商標拒絶査定不服審判
2021-650029
クラウドキッチンズ
- 審判番号
- 2021-650029
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1437332
- 請求日
- 2021年08月13日
- 審決日
- 2025年02月04日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】City Storage Systems LLC
- 【請求人代理人】村越 智史
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 須田 亮一
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T18 .13 -Z (W363943) / T18 .272-Z (W363943)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1437332号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)10月16日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2019年(令和元年)12月12日付け:暫定拒絶通報
令和2年(2020年) 4月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年(2021年) 4月22日付け:拒絶査定
令和3年(2021年) 8月13日 :審判請求書の提出
令和4年(2022年)11月29日付け:審尋
令和5年(2023年) 2月28日 :回答書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「CLOUDKITCHENS」の欧文字を横書きしてなり、第36類、第39類及び第43類に属する日本国を指定する国際登録において指定された役務を指定役務として国際商標登録出願され、その後、指定役務については、上記第1の手続補正書により、第36類「Real estate management services; rental of real estate; leasing of real estate.」、第39類「Food delivery.」及び第43類「Providing kitchen facilities; contract food and beverage services; providing specialized facilities for food preparation; providing social function facilities for special occasions.」と補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「クラウドオンライン注文による食事のデリバリーだけの準備をするプロのキッチン」の意味合いを認識させる「CLOUDKITCHENS」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるものである。
そして、本願の指定役務を取り扱う業界において、上記欧文字の片仮名表記である「クラウドキッチン」の文字は、例えば「フードデリバリー代行サービス」であることを表す文字として使用されている。
そうすると、本願商標をその指定役務中「クラウドキッチンを使用した飲食物の提供」に使用したときには、これに接する需要者は、役務の質を理解するにすぎないから、本願商標は単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審においてした審尋
本願商標は、別掲1ないし9の事実を踏まえれば、原審の拒絶査定において本願商標が役務の質を理解させるにすぎないものであるとして言及した指定役務(第43類「クラウドキッチンを使用した飲食物の提供」)のみならず、2019年(令和元年)12月12日付け暫定拒絶通報におけるGround2において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした第43類の指定役務について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
第5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記第4の審尋に対し、令和5年2月28日に回答書を提出し、要旨以下のように述べ、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない旨を主張した。
1 本願商標「CLOUDKITCHENS」と「クラウドキッチン」とは、外観及び称呼の面で異なっているため、取引者や需要者が本願商標「CLOUDKITCHENS」を「クラウドキッチン」と同意の語として認識するとはいえない。
そして、本願商標「CLOUDKITCHENS」については、第43類の役務の内容を表す意味で用いられているという実情はなく、むしろ、一貫して、ゴーストキッチンサービスを提供する事業者の名称として使用されているという実情がある。
よって、本願商標「CLOUDKITCHENS」を取引に用いた場合には、取引者や需要者は、「CLOUDKITCHENS」をゴーストキッチンサービスの提供者の名称として認識するのであり、出所の識別標識としての機能を果たすことができる。
2 本願商標は特段の意味を有しない造語であって、「CLOUD」を含む他の登録例や諸外国での登録状況に鑑みても本来的に識別力を有することは明らかである。
また、デリバリーに特化したフードサービスを意味する用語として「ゴーストキッチン」「シェアキッチン」及び「ゴーストレストラン」といった用語が存在していることから、本願商標は、競業者に広く使用を認めるべきものとはいえず独占適応性も有している。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記第2のとおり、「CLOUDKITCHENS」の欧文字を横書きしてなるものである。
ところで、別掲の新聞記事情報及びインターネット情報によれば、「クラウドキッチン」の文字(語)が、本願の指定役務中、第43類の指定役務を取り扱う業界において、「店内に客席がなく、宅配とテイクアウトに特化した調理施設」程の意味合いで、一般に使用されている実情がある。
そして、「クラウド」と「キッチン」の語が、いずれも我が国において親しまれた英語由来の外来語であることから、本願商標を構成する「CLOUDKITCHENS」の文字は、これに接する需要者に、上記「クラウドキッチン」の語を英語表記したものと容易に理解されるといえ、「クラウドキッチン」と同意の語として認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標に接する需要者は、これをその指定役務中、第43類「Providing kitchen facilities; providing specialized facilities for food preparation.」に使用しても、「店内に客席がなく宅配とテイクアウトに特化した調理施設の提供;店内に客席がなく宅配とテイクアウトに特化した食品調製用の専門施設の提供」程の意味合いを、また、第43類「Contract food and beverage services.」に使用しても、「店内に客席がなく、宅配とテイクアウトに特化した調理施設を利用して提供される契約による飲食物の提供」程の意味合いを認識するにすぎず、役務の質・提供の方法を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
また、本願商標を、その指定役務中、上記意味合いに照応する第43類「Providing kitchen facilities; contract food and beverage services; providing specialized facilities for food preparation.」以外の第43類に属する指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、客席を持たないデリバリー専門の飲食業という一般的な意味を表す語としては「ゴーストキッチン」や「シェアキッチン」といった用語が用いられており、本願商標は競業者に広く使用を認めるべきものとはいえず、商標権による保護を付与するのに適した商標である旨主張している。
しかしながら、上記1のとおり、「クラウドキッチン」の語は、例えば別掲のような事実があることを踏まえれば、需要者に「店内に客席がなく、宅配とテイクアウトに特化した調理場だけが用意された施設」程の意味合いを認識させるに過ぎないものであり、また、「クラウド」と「キッチン」がいずれも親しまれた外来語であることからすれば、「CLOUDKITCHENS」の文字は、「クラウドキッチン」と同意の語として認識されるものというのが相当である。
そうすると、「CLOUDKITCHENS」の文字は、需要者に「店内に客席がなく、宅配とテイクアウトに特化した調理場だけが用意された施設」程の意味合いを認識させるに過ぎないものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当であり、他の語が同様の意味合いを表すのに使用されることがあるとしても、そのことはこの判断を左右するものではない。
(2)請求人は、「CLOUDKITCHENS」を第43類の役務の内容を示す一般的な語として用いられているという実情はなく、むしろ、一貫して、ゴーストキッチンサービスを提供する事業者の名称として使用されている実情があり、需要者や取引者において、請求人の提供するサービスの名称として認知されているから、本願商標は、自他役務の出所識別標識としての機能を果たす旨を主張している。
しかしながら、商標が、指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、商標が指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解される(知財高裁令和3年(行ケ)第10100号参照)から、「CLOUDKITCHENS」の文字が役務の内容を表示するものとして使用されている例がないとしても、本願商標が、これをその指定役務について使用したときに、自他役務の識別標識としての機能を発揮し得るか否かの判断を左右するものではない。
また、「CLOUDKITCHENS」の文字が、請求人の業務に係る役務の名称として紹介される例が複数あるとしても、これらは当該文字が請求人の業務に係る役務を表示するものとして、本願の指定役務の需要者に認識されていることを示すものではないし、ほかに当該文字が、請求人の業務に係る役務を表示するものとして認識されるものであると認めるに足りる事情も見いだせない。
そして、本願商標は、これをその指定役務中、第43類に属する役務に使用しても、これに接する需要者は、役務の質・提供の方法を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当であることは、上記1のとおりである。
(3)請求人は、「CLOUD」の文字を商標の構成中に含む過去における我が国における登録例(甲6~甲10)及び諸外国における登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら、請求人が挙げる我が国における登録例は、いずれも本願商標とは構成文字や指定役務が異なる点などにおいて事案を異にするばかりか、商標登録出願された商標の登録適格性は、個別の商標や取引の実情を踏まえて、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断すべきであるから、これらの登録例の存在が本願商標の登録適格性に係る判断を左右するものではない。
また、本願商標が自他役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものかどうかを判断する前提となる需要者の認識や取引の実情は、国により異なり得るものであるから、諸外国における登録例が必ずしも参考となるものではない。また、諸外国における登録例は、登録された標章が、その国における使用により識別性を獲得したことを理由とする場合もあると思われるから、諸外国の例を考慮して本願商標の登録の可否を判断しなければならない事情はない。
(4)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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