足)を斜め上方からみた立体形状の斜視図であり、甲部を覆うベロの部分には「REVENG」の文字が表示され、また、靴の側面には稲妻風の白いサイドラインが顕著に表されているところ、当該「REVENG」の文字と稲妻風の白いサイドラインとは、一体となって特別な観念を有するなど、何らかの関連性を有しているものとはいえない。 ところで、スニーカーなどの運動靴においては、靴の側面に特徴的なデザインを施すことが多く採用され、当該商品の取引者・需要者は、その表示を目印として商品を購入することも少なくないものである。 そうとすれば、本件商標は、その構成中の顕著に表された稲妻風の白いサイドライン部分も独立して出所識別機能を有すると判断するのが相当であり、当該稲妻風の白いサイドライン部分は、特に親しまれたものとも認められないから、これよりは特定の称呼及び観念を生じないものである。 (2)引用商標及び請求人にかかる使用商標について ア 引用商標1は、別掲2のとおり、履物(スニーカー)を横から見た平面的な形状を破線で表した図形からなり、その側面には、実線からなる、おだやかな波状の曲線のサイドラインを配した構成からなるところ、これが特定の事物を表すものとして知られているような事情は見いだせないものであるから、これよりは特定の称呼及び観念は生じないものである。 イ 引用商標2は、別掲3のとおり、履物(スニーカー)を横から見た平面的な形状を破線で表した図形からなり、その側面には、実線からなる変形したV字状のサイドラインを配した構成からなるところ、これが特定の事物を表すものとして知られているような事情は見いだせないものであるから、これよりは特定の称呼及び観念は生じないものである。 ウ 使用商標は、別掲4のとおり、左右の対からなる運動靴(スニーカー)を斜め上から見た図形からなり、靴の側面には、おだやかな波状の曲線からなるサイドラインを配した構成からなるところ、これが特定の事物を表すものとして知られているような事情は見いだせないものであるから、これよりは特定の称呼及び観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度について 本件商標と引用商標及び使用商標の外観は、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標が、運動靴の側面に稲妻風のサイドラインを表してなるのに対し、引用商標1は、破線で表された履物(スニーカー)の側面におだやかな波状の曲線からなるサイドラインを実線で表してなり、引用商標2は、破線で表された履物(スニーカー)の側面に変形したV字状のサイドラインを実線で表してなり、さらに使用商標は、運動靴の側面におだやかな波状の曲線からなるサイドラインを表してなるものであるから、本件商標と引用商標の外観は、その形状において明らかに相違し、明確に区別できるものであり、また、本件商標と使用商標の外観は、靴の側面のサイドラインの形状において明らかに相違し、明確に区別できるものである。 そして、本件商標は、その構成中の文字部分から「リベング」の称呼を生じるが、引用商標及び使用商標からは、いずれも特定の称呼を生じないものであるから、両者は、称呼上も相紛れるおそれはない。 また、本件商標と引用商標及び使用商標は、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標及び使用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観、称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両者の類似性の程度は低いものである。 3 商品の関連性及び需要者の共通性について (1)本件商標の指定商品について 本件商標に係る指定商品である「運動靴」は、広く一般に靴類を取り扱う店舗で販売される商品であり、その需要者は広く一般の需要者である。 (2)請求人の業務に係る「履物(スニーカー)」について 請求人の業務に係る「履物(スニーカー)」は、主として日常の歩行の際に使用するための商品であり、広く一般に履物類を取扱う店舗で販売される商品であって、その需要者は広く一般の需要者である。 (3)上記のとおり、本件商標の指定商品と、請求人の業務に係る「履物(スニーカー)」とは、ともに日常の歩行の際に使用するための商品として販売される商品であり、需要者を共通にし、用途及び販売場所を共通にするものであるから、両者の関連性は高い。 4 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について (1)引用商標及び使用商標の周知著名性について 引用商標及び使用商標は、上記1(8)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 (2)本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度について 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標及び使用商標とは、非類似の商標というべきものであって、別異の商標であるから、その類似性の程度は低い。 (3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び請求人商品との関連性並びに取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品「運動靴」と、引用商標の指定商品及び請求人商品とは、生産・販売部門、用途、需要者を同じくする同一又は類似の商品であり、その関連性は高いといえるとともに、取引者及び需要者の範囲も一致する。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(3)を総合的にみれば、本件商標に係る指定商品と引用商標の指定商品及び請求人商品との関連性が高く、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、引用商標及び使用商標は、引用商標の指定商品及び請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができず、かつ、本件商標と引用商標及び使用商標とは、類似性の程度が低いものである。 してみれば、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者は、引用商標及び使用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 (5)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-890049

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