商標取消審判
2021-300666
アニュアンス
- 審判番号
- 2021-300666
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2002-053251
- 登録番号
- 4658706
- 請求日
- 2021年09月03日
- 審決日
- 2022年09月15日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 DOT ONE
- 【請求人代理人】三田 大智
- 【被請求人】岡本 株式会社
- 【被請求人代理人】特許業務法人バリュープラス
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 山村 浩
- 分類
- T131 .1 -Y (Y25)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4658706号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4658706号商標(以下「本件商標」という。)は、「anuance」の文字を標準文字で書してなり、平成14年6月26日に登録出願、第25類「ズボン型スパッツ,その他の洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,タイツ,レオタード,その他の下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,レッグウォーマー,アームウォーマー,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴中敷き,スリッパ,ヘッドバンド,リストバンド」を指定商品として、同15年4月4日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和3年9月24日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年9月24日から令和3年9月23日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その請求に係る指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は令和3年12月28日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、乙各号証の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。
1 答弁の理由
(1)概要
本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、要証期間内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品「靴下」について使用している。
(2)商流の説明
本件商標権者は、「各種レッグウェアの製造卸販売」(紳士・婦人・子供靴下、パンティストッキング、タイツ、編み技術を利用した関連商品の製造と卸販売)を、主な事業内容とする法人である(乙2)。
本件商品の納入先は、福岡県福岡市博多区博多駅東2丁目10番1号第一福岡ビルS館4階に本社を置く、株式会社コスモス薬品(乙3の1:以下「コスモス薬品社」という。)である。「コスモス薬品社」は、九州を拠点として全国に展開中のドラッグストアである(乙3の2)。本件商標権者が「コスモス薬品社」に納入している金色の筆記体調の「Anuance」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。別掲1参照。)及び黒色のゴシック体調の「Anuance」の文字からなる商標(以下「使用商標2」という。別掲2参照。)を使用している五本指深履きカバータイプの婦人用靴下(乙10、乙11:以下「本件商品」という。)は、福岡県の店舗に限らず、他府県の「コスモス薬品社」の店舗でも消費者に販売されている(乙9の1~乙9の10)。
本件商品は、紙製の資材(乙4、乙5)が取り付けられた状態で「コスモス薬品社」に納品される(乙12)。本件商品に使用される資材は2タイプあり、従前は背景色が青緑色のもの(乙4:資材番号は「19BL-5C」、以下「青タイプの資材」という。)であったが、令和3年8月頃までに、背景色が白色のもの(乙5:資材番号は「1921BL-5C」、以下「白タイプの資材」という。)への切り替えが、おおむね完了した。これらの資材は、中国の企業(乙6の1)で製造されている(乙12)。
青タイプの資材には、使用商標1が表示され(乙4)、白タイプの資材には、使用商標2が表示されている(乙5)。
使用商標1及び使用商標2は、消費者が見やすいサイズの文字で、資材の表側の面のよく目立つ位置に表示されている。
なお、使用商標1(乙10)及び使用商標2(乙10、乙11)と本件商標を比較した場合、書体の違いと、先頭の文字がアルファベット小文字の「a」から大文字の「A」に変更されているという違いは認められるが、使用商標1及び使用商標2と本件商標はスペルが完全に一致していることから、社会通念上同一と認められる商標である。
本件商標権者は国内外で靴下等の商品を製造しているが、本件商品については、乙第6号証の1の中国の企業とは異なる、上海所在の中国の企業(乙6の2、以下「上海社」という。)に、靴下の製造と上記資材の取り付けを委託している(乙13)。
本件商標権者から「上海社」に対する本件商品の製造及び上記資材の取り付け加工の指示は、加工仕様書(乙7、乙8)を用いて行われる(乙12)。「上海社」に対する製造及び加工指示は、「SHANGHAI GRAND OCEAN」という業者を介して行われている。中国の企業(乙6の1)で製造された上記資材は、「上海社」に送付されている(乙6の3)。「上海社」が製造した本件商品は検品所に送付され、出荷までの間は倉庫で保管されている(乙12)。
本件商品の品番は、青タイプの資材を使用していたときは「M739-155-24-90」である(乙7)が、白タイプの資材を使用するようになってからは、品番が「M739-155C-24-90」に変更されている(乙8)。
「155」の後に「C」の文字が有るか無いかで白タイプの資材と青タイプの資材の区別が可能になっている。
また、本件商品の定番コード(JANコード)は「4901210624757」であり、要証期間を通じて変更されていない。
上記品番と定番コード(JANコード)は、「コスモス薬品社」で販売される本件商品では、資材に貼り付けたシール上に、商品の価格やバーコードとともに表示されている(乙10、乙11)。加工仕様書(乙7、乙8)に記載されている各コードと、本件商品(乙10、乙11)の資材に表示されている各コードは一致している。
加工仕様書(乙7)は、令和2年6月2日に作成されたものである。
標題に「2020AW」と表示されているとおり、令和2年の秋冬のシーズンに販売する予定の本件商品を、同年6月2日に一定の数量をまとめて製造指示して在庫を確保したものである。このときは、青タイプの資材「19BL-5C」が使用されている。
また、加工仕様書(乙8)は、令和3年5月12日に作成されたものである。
こちらは標題に「2021AW」と表示されているとおり、令和3年の秋冬のシーズンに販売する予定の本件商品の製造指示である。
このときは、白タイプの資材「1921BL-5C」が使用されている。
なお、加工仕様書(乙8)の写真が青タイプの資材のままとなっているのは、資材切り替えの過渡期であったためである(乙10)。
「コスモス薬品社」は、本件商標権者に対し、店舗における本件商品の販売状況に応じて随時、例えば1週間に1回くらいの頻度で、必要な数量の本件商品を発注する。
本件商品の受注、出荷及び「コスモス薬品社」への納品は、EOS(Electronic Ordering System)と呼ばれる電子発注システムで管理されている(乙12)。
「コスモス薬品社」からは本件商標権者に対しオンラインで発注データが送信される。本件商標権者は本件商品を受注するとオンラインで出荷指示を行う。本件商標権者の出荷指示により、本件商品の在庫がある倉庫から物流業者を介して「コスモス薬品社」の各物流センターに納品が行われる(乙12)。
本件商品の受注日、出荷日及び納品日は、EOS上で電子データとして管理されている。乙第9号証の書証は、EOSで管理している本件商品の受注等に関するデータを抽出して提出するものである。
(3)使用の事実の説明
ア 使用商標1について(乙9の1ないし5)
本件商標権者は、令和2年10月14日、「コスモス薬品社」より本件商品(品番:M739-155-24-90)を15個受注し、翌15日に出荷し、同月17日までに「コスモス薬品社」の広川物流センターに納品している(乙9の1)。
EOSのデータ(乙9の1)の2行目ないし16行目は、1行目と同じく、令和2年10月14日受注、翌15日発送で、配送先と数量が異なるデータである。
同様に、乙第9号証の2ないし乙第9号証の5のデータも、要証期間内の時期に「コスモス薬品社」から本件商品を受注し、翌日に出荷し、その後「コスモス薬品社」の各物流センターに納品された事実を示している。
EOSのデータ(乙9の1~乙9の5)には、出荷代表品番が「M73915524090」であること、定番コードが「4901210624757」であることが記載されている。これらのコードは、本件商品の青タイプの資材に貼り付けたシールに表示されている品番及び定番コード(JANコード)と一致している(乙10)。
なお、EOSのシステムの都合上、出荷代表品番では下3桁目に「0」が付加されているが、上記出荷代表品番は、品番「M739-155-24-90」と意味は同じである。出荷代表品番では下3桁目に「0」が付加される点は、使用商標2に関する説明においても同じである。
(イ)使用商標2について(乙9の6~乙9の10)
本件商標権者は、令和3年8月25日、「コスモス薬品社」より本件商品(品番:M739-155C-24-90)を6個受注し、翌26日に出荷し、同月28日までに「コスモス薬品社」の広川物流センターに納品している(乙9の7)。
EOSのデータ(乙9の7)の2行目ないし11行目は、1行目と同じく、令和3年8月25日受注、翌26日発送で、配送先と数量が異なるデータである。
同様に、乙第9号証の6、乙第9号証の8ないし乙第9号証の10のデータは、要証期間内の時期に「コスモス薬品社」から本件商品を受注し、翌日に出荷し、その後「コスモス薬品社」の各物流センターに納品された事実を示している。
EOSの受注データ(乙9の6~乙9の10)には、出荷代表品番が「M739155C24090」であること、定番コードが「4901210624757」であることが記載されている。これらのコードは、本件商品の白タイプの資材に貼り付けたシールに表示されている品番及び定番コード(JANコード)と一致している(乙11)。
なお、乙第9号証の6の時期には、青タイプの資材を使用している本件商品の受注データも一部含まれている。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、要証期間内に日本国内において本件商標権者により本件審判請求に係る指定商品中「靴下」について使用されていることが明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第5号証は、被請求人が、令和2年11月20日作成の「白タイプの資材(1921BL-5C)の入稿用版下データ」と主張するものであり、本号証の版下データと思われる図形中の下側部分に、ブロック体で「Anuance」の記載、その下に「履いてもテカリにくい」の記載、その下に「こだわりの黒」の記載、その右横に「深履き」の記載及び「タイプ」の記載があり、その下に「5本指」の記載、その左下に「SIZE 23-25cm」の記載、左下の、「※資材No.」の記載の下、「1921BL-5C」の記載があり、本号証の版下データと思われる図形中の上側部分には、天地を逆に「岡本株式会社」の記載がある。
(2)乙第8号証は、被請求人が、令和3年5月12日作成の「加工仕様書(2021AW)」と主張するものであり、本号証は、「加工仕様書(2021年AW)」の標題の左側に、「SHANGHAI GRAND OCEAN 英知様」の記載、その右側に、「作成日:令和3年5月12日」の記載、その下に「岡本株式会社」の記載があり、表中、「得意先名」の下に「(株)コスモス薬品」の記載、「岡本品番」の下に「M739-155C-24-90」の記載、「商品名」の「柄名」の下に「M別注 五本指深履きカバー」の記載、同「サイズ」の下に「23-25」の記載、同「カラー」の下に「ブラック」の記載、「売価」の下に「1P 298」の記載、「JANコード」の下に「4901210624757」の記載があり、表中、「項目」の下に「カード」の記載、「資材No.」の下に「1921BL-5C」の記載、「資材名」の下に「コスモス別注5指カバ深」の記載がある。
(3)乙第9号証の7は、被請求人が、令和3年12月13日に抽出した「本件商品のEOSのデータ」と主張するものであり、本号証の1葉目の「出荷日」の下に「20210826」の記載、「受注日」の下に「20210825」の記載、「納品日」の下に「20210828」の記載、「定番」の下に「4901210624757」の記載があり、本号証の2葉目の「出荷代表品番」の下に「’M739155C24090」の記載、「原価」の下に「168」の記載、「受注P数」の下に「6」の記載、「引当P数」の下に「6」の記載、「不足P数」の下に「0」の記載があり、本号証の3葉目の「受注金額」の下に「1,008」の記載があり、本号証の5葉目の「得意先名」の下に「(株)コスモス薬品」の記載がある。
(4)乙第11号証は、被請求人が、令和3年6月17日に受領したとする「商品写真に関する報告書」と主張するものであり、本号証の第1頁目には、被請求人が白タイプの資材と主張する商品タグが付けられた婦人用の5本指靴下と思しき写真が表されており、本号証の左側の婦人用の5本指靴下と思しき写真には、商品タグの前面に、ブロック体で「Anuance」の記載、その下に「履いてもテカリにくい」の記載、その下に「こだわりの黒」の記載、その右横に「深履き」の記載及び「タイプ」の記載があり、その下に「5本指」の記載があり、その左下に「SIZE 23-25cm」の記載、その右下に「定番」の記載、その下に「M739-155C-24-90」の記載、その下に「婦人 ¥298」の記載、その下にバーコードとともに「4901210624757」の記載があり、本号証の右側の婦人用の5本指靴下と思しき写真には、当該商品タグの左下に、「岡本株式会社」の記載がある。
2 判断
(1)使用商標及び使用商品について
上記1の(1)、(2)及び(4)によれば、品番「M739-155C-24-90」、JANコード「4901210624757」の婦人用の5本指靴下と思しき商品(以下「使用商品」という。)に付された商品タグには、ブロック体で「Anuance」の欧文字(使用商標2)が使用されていることが確認できる。
そして、本件商標と使用商標2は、書体がやや異なるものの、「A(a)」、「n」、「u」、「a」、「n」、「c」及び「e」の構成文字を同じくするものであり、「アニュアンス」の称呼を共通にするものであるから、両者は、社会通念上同一の商標と認められる。
また、使用商標2を使用した使用商品は、婦人用の5本指靴下と判断し得るものであるところ、婦人用の5本指靴下は、本件審判請求に係る指定商品中の「靴下」の範ちゅうに属する商品であると認められる。
(2)使用行為及び使用者について
上記1の(1)、(2)及び(3)によれば、岡本株式会社は、使用商標2が付された使用商品を、要証期間内である令和2年8月19日から同月21日までの間に、「コスモス薬品社」に対し6足納品したことが確認できる。
そして、岡本株式会社は、本件商標権者であることが推認できる。
(3)まとめ
以上(1)及び(2)からすると、本件商標権者は、要証期間内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標2を使用した本件審判請求に係る指定商品「靴下」を「コスモス薬品社」に納品したことが確認でき、この使用行為は、商品に標章を付したものを譲渡する行為であるから、商標法第2条第3項第2号に該当すると認められる。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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