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商標無効審判

2021-890025

コウキンマステ、コーキンマステ、コーキン、マステ

審判番号
2021-890025
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2020-079335
登録番号
6361908
請求日
2021年05月25日
審決日
2023年01月10日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 マークスグループ・ホールディングス
  • 【請求人代理人】羽切 正治
  • 【請求人代理人】仲村 圭代
  • 【請求人代理人】小野 博喜
  • 【請求人代理人】大木下 香織
  • 【請求人代理人】上代 義剛
  • 【被請求人】西川コミュニケーションズ 株式会社
  • 【被請求人代理人】金山 聡
審判長/審判官
  • 審判長 矢澤 一幸
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T111 .261-Y (W16) / T111 .262-Y (W16) / T111 .263-Y (W16) / T111 .222-Y (W16)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項19号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6361908号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6361908号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年6月26日に登録出願、第16類「マスキングテープ(文房具)」を指定商品として、同3年2月22日に登録査定、同年3月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するとして、請求の理由において引用する登録商標は、次の3件であり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続している。 1 登録第5808784号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:マステ(標準文字) 指定商品:第16類「マスキングテープ(文房具)」 登録出願日:平成25年11月25日 設定登録日:平成27年11月27日 2 登録第5761593号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 指定商品:第16類「マスキングテープ(文房具)」 登録出願日:平成26年12月26日 設定登録日:平成27年5月1日 3 登録第5954311号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 指定商品及び指定役務:第16類「文房具類,印刷物,紙類,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,紙製のぼり,紙製旗,写真,写真立て」並びに第3類、第27類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 登録出願日:平成28年3月31日 設定登録日:平成29年6月9日 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。以下、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 2 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項により、その登録は無効にすべきものである。 (1)請求人の無効審判請求適格について 請求人は、令和2年11月25日付けで、被請求人に対して、本件商標は請求人が所有する引用商標1、引用商標3等に類似する商標である、との通知書を発送した(甲2の1)。これに対して、被請求人は、令和2年12月8日付け回答書にて、本件商標は、類似しない旨を回答した(甲2の2)。 したがって、請求人は、本件商標に対する無効審判を請求するにつき、利害関係を有する。 (2)本件商標の構成態様等について ア 本件商標は、別掲1のとおり、緑色の地模様に、「抗菌」の漢字、及びその下段に「マステ」の片仮名を白抜きし、当該地模様の上方に「KOUKIN」と「MASUTE」の欧文字とを間隔を空けて横書きしてなるところ、「KOUKIN」の欧文字は「抗菌」の漢字の読みを、「MASUTE」の欧文字は「マステ」の片仮名の読みを、それぞれ表したものであるから、本件商標は、「コウキン」若しくは「マステ」の称呼を生ずるものである。本件商標の構成中「抗菌」は、広辞苑によれば、「細菌の繁殖を抑制すること。」などの意味を有する一般的名称であり(甲6の1)、「マステ」は、広辞苑のような辞書等に記載はない。 イ 本件商標の使用態様について見ると、被請求人のウェブサイトのページには、「抗菌マスキングテープ」の文字があり、それぞれに本件商標「KOUKIN MASUTE/抗菌/マステ」が使用されている(甲8)。 当該ウェブサイト(甲8の1~甲8の6の2、甲8の8)において使用されている「抗菌マスキングテープ」は、本件商標の指定商品である「マスキングテープ(文房具)」と同一の指定商品であり、「抗菌マスキングテープ」の「抗菌」及び「マスキングテープ」の表示は、商品の一般的名称であり、「抗菌」については、「製品の表面上における細菌の増殖を抑制すること。」という意味で使用されている。したがって、本件商標の構成中「抗菌」並びにその読みを表した「KOUKIN」は、「製品の表面上における細菌の増殖を抑制すること。」という意味を表す一般的名称である。 また、「マスキング ウォールステッカー」(甲8の7の1、甲8の7の2)は、本件商標の指定商品である「マスキングテープ(文房具)」に含まれる商品であり、そこで使用されている「抗菌」も同様に、同じ意味合いで使用されている一般的名称である。 ウ 以上のとおり、被請求人は、「マステ」の文字と、商品の一般的名称である「マスキングテープ」の文字とを区別して使用しており(甲8の1~甲8の6の2、甲8の8参照)、商品の一般的名称である「マスキングウォールステッカー」との関係でも、引用商標1と同一の「マステ」が使用されている(甲8の7の1、甲8の7の2)。 (3)引用商標の使用等について 引用商標1は、件外審判事件における審決を経て登録された造語商標である(甲3の3)。 請求人は、当該件外審判事件において主張したとおり、平成25年(2013年)9月4日付けでマスキングテープの新ブランド「maste(マステ)」を発表し、その使用を開始した。 引用商標は、「マスキングテープ(文房具)」について継続使用されているものであるから(甲9の1~甲11)、少なくとも「マスキングテープ(文房具)」を取り扱う取引者・需要者間にあっては、引用商標は「需要者の間に広く認識されている商標」となっている。 なお、当該件外審判事件以降、請求人は、請求人の商品カタログに、「『maste』および『マステ』は、株式会社マークスグループ・ホールディングスおよびリンレイテープ株式会社の登録商標です。」と記載している(甲11)。 (4)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、その構成中「抗菌」の漢字の下段に、「マステ」の片仮名を配してなるから、「抗菌」と「マステ」とは、外観構成上においても分離観察される。そして、本件商標の構成中「抗菌」の漢字は、「細菌の繁殖を抑制すること。」(甲6の1)、「製品の表面上における細菌の増殖を抑制すること。」(甲7の2)などの意味を有する一般的名称である。 しかも、被請求人は、「マステ」の文字と商品の一般的名称である「マスキングテープ」の文字とを区別して使用している。 本件商標は、その構成中「抗菌」の漢字からは、「KOUKIN」のローマ字の表記のとおりの「コウキン」の称呼が生じ、その構成中「マステ」の片仮名からは、「MASUTE」のローマ字の表記のとおりの「マステ」の称呼が生ずる。 一方、引用商標の構成からは、それぞれ「マステ」の称呼が生ずる。 そうすると、本件商標と、引用商標とは、称呼を共通にする類似する商標である。 そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一である。 (5)不正の目的について 引用商標は、造語商標であり、その継続的な使用(甲10、甲11)により取引者、需要者間において周知商標として認識されていることから、「日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」である。 そして、被請求人は、本件商標の登録出願前である平成31年(2019年)4月11日以前に、請求人と面会の機会があり、しかも当該日付以降も、請求人と被請求人との間では商取引がなされている(甲13)。 請求人が、平成25年(2013年)9月4日から、「マスキングテープ」に引用商標を継続使用している事実は、少なくとも「マスキングテープ」を取り扱う取引者、需要者間において知得していたことは明らかである。 しかも、被請求人は、上述のとおり、本件商標である「KOUKIN MASUTE/抗菌/マステ」と、「抗菌マスキングテープ」(甲8の1~甲8の6)とを使い分けているのであるから、請求人が所有する周知商標である「マステ」の名声に「只乗り(フリーライド)、稀釈化(ダイリューション)」等をしようとするものであることは明白であり、「不正の目的」の意図を有するものである。 (6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当する。 3 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して、なんら弁駁していない。 第4 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を審判事件答弁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)「マステ」の識別性について 引用商標は、いずれも「マステ」を含んでいるが、「マステ」は、引用商標が商標登録される前からマスキングテープの愛好者の間で、マスキングテープの略語として使用されていたものである(乙1、乙2)。この点、請求人は、あたかも引用商標1が識別性の強い造語からなる商標であるかのような主張をしているが、上述のように「マステ」は造語ではなく、マスキングテープの需要者の一部である愛好家がマスキングテープの略語として使用していたものであり、識別性の強いものではない。また、件外審決(甲3の3)は、「マステ」は、識別性がないとはいえないといっているだけであり、識別性が強い商標であるとの認定は行ってない。 そして、「マステ」は、引用商標が登録された後も、需要者の一部でマスキングテープの略語として使用が継続され(乙3~乙7)、本件商標の登録査定時までに、「マステ」の識別性は弱められている。 したがって、商品「マスキングテープ」に使用される「マステ」は、マスキングテープという商品の品質を表すまでには至らないものの、その識別性はそれほど強いものではない。 (2)引用商標は周知でないことについて 請求人が提出する引用商標の使用例については、パッケージに「maste」と「マステ」の文字が印刷された商品(マスキングテープ)の写真が示されているだけであり、この商品の販売数量、販売期間等は何ら示されていない(甲9の1~甲9の3)。 2021年5月7日出力のウェブサイト(甲10)には、商品(マスキングテープ)の写真画像とその価格等が表示され、一部の写真画像(5葉目~8葉目)に「maste」が表れているだけであり、本件商標の登録査定日(令和3年(2021年)2月22日)までに当該ウェブサイトが存在したことは示されておらず、「maste」が表されている画面にアクセスした人数等も示されていない。 商品カタログ(甲11)は、全23ページからなり、各ページにはマスキングテープの使い方等が写真画像入りで記載され、多くのページに「maste」ないし「マステ」の文字が記載されているが、最終ページに「2021.01」の日付が記載されていることから、この商品カタログは、本件商標の登録査定の直前の2021年1月以降に配布されたものであり、配布数は示されていないが、引用商標が周知であるか否かは、本件商標の登録査定日において判断される。 したがって、本件商標の登録査定日の直前に配布されてその配布数が示されていない証拠(甲11)をもってしては、引用商標の周知度を推し量ることはできず、また、当該証拠以外の証拠は、本件商標の登録査定日までに引用商標が使用された事実を何ら示していないから、引用商標が請求人の商品「マスキングテープ」を表示するものとして周知であるとする請求人の主張は、失当である。 (3)本件商標と引用商標は非類似であることについて 本件商標と引用商標を対比すると、両商標は、「マステ」の文字を有する点で共通するが、本件商標は、「抗菌」及び「KOUKIN」の文字を有し、「マステ」とは異なる称呼・観念が生じ、引用商標からはそのような称呼・観念が生じない点で相違する。この場合、両商標に共通の「マステ」は、上述のように指定商品「マスキングテープ」に使用しても、識別性がそれほど強いものではない。 また、引用商標は、上述のように請求人の商品「マスキングテープ」を表示するものとして周知とはなっていない。 そして、本件商標の構成中の「抗菌」は、「細菌の繁殖を抑制すること」を意味する一般的な用語であるが(甲6の1)、この「抗菌」(KOUKIN)を「マステ」(MASUTE)と組み合わせて「抗菌マステ」(KOUKIN MASUTE)とした本件商標は、全体として識別性のある商標となり、「マステ」だけからなる引用商標とは異なる称呼・観念を生ずることとなる。 よって、本件商標と引用商標とは、全体として外観・称呼・観念が異なり、本件商標が使用されたマスキングテープと引用商標が使用されたマスキングテープの出所の混同は生じず、本件商標と引用商標は非類似である。 (4)「マステ」を含む商標の登録例 本件商標以外にも、「マステ」と、一般的な用語の文字であって「マステ」とは異なる称呼・観念を生じる文字を組み合わせた商標は、指定商品にマスキングテープを含むものであっても、引用商標とは非類似であるとして商標登録されている(乙8、乙9)。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標に類似せず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第19号について (1)引用商標は周知商標でないことについて 請求人が、件外審判事件において提出したと主張する甲各号証は、本件無効審判事件においては、証拠として提出されていない。 また、上記1(2)で述べたように、請求人が本件審判事件において提出した証拠は、本件商標の登録査定日の直前に配布されてその配布数が示されていない証拠(甲11)であるから、引用商標の周知度を推し量ることはできず、当該証拠以外の証拠は、本件商標の登録査定日までに引用商標が使用された事実を何ら示していない。 したがって、引用商標が周知商標であるとの請求人の主張は、証拠に基づかないものであり、失当である。 なお、請求人は、引用商標が造語商標であると主張しているが、これが誤りであることは、上記1(1)で述べたとおりである。 (2)本件商標と引用商標は非類似であることについて 上記1(3)で述べたとおり、本件商標と引用商標を対比すると、両商標は、「マステ」の文字を有する点で共通するが、本件商標は、「抗菌(KOUKIN)」の文字を有し、「マステ」とは異なる称呼・観念が生じ、引用商標からはそのような称呼・観念が生じない点で相違する。 そして、上記1(1)で述べたとおり、「マステ」の識別性は強くなく、上述のように引用商標は周知商標ではない。 また、本件商標の構成中の「抗菌」(「KOUKIN」)は、一般的な用語であるが(甲6の1)、この「抗菌」(「KOUKIN」)を「マステ」(「MASUTE」)と組み合わせて「抗菌マステ」(「KOUKIN MASUTE」)とした本件商標は、全体として識別性のある商標となり、「マステ」だけからなる引用商標とは異なる称呼・観念を生ずることとなる。 したがって、本件商標と引用商標とは、全体として外観・称呼・観念が異なり、本件商標が使用されたマスキングテープと引用商標が使用されたマスキングテープの出所の混同は生じず、本件商標と引用商標は非類似である。 (3)まとめ 以上のとおり、引用商標は周知商標ではなく、本件商標と引用商標とは、全体として外観・称呼・観念が異なる非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について ア 本件商標は、別掲1のとおり、緑色地の凹凸を有する略楕円形内に、「抗菌」の漢字、その下に「マステ」の片仮名を白抜きで表し、当該図形の上部に円弧状に「KOUKIN MASUTE」の欧文字を配した構成からなるところ、図形内及びその上部の各構成文字はそれぞれ、同じ大きさ及び書体で表されているため、構成上まとまりのよい印象を与えるものである。 そして、その欧文字部分は、漢字及び片仮名の表音をローマ字表記したものと看取できる。 イ また、本件商標の構成中、「抗菌」の文字は、「細菌の繁殖を抑制すること。」(甲6の1)の意味を有する親しまれた語であり、「マステ」の文字は、被請求人の提出証拠によると、以下のような使用例が認められる。 (ア)「DICTIONARIES&BEYOND WORD-WISE WEB 三省堂辞書ウェブ編集部によることばの壷」のウェブサイトにおいて、「第258回 日高貢一郎さん:熊本方言の書かれたmt 2013年6月15日」の見出しの下、「・・・『mt』とは、さて、何ということばの省略形でしょうか?(ヒント):その他に、愛好者の間では『マステ』という略語も使われている由。正解は『m=マスキング t=テープ』です。」の記載がある(乙1)。 (イ)「YOJOTAPE」のウェブサイトにおいて、「・・・『私たちがDIYするとき、マスキングテープより養生テープをよく使うんだけど、マステみたいに可愛い柄ができないの?』の一言。」の記載がある(乙2)。 (ウ)「本と文房具とスグレモノ」のウェブサイトにおいて、「2016-03-27 【必殺の文具】達人が薦める『マステの使い方』とは?~どんどん増殖するマステに歯止めをかけろ!~」の見出しの下、「マスキングテープの人気続いてますね。・・・今日は久々にマステ好きの僕が『マステの使い方』をご紹介します。」の記載がある(乙4。なお、証拠上の「甲第4号証」の記載は、「乙第4号証」の誤記と認める。)。 (エ)「ハセガワ トライツール情報『模型用工具・マテリアル』」のウェブサイトにおいて、「『マステ』極細の0.3mmと0.5mm 投稿日:2017年4月28日」の見出しの下、「スグレモノ工具 いつの間にか『マスキングテープ』の呼び方が『マステ』になっていた・・・?長年模型を作られている皆さんにとっては、マスキングテープは当たり前に、気がつけば身近にありましたよね。そんなマスキングテープのことを、『マステ』と短縮して呼ばれていたという『おじさんちの知らなかった世界』がTVで放送されて驚いたわけですが、かつては工業用として利用されたマスキングテープが、可愛い柄で、おしゃれで、便利になって、女性に大人気というからさらに驚きです。」の記載がある(乙5)。 (オ)「キャラWalker」のウェブサイトにおいて、「リサとガスパール誕生20周年記念デザインのマステとロール付箋が登場 2019.8.28 UPDATE!!」の見出しの下、「・・・この記念年に新しく登場したのが、“Sante!”柄のマスキングテープとロール付箋。」の記載がある(乙6)。 (カ)「MAMADAYS」のウェブサイトにおいて、「編集部で試してみた! 13のマステ活用テク」の見出しの下、「お家にいる時間が長く続く中、マステの活用方法を知っておくだけでこんなに便利!という方法を一斉にご紹介。・・・公開日:2020年8月20日・・・マスキングテープ活用 1.ビニール傘の持ち手 間違われやすいビニール傘、持ち手にマステを貼ってアレンジするともう間違えられない!・・・」等の記載がある(乙7)。 ウ 以上によれば、「マステ」の文字は、本件商標の登録出願時又は登録査定時までに、「マスキングテープ」の略称として使用されているから、本件商標の指定商品である「マスキングテープ(文房具)」との関係においては、「マスキングテープ」程の意味合いを連想、想起させるものといえる。 エ そこで本件商標をみるに、その構成中の「細菌の繁殖を抑制すること。」の意味を有する「抗菌」の文字と、粘着テープである「マスキングテープ」を想起させる「マステ」の文字とを結合した「抗菌マステ」の文字は、当該文字全体として、特定の意味を有する成語となるものではないが、それぞれの語義又は想起させる意味合いから「細菌の繁殖を抑制するマスキングテープ」程度の意味合いを連想、想起させるものである。また、その構成文字から生じる「コウキンマステ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 オ 以上を踏まえると、本件商標は、「抗菌」及び「マステ」の文字を組み合わせた結合商標であるものの、両文字部分の構成態様、観念及び称呼における一体性等に鑑みると、いずれかの文字部分が自他商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものでもなく、出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというものでもないから、特定の文字部分のみを要部として抽出するのではなく、構成文字全体をもって商標の類否を検討すべきである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「コウキンマステ」の称呼を生じ、特定の観念までは生じないが、「細菌の繁殖を抑制するマスキングテープ」程の意味合いを連想、想起させるものである。 (2)引用商標について 引用商標1は、前記第2のとおり、「マステ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「マステ」の称呼を生じ、上記(1)と同様、特定の観念までは生じないが、引用商標1の指定商品である「マスキングテープ(文房具)」との関係においては、「マスキングテープ」程の意味合いを連想、想起させるものである。 引用商標2及び引用商標3は、別掲2のとおり、ゴシック体の「maste」の文字(その構成中、末尾の「e」の文字には、アクセント記号が付されている。以下同じ。)とゴシック体の「マステ」の文字とを2段に横書きした構成からなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の表音を示すために表記したものと看取、理解されるといえ、その構成文字に相応して「マステ」の称呼を生じる。 そして、「maste」の文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないことからすれば、特定の観念は生じない。 そうすると、引用商標は、「マステ」の称呼を生じ、引用商標1については、特定の観念は生じないが、「マスキングテープ」程の意味合いを連想、想起させ、引用商標2及び引用商標3については、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 以上を踏まえて本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観は、その構成文字において「マステ」の片仮名を有する点で共通するとしても、その他の文字(「抗菌」及び「KOUKIN」の文字の有無や、欧文字のつづりの相違など。)において差異があるから、互いの印象は相違する。 また、称呼においては、本件商標から生じる「コウキンマステ」の称呼と引用商標から生じる「マステ」の称呼とは、構成音及び音数に明らかな差異があるため、互いに聴別することも容易である。 さらに、観念においては、本件商標は「細菌の繁殖を抑制するマスキングテープ」程の意味合いを暗示させるのに対し、引用商標1は特定の観念は生じないが「マスキングテープ」程の意味合いを連想、想起させ、引用商標2及び引用商標3については、特定の観念を生じないものであるから、互いに相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、互いに誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似しないものであることから、その指定商品が同一又は類似であるかにかかわらず、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第19号該当性について (1)引用商標及び使用標章の周知性について ア 請求人は、引用商標は、造語商標であり、件外審決以降も継続して使用されているものであるから、「日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」である旨主張するが、提出された証拠において、2段書きの態様である引用商標2及び引用商標3の使用が確認できる証拠(本件商標の登録査定時より前のものに限る。)は見受けられない。 そこで、以下においては、引用商標2及び引用商標3の欧文字部分である「maste」(その構成中、語尾の「e」の文字には、アクセント記号が付されている。)の文字を表してなる標章(以下「使用標章」という。)及び引用商標1(以下「使用商標」という。)についての周知性を検討、判断する。 そして、請求人提出の証拠(本件商標の登録査定時より前のものに限る。)及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)請求人は、使用商標について、件外審判事件の審判請求書において、「平成25年(2013)9月4日付の「マークスからマスキングテープの新ブランド「maste(マステ)」デビュー、「maste/washi/maskingtape」、デザインステーショナリー、ファッションアクセサリー、インテリアアクセサリーなどの企画・製造・輸入・販売を行う株式会社マークスより、2013年9月4日(水)、リンレイテープ株式会社との共同開発による、マスキングテープの新ブランド「maste(マステ)」がデビューいたしました。」、「平成25年(2013)9月4日付マークスからマスキングテープの新ブランド「maste(マステ)」デビュー、「maste/washi/maskingtape」」との発表がなされ、その使用が開始された。」との記載をしており、そのとおりに、平成25年(2013)9月4日からその使用がなされ、その後も営々として継続使用されている旨述べているが、その事実を裏付ける証拠の提出はない。 (イ)請求人が製造販売するマスキングテープ(甲9の1~甲9の3。以下「使用商品」という。)には、使用標章及び使用商標が使用されており、請求人の英語名称の略とおぼしき「MARK‘S inc」等の文字が表示されている。 しかし、使用標章及び使用商標が付された商品について、その使用開始時期、売上高、市場シェア、広告の回数及びその規模などを客観的に裏付ける証拠の提出はない。 (ウ)請求人が製造販売するマスキングテープの通販サイト「オンライン・マークス」のウェブサイト(甲10)には、「マスキングテープ」の画像とともに使用標章及び使用商標等が表示されている。 しかし、当該ウェブサイトの写しは、その左上部に、印刷日といいうる「2021/5/7」が表示されており、その日付は、本件商標の登録査定日後の日付である。 (エ)請求人の商品カタログ(甲11)には、請求人に係るマスキングテープの掲載ページに、使用標章と、使用商標とが、左右あるいは上下に近接した配置で使用されている(まれに、使用商標のみの使用も見受けられる。甲11第1葉目。)。また、当該「総合カタログ」においては、使用商品の掲載ページの脚注に、使用標章及び使用商標は、請求人及びリンレイテープ株式会社の登録商標である旨の記載があり、さらに、23葉目の右下部に「2021.01」の日付が記載されている。 イ 以上を踏まえれば、請求人は、使用標章及び使用商標を使用商品に使用していることはうかがえるが、使用開始時期や使用期間は、明らかではなく、仮に、使用開始時期が、請求人が主張する平成25年(2013)9月4日からその使用が開始されたとしても、さほど長いものではなく、使用標章及び使用商標が使用された商品について、我が国又は外国における売上高や市場シェアなどの事業規模を具体的に把握し得るものは見いだせない。 また、宣伝広告の程度を検討するに、請求人に係る商品カタログについては、その作成部数や頒布先を示す証左は見いだせない。 その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、使用標章及び使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、請求人の提出した証拠によっては、使用標章及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表すものとして、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 (2)不正の目的について 請求人の提出に係る全証拠を勘案しても、本件商標権者が引用商標及び使用標章の顧客吸引力を利用する、又は、顧客吸引力を希釈化させる等、不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けて使用していると認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。 そうすると、本件商標は、引用商標の名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることもできない。 (3)請求人の主張について 請求人は、本件商標の登録出願前に、被請求人と面会の機会があったこと、2019年4月11日以降にも請求人と被請求人との間で商取引がなされていたこと(甲13)、被請求人が「KOUKIN MASUTE/抗菌/マステ」の文字と「抗菌マスキングテープ」の文字とを使い分けていること(甲8)を挙げ、被請求人は、引用商標の名声に只乗り(フリーライド)等をしていることは明白であり、「不正の目的」の意図を有する旨主張する。 しかしながら、それら事実関係だけをもってして、本件商標権者による本件商標の使用が引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものと認めるに足りず、他に、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠はない。 したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。 (4)小括 以上のとおり、使用商標及び使用標章は、他人(請求人)の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものではなく、また、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものではない。 そして、上記1(3)のとおり、本件商標と引用商標は類似する商標ではないから、本件商標と使用商標も非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-890025

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