商標取消審判
2021-300625
パンジー
- 審判番号
- 2021-300625
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2014-110861
- 登録番号
- 5811469
- 請求日
- 2021年08月19日
- 審決日
- 2022年06月21日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】泉 千登勢
- 【請求人代理人】泉 通博
- 【被請求人】株式会社 タップ
- 【被請求人代理人】青木 篤
- 【被請求人代理人】外川 奈美
- 【被請求人代理人】齋藤 宗也
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 山村 浩
- 分類
- T131 .1 -Y (W25)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5811469号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5811469号商標(以下「本件商標」という。)は、「PANSY」の欧文字を横書きしてなり、平成26年12月22日登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同27年12月4日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和3年(2021年)9月6日になされたものであり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)9月6日から令和3年(2021年)9月5日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は令和3年11月4日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、要証期間内に、日本国内において本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)から黙示の許諾を受けた使用権者により、その指定商品「被服」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という場合がある。)の範ちゅうに属する「看護師服」に使用されている。
2 本件商標の使用の事実
(1)本件商標と使用商標について
乙第1号証ないし乙第4号証は、「KAZENグループ」が製造及び販売するメディカルウェア(看護師服)に係るカタログである。
2021年版カタログの第88頁において、デザイン化された商標「Pansy」及び第89頁において商標「Pansy」が使用されている事実が確認できる(乙第1号証)。
2020年版カタログの第79頁及び第81頁においても、デザイン化された商標「Pansy」及び商標「Pansy」が使用されている事実が確認できる(乙第3号証)。
本件商標は「PANSY」と書されるものである。一方、使用された各商標も外観的に特徴のないゴシック書体にて「Pansy」と書されている。よって、本件商標と使用された各商標は少なくとも社会通念上同一であることが明らかである。
(2)要証期間内に継続して使用されていたことについて
乙第1号証及び乙第2号証のカタログは表紙に「2021」とあることから、これが2021年版カタログであることは明らかである。なお、乙第1号証は、該カタログの抜粋であり、乙第2号証はその現物の写真である。
通常、翌年のカタログはその前年の9月から10月頃には内容が決まり、11月頃には印刷会社に発注され、12月から翌年の年明けには完成し、得意先等に頒布される。乙第1号証のカタログにあっても同様である。この点は、2021年版カタログの印刷費用が、2021年1月26日に商標権者のグループ企業である「株式会社ベリテシステム」(以下「ベリテシステム社」という。)宛てに請求されている事実からも確認できる(乙第5号証)。
同様に、乙第3号証及び乙第4号証は表紙に「2020」とあることから、これが2020年中に発行され頒布されたカタログであることは明らかである。
また、これらのカタログが顧客に「頒布」されていたことを示す事実として、商標権者のグループ企業である「KAZEN WLD株式会社」(以下「WLD社」という。)が2020年5月に発行した請求書、及び同じくグループ企業である「株式会社サンアロー」(以下「サンアロー社」という。)の大阪支店が2021年4月22日に発行した請求書を乙第6号証及び乙第7号証として提出する。乙第6号証の請求書にある型番「072-22」、「074-22」及び「073-22」は2020年版カタログに「Pansy」として紹介されている看護師服の型番と一致する(乙第1号証)。乙第7号証の請求書にある型番「070-28」及び「073-28」は2021年版カタログに「Pansy」として紹介されている看護師服の型番と一致する(乙第1号証)。
カタログは商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告」に該当するものであり、その使用態様も看護師服の商標として機能する態様にて使用されているものであるから、本件商標が、要証期間内に継続して使用されていたことは明らかである。
なお、要証期間内ではないが、本件商標は2017年以降継続して使用されている(乙第8号証及び乙第9号証)。乙第8号証及び乙第9号証は、それぞれ、「KAZENグループ」の2017年版及び2018年版カタログの抜粋である。
(3)使用者について
商標権者は、医療や介護、食品工場等の厳しい衛生管理が求められる職場を対象としたユニフォームの企画、製造及び販売を行う「KAZENグループ」の一構成企業である。
「KAZENグループ」は、1964年に創業した「日産被服販売会社」(現「WLD社」)を中心に発展し、現在ではグループ各社の経理及び人事といった管理機能を担う「KAZENホールディングス株式会社」(以下「KAZENホールディングス社」という。)、グループの中心的存在としてメディカルウェアの企画や病院等の大口契約先への販売を行う「WLD社」、メディカルウェアの生産を行う「株式会社タップ」(商標権者:以下「タップ社」という。)、物流や卸売を担う「サンアロー社」、小売や通販を担当する「株式会社KAZEN東京」(以下「KAZEN東京社」という。)、広告及び宣伝等を行う「ベリテシステム社」等により構成されている。「ベリテシステム社」を除くグループ構成会社については、「KAZENグループ」のウェブサイトでも紹介されている(乙第10号証)。
なお、これらの各社がグループ企業として密接に連携していることは、創業者の子息(Y1氏)が「KAZENホールディングス社」、「WLD社」、「タップ社」(商標権者)、「サンアロー社」及び「ベリテシステム社」の代表取締役を兼務し、「KAZEN東京社」についても創業者の子息(Y2氏)が代表取締役を務めていることからも、明らかである(乙第11号証ないし乙第16号証)。
このように、商標権者と「KAZENホールディングス社」、「WLD社」、「サンアロー社」、「KAZEN東京社」及び「ベリテシステム社」は、いずれも同族経営のグループ企業として密接に連携を取りながら活動しているのであるから、商標権者は他のグループ構成企業に対して、本件商標の使用について、黙示の使用許諾を与えていた。
乙第1号証ないし乙第4号証のカタログは「KAZENグループ」全体で製造及び販売するメディカルウェアに係るものである。これらのカタログが「KAZENグループ」に係るものであることは、その表紙に商標「KAZEN」が付されていること、奥付にグループのウェブサイトのURLが記載されていること、カタログの制作費用について請求を受けた「ベリテシステム社」(乙第5号証)が、その後、2021年1月31日付で、同カタログ製作費用として「WLD社」、「サンアロー社」及び「KAZEN東京社」に対して請求書を発行していることからも明らかである(乙第17号証ないし乙第19号証)。
このように、本件商標は、商標権者からの黙示の許諾を受けた使用権者により使用されていたことは明らかである。
(4)使用商品について
乙第1号証ないし乙第4号証のカタログは、メディカルウェアに含まれる「看護師服」に係るものであり、「看護師服」は本件審判請求に係る指定商品である「被服」の範ちゅうに属する。
このように、本件商標が本件審判請求に係る指定商品である「被服」の範ちゅうに属する「看護師服」に使用されていることは、明らかである。
(5)小括
本件商標は、要証期間内に日本国内において商標権者からの黙示の許諾を受けた使用権者により、指定商品「被服」に含まれる「看護師服」に使用されている。
よって、答弁の趣旨のとおり、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第3号証は、「KAZENグループ」が製造及び販売するメディカルウェアに係るカタログとされるものであって、「KAZEN MEDICAL 2020 vol.38」と題する商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)であるところ、その表紙には、「プロを輝かせる服。」の記載、その下に「KAZEN」の記載があり、本号証の2葉目(本件カタログの第79頁)には、看護師服を着用したモデルの写真とともに「074-22・23・24・28」の記載、その下に「レディススクラブ」の記載、その下に「本体価格¥7,600+税」の記載、その下に服のサイズについての記載があり、さらに、右端に「NURSE WEAR」の記載、「[ナースウェア]」の記載、「Pansy」の記載及び「(パンジー)」の記載がある。
また、本号証の3葉目(本件カタログの第80頁)には、「“Pansy”シリーズならではの明るく優しい雰囲気。」の記載がある。
そして、本号証の5葉目(本件カタログの奥付)には、デザイン化された「KAZEN」の記載、「www.kazen.co.jp」の記載、「KAZEN公式オンラインストアも併せてご覧下さい。」の記載、「カタログ掲載商品についてのお問い合わせ、お気づきの点がございましたら下記にて承ります。」の記載及び「本社 〒112-0001 東京都文京区白山5-1-3」の記載がある。
(2)乙第6号証は、「WLD社」が「東邦薬品株式会社」に対して発行した納品書(以下「本件納品書」という。)であり、本号証には、「請求日 20/05/15」の記載、「出荷日 20/05/15」の記載、「受注日 20/05/15」の記載、出荷先として「新江古田いわた眼科」の記載、「KAZEN WLD株式会社」の記載、「〒112-0001 東京都文京区白山5-1-3 5階」の記載があり、表中の上から5列目に「074-22 ホワイトxオリーブ」の記載、「レディススクラブ」の記載があり、「総数量」の下に「4」の記載がある。
(3)乙第10号証は、2021年10月20日に印刷されたKAZENグループのウェブサイトの写しとされるものであって、そのURLには、「www.kazen.co.jp」の文字が含まれており、本号証の第6葉目及び第7葉目には、「KAZENグループ概要」の見出しの下、「KAZEN WLD株式会社」の記載、「設立 1964年1月」の記載及び「本社 〒112-0001 東京都文京区白山5-1-3 5階・7階」の記載がある。
2 判断
上記1によれば、商標権者から、本件商標の商標権について黙示の許諾を受けた「WLD社」は、2020年に本件カタログを作成し、本件カタログに掲載された品番「074-22」の商品「看護師服」を、要証期間内である2020年5月15日に「新江古田いわた眼科」に4枚納品したことが確認できる。
そして、本件カタログに表示された商品「看護師服」に使用される商標は、筆記体風に書された「Pansy」の欧文字(以下「使用商標」という場合がある。)であることが認められ、本件商標と使用商標とは、書体に相違があるものの、「P」、「A(a)」、「N(n)」、「S(s)」及び「Y(y)」の構成文字を同じくし、いずれも「パンジー」の称呼及び「パンジー」の観念を共通にすることから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一と認められる。
また、本件カタログに掲載された品番「074-22」の商品「看護師服」は、本件審判請求に係る指定商品である「被服」の範ちゅうに属する商品であることが認められる。
そうすると、本件商標の通常使用権者である「WLD社」は、要証期間内である2020年5月15日に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の使用商標を使用した本件審判請求に係る指定商品「被服」の範ちゅうに属する商品「看護師服」を「新江古田いわた眼科」に納品したことが確認でき、この使用行為は、商標法第2条第3項第2号に該当すると認められる。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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