商標無効審判
2021-890029
ズーシリーズセブンティースアニバーサリープレミアムブランド、ズーシリーズ、ズー、ゼットオオオオ、セブンティースアニバーサリープレミアムブランド
- 審判番号
- 2021-890029
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2019-045227
- 登録番号
- 6246792
- 請求日
- 2021年06月28日
- 審決日
- 2022年11月01日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】バールゼン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】山崎 和香子
- 【被請求人】小田象製粉 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人森特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T112 .261-Y (W30) / T112 .262-Y (W30) / T112 .263-Y (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第46条第1項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6246792号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6246792号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成31年3月15日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,たこ焼き,ラビオリ,イーストパウダー,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」を指定商品として、令和2年3月30日に登録査定、同年4月20日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録第6139339号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成30年5月8日に登録出願、第30類「コーヒー,ココア,砂糖,米,タピオカ,サゴ,代用コーヒー,小麦粉,穀物調整品,穀物の加工品,パン,ペストリー,菓子,氷菓,はちみつ,糖みつ,酵母,ベーキングパウダー,クッキー,アペリティフ用のビスケット,ロール状のウエハース,ケーキ,チョコレート,チョコレートを使用した焼き菓子,チョコレートバー,プラリーヌ,砂糖菓子,砂糖菓子(キャンディー),マジパン,押し出し成形された小麦を使用したスナック菓子,押し出し成形された米を使用したスナック菓子,押し出し成形されたとうもろこしを使用したスナック菓子,パフコーンスナック菓子,じゃがいもを使用したスナック菓子,ワッフル」並びに第29類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同31年4月19日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,イーストパウダー,酵母,ベーキングパウダー,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」(以下「請求に係る指定商品」という。)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 審判請求の利益
請求人は、引用商標を請求人の業務に係る商品について使用しているため、本件商標がその指定商品に使用されると、請求人の引用商標との間で出所の混同を生ずるおそれがあり、請求人が営業上の損害を被りかねない。
したがって、請求人は本件審判を請求することにつき利害関係を有する。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当すること
(1)本件商標と引用商標の類否
ア 指定商品の抵触
本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品は、引用商標の指定商品中、第30類「米,タピオカ,サゴ,代用コーヒー,小麦粉,穀物調整品,穀物の加工品,パン,ペストリー,菓子,氷菓,酵母,ベーキングパウダー,クッキー,アペリティフ用のビスケット,ロール状のウエハース,ケーキ,チョコレート,チョコレートを使用した焼き菓子,チョコレートバー,プラリーヌ,砂糖菓子,砂糖菓子(キャンディー),マジパン,押し出し成形された小麦を使用したスナック菓子,押し出し成形された米を使用したスナック菓子,押し出し成形されたとうもろこしを使用したスナック菓子,パフコーンスナック菓子,じゃがいもを使用したスナック菓子,ワッフル」と抵触する。
イ 本件商標の構成及び本件商標から生じる称呼及び観念
本件商標は、別掲1のとおり、赤色で数字の7に近い直線を表し、その右側に茶色の直線を配した図形、赤色と茶色の円図形を2つ繋げた図形を表してなり、その下に「SERIES/70th Anniversary Premium Brand」の文字を表してなる。
そして、赤色で数字の7に近い直線を表し、その右側に茶色の直線を配した図形、赤色と茶色の円図形を2つ繋げた図形を表してなる上段の標章は、その形態的特徴から「ZOO」の英文字を図案化して表されたものとして看取される。
本件商標の構成中、「SERIES/70th Anniversary Premium Brand」の文字は極めて小さく表されており、それに比して上段の「ZOO」の英文字を図案化して表したものは大きく表されていることから、本件商標の要部は上段の「ZOO」の英文字を図案化して表した部分と認められる。
したがって、本件商標からは上段の「ZOO」の英文字を図案化して表した部分に相応して「ズー」「ゼットオーオー」の称呼が生じ、また「ZOO」は「動物園」の意味を有する語として我が国の需要者にもよく知られた英単語であるから、「動物園」の観念を生ずる。
ウ 引用商標の構成及び引用商標から生じる称呼及び観念
引用商標は、別掲2のとおりの構成からなり、「ZOO」の英文字を表したものであることは容易に看取できることから、「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼が生じ、また、「ZOO」は「動物園」の意味を有する語として我が国の需要者にもよく知られた英単語であるから、「動物園」の観念を生ずる。
エ 称呼の比較
本件商標から生じる「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼と、引用商標から生じる「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼は同一である。
オ 観念の比較
本件商標及び引用商標は、ともに「ZOO」の文字に相応して「動物園」の観念が生じるため、両商標の観念は同一である。
カ 本件商標の登録出願経過における本件商標の商標権者の主張
本件商標は、その登録出願経過において、引用商標と類似するとして商標法第4条第1項第11号の拒絶理由を受けている。
本件商標の商標権者は、上記拒絶理由に対する意見書において、本件商標において主要部分を占めている上側の幾何学図形について、英文字「Z」、「O」及び「O」の組み合わせであると理解し把握するには無理がある旨述べている。
その理由として、本来「Z」の英文字は連続した一筆で書されるものであるのに対して、本件商標のそれは途中で線が切れており、線が切れている部分を介して前後(上下)の色合いを異にしている結果、一見しても「Z」の英文字とは認識できず、鮮やかな赤色で表されている部分から数字「7」の存在が認識でき、鮮やかな赤色からなる数字「70」から「ナナジュウ」や「ナナジュウシリーズ」、あるいは「セブンティースアニバーサリープレミアムブランド」の称呼が生じ、「70周年の連続」、または、「70周年の高級ブランド」といった意味合いを連想し得ることから、本件商標と引用商標は非類似である旨述べている。
しかし、仮に本件商標の商標権者の主張のとおり、「70」の文字が強調され、「70周年の連続」、「70周年の高級ブランド」といった意味を看取させる目的で本件商標を登録出願、登録したのであれば、なぜ敢えて鮮やかな赤色で表された、数字の「7」を表している(と本件商標の商標権者が主張する)部分に直線を付加したのか、円図形が一つではなく2つなのか、商標権者の上記主張は極めて不可解かつ不自然である。
本件商標については、鮮やかな赤色で表された部分で「70」を表すとともに、暗い茶色で表された部分と相まって全体として「ZOO」の英文字を表すことを意図して採択されたと考えるのが自然であり、本件商標が「Z」、「O」及び「O」の組み合わせであると理解し把握するには無理があるという本件商標の商標権者の主張は合理的なものとはいえない。
また、商標権者の主観的な意図はおくとしても、我が国における通常の判断力を有する需要者には、本件商標の上段部分は「ZOO」の英文字を図案化して表したものと認識されると考えるのが相当である。
キ 本件商標と引用商標の混同のおそれ
引用商標が付されたビスケットは、K社を輸入代理店として(甲3~甲6)、小売店を通じて我が国において販売されている。かかる状況において、引用商標と明らかに類似する本件商標が「菓子」について使用されれば、需要者が、本件商標が付された商品を引用商標の商標権者と何らかの関係を有する者の商品であると誤認、混同するおそれがある。
ク まとめ
以上のとおりであり、本件商標は、引用商標に類似するものである。
そして、請求に係る指定商品は、引用商標の指定商品と抵触するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)むすび
以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから、商標法46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきものである。
3 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)本件商標の構成
被請求人は、本件商標において上側の幾何図形は、鮮やかな赤色で表された数字「7」と暗い茶色で表された下線とからなる左端の構成部分と、前記左端の格子部分に続く2つの円環図形とにより構成されるものであり、本件商標においては、とくに鮮やかな赤色により表される数字「70」が看者の目を引きつけるため、本件商標の構成から最初に生ずる称呼は「ナナジュウ」、「ナナジュウシリーズ」及び「セブンティース・アニバーサリー・プレミアム・ブランド」等であると主張する。
請求人としては、本件商標が被請求人の主張のとおりの構成からなるものであること、赤色により表される部分が数字「70」として認識され得るものである点については特に争うものではない。
しかし、当該図形部分が英文字「Z」、「O」及び「O」の組み合わせであると理解し把握するのは無理があるとの被請求人の主張は失当であり、合理性を欠くものである。
(2)本件商標上側の幾何図形が「ZOO」と理解、認識されること
被請求人は、本来「Z」の英文字は連続した一筆で書されるものであるのに対し、本件商標上側の幾何図形の左端の構成部分は、途中で線が切れて下線が独立しており、かつ、この線が切れている部分を介して前後(上下)の色合いを異にしている結果、一見しても「Z」の英文字とは認識できないと述べる。
通常の書体であれば、被請求人の述べるとおり「Z」の英文字は連続した一筆で書されるが、本件商標のように各文字を図案化して表す場合には必ずしも通常の書体と同様の構成になるとは限らず、我が国の需要者間における英文字の理解、認識に照らせば、上下の線を平行に表し、上の線の右端と下の線の左端を斜めの線で繋いだ本件商標上側の幾何図形の左端の構成部分は、英文字の「Z」として理解、認識されるものである。
そして、2つの連続した円環図形は英文字「O」を2つ並べたものと理解、認識できるものであるから、本件商標上側の幾何図形が「ZOO」と理解、認識されるのが相当である。
このことは、被請求人が、請求人が審判請求書において指摘した「仮に本件商標の商標権者の主張のとおり、「70」の文字が強調され、「70周年の連続」、「70周年の高級ブランド」といった意味を看取させる目的で本件商標を出願・登録したのであれば、なぜ敢えて鮮やかな赤色で表された、数字の「7」を表している(と本件商標の商標権者が主張する)部分に直線を付加したのか、円図形が一つではなく2つなのか、商標権者の上記主張は極めて不可解かつ不自然である」との指摘に対し、「被請求人「小田象製粉株式会社」のシンボルキャラクターである「象」から生じる称呼「ゾー」をローマ字風に表記した「ZOO」の英文字をそのデザインに隠し含ませたものである」と述べていることからも明らかである。
被請求人は、本件商標上側の幾何図形について色を分けて記載していること等を理由に縷々述べているが、結局のところ本件商標上側の幾何図形が「ZOO」の英文字が認識できるものであることは否定していない。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標はともに、「ZOO」の英文字からなり、「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼並びに「動物園」の観念を共通にする類似の商標である。
被請求人は、本件商標は赤色部分により表される数字「70」が見る者の目を惹きつけるとともに、2つの円環図形が鎖のように組み合わせて大きく図案化された外観上のデザインに特徴を有するものであるのに対し、引用商標は躍動的な配置でありながらも「ZOO」の英文字が簡潔に読み取れる外観に特徴を有するものであり、これらの外観には顕著な相違があるため、本件商標と引用商標は外観上明確に区別できると述べる。
しかし、被請求人の述べる外観上の相違はいずれも主観的なものであり、本件商標及び引用商標に接した取引者、需要者が同様の判断を下すと考えられる合理的理由はない。
時と場所を異にする離隔観察を原則として商標の類否判断が行われることを勘案すると、本件商標及び引用商標に接した取引者、需要者の印象に残るのは、両商標が英文字「ZOO」を共通にしているという点であり、「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼並びに「動物園」の観念を共通にする両商標は外観において多少の差違はあったとしても、互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)また、被請求人は「称呼が同一であっても外観が大きく相違する場合には非類似であると特許庁の審決で判断される例がある。」として3つの審決例を挙げているが(乙2~乙4)、いずれも本件とは事案を異にし、本件商標と引用商標が非類似であることを裏付けるものでない。
(5)むすび
以上のように、本件商標と引用商標はともに英文字「ZOO」をその構成中に含んでなり、「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼並びに「動物園」の観念を共通にする本件商標の登録は、引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから、商標法46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書により、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、別掲1に示すとおり、上側に、鮮やかな赤色と暗い茶色で色分けされた幾何学的な図形を表し、その下側に、暗い茶色で「SERIES」及び「70th Anniversary Premium Brand」の英文字を上下2段に横書きにして表してなるものである。
本件商標において、上側の幾何学図形は、鮮やかな赤色で表された数字「7」と暗い茶色で表された下線とからなる左端の構成部分と、前記左端の構成部分に続く2つの円環図形とにより構成されるものである。
上記2つの円環図形は、鎖のように組み合わされた一体的な図形をなしており、左側の円環図形は鮮やかな赤色で表され、右側の円環図形は暗い茶色で表されている。
本件商標は、鮮やかな赤色と暗い茶色の色分けがなされているために、本件商標を全体的に観察すると、とくに鮮やかな赤色部分が見る者の目を惹きつけることとなる。また、上記左端の構成部分において、鮮やかな赤色部分が数字の「7」を表していることから、本件商標に接する者は、上記2つの円環図形のうち、鮮やかな赤色で表された左側の円環図形が数字の「0」を表したものであろうと容易に連想することができる。特に、本件商標の下側には「70th Anniversary Premium Brand」の英文字が表されていることから、これらの鮮やかな赤色部分により表される数字「70」は、まさにこの「70th」に相当するものであることが容易に理解される。
本件商標においては、特に鮮やかな赤色部分により表される数字「70」が見る者の目を惹きつけるため、本件商標の構成から最初に生ずる称呼は「ナナジュウ」や「ナナジュウシリーズ」、あるいは「セブンティース・アニバーサリー・プレミアム・ブランド」等であって、これにより、本件商標は「70周年の連続(一連の商品)」や「70周年の高級ブランド」といった意味合いを連想し得るものとして理解される。
2 引用商標について
引用商標は、別掲2に示すとおり、やや右肩上がりで不揃いな高さに配された「Z」、「O」及び「O」の英文字からなるものであり、各英文字は、それぞれ白い影を伴って赤色、緑色及び青色の三色で表されているとともに、隣り合う英文字同士が部分的に重なっており、上下にも動きを感じるデザインとなっている。
引用商標は、その文字構成から「ズー」、または、「ゼットオーオー」の称呼が自然に生じるものであり、また、それら「ZOO」の英文字に相応して「動物園」といった意味合いを容易に感得できるものである。
3 請求人の主張
請求人は、「本件商標における上段の幾何学図形は「ZOO」の英文字を図案化して表されたものであると看取され、それに相応して本件商標からは「ズー」及び「ゼットオーオー」の称呼が生じ、また「ZOO」は「動物園」の意味を有する語として我が国の需要者にもよく知られた英単語であるから、本件商標からは「動物園」の観念を生ずる。」と主張する。
4 本件商標と引用商標の対比
(1)外観について
本件商標において、上側に著された幾何学図形についてみると、請求人の主張のように、左端の構成部分につき、見る者によっては「Z」の英文字のような印象を受けるかもしれないが、しかし、本来「Z」の英文字は連続した一筆で書されるものであるのに対して、本件商標のそれは一筆で書かれたものではなく、途中で線が切れて下線が独立しており、かつ、この線が切れている部分を介して前後(上下)の色合いを異にしている結果、一見しても「Z」の英文字とは認識できず、むしろ暗い茶色で表された下線と明確なコントラストをなしている鮮やかな赤色部分により、明らかに数字「7」の存在が認識できるものである。
また、上記左端の構成部分について具体的にみると、右上の端部は、鮮やかな赤色で表された横線と斜線とが重なるように表されており、右上の端部に位置する内角は約90度となっている一方、左下の端部は、鮮やかな赤色で表された斜線が終息するように表されており、左下の端部に位置する内角は約45度となっている。
これは、上記左端の構成部分のうち、右上の端部が数字の「7」を書した際の「折れ」を表すものであり、左下の端部が数字の「7」を書した際の「止め」を表すものであることを示す特徴にほかならない。こうした特徴は、通常、英文字の「Z」を書した際には見られないものであるが、他方、数字の「7」を書した際には一般的に見られるものである(乙1)。
本件商標に接する者は、この一般的な特徴によって、上記左端の構成部分のうち、鮮やかな赤色部分が数字の「7」を表すものであることを、ごく自然に認識することができる。
また、本件商標において主要部分を占めている上記上側の幾何学図形につき、仮に右側の2つの円環図形を個々に分解し、全体的に2色の色分けであることを無視してしまったうえで、左端の構成部分を下線も含めて一体的な文字であると仮定して「Z」の英文字を表したものであると考えれば、当該図形部分が英文字「Z」、「O」及び「O」の組み合わせであるといえなくはないが、このように理解し把握するにはいささか前提条件が多いから、やや無理がある。
本件商標は、とくに鮮やかな赤色部分により表される数字「70」が見る者の目を惹きつけるとともに、2つの円環図形が鎖のように組み合わされて大きく図案化された外観上のデザインに特徴を有するものである。
一方、引用商標は、躍動的な配置でありながらも「ZOO」の英文字が簡潔に読み取れる外観に特徴を有するものである。
これらの外観には顕著な相違があるため、本件商標と引用商標は、外観上、明確に区別することができる。
(2)称呼について
本件商標の構成から最初に生ずる称呼は「ナナジュウ」や「ナナジュウシリーズ」、あるいは「セブンティース・アニバーサリー・プレミアム・ブランド」等であり、引用商標から自然に生ずる称呼は「ズー」または「ゼットオーオー」である。
これらの称呼は明らかに相違するため、本件商標と引用商標は、称呼上、明瞭に聴別することができる。
(3)観念について
本件商標は「70周年の一連の商品」、または、「70周年の高級ブランド」といった意味合いを連想し得るものとして理解され、引用商標は「動物園」といった意味合いを感得されるものである。
これらの観念は明らかに相違するため、本件商標と引用商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
(4)小括
したがって、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがなく、相互に類似するものではない。
5 請求人の主張について
ところで、請求人は、本件商標に対して、「70」の文字が強調され、「70周年の連続」、「70周年の高級ブランド」といった意味を看取させる目的で本件商標を登録出願、登録したのであれば、なぜ敢えて鮮やかな赤色で表された、数字の「7」を表している部分に直線を付加したのか、円図形が一つではなく2つなのか、極めて不可解かつ不自然である、と主張している。
これに対して付言すると、本件商標は、鮮やかな赤色で表された数字「7」に暗い茶色で表された下線を付加し、鮮やかな赤色で表された数字「0」に暗い茶色で表された右側の円環図形を付加することによって、とくに鮮やかな赤色部分により表される数字「70」が見る者の目を惹きつけるような外観を採用しつつ、被請求人「小田象製粉株式会社」のシンボルキャラクターである「象」から生じる称呼「ゾー」をローマ字風に表記した「ZOO」の英文字をそのデザインに隠し含ませたものである。
このように、本件商標が「ZOO」の英文字をそのデザインに隠し含ませたものであるにしても、上述したように、通常の注意力を有した需要者が一見して認識するのは、やはり鮮やかな赤色部分により表される数字「70」であり、本件商標から当該「ZOO」の英文字を認識することは極めて困難である。
また、仮に、本件商標に接する者において、本件商標から「ZOO」の英文字を認識できる場合があるとしても、本件商標は、「Z」に相当する部分の一部と、続く「O」に相当する部分に鮮やかな赤色を用いることによって「70」の数字を見る者に強く意識させるとともに、「OO」に相当する2つの円環図形が鎖のように組み合わされて大きく図案化された外観に特徴を有するものであり、他方、躍動的な配置でありながらも「ZOO」の英文字が簡潔に読み取れる引用商標とは、それらの外観において顕著な相違があるため、取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標をそれぞれ同一又は類似の商品に使用しても、その出所等について混同を生ずるおそれはなく、本件商標は、引用商標に類似するものではないと考えるのが相当である。
そして、以上のような理解の妥当性については、特許庁における過去の審決例に照らしても首肯されるのである(乙2~乙4)。
なお、小麦粉の製造・販売を主たる事業とする被請求人は、2015年に創業70周年を迎えたことを契機として、本件商標をそれを記念するシンボルマークとして採択し商品包装等に使用をしているものである(乙5、乙6)。
そして、インターネット上で「ZOO小麦粉」を検索すると、検索されるのは出願人の商品が唯一で、他のところは検索されないことは、すでに一定の信用が化体していることの証左であると考えられる。
6 むすび
以上述べたように、本件商標は引用商標に類似していないから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものでないことは明らかである。
第5 当審の判断
1 本件審判の請求の利益について
請求人が、本件審判を請求する利害関係を有することについて、被請求人はこれについて争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
よって、以下本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、上段の左側に、左上から右上を経て左下に向けて赤色で、当該赤色部分とやや間隔を開けて左下から右下に向けて茶色で、肉太の直線を組み合わせて描いた幾何図形(以下「上段左の幾何図形」という場合がある。)、上段の右側に、赤色又は茶色で描いた2つの肉太の環状図形を互いに3分の1程度が重なるように描いた幾何図形(以下「上段右の幾何図形」という場合がある。)を表し(以下、「上段左の幾何図形」と「上段右の幾何図形」をまとめて、「幾何図形」という場合がある。)、該幾何図形の下に、幾何図形と比して小さく「SERIES」、該「SERIES」の文字の下中央に該「SERIES」の文字に比して小さく「70th Anniversary Premium Brand」の文字を2段に横書きした構成よりなるものである。
そして、本件商標全体で、特定の称呼及び観念を生じる等の特段の事情を見いだすことはできない。
また、幾何図形は、中段及び下段の文字に比して顕著に表してなることから、幾何図形と中段及び下段の文字部分とは、視覚的に分離して把握される場合も少なくないものである。
そうすると、幾何図形は、独立して自他商品の識別標識の機能を果たすものといえる。
そこで、独立して自他商品の識別標識の機能を果たす幾何図形をみると、上段左の幾何図形は、赤色の部分と茶色の部分とからなり、両者の間に、少し空白があることも相俟って、特定の数字又は文字を認識することは困難であり、特定の称呼及び観念を生ずることはない幾何図形を認識させるものである。
また、上段右の幾何図形は、赤色と茶色の環状の図形が互いに3分の1程度が交わるように重なっており、特定の数字及び文字を認識することは困難であり、特定の称呼及び観念を生ずることはない幾何図形を認識させるものである。
そうすると、幾何図形は、その構成全体で、特定の称呼及び観念を生じないものである。
してみると、本件商標は、中段の「SERIES」及び下段の「70th Anniversary Premium Brand」の文字及び数字に相応して、称呼については「シリーズセブンティースアニバーサリープレミアムブランド」、「シリーズ」及び「セブンティースアニバーサリープレミアムブランド」の称呼を生じ、観念については「一続きの」及び「70回の記念のプレミアムブランド」程の観念を生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、語頭の「Z」を赤色、2文字目の「O」を緑色、3文字目の「O」を青色で表し(各文字には、いずれも白抜きの縁取りがあり、文字全体に薄ピンクの影がある。)、ややデザイン化してなるとしても、全体として「ZOO」の文字を表したものと容易に認識できるものであるから、該文字に相応して「ズー」の称呼を生じ、「動物園」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否を検討すると、本件商標は別掲1、引用商標は別掲2のとおりの構成からなり、全体の外観については、3段書きと1段書きであって、構成文字に明らかな相違があること、色彩について、一部の赤色の構成が同じであるとしても、その他の色彩が異なること等の相違点があることから、明確に区別できるものであり、また、本件商標の幾何図形と引用商標とを比較しても、前者からは幾何図形を認識するのに対し、後者からは「ZOO」の文字を認識させる構成であること、色彩について、上記した全体の外観の比較と同様に、一部の赤色の構成が同じであるとしても、その他の色彩が異なること等相違点があり明確に区別できるものである。
次に、称呼については、本件商標から生ずる「シリーズセブンティースアニバーサリープレミアムブランド」、「シリーズ」及び「セブンティースアニバーサリープレミアムブランド」の称呼と引用商標から生ずる「ズー」の称呼とは、構成音数及び音質が明らかに異なり、明瞭に聴別できるものである。また、本件商標の幾何図形からは称呼は生じないから、引用商標から生ずる「ズー」の称呼とは、相紛れない。
さらに、観念については、本件商標から生ずる「一続きの」及び「70回の記念のプレミアムブランド」程の観念と引用商標から生ずる「動物園」の観念とは、明確に相違するものである。また、本件商標の幾何図形からは特定の観念を生じないから、引用商標から生ずる「動物園」の観念とは、相紛れない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念について相紛れないから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 請求人の主張
請求人は、本件商標の幾何図形部分について、本件商標のように各文字を図案化して表す場合には必ずしも通常の書体と同様の構成になるとは限らず、我が国の需要者間における英文字の理解、認識に照らせば、「ZOO」との文字と理解、認識されると主張する。
しかしながら、本件商標の幾何図形部分が、仮に、何らかの数字及び文字等を図案化したものであったとしても、上記2(1)のとおり、その構成態様からすれば、これに接する者が直ちに特定の数字及び文字等を認識することは困難であり、特定の称呼及び観念を生ずることはない幾何図形として認識するというのが相当であるから、請求人の主張は採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-890029