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商標取消審判

2021-300269

ハカラ

審判番号
2021-300269
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2016-137541
登録番号
5966574
請求日
2021年04月08日
審決日
2021年12月21日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】有限会社 エム・ディー・エス
  • 【請求人代理人】神崎 正浩
  • 【被請求人】清水 章矢
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 松江
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T131 .1 -Z (W44)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法2条3項3号商標法2条3項7号商標法2条3項8号商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第3号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5966574号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5966574号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第5966574号商標(以下「本件商標」という。)は、「Hakara」の文字を標準文字で表してなり、平成28年11月24日に登録出願、第44類「歯科医業,歯の健康診断,歯に関する医療情報の提供,歯科医療の調剤,歯の栄養指導」を指定役務として、同29年7月28日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内(平成30年(2018年)4月21日から令和3年(2021年)4月20日まで。以下「要証期間」という。)に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 ア 被請求人提出の証拠においては、本件商標である「Hakara」の欧文字(標準文字)の使用はされておらず、また、本件商標の指定役務について、商標法第2条第3項各号に規定されている商標法上の使用はされていない。 イ(ア)乙第1号証には、本件商標である「Hakara」の標準文字からなる欧文字の使用はない。 例えば、Hakaraホームページのサービス紹介文には、図案化された大きな「H」の図形と、「a」の内部に星形の装飾を施した図形的な要素の高い「Hakara」の文字が、一体的に表示されている。そのため、本件商標である標準文字からなる「Hakara」の欧文字とは、同一性を備えていない。 また、事業概要の記載は、「歯に関する医療情報の提供,歯の栄養指導」についての、商標法上の「使用」には該当しない。 (イ)さらに、日経XTECKには、「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2020」のアイデアコンテスト部門のファイナリストに選ばれた旨が記載されているが、ビジネスコンテストに参加してプレゼンテーションを行う行為や、ファイナリストに選ばれた事実は、商標法上の「使用」には該当しない。 また、「治療しない予防歯科を開業予定」の欄を設けているが、これは商標法上の「使用」には該当せず、その「使用」の準備にも該当しない。 (ウ)その他、第三者noteには、医院開業予定の内容が記載されているが、これも商標法上の「使用」には該当せず、その「使用」の準備にも該当しない。 ウ 乙第2号証には、本件商標である「Hakara」の欧文字(標準文字)の使用はない。 例えば、プレゼン動画には、大きな「H」の図形と、「a」部分に星形の装飾を施した図形的な「Hakara」が一体的に表示されている。そのため、本件商標である欧文字の「Hakara」(標準文字)とは、同一性を備えていない。 また、ビジネスコンテストに参加してプレゼンテーションを行う行為は、商標法上の「使用」には該当しない。 エ 乙第3号証には、本件商標である標準文字からなる欧文字の「Hakara」の使用はない。 また、トークセッションイベントに参加して話す行為は、商標法上の「使用」には該当しない。 オ 乙第4号証は、契約に至らなかった事実を示すもので、商標法上の「使用」に該当せず、また、「使用」の準備にも該当しない。 カ 乙第5号証に示す預託金預かり証は、商標法上の「使用」に該当せず、また、「使用」の準備にも該当しない。 加えて、その預かり証の日付は、2021年5月21日となっており、要証期間より遅い日付であるため、証拠としての価値はない。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第5号証を提出した。 (1)答弁の理由 ア 本件商標は、「10分1000円から利用できる治療をしない予防歯科Hakara」(歯科医院でありサロンではない)という新規事業のために、商標登録したものである。 その事業目的は、歯科に対するあらゆるハードル(立地、費用、精神面など)を下げ、諸外国と比較して圧倒的に低い予防目的の歯科受診率を改善し、国民のQOL及び健康寿命の増進・国の医療費削減を実現することである。 この事業(歯科医院)を実現するため、「駅ナカ、商業施設内」の立地にこだわり、各種アクセラレーター、ビジネスコンテストに精力的に参加し、個人では困難と思われる不動産契約及び協業パートナーの獲得に勤しんできた。 イ 以下に主な受賞歴を示す。インターネット検索すると、各々詳細が相当数出てくる(乙1)。 (ア)2017年 三菱地所主催コーポレートアクセラレーター 優秀賞 (イ)2018年 東京都主催Tokyo Startup Gateway 優秀賞(賞金50万円獲得)オーディエンス賞 (ウ)2019年 事業開発コンソーシアムIII主催 未来2019 最優秀賞 BRAVE賞 (エ)2020年 経産省主催ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト2020 優秀賞 特別賞 ウ 上記コンテストはかなり大規模なため、概算延べ数千人の前でプレゼンテーションを行った。ビジネスモデルの説明のみではなく、内容の多くを本件商標の指定役務である「歯に関する医療情報の提供」、「歯の栄養指導」としている。具体的には歯数や日本の歯科医療の現状、口腔ケアの正しい方法、全身のリスクファクターの説明などである。Tokyo Startup Gatewayファイナルステージでのプレゼンの様子の動画がある(乙2)。 エ 2019年2月には、イベント(ミライのワクワクトークセッション六本木)登壇の依頼を受け、2019年2月27日に六本木ヒルズにて本件商標を用いた講演を行い、報酬を受けている(乙3)。 オ 法人ではない個人(病院開設は最初は個人事業主となるため)が駅ナカなど好立地の物件を獲得するのは思った以上の困難な道のりであり、結果として経産省のコンテストまで約4年が経過してしまったが、なんとか東京メトロ神谷町改札よりすぐにあるテナントを2020年1月末に契約できる運びとなった。これで歯科医院が開設できるので、「歯科医業、歯の健康診断、歯科医療の調剤」に使用できる予定だった(乙4)。 しかし、翌月2月より新型コロナウィルス流行が本格化したこと、不動産契約における事前告知のない不誠実な内容という致し方ない状況により契約は破棄となった。 カ その後紆余曲折あり、ようやく2021年5月末に新たなテナント契約を完了し、7月末に歯科医院を開業する運びとなった。本テナントの内見及び交渉は同年3月より始まっており、本件審判請求を受けた時は正に開業準備の最中であった。本医院では本件商標の指定役務を全て実施する(乙5)。 キ 本件商標権者は、歯科医師として、日本国民及び日本に歯科を通じてできる限りの貢献をしたいがために、この新規事業を考案し本件商標を取得し、勤務先休診日をほぼ全て費やして4年以上に渡って事業実現のために努力してきた。 個人が好立地に開業するのは思った以上に困難で、開業できるまでに長い年月を要したが、前述のようにようやく開業できることになった。わざと「開業しなかった」、「サービス提供しなかった」わけではないことを強く主張したい。 そして、本件商標に関する出願も、膨大なコネクション作りも、大小様々なプレゼンテーションも、物件探しも、今回の審判事件への答弁書も、全て資金的、組織的余裕がないために外注できず、個人で賄うしかない者に対して、同じように歯科を通じて世の中に貢献しようという志をもつ(と信じたい)請求人側、法人がこのような理不尽な審判請求をしてくることは甚だ遺憾であり、衝撃を受け、深い悲しみを感じた。公正な審判がなされるよう、願ってやまない。 4 審尋(令和3年9月28日付け審尋) 当審の暫定的見解、すなわち、被請求人提出の証拠(乙1~乙5)によっては、要証期間において本件商標が使用されたか否かは明らかではない旨を通知するとともに、被請求人に対して、それに対する意見及び証拠の提出を求めた。 5 審尋に対する被請求人の回答 上記審尋に対し、被請求人からの回答はない。 6 当審の判断 (1)商標法第50条第2項によれば、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標登録の取消しを免れない。 (2)被請求人の主張及び提出証拠(乙1~乙5)によれば、以下の事実が認められる。 ア 本件商標権者は、「Hakara」と称する「予防歯科だけのクリニック」の事業化に向けた活動をしており、「Hakara」の欧文字(「a」の内部を星形図形にしている。)を表してなるロゴ(以下「本件使用商標」という。)を表示しつつ、投資や協業を求めるウェブサイトを設けている(乙1、2葉目)。 イ 本件商標権者は、上記事業の実現に向けて、ビジネスコンテストやイベント(2018年12月1日開催の「TOKYO STARTUP GATEWAY」、2019年2月27日開催の「ミライのワクワクトークセッション」、2020年1月23日開催の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2020」等)において同事業と関連したプレゼンテーションをしている(乙1、3葉目、乙2、乙3、2葉目)。 ウ 本件商標権者は、令和2年(2020年)1月頃に、東京都港区所在の店舗物件の賃貸借契約の交渉を進めていたが、当該契約は種々の事情により破棄された(乙4、被請求人の主張)。 エ 本件商標権者は、2021年5月頃に、東京都北区所在の店舗(歯科医院)物件の賃貸借契約の交渉を進めており、同年7月末に歯科医院を開業予定である(乙5、被請求人の主張)。 なお、上記開業予定の店舗と、本件事業(及び本件商標)との関係を具体的に示す証拠の提出はない。 (3)ア 上記によれば、本件商標権者は、本件商標と構成文字が共通する「Hakara」と称する予防歯科に係る事業(以下「本件事業」という。)の実現に向けて、本件商標と社会通念上同一(書体のみを変更した同一の文字からなる。)である本件使用商標を表示するウェブサイトを開設しており、要証期間である2018年から2020年にかけて各種コンテストやイベント等において同事業のプレゼンテーションを行い、2020年1月頃には店舗物件の契約交渉をしていたとしても、結局は契約締結にまで至っていない。 また、被請求人提出の証拠からは、本件事業に係る店舗が要証期間(それ以降も含む。)に開業した事実は確認できない。 そうすると、被請求人提出の証拠からは、本件事業について店舗等において実際に本件審判の請求に係る指定役務が提供された事実は確認できず、要証期間において、本件商標をその指定役務に使用(商標法第2条第3項第3号から同項第7号)したものと認めることができない。 イ また、本件事業に係るウェブサイトやプレゼンテーションにしても、当該事業に関する漠然としたアイデアを披露するものであって、上記アのとおり、本件事業は実際に店舗の開設等に至っていないことも踏まえると、具体的な店舗における本件審判の請求に係る指定役務の提供を前提とした広告とはいえないから、それらによって、本件商標をその指定役務に関する広告に使用(商標法第2条第3項第8号)したものとは評価し得ない。 ウ さらに、2021年5月頃から物件契約交渉をし、同年7月末に開業予定とされる歯科医院にしても、当該店舗で本件審判の請求に係る指定役務が提供できるのは要証期間以降のことであって、当該店舗と本件事業(及び本件商標)との関連も不明であるから、要証期間における本件商標の使用事実を裏付ける事実関係ではない。 エ その他に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標をその指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。 (4)結論 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定役務について使用をしていることを証明したものと認めることができない。 また、被請求人は、その指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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