商標拒絶査定不服審判
2021-650020
デイブイワン、デイブイイチ
- 審判番号
- 2021-650020
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1439419
- 請求日
- 2021年06月28日
- 審決日
- 2023年04月25日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Carlisle Fluid Technologies, Inc.
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】外川 奈美
- 【請求人代理人】大橋 啓輔
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 大森 友子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .15 -Z (W07) / T18 .17 -Z (W07)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第5号、商標法第3条第2項、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1439419号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
1 手続の経緯
本願は,2018年(平成30年)5月9日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年11月6日に国際商標登録出願されたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
2020年(令和2年)3月3日付け :暫定拒絶通報
令和2年(2020年)7月13日 :意見書の提出
2021年(令和3年)3月16日付け:拒絶査定
令和3年(2021年)6月28日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,「DV1」の欧文字及び数字を横書きしてなり,第7類「Spray coating applicator, namely, gravity feed spray coating guns, pneumatic atomization spray guns, spray coating guns.」を指定商品として,国際商標登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,「DV1」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ,ローマ字2字の次に数字を組み合わせたものは,商品の品番や型番等を表した記号又は符号として一般的に用いられており,本願商標はその一種であると需要者に認識されるにとどまるものである。
そうすると,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であるというべきである。
したがって,本願商標は商標法第3条第1項第5号に該当する。
4 当審においてした証拠調べ
本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,別掲1については令和4年2月1日付け証拠調べ通知書によって,また,別掲2については同年8月8日付け証拠調べ通知書によって,それぞれ通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
(1)令和4年2月1日付け証拠調べ通知書に対する意見の要旨
別掲1の「DV1」の使用対象となる商品は,本願の指定商品とは商品の内容,品質,用途等が大きく異なるものであるから,取引実情や,商品に対する取引者,需要者の認識も大きく相違すると考えるのが極めて妥当である。
そうとすると,別掲1の数件の使用例を,本願の指定商品に使用される本願商標に対するわが国の取引者,需要者の認識について判断する根拠とするのは,客観的に合理的とは到底いえない。
そもそも,わずか数件の使用例に基づいて,「DV1」が商品の品番や型番の一部として使用されている根拠とするのも合理的とはいえず,ましてや,引用された新聞記事情報は最新のもので現在から約7年前のものであり,(4)の記事に至っては現在から40年以上も前のものである。
すなわち,これらの使用例を根拠として,本願商標がその指定商品との関係において商品の品番や型番等を表す記号又は符号として取引者・需要者に認識され得るという結論を導き出すことについては,その蓋然性についての説明が欠如しており,著しい論理の飛躍があるといわざるを得ない。
この点については,本願商標については,請求人が製造・販売するスプレーガンの自他商品識別標識として実際に機能していることが客観的に認識され得るものであり,また,本願商標は,その指定商品との関係において,極めて簡単でかつありふれた標章のみからなるものの範ちゅうを超えた商標として,わが国の取引者・需要者により把握・認識され,本願の指定商品について十分に自他商品識別力を発揮していると考えるのが極めて妥当である。
(2)令和4年8月8日付け証拠調べ通知書に対する意見の要旨
請求人は,指定した期間内に何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は,「DV1」の欧文字と数字を横書きしてなるところ,当該文字は一般に用いられる書体で表されており,用いられる文字の形や組合せ方法に特徴があるわけではない。
そして,別掲1及び別掲2のとおり,欧文字2字と数字1字を組み合わせた標章は,様々な商品分野において,商品の品番,型番等を表した記号又は符号として,一般的に使用されている実情があるものであって,そのことが本願の指定商品の分野においても同様であることは,別掲2の事実から裏付けられるところであり,また,別掲1のとおり,「DV1」の標章も,本願の指定商品とは異なる商品についてではあるものの,本願の指定商品と同様の機械器具の分野において,商品の品番,型番等を表した記号又は符号として使用されることがあるものである。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,これが単に,商品の品番,型番等を表した記号又は符号の一類型であると理解するにとどまるものであるから,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であり,自他商品の識別標識とは認識し得ないといわざるを得ないものである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,その指定商品との関係において,極めて簡単でかつありふれた標章のみからなるものの範ちゅうを超えた商標として,我が国の取引者,需要者により把握され,本願の指定商品について十分に自他商品識別力を発揮している」旨を主張するとともに,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出しているため,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張しているものと解し,これについて検討する。
(ア)請求人の主張及び同人が提出する証拠によれば,以下のとおりである。
a 請求人は,1917年創業の米国「Carlisle Companies Incorporated」の塗装関連機器を取り扱う事業部門であり,スプレーガンの「DeVILBISS」,静電塗装の「Ransburg」,高効率ベローズポンプの「Binks」,乾燥機を扱う「BGK」,粉体塗装機の「MS」の各ブランドを統括し,世界各地で塗装関連機器及び設備を提供している(甲1,請求人の主張)。
b 「DeVILBISS」ブランドのスプレーガンは,我が国においても請求人の日本法人を通じて販売されており,そして,その中の「DV1」ブランドのスプレーガンは,2018年9月から我が国でも販売が開始され,自動車塗装や板金塗装を中心とする工業用塗装に従事する者から,その品質・機能及び操作性等について,高い評価を受けている(甲2,請求人の主張)。
c 請求人の日本法人のウェブサイトには,「DV1」の欧文字及び数字を商品名の一部に含むスプレーガンが掲載されており,当該スプレーガンには,中抜きの六角形の左側が一部欠けた図形に「V1」の欧文字及び数字を組み合わせてなるロゴからなる標章(以下「ロゴ標章」という。)が表示されている(甲3)。
d 本願商標に係る請求人のスプレーガン(以下「請求人商品」という。)の我が国における2019年ないし2021年5月の売上台数は,合計1366台であったとされる(甲6,請求人の主張)。
(イ)以上によれば,請求人は,我が国において,請求人の日本法人を通じて,請求人商品を販売しており,当該商品を使用している者から高評価を得ていることはうかがえる。
しかしながら,請求人の主張する売上台数の根拠とする甲第6号証は,その作成者や作成日時等が不明な上,当該売上台数を裏付ける証拠の提出はないから,これによっては,実際の請求人商品の売上台数は不明といわざるを得ない。また,請求人の主張する売上台数が事実であるとしても,その多寡を客観的に判断するための証拠の提出はないから,当該売上台数によって,本願商標が,これに接する取引者,需要者にどの程度認識されるに至っていたかを推し量ることはできない。そして,請求人は,請求人商品を2018年9月より我が国において販売している旨も主張するが,当該事実を裏付ける客観的な証拠の提出はなく,当該発売開始時期が事実であるとしても,我が国における販売期間は4年半程度と短いものである。そのほかに,本願商標について,我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,請求人商品の売上高,市場シェア並びに広告宣伝の方法及び回数など取引状況を具体的に示す証拠は見いだすことはできない。
したがって,我が国における客観的な使用事実に基づいて,本願商標の使用状況を把握することはできない。
そうすると,請求人の提出する証拠によっては,本願商標は,その指定商品について使用をされた結果,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないし,その他,当審において,職権で調査するも,本願商標が請求人商品を表示するものとして,取引者,需要者に広く認識されていると認めるに足りる事情も見いだせず,自他商品の識別標識としての機能を発揮するものであるというべき事情は認められない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
イ 請求人は,欧文字1文字又は2文字と数字が結合された構成からなる商標の過去における登録例(甲7~甲13)を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標が,商標法第3条第1項第5号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,個別具体的に検討,判断されるものであって,過去の登録例が存在することをもって,本願商標の上記(1)の判断が左右されるものではない。
なお,請求人の挙げる登録例は,いずれも本願商標とは,その具体的な構成,態様を異にするものであって,事案を異にするものであり,同一に論ずることができないものである。
ウ 請求人は,本願商標が,請求人の本国である米国を含め,英語を母国語又は公用語の一つとする諸外国で登録されていること(甲14~甲22)を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,諸外国と我が国の商標保護に関する法制は,細部においては自ずと異なるものであるから,本願商標の登録の適否は,専ら我が国商標法の下において判断されるべきものであって,諸外国における登録状況等の事情をもって,上記(1)においてした本願商標についての判断が左右されるべきではない。
エ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当し,かつ同条第2項に規定する要件を具備しないものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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